このページでは二十四節気「穀雨」の七十二候・初候における「葭始生」「萍始生」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。
葭始生の読み方
葭始生は「あしはじめてしょうず」と読みます。
葭始生とは?
葭始生とは、二十四節気の「穀雨(こくう)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。
72の節気を持つ七十二候においては「第十六侯(第16番目)」の節気、「初候(しょこう)」にあてられた語句になります。
太陽の黄経は30度を過ぎた地点です。
穀雨期間中のその他の七十二候の種類・一覧
初侯:葭始生
次侯:霜止出苗
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末侯:牡丹華
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葭始生の意味・由来
日本(略本暦)での解釈
「葭始生」の意味を分かりやすくするためには、「葭」「始」「生」とで分けて考えると理解が早く進みます。
葭の意味
「葭(あし)」は、湿地帯に根を張る多年草の植物(草)です。葭は夏場に生長して長くなり、秋に成熟期を迎えると黄金色の穂が成ります。
葭は成熟すると2mから3mほどの高さになり、茎も頑強なことから茎を刈り取って「簾(すだれ)」が作られたり、茅葺屋根の材料としても使用されます。
ちなみに葭で作った簾は「葦簀(よしず)」と呼ばれ、現在でも親しまれています。
葭の漢字表記は「葦」や「蘆」「芦」とも書かれます。一般的な読み方は「アシ」ですが、イネ科ヨシ属に属することから「ヨシ」とも呼ばれます。
元来、「アシ」と呼ばれていたそうですが、およそ平安時代の頃に「悪し」に通じると扱われ、逆の意味を持つ「良し」に通じた「ヨシ」とされたという説があります。
「始」の意味
「始」は、「始める」「開始する」の意味合いがあります。
「生」の意味
「生」は、そのまま「生きる」や「生まれる」の意味合いがあります。
すなわちまとめると、「葭始生」とは、「水辺に生える葦が生え始める頃」という意味があります。
中国(宣明暦)の穀雨の初候・第十六侯の七十二候は「萍始生」!
中国における穀雨の初候・第十六侯の七十二候は「萍始生」と書いて「うきくさはじめてしょうず」と読みます。
中国では「葭」ではなく、「萍」が用いられています。
「萍」は「うきくさ」と読み、すなわち「浮き草」のことです。「ヨモギ」とも読まれます。
萍始生の意味
意味合いは「湿地帯(池や沼)に芽生える浮き草が生え始める頃」になります。
浮き草(ウキクサ)の生態
浮き草(ウキクサ)は、ウキクサ属に属する一年草の植物です。生息場所は水田や池などの淡水です。プカプカと浮いており、水中では根を張っています。ただ、根が細いため水流の強いところには自生できません。
根は水中でヒラヒラとさせているのみで、土に根ばりしなくても生長できます。
生長は早く、1つの葉からウィルスが増殖するかのように分裂を繰り返してすぐに増えていきます。無性生殖植物の代表格でもありんす。
初夏〜夏時期になると、まれに花弁を付けることがあります。生長に適した時期は時期はちょうどこの穀雨時期となる5月下旬頃~8月にかけて。寒さが苦手なことから10月〜4月頃までは、あまり生長しません。
葭始生の日にち(期間)
- 太陽暦:4月20日〜24日頃
- 旧暦:三月中(三月の中気)