「七福神めぐり」とは…どんなご利益がある?由来と歴史・やり方・時期など

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七福神めぐり、という一種の巡礼を聞いて、一体どんなご利益が……と疑問に思ったことはないでしょうか。七福神めぐりは全国至るところにありますので、どこの七福神めぐりに行けばいいのかな? そもそも、ちょっと大変そうだけど、やり方は? と不安も大きいかもしれませんね。

今回は七福神めぐりとは一体何なのか、由来や歴史、どうやるのか、そして七福神めぐりでいただけるご利益など、七福神めぐりに関するあれこれをご紹介します。

七福神めぐりとは?

「七福神めぐり」とは、「七福神」がお祀りされている寺社を巡って参拝する行為を言います。

基本的には、地域、地域で、七福神が祀られている寺社があらかじめピックアップされた「○○(地域名)七福神」というセッティングがあらかじめなされているので、それに従って参拝を行う形式となります。

場所によっては参拝の順番もきちんと「おすすめコース」として設定されており、参拝者が自分の頭で難しいことを考えなくても良いようになっています。

それぞれの寺社で御朱印などの授与を行ってくれ、7つの印を集められる七福神めぐりもあれば、特にそのような授与物が設定されていない七福神めぐりもあります。

【具体例】浅草名所七福神(あさくさなどころしちふくじん)

浅草名所七福神は、全国で最も有名と言って良いくらいの七福神めぐりです。

名称のごとく、東京の浅草界隈で七福神を祀る寺社が9つ(9つ!)ピックアップされており、設定されたコースに従って巡ることで、授与品である

  • 色紙の御朱印
  • 福笹
  • 福絵

の3点を集められるということになっています。

浅草名所七福神の参拝コースは

  1. 浅草寺(大黒天)
  2. 浅草神社(恵比須)
  3. 矢先稲荷神社(福禄寿)※福禄寿第1回
  4. 鷲神社(寿老人)※寿老人第1回
  5. 吉原神社(弁財天)
  6. 石浜神社(寿老神)※寿老人第2回。1回目と違い「神」の字である
  7. 橋場不動尊(布袋尊)
  8. 今戸神社(福禄寿)※福禄寿第2回
  9. 待乳山聖天(毘沙門天)※「まつちやましょうてん」と読む

以上で、福禄寿と寿老人の2柱を2度ずつ参拝することで、合計9の寺社めぐりとなっています。

七福神であるのに、なぜ「9」の参拝が必要かということについては、公式サイト

「九は数のきわみ、一は変じて七、七変じて九と為す。九は鳩でありあつまる意味をもち、また、天地の至数、易では陽を表す」という古事に由来したことによります。

との記載があります。

浅草のケースはむしろ稀で、大抵の七福神めぐりは「7つ」の参拝所を巡るのがスタンダードなコースです。

七福神めぐりのご利益は?

まず七福神めぐりをするにあたって、気になるのは「七福神めぐりをすることによって得られる御利益」がどんなものか、ということでしょう。

七福神めぐりのご利益は「七難即滅七福即生」であると伝えられています。

七難即滅七福即生とは?読み方は?

「七難即滅七福即生」は、「しちなんそくめつしちふくそくしょう」と読みます。

この言葉は「七難即滅」と「七福即生」、2つの四字熟語からなる言葉ですが、基本的に8文字セットのものと考えたほうが良いでしょう。

この8文字は、『仁王経』(にんのうきょう。仁王般若経とも言う)というお経に書かれている言葉です。

意味は「七難がたちまちなくなり、七福がたちまち生じる」。「七」というのはこの場合、「7つ」とも読めますし、転じて「たくさん」という意味にもなります。

七難、七福の細かい内容は以下のとおりですが、要するにまとめて「沢山の難が去り、沢山の福がやってくる」と理解するのが正解でしょう。

「七難」とは何か

七難とは、いくつかのお経に登場する仏教用語で、『観音経』『薬師経』など経典によって微妙に内容が違っています。

『仁王経』における七難は、

  1. 日月失度難(太陽や月の異変。日蝕月蝕など、占星術に関連する)
  2. 星宿失度難(こちらも占星術に関連する。星の異変)
  3. 災火難(火災)
  4. 雨水難(水害)
  5. 悪風難(台風など)
  6. 亢陽難(日照り、飢饉)
  7. 悪賊難(盗難だけではなく、国が侵略されること)

