古事記に出てくる「別天つ神五柱」とは?読み方は?何の神様なの?

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古事記の一番最初には「別天つ神五柱」という神様が出てきますが、読み方も難しいですし、知名度も低くどのような神かあまり知られてもいないようです。

今回はちょっとレアな神様「別天つ神五柱」に注目し、読み方、そしてどのような神様なのかを解説していきたいと思います。

「別天つ神五柱」の読み方は?大まかな意味は?

「別天つ神五柱」は「ことあまつかみ いつはしら」と読みます。

そもそも「天つ神(天津神とも書く。あまつかみ)」というのは、日本の神話における「天の神様」という意味。

対義語として「国つ神(国津神とも書く。くにつかみ)」という言葉があります。

これらは

  • 天つ神→天の世界(高天原・たかまのはら、もしくは、たかまがはら)にいる神様
  • 国つ神→地上の世界(日本の国内)にいる神様

と分類することができます。

「別天つ神五柱」は天にいる神様ということになりますが、その中でもわざわざ「別」と付けられているのは、「天の神様の中でも別格」という扱いをされているため。

「五柱」は、「五人(の神様)」という意味ですが、これについては次の項目で詳しく説明しましょう。

総じて「別天つ神五柱」とは、「別格の天の神様5人!」というイメージで捉えておくとほぼ正解です。

「別天つ神五柱」のメンバー紹介!一人じゃなくて五人なんです

それでは、具体的に「別天つ神五柱」にはどのような神様がいるかをご紹介します。「別天つ神五柱」という神様がいるわけではなく、5人(五柱)の神様を指す総称として「別天つ神五柱」という言葉が存在しています。

5人の神様の御名前は、

  1. 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
  2. 高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
  3. 神産巣日神(かみむすひのかみ)
  4. 宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)
  5. 天之常立神(あめのとこたちのかみ)

以上です。

それぞれの神様が象徴するもの、意味等については後述します。

1~3だけで「造化三神」というグループ名もある!

V6の中にカミセンがあるように、「別天つ神五柱」の中にも「造化三神」と呼ばれるグループがあります。

それが、上記の1~3、天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神の3柱です。

そもそも神様の数え方は「人」ではなく「柱」

便宜上「5人の神様」という呼び方をしましたが、神様の数え方(単位)は本来、「1人、2人」ではなく「1柱、2柱」です。

現代の人は、何となく神様というものを人間の形であると考えてしまいがち。もちろん神話だって「登場人物」というように、神様に人格を与え、キャラクターとして完成させているからこそ、神話が存在します。

しかし本来、古代の日本の人々にとって、神は、人物ではありませんでした。人ではないから、何人、と数えるのはおかしいのです。

ではなぜ「柱」になったか?

それは、日本の神木信仰に多いに関係していたと考えられています。人々が、年齢を重ねた大木と神を重ねて見たた名残が、神を「ひと柱、ふた柱」と数える数え方に現れているようです。

「柱」という漢字も「木へん」に「主」と書きますね。また、家の中心となる柱は「大国柱」ですし、有名な「御柱祭」のように柱をそのまま神として扱うご神木も数多く残っています。

柱とは、地面からまっすぐに天に向かって立つもの、という意味を持った文字(言葉)です。

こうしたイメージから、古代の人々は神を数える時「柱」という言葉を使ったと考えられています。

神様の数え方について、さらに詳しく見る!→「神様の数え方はなぜ「柱」なのか?読み方と由来(理由)を解説!」

「別天つ神五柱」それぞれの意味と性格

それではいよいよ、「別天つ神五柱」がどういった神様であるのかを見てみましょう。

1.天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)

天之御中主神は「天の、ご中心の、主神」という意味合いの名前です。

『古事記』には

天地(あめつち)初めてひらけし時、高天の原に成れる神の名は、天之御中主神

とあります。すなわち、天地が初めて分離した時に、天の世界に現れた神の名前が、天之御中主神である、ということです。

日本で一番最初の神様は伊邪那岐命や伊邪那美命だと思われていることもありますが、それより前に神様がいて、一番最初の最初はこの「天之御中主神」でした。

天之御中主神の性質は、ただ1つ「主宰神」であるということです。天之御中主神以降、日本の国土を作成するための神様が次々と登場しますが、それに先立ってとにかく天の世界を安定させる、何の特別な性質にも属さない一柱が必要であった。その中心的存在が天之御中主神であると考えると良いでしょう。

2.高御産巣日神(たかみむすひのかみ)

天之御中主神の次に高天の原に登場したのが、高御産巣日神です。発音は「たかみむすひ」もしくは「たかみむすび」と濁点が付くこともあります。

高御産巣日神は、次にご紹介する「神産巣日神」と共に「生成」を司る神様のうちの一人です。

この時点での神には男女の別がありませんが、高御産巣日神は「天と地」のうち「天」の生成に関わる神としての性質があります。すなわち、天と地を陽と陰に置き換えた場合、「陽」の生成を担当する神様ということです。

したがって、高御産巣日神ご本人(?)には男女の別がないものの、高御産巣日神の性質は、陽気に関わるもの、発生するもの、光、男性性、積極性などを生み出す神様としての性質であると考えられます。


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3.神産巣日神(かみむすひのかみ)

神産巣日神は、上の高御産巣日神と共に「生成」を司る神様です。

そして、高御産巣日神が「天、陽、男性性」の生成を司るのに対し、神産巣日神は「地、陰、女性性」の生成を司ると考えられてきました。

高御産巣日神と同じく、神産巣日神にも、神自身が男性、女性という決まりはないようです。

4.宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)

天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神の3柱は、「造化三神」とも呼ばれ、まだ比較的メジャーな印象があります。

ここから一気にマイナーな神様になってきますので、ぜひついてきてください!

