「手水舎」と聞いて、何をどうする場所なのか、しっかりと答えられますか?
ある程度何をするか知っている、どうしたらいいか完璧! という方などなど、いらっしゃると思いますが、実はコロナ禍の中で、手水舎の扱いもちょっとずつ変化が起こっているのが現実です。
今回は、手水舎の作法はもちろん、令和コロナ時代の手水舎の扱いについても、占い師の筆者がしっかりと解説していきますね。
目次
手水舎の正しい読み方(ふりがな)
手水舎には4つの読み方があります。
- ちょうずしゃ
- ちょうずや
- てみずしゃ
- てみずや
「手水」を「ちょうず」もしくは「てみず」と読み、「舎」については「や」か「しゃ」と読み、いずれの組み合わせでも問題ありません。
元々、「ちょうず」というのも「てみず」が音便化したものであり、意味の違いもないのです。
手水舎には別名もある
手水舎は別名
- 水盤舎(すいばんしゃ)
- 御水屋(おみずや)
- 手水所(てみずどころ)
と呼ばれることもあります。
手水と水盤は違う?
手水舎のことを水盤舎と呼ぶことはありますが、厳密に言うと手水と水盤は同じものではありません。
水盤とは、手水舎の中にある、水が張られた浅い水槽のことを示す名詞です。手水舎の中にあるものでなくても、水を張った浅い器のことであれば、一般的に水盤と呼びます。
一方、手水は「洗うこと」そのものや、「洗うための水」のことを示す言葉で、水盤とは異なります。
手水の場合、水盤にあたるものを「手水鉢(ちょうずばち/てみずばち)」などと呼ぶことはあります。
手水舎はコロナで変わりつつある……柄杓がない手水舎の扱い方
手水舎は、過去には寺社の参拝処の入口に存在し、手を洗ったり、口を漱いだりすることに使われました。
しかし新型コロナウイルス感染症が流行しはじめて以来、衛生面の理由から手水舎の様相は変化しつつあります。
今回の記事では、手水舎における基本的な手順や作法についてもお伝えしますが、その前に、コロナで変容した手水舎の事情を知っておきましょう。
手水舎に柄杓を置いておくと、消毒を充分にできるわけではなくコロナ感染の原因にもなりうるということで、柄杓がない手水舎が登場しています。
水盤の水が抜かれているところも多く、実際のところ「あれ、手水どうしたらいいの!?」と戸惑う参拝者の方もふえているのです。
この場合、やむを得ずお手水を省略して参拝に向かうより他ありませんが、例えば東京都三鷹市にある玉光神社など、手水舎に次亜塩素酸水ポンプを設置し、「手水の禊と見なす!」と公式に宣言している神社も。
つまり手洗い、消毒によって、今まで水で行っていた禊ぎの代用を行っているというわけ!
次亜塩素酸水については歯科で口内消毒に使われることもあり、口に入れても無害ということになっていますので、次亜塩素酸水を使って従来の手水舎で行われていたようにうがいをすることも理論上は可能(アルコールの場合は不可)です。
手水舎がない場合の参拝のやり方
もし、手水舎やその近辺に消毒用の次亜塩素酸水、あるいはアルコール等がない場合は、残念ながら手や口の消毒をするわけにいきませんので、そのままご参拝に向かいましょう。
ご自身で携帯用のアルコールを持参し、参拝前に手を消毒するのもいいかもしれませんね。
手水舎(手水)の基本的な作法・手順
では、一般的な手水の作法についてご案内します。
- 最初に右手で柄杓に水をたっぷりと汲む。この1杯の水を最後まで使うのが作法なので、次からの工程をしっかりと頭に入れ、最後まで水がなくならないよう、節約しながら使わなくてはならない
- 左手に水を掛けて洗う
- 柄杓を左手に持ち替え、右手を洗う
- 柄杓をもう一度、右手で持ち、左手を器のようにして少し水を溜め、その水を手で口に入れ、口を漱ぐ。
漱いだ水は、左手で口元を隠しながら吐き出す。水の量は少しなので、大々的に吐き出さなくて済むように心遣いを! - 左手にもう一度水をかけて洗う
- 柄杓を立てて、柄杓の中に残った水を柄のほうへ流し、柄を洗って元の場所へ戻す
以上が、手水の最も一般的な作法です。水を2度汲まないということは、ポイントの1つですよ!