とされています。

内容が結構大規模な災害、災難だな……と思うかもしれませんが、元々の出所である『仁王経』は、「国王はどうするべきか」といったことを仏教的な側面から解説した経典であるからして、内容が「太陽や月」「天災」「国の侵略」などとかなり大規模なものになっている傾向があります。

ですが、天災や飢饉で国が荒れることは一般庶民にとっても大問題ですし、国レベルではなく家レベルで火災や盗難に遭うということも避けたいもの。

したがって、一般庶民が避けたい「七難」としても充分通用するものと考えられ、七福神信仰に利用されてきたとも言えます。

「七福」とは何か

一方、七福については、上記の「七難」が起こらない状態、とするのが一般的です。

また、仏教で七福と言えば

  1. 寿命を全うできる
  2. 福が来る
  3. 人望に恵まれる
  4. 清廉でいることができる
  5. 威光を得られる
  6. 愛嬌を得られる
  7. これらの福が大量にやってくる

という7つの福を指す、とする説もあります。

七福神めぐりの由来と歴史

七福神めぐりは何から、そしてどこから始まったのでしょうか?

七福神めぐりが始まったのは室町時代、場所は京都であると伝えられています。

室町~江戸時代、七福神の始まりと七福神めぐりの定着

室町時代の頃は、現在と違って、日本の中心地はまだ京都でした。

「数人の神々」を「セットで」信仰する、という行為が流行し始めたのが、室町幕府の八代将軍、足利義政の時代(1436年~1490年)の頃であると考えられています。

この頃は東山文化と呼ばれる、銀閣寺などに代表される日本独自の文化が花開いた一方で、中国からの文化が大量に流れ込み、それを日本が受容し、独自の文化として咀嚼している最中でもありました。

特に日本の人々の関心を集めたのが、中国から流入してきた水墨画の中でも「竹林の七賢」と呼ばれたもので、中国っぽい竹林に、七人の賢人が集まって会議のようなことをしている図柄です。

この絵図は神仏の図ではなく、いわば仙人の図ですが、この図柄にちなんで「七人の神を信仰すれば、福を運んでくれる!」という考え方が徐々に広まったと考えられます。

これが「七福神めぐり」として定着したのは江戸時代中期のようですが、定着するまでの経緯は資料もなく、よくわかっていません。

一説によると、江戸幕府が開いた後、徳川家康が人々の心を安定させるために、「七福神のところを順番に巡ると福が来る!」という話を広め、七福神めぐりを推奨したとも言われています。

江戸の隅田川七福神が発祥、明治時代に流行…という説もある

七福神めぐりの発祥については、江戸時代の「隅田川七福神」であるという説も存在しています。

1804年(文化元年)に、向島に佐原鞠塢(さはらきくう)という人物が「向島百花園」を開園しましたが、ここに絵師や狂歌師といった様々な文人が集まったことにより、江戸末期の向島百花園はサロン的な役割を果たしていました。

この面々は、江戸ならではのシャレをきかせて、向島百花園を筆頭に、三囲神社、長命寺、白鬚神社などに七福神を配置し、これを順に巡れば福が来るという設定を作ったと言われます。

その後地元で1898年(明治31年)に「隅田川七福会」が結成され、1899年(明治32年)1月の『時事新報』には、「途絶えていた七福神めぐりが、隅田川七福会によって再興された」という記録を見てとることができるのです。

庶民の間に「七福神めぐり」なるものが知られるようになった要因には、このときの隅田川七福会の活躍があったとも考えられますが、文献に「途絶えていた」とあるので、七福神めぐりの風習そのものは江戸末期か、それ以前から存在していたと考えることができるでしょう。

七福神めぐりに時期がある…?いつ行うべき?

