やっと涼しくなってきた気持ちのよい夜に、美しく浮かぶ「十五夜」……いつだったか覚えていますか?
なんとなく月を眺めるだけに思える「十五夜」にもきちんとした意味が隠されています。
今回は、「十五夜」について詳しくご紹介します!
意味や由来に加え飾り方や雑学などもご紹介しますので、ご家族や大切な方と過ごす「十五夜」に是非お役立てください!
目次
「十五夜」の読み方
「十五夜」は、「じゅうごや」と読みます。
「十五夜」の別名
「十五夜」は、別名「中秋(仲秋)の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」、「お月見(おつきみ)」と呼ばれています。
関西から中国地方にかけては里芋を供えることから「芋名月(いもめいげつ)」と呼ばれることもあります。
「十五夜」は英語だと何て言う?
「十五夜」は日本ならではの行事なので、英語にしても「jyugoya」または「tsukimi」と書きます。
ほとんどの外国人は「十五夜」を知らないので、もう少し細かい説明を加えるなら「the fifteenth night (of a lunar month) 」と表記します。
また、「お月見」は「viewing the moon」 又は「 moon viewing」と書きます。
「十五夜」はいつ?
「十五夜」は、旧暦の8月15日の夜に行われる行事です。
2024年の「十五夜」はいつ?
「十五夜」は、旧暦の8月15日に行う行事です。
月の満ち欠けを基準にしていた旧暦によって定められているので、太陽の動きを基準にしている現在の暦とは約1ヵ月の差があります。
そのため、旧暦の8月15日を現在の新暦に直すと毎年9月中旬~10月上旬の間に「十五夜」がやってくることになります。
2024年の「十五夜」は、2024年09月17日(火曜日)です。
ちなみに、今後の「十五夜」の日程はこのようになっています。
2021年の十五夜は9月21日(火)
2022年の十五夜は9月10日(土)
2023年の十五夜は9月29日(金)
2024年の十五夜は9月17日(火)
2025年の十五夜は10月6日(月)
「十五夜」とは?
「十五夜」とは、旧暦の8月15日の夜、縁側のような月が見える場所で、秋の草を花瓶に挿して団子などを供えながら月見をする行事です。
「十五夜」は、旧暦の8月15日に見ることが出来る満月のことを指します。
美しい満月の中でも旧暦の8月は1年の中で最も空が澄みわたるとされています。
そのため、月が明るく美しいことから8月の満月の夜に「十五夜」が設定されたと考えられています。
「十五夜」の由来
十五夜の由来は、中国に古くから残る風習です。
中国では、旧暦の8月15日は「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」と呼ばれ、秋の月を愛でて宴を催すという行事が古くからありました。
「中秋節」には、スイカを供えたり月餅を作って食べたりすることも行っていたようです。
この「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」は、日本の旧正月にあたる「春節(しゅんせつ)」、小正月にあたる「元宵節(げんしょうせつ)」、端午の節句にあたる「端午節(たんごせつ)」の3つの行事と合わせて「中国の四大伝統祭り」になっています。
このような秋に「お月見」をする風習が中国から日本に遣唐使によって伝わってきたのが奈良時代から平安時代にかけてです。
最初は宮中の一部の貴族の間でのみで行われていて、月を見ながら酒を酌み交わし、船の上で詩歌や管弦に親しむような風流な催しでした。
しかし、もともと日本には月、特に満月を愛でる風習や、神聖視する信仰が根付いていました。
それは、かつての日本人が月の満ち欠けで季節を知り大切な農作業の目安としていたからです。
そのため暦を告げる農業神でもある月神様は深い信仰を集めていて、全国でお祀りされています。
さらに、旧暦の8月15日は「初穂祭り(はつほまつり)」という秋の収穫を月神様に感謝する日であったことも「十五夜」の行事が広まった理由として挙げられます。
この月神様は、天照大御神(アマテラスオオミカミ)の弟神とされていて『古事記』では「月読命(ツクヨミノミコト)」、『日本書紀』では同じ読み方ですが「月読尊」と表記され登場します。
ちなみに「読」とは数えるという意味があって、暦を数えることを重要視していた先祖の思いが表れています。
このように、中国から入ってきた風習と日本古来の月を愛でる風習や月神信仰が結びつき「十五夜」や「お月見」は広く日本の風習として根付きました。
「十五夜」の意味
「十五夜」は、月神様にお供え物を捧げることで稲が無事に収穫できる喜びを皆で分かち合い、収穫に感謝するという意味がある日です。
また、豊作祈願・五穀豊穣を願うこととしての意味もあります。
「十五夜」の歴史
中国で行われていた名月を観賞する風習である「中秋節」が日本に伝わったのは、奈良時代から平安時代にかけてです。
宮中に取り入れられた「中秋節」は、貴族たちの間で満月を眺めながら歌を詠んだり、管弦が奏でられる雅な月見の行事として定着しました。
そのような宮中だけの行事も時代を経て江戸時代になると、農村を中心に広く行われるようになります。
その頃から民衆に伝わった「中秋節」は、もともと農業神である「月読命」への信仰が土台にあったため、秋の収穫祭を控えた豊作祈願の儀式としての側面も持つようになります。
さらにその後、旧暦の8月15日を「十五夜」のみならず、9月13日の「十三夜」と合わせてお月見をするなど、別の日にも月見を行う風習も生まれました。
「十五夜」には別名も生まれ、里芋の収穫期でもあることから里芋をお供えする風習にならって「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれています。
ちなみに「十五夜」では、子供達がお供物の団子などを盗み食いをしても良いとする地域が多くあります。
これは、お供物が知らぬ間に無くなっていることを神様が食べたと解釈するからです。
そのためお供物を盗まれた家は神様がお越しいただいた家として縁起がよいとされています。
「3月見」って何?