「宇摩志阿斯訶備比古遅神」は、造化三神が生じ、しかも「身を隠した」つまりこっそりいなくなった後で、まだ地面がしっかりできていなくて、水に浮いてる油のようにドロドロでクラゲのようにブヨブヨ浮いてた時、そのブヨブヨの中から葦のようにスックと立ち上がって発生した神様です。水に浮いてる油かクラゲ……(´・ω・`)

『古事記』には

葦牙(あしかび)の如く萌え騰(あが)る物によりて成れる神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遅神

とあります。ここで見られるキーワードは「葦」で、御名前から、宇摩志阿斯訶備比古遅神は「葦の芽」を神格化した神様であることがわかります。またこれは、単に「葦の芽の神様」ということではなく、万物が成長するエネルギー、パワーを葦の芽に例えたもの、その成長エネルギーを神格化したものです。

また成長エネルギーの神であることから、宇摩志阿斯訶備比古遅神は性別ナシ、ではなく「男性の神」であることがわかっています。そして、次の「天之常立神」の項目も合わせてご覧になっていただきたいのですが、この宇摩志阿斯訶備比古遅神の膨大なエネルギーをもって、天が形成されたとも考えられます。

宇摩志阿斯訶備比古遅神は、現在では出雲大社本殿御客座にお祀りされています。『古事記』では最初から4番目に生まれた神様ですが『日本書紀』を紐解くと、宇摩志阿斯訶備比古遅神を一番最初、あるいは二番目に現れた神として扱っていることがわかります。いずれにしても日本の神話的な歴史時代、かなり初期の段階で、国土生成の役割を果たした神であることに間違いはないでしょう。

※物部神社の御祭神である「宇摩志麻遅命(うましまぢのみこと)」と混同されることがありますが同一ではありません。「うまし」=「すばらしい」という意味合いの古代の日本語ですので、「うまし」の部分は共に神を賞賛するだけのフレーズで、ここが共通していることに特に意味はないと考えられます。

5.天之常立神(あめのとこたちのかみ)

天之常立神は、「天が常に立ちゆく」ための神、すなわち、天の根元神です。

また宇摩志阿斯訶備比古遅神が地から天に向かって走り抜け、その後に天之常立神が生じたことから、地から天へのエネルギーの上昇があり、その後に天の存在が確立したことがわかります。

面白いのは、西洋の神話のように、天の神が一方的に地を作成するのではなく、地の神からのエネルギーの放出によって、天之常立神という天の神が生成されているところです。また天之常立神については、『日本書紀』にも、葦牙のように空中に生まれた神……という記述がありますので、宇摩志阿斯訶備比古遅神と同じく、天之常立神自身も「生成」のエネルギーを持ち合わせていると考えるべきでしょう。

天之常立神の存在によって、それまで地と分離したばかりで不安定な状態であった天が安定状態に入り、常に天が存在できる状態となりました。それは同時に、いまだドロドロとして不安定とはいえ、常に「陰」である地が、「陽」である天と分離して存在できるようになったことをも指し示しています。また、地から天に向けて衝き上げるようにのぼっていった宇摩志阿斯訶備比古遅神は、地という陰の中から立ち上がった陽気であり、彼が天に到達することではじめて、天の陽気が定まったとも言えます。

「別天つ神五柱」は五柱とも「独神」……独神って何?

以上の五柱が「別天つ神」ですが、これらは全員「独神(ひとりがみ)」です。

「独神」とは、……字面からは、独身の神、というようなイメージを受けますが……あながちそれも間違えてはいません。神には、男女ペアの神と、ペアとなるパートナーのいない神とが存在し、パートナーのいない神のことを「独神」と呼ぶのです。「独神」の中には、宇摩志阿斯訶備比古遅神のように「男の神」とハッキリしているものもあれば、その他の神のように男とも女ともつかない性別のない神もいます。

「別天つ神五柱」の場合は、5柱全てが「独神」です。

「別天つ神五柱」、『古事記』では身を隠して終わってしまう……

今回は「別天つ神五柱」について見てきましたが、『古事記』では、上に記したこと以外には特に何をするわけでもなく、それぞれの神が現れては

身を隠したまひき

と書かれて、こっそりといなくなって終わってしまいます。

いずれの神も、これから国を作るにあたっての前哨戦のような神様ですので、存在の必要性はあったのでしょうけれども、神話上この後活躍することがないので、影が薄いと思われていることも、もしかしたらあるかも……!

しかし、特に五柱の神のうち最初の三柱は「造化三神」としてお祀りされていることも多いですし、造化三神はすべてを生成するエネルギーを持つ神、すなわち「縁も発生させてくれる、縁結びの神!」としても崇められていますから、抑えておきたい神様です。おまけと言っては何ですが、宇摩志阿斯訶備比古遅神、天之常立神という二柱の神の存在も、「神・別格五人衆(五柱衆?)」として、ぜひ記憶に留めておいてくださいね。

Writing:陰陽師の末裔/占い師・パワーストーンアドバイザー
あん茉莉安(ホームページ

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