七福神めぐりは、ほとんどの場合、通年で行われているものです。

したがって、「いつ七福神めぐりをしなくてはいけない!」という規定は、基本的にはありません。

しかし、「七福神めぐりをすると良い時期」といったものも存在しています。

七福神めぐりは「松の内」に行うとよい?

七福神めぐりは、歳徳神(としとくじん。いわゆる、歳神様)の信仰と、関連性があると考えられる側面があります。

とはいえ、七福神(のうちの誰か)と、歳徳神とが同一視されている、という意味ではないですよ。

歳徳神は、お正月に家に来て、松の内は家に滞在してくれる福の神様であると考えられています。

その、歳徳神が家に居てくださる期間に、あえて七福神めぐりをすることで、「福、倍増!」を狙った……というが、「松の内に七福神めぐりをする」という風習につながっているのです。

松の内とは、いつからいつ?

「松の内」は、関東と関西とで時期が違うのが一般的です。

  • 関東……1月1日~1月7日
  • 関西……1月1日~1月15日

1週間も違う、関西では余裕を持って七福神めぐりができる、という結果になりそうです……。

ちなみに、松の内は、門松やお正月飾りを飾っておくことのできる期間のことでもありますよ!

ご神体の参拝、七福神めぐり御朱印が松の内限定の場合が多いので注意

七福神めぐりそのものは通年でできるけれども、七福神めぐりの御朱印や、七福神めぐりの授与品は「松の内にしか頒布していません!」という寺社が、一部に存在しています。

松の内が終わってから七福神めぐりをする場合、ご参拝予定の七福神めぐりについて、欲しい御朱印などが松の内以外でももらえるかどうかを確認してから参拝にお伺いしたほうが良いかもしれません。

もちろん、七福神めぐりの授与品については「扱っていない」という寺社も多いので、必ずしも授与品をGetしなくてはいけない、というルールはないですよ。

ご神体のご開帳についても同様で、参拝は通年で可能ですが、ご神体の七福神像は松の内しか御開帳していません、という寺社があります。

さきにご紹介した「隅田川七福神めぐり」を始め、松の内限定対応となっている寺社は多いですので、必ず事前にチェックするようにしましょう。




七福神めぐりのやり方!参拝方法は普通、「色紙に揮毫」がスタンダード

では、具体的に七福神めぐりをどのように行えば良いのかを、確認してみましょう。

七福神めぐりのコースがあっても、順番通りでなくて良い

七福神めぐりは、7箇所の寺社を回って参拝を行うのが一般的です。

(一部、さきにご紹介した浅草の七福神めぐりのように、数が7ではないこともあります)

「モデルコース」として、この順番で回るといいよ、というコースが呈示されていることもありますが、その順番でなくてはいけない、という規定ではありません。

したがって、自分の訪れやすい順番で回って構わないものですし、必ずしも1日で回りきらなくてはいけない、ということもありません。

行きやすい時に、数日に分けて七福神めぐりを行うこともできます。

公式で推奨されているコースは、確かに効率よく回ることのできるコースではありますので、参照して自分の回りかたを考えると良いでしょう。

お寺にも神社にもいる…参拝方法は行き先に従って

「七福神」と名前がついていますが、実は七福神のうち6名が、日本の神様ではなく、海外の神様です。仏教由来の神様、ヒンドゥー教由来の神様など様々。

「恵比寿」さまだけが、『古事記』にも登場する日本古来の神様ですが、それも七福神としてお参りされる時は、「神社」ではなく「お寺」にいらっしゃることも少なくありません。

すなわち、七福神めぐりの行き先は、お寺もあり、神社もあり。

したがって、該当する七福神がお祀りされているところが「お寺なのか、神社なのか」をチェックした上で、

  • お寺→手を合わせる
  • 神社→二礼、二拍手、一礼

のいずれかで参拝を行いましょう。

参拝の手順としてはこれだけですが、興味のある方は以下にご紹介するような、授与品もいただいてみてはいかがでしょうか。

七福神めぐり限定の授与品!色紙以外も?どんな種類がある?