最も美しいとされる「十五夜」のお月見ですが、他にもお月見の行事があることをご存知でしょうか?
「十五夜」、「十三夜(じゅうさんや)」、「十日夜(とおかんや)」と呼ばれこの3日間が晴れると良いことがあると言われてきました。
「十三夜」とは「十五夜」の約1か月後に巡ってくる「十三日の夜」を指し、具体的には、旧暦9月13日のお月見のことをいいます。
新暦になおすと「十五夜」と同じように年によって日付が変化するので、2020年の場合、 10月29日木曜日です。
この「十三夜」は、「十五夜」に次いで美しい月を見ることが出来る日だと言われています。
また「十三夜」は、栗や枝豆を供えることから別名「栗名月」や「豆名月」とも呼ばれています。
一方で「十日夜」は、月見の意味は薄く旧暦10月10日に行われる収穫祭のことを指します。
東日本を中心に行われている行事で、 西日本では旧暦10月に行われる「亥の子の日」や11月に似たような収穫祭の行事があります。
収穫祭の意味を持つ「十日夜」内容は地方によっても様々です。
例えば、「十日夜」を稲刈りが終了したことから「田の神様が山に帰る日」としている地方もあります。
この日には、稲の収穫を祝いお餅を食べたり、稲の茎を束ねた「わらづと 」、「わら鉄砲」などで地面を叩きながら唱えごとをしたりすることで地面の神様を励まします。
また、地面を叩くことで作物にいたずらをする害獣であるモグラを追い払ったりするのです。
その他「かかしあげ」という行事を行う地方もあります。
これは、田んぼを見守ってくれた「かかし」に感謝をしてお供えものをする行事です。
感謝をしてお供え物をした「かかし」は、最後にお月見をさせてあげるというユニークな行事です。
このように「十日夜」は「3月見」と呼ばれてはいますが、収穫祭の意味合いが強くお月見がメインではありません。
そのため、満月に関係なく新暦の11月10日に収穫祭を実施する地方が多くなっています。
ちなみに、旧暦でも閏月には1年間で「十五夜」または「十三夜」が2度訪れることがあります。
その場合には2度目を「後の十五夜」、「後の十三夜」と呼んでいます。
【三月見】
「十五夜」は、旧暦の8月15日・別名「芋名月」
「十三夜」は、旧暦9月13日・別名「栗名月」、「豆名月」
「十日夜」は、旧暦10月10日・別名「刈り上げ十日」、「「亥の子(いのこ)」
「十五夜」では、「片月見(かたつきみ)」をしてはいけない?
昔から「十五夜」では、「片月見をしてはいけない」と言われてきました。
江戸時代の遊郭では、「十五夜」と「十三夜」の両方を祝うことが常識となっていて、どちらか片方の月見しかしない客(どちらかかの日にしか来ない客)は「片月見(かたつきみ)」または「片見月(かたみつき)」で縁起が悪いと遊女らに嫌われました。
遊女たちは2度目の通いを確実に行わせるために「十五夜」に有力な客を誘う風習があったそうです。
これは双方の行事を執り行わないと縁起が悪い、つまり「十五夜」に月見をしたら「十三夜」にも月見をしなくてはいけないという意味で、旧暦の8月15日に行われる「芋名月」と合わせて行う旧暦の9月13日の「豆名月」もこれにあたります。
このような伝承は、稲作中心の年中行事に対し、忘れがちな畑の作物である芋や豆の収穫も忘れないようにという意味が込められていると考えられています。
ちなみに、福岡県の糟屋郡では「十三夜」を「女名月」として「女性が幅を利かせる日」になっているそうです。
「中秋の名月」と「仲秋の名月」は何が違うのか?
「中秋の名月」と「仲秋の名月」は、ほとんど同じ意味で使われます。
しかし、漢字の違いで微妙に意味合いが違ってきます。
「仲秋の名月」とは、8月の名月という意味です。
旧暦での秋は「7月」、「8月」、「9月」を指します。
7月は初秋(しょしゅう)、8月を仲秋(ちゅうしゅう)、9月のことを晩秋(ばんしゅう)と呼びました。
つまり仲秋とは8月の別称で、仲秋の名月とは8月の名月という意味です。
それに対し、「中秋の名月」とは8月15日の名月のことを指します。
ややこしいですが、「中秋」とは秋のちょうど真ん中の日のことを指します。
つまり、「7月」、「8月」、「9月」の秋のうちの真ん中の月である8月の、さらに真ん中の日である8月15日が中秋にあたるわけです。
そのため、「十五夜」は旧暦の8月15日を指すことから「中秋の名月」と書く場合が多いのです。
「中秋の名月」と「仲秋の名月」の違い
「中秋の名月」と「仲秋の名月」はほとんど同じ意味で使われるが詳しくは
「仲秋の名月」は、8月の名月という意味
「中秋の名月」は、8月15日の名月という意味