手水舎では一礼すべき?
手水舎で手水を使う時に、一礼をしてから行うべきか? と迷う方もいらっしゃるようです。
結論から言えば、手水舎は何かをお祀りしている場所というわけではなく、むしろ穢れを落としてから神仏の前に向かうという趣旨の場所ですので、一礼をする相手がいないという意味で、一礼をする必要はないでしょう。
蜜になってはいけない時代ですが、周囲に人がいる時は気遣いとして会釈しながら行動するのは悪くないですね。
手水舎の作法を英語で説明できる? How to do Chozuya?
「手水舎の作法」を英語で言うと「How to do Chozuya?」となります。
上に、日本語版の説明を掲載していますが、同じことを英語で言うとどうなるか見てみましょう。
- First,teke a ladle with your light hand and fill it up with water.Please use the water little by little.
- Then pour some water over your left hand.
- Switch the ladle to your left hand and wash your right hand.
- Switch the ladle to your right hand again,pour some water into your left palm,and wash your mouth with the water.
- Wash your left hand.
- Make the ladle vertical,and wash the handle and put it back.
このような感じで説明するのがおすすめです。
手水舎に紫陽花…人気の「花手水」とは
実は今、手水舎を手水のためではなく、インスタ映えするスポットとして寺社が利用するようになっています。
手水自体が、新型コロナウイルス感染症の影響でやりづらくなっている反面、水盤にものを浮かべて美しく装うことが流行っているのです。
その代表格が、紫陽花で、紫陽花の季節には水盤いっぱいに紫陽花が浮かべられた様子がSNSでたくさん投稿され、話題を呼びました。
↑こちらは、石川県、倶利迦羅不動寺の手水舎です。
紫陽花はジメジメする季節の花だけに、涼しげな様子も人気を博しました。
紫陽花だけではなく、紫陽花以外の花、おもちゃのアヒルさんが浮かべられる場合もあり、訪れた寺社で手水舎が使えないとわかっていても、手水舎を訪れる価値があると思わせてくれる新しい令和の風習となっています。
手水舎の紫陽花から毒?
ところで、手水舎に浮かべられた紫陽花から毒が出るのではないかという、不安の声もあるようです。
紫陽花の毒については、実は多くのことがわかっていません。
毒のある品種と、そうでない品種があることはわかっていますが、素人目に見て判断がつくものではありません。
紫陽花の葉を食べ、嘔吐、めまいなどの症状を起こしたという症例もあります。
ただし日本での死亡例はいまのところなく、それも「葉を食べた」というレベルで起こっている事故ですので、手水舎に浮かべられた紫陽花に触れたくらいで中毒症状は起こらないものと考えて良いでしょう。
手水舎にある龍の口は何者なのか?
必ずではありませんが、手水舎に龍の像が置かれていることがよくあります。※画像は箱根神社
そして、龍の口から水が出てくる……という演出(?)も日常茶飯事的に存在していますね。
日本では、龍は水の神様として神聖視されているものです。
したがって、龍のモチーフを手水舎に置くことで、手水舎の周辺を龍神に守護していただく、というような発想も生まれたものと考えられます。
手水舎そのものは、神を祀るところではありませんので、手水舎に龍神が祀られている……という考え方は少しずれていますし、手水舎で龍の置物を参拝するというのも相応しくないですが、手水舎の水を司り、守護している存在と理解すれば良いでしょう。
新しい手水舎の作法もマスターしてスマートな参拝を!
今回の記事では、コロナ以前の手水舎におけるスタンダードなマナー、そして、コロナ以降の手水舎の扱いについてご紹介してきました。
お手水は、参拝前に日常の邪気を清める「みそぎ」として、大切にされてきた儀式ですが、感染対策を理由に今後さらなる変化をしていく可能性もあります。
消毒液による禊ぎはもちろん、実際にバーチャル参拝が登場していることをかんがみれば、今後、アバターを使ったバーチャル禊ぎ、ヘッドセット装着によるVR禊ぎなども徐々に普及を見せるかもしれませんね!
楽しみです!
現状では、花で彩られた美しい手水舎を、蜜にならないように愛でつつ参拝してくださいね。
Writing:陰陽師の末裔/占い師・パワーストーンアドバイザー
あん茉莉安(ホームページ)