七福神めぐりにおいて、「授与品をいただく」行為は義務ではありません。

ご参拝するだけでも充分、ご利益はあるかと思います。

その上で、七福神めぐりをしたことを記念して、また家に飾るお守りとして、授与品、頒布品をいただくのはおすすめです。

七福神めぐりの授与品としては、色紙がスタンダードではありますが、他の種類のものもありますのでご紹介していきます。

定番、便利!七福神めぐりの色紙

七福神めぐりでは、1枚の色紙に各参拝所の御朱印を全て記載していただくことのできる「色紙」が授与されているケースが多く見受けられます。

色紙はご存知のとおり、固い紙でできているので、額に入れたりして、床の間や家の中の高いところ等に飾ることができます。

こうすると、家内安全や幸運のお守りとして作用しますので、人気の授与品でもあるわけです。

色紙は、七福神めぐりで色紙への記載を行っている各寺社で頒布されていることが多いですので、お目当ての七福神めぐりで該当する色紙頒布があるかどうかを調べてみてくださいね。

色紙に七福神のお名前を集め終わったら、額に入れて飾りましょう。

可能な限りではありますが、家の中で自分が立ち歩く時の、頭の位置より上に飾るのが基本。これは、神様は高いところにおわすものだからです。

神棚がある場合は、神棚やその近くでも良いでしょう。

七福神めぐりの参拝期間の項目でも言及しましたが、色紙への揮毫が「松の内のみ」期間限定となる寺社はかなりの数存在するようです。事前にチェックをしていくことをおすすめします。

七福神めぐりの限定御朱印

色紙に書いてもらうのではなく、七福神めぐりの限定御朱印を御朱印帳に書いてもらうことのできる寺社もあります。

(色紙と両方が存在する寺社もありますよ!)

コロナ禍が影響し、御朱印帳への揮毫がなく、書き置き御朱印になっているケースもあります。

色紙同様、松の内のみ限定対応をする寺社も多いので、よくチェックしてください。

七福神めぐりの絵馬、福笹

福笹を授与してくれる七福神めぐりもあります。

福笹とは、七夕のような笹飾りで、様々な福アイテムをくくりつけて家に飾る、開運の笹。

この笹に、各参拝所で授与される福笹用の授与品や、七福神めぐり用の絵馬を飾り、お守りとして家に置くことができます。

色紙、御朱印同様、対応期間に注意してください。

七福神めぐりの福絵

浅草名所七福神でいただけるのが有名な、絵が描かれた御朱印集めアイテムです。

こちらも額に入れて家の中に飾っておけるもので、上半分に七福神のおめでたい姿が描かれ、下半分に寺社名とあわせて、各参拝所で御朱印をいただけるようになっています。

色紙同様、高いところに飾るようにしましょう。

その他・七福神めぐりの掛け軸、ご神体、宝船などなど…

福絵同様、七福神の絵が描かれた掛け軸に、御朱印をいただくことができる七福神めぐりもあります。

これらの他に、船の模型が頒布されていたり、これにお乗せすることのできる七福神のご神体(お人形)が頒布されていたりと、七福神めぐりの頒布アイテムは多岐にわたります。

お目当ての七福神めぐりでどのようなアイテムがあるかを、まるっと見てから訪れるのがおすすめです!

またしつこいようですが、頒布期間は通年なのか、松の内だけなのかも、チェックしておきましょう!

七福神めぐりで幸運Get!

三十三ヶ所霊場など、数の多い巡礼になると、かなり敷居が高いものですが、狭い地域に限定された7寺社、9寺社くらいであれば、最後まで飽きたり(諦めたり)せずにしっかりとご参拝できそうな気がしませんか?

最近運動不足……という方も、巡りよくするために散歩がてら、時間をとって七福神めぐりを行ってみるのがおすすめです!

2021年の正月以降、コロナ禍の影響で七福神めぐりの授与品の頒布内容、頒布方法、御開帳の日程などが少し変わったり、短くなったりしている寺社もあるようです。

感染対策等にも気を付け、ぜひ七福神めぐりで幸運を手に入れてくださいね。

Writer:陰陽の末裔/占い師・パワーストーンアドバイザー
あん茉莉安(ホームページ

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