「初穂料」って何?読み方は??「志納金」とは???

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仏教や神道など、宗教に関わる言葉には、少し難しくて現代では「何のことかな?」と思うようなものがしばしば混じっています。

神社に祈祷などをお願いするときに支払う「初穂料」もそのひとつでしょう。

初穂料という言葉を聞いたことがあっても、それが何を意味するのかは現代では少し難しいことに思われます。

また、「初穂料」と同じような場面でしばしば出てくる「志納金」についても、同じなのかそうでないのか違うなら何が違うのか知っておきたいところ。

今回は、「初穂料」そして「志納金」の由来や意味を解説します。

■「初穂料」とは?

まずは、神社のホームページなどによく掲載される「初穂料」の意味から確認してまいりましょう。

初穂料」とは「はつほりょう」と読み、これはお寺風に言うところの「お布施(おふせ)」のことです。

つまり、神様からご利益を授かるための対価として、気持ちばかりのお礼という解釈になります。

初穂料の「穂」は、稲穂の「穂」という意味で、「初」は初音ミクの「初」となります・・と、言うのは嘘となりますが「初めて」と言う意味合いあります。

初穂料の「初穂」とは、これは秋口に収穫シーズンを迎える稲(米)の中でも、一番最初に収穫した稲(米)は特別に「初穂」と呼ばれています。

「料」とは、『何かの代わりになるもの』などの意味合いがあり、つまりは『稲(米)の代わりになるもの』という意味合いがあります。

これらを合わせると「一番最初に収穫した稲(米)の代わりのお金」という風に解釈できます。

初穂の歴史

現在では宗教団体として存在している神道や神社も、もとを正せば自然信仰のひとつの形でした。

古代、神々は人々に祀られ、祭祀によって人々は、自然の恵みを神々に祈っていたのです。

その祭祀はどう行われたかといえば、収穫を神に捧げることによって行われました。

古代には、祭祀を行う豪族と、その下に多くの農民たちがいており、稲作を行ってはこれを刈り取り、リーダーである豪族へ献納していました。

そして、豪族がこれを神に供え、また次の五穀豊穣を祈る祭祀を行う…こうしたサイクルを繰り返していました。

このとき、神に捧げるための、その年初めて収穫された稲穂が「初穂」です。

現在は、お金をお賽銭として寺社へ奉納しますが、お金が流通していなかった頃は次のようなものが捧げられました。

  • 海や山の幸
  • 「おひねり」といって神に巻いた稲・米
  • 「散米(さんまい)」といって米を神前に撒く

このような方法で向こう一年の豊作を祈願したのです。

稲ができるまでのサイクル

  • 4月:発芽(苗)
  • 5月〜6月:分げつ時期(茎が増える時期)
  • 7月:幼穂になる
  • 8月:登熟期(米粒が完成)
  • 9月〜10月:収穫

収穫したばかりの米は殻があるので厳密には「稲」です。稲の殻を取って精米することで最終的に日常的にみかける「白米」になります。

稲の代わりにお金が奉納されるようになった理由

では、なぜ稲の代わりにお金が奉納されるようになったのか?という疑問が湧き出てきますが、およそ平安末期〜鎌倉時代を境にして稲の代わりにお金が奉納されるようになったといわれています。

平安末期には、平清盛が中国・宋(そう)との貿易を行い、宋から大量の「宋銭(渡来銭)」を輸入し、これがやがて商人に普及するようになります。商人に普及するとたちまちの内に民間層にも流通していきました。

平安末期〜鎌倉時代あたりにお金が奉納されるようになった理由は、貨幣が広く流通したのも理由の1つに挙げられますが、もう1つの理由として、それまで貴族中心の社会から武家中心の社会へ移り変わってきたことが挙げられます。

武家は戦勝や自家の繁栄を祈願して寺社へ大量の寄付を行います。このような風習が民間層にも普及していったものだと考えられます。

伊勢神宮の抜穂祭の例でみる

通常、いわゆる収穫祭が行われるのは秋です。秋に行われる理由は、稲(米)が秋に実り、つまり収穫を迎えるからです。

伊勢神宮の場合、10月に神嘗祭(かんなめさい)があり、これをもって盛大な収穫の感謝の祀りとなるわけですが、これに先立って9月に行われるのが「抜穂祭(ぬいぼさい)」です。

抜穂祭は、まだ稲刈りをするカマなどの道具がない時代に、稲穂を抜き取って収穫していた作業の名残であろうと考えられています。

稲を収穫し、抜き取る作業そのものが、抜穂祭の祀りです。

このときに収穫された稲穂が「初穂」となり、伊勢神宮では10月の神嘗祭の折に、新米として神々に捧げられます。

抜穂祭が行われるのは伊勢神宮だけではなく、埼玉県の白岡八幡、京都府の伏見稲荷、福岡県太宰府天満宮をはじめ、全国各地の神社で行われています。

一般の参拝者が神社に訪れ、祈祷などを依頼するときには、神職や神社への謝礼として「初穂料」を捧げます。

過去には稲穂を捧げていたものが、現在では初穂の代わりに、お金をお供えするという意味合いで「初穂料」という言葉が使われているのです。




■「志納金」とは?

それでは、「志納金」とはどのような意味合いのものなのでしょうか。

志納金」は「しのうきん」と読み、「志によって納めるお金」と書きますとおり、いわゆる日本で古来言われてきた「お気持ち」に値する言葉です。

志納金という言葉を使う機会は、初穂料のように限定されていません。

初穂料は上記のような語源から、神社でのみ使われる言葉ですが、志納金は神社だけではなく、お寺などその他の宗教でも使われます。

「志納金」という言葉だけを受け取れば、「いくらでもいいので、お気持ちで」という意味合いになるのですが、これが本当に「いくらでもいい」場合と、「ひと口いくらで、何口でもいい」とされている場合とがありますので、一応の注意は必要です。

たとえば寺社の拝観料などに多いですが、全く金額設定のない「志納金」を募集している場合には、1円でも良く、500円でも良く、もっと多くても良い、ということになります。

tちなみに、志納金を初穂料としている有名な神社があります。

どこの神社かお分かりになりますか?

ちょっと考えてみてください。

・・

・・

・・

・・残念無念!ハズレです。

正解は名古屋にある「熱田神宮(あつたじんぐう)」です。

熱田神宮に参拝した方であればお分かりでしょうが、社務所などに「志納金」と書いた張り紙が見られます。

志納金だからと言って何でも1円で良いわけではない

一方、寺社の建て替え費用やメンテナンス費用として志納金を受付けている場合は、「ひと口5,000円で、なん口でも」のように、最低金額として5,000円がかかります。

お寺の建て替えをする場合で、檀家負担の志納金においては、ひと口が何十万というケースも全く珍しくはありません。

それでも、なん口を寄進するかは個々人の意志に任せられていますので、そういった意味で「志まかせ」のお供えの金額が「志納金」なのです。

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