いよいよ蒸し暑い夏の入口となるこの小満の頃、これといった大きな行事はないものの、二毛作を行う農家ではこれから夏本番に向けての田植えの準備や、麦の収穫作業に精を出す時期です。
「小満」はよく「麦秋」「麦の秋」という言葉にも置き換えられるほど、古来、麦の収穫時期として知られています。時候の挨拶では「麦秋の候」が有名です。
養蚕農家などでは養蚕が開始される頃であり、農家にとっての小満は1年のうちでもっとも忙しくなる季節と言っても過言ではありません。
小満は二十四節気の中の1節であり、立夏と併せて初夏の到来を告げる節気もありんす。
以下では、この「小満」期間中に使用される代表的な季語を一覧形式でご紹介しています。
小満で使用される有名な季語一覧
「夏立つ(なつたつ)」「夏来たる(なつきたる)」「夏に入る(なつにいる)」「今朝の夏(けさのなつ)」
などは初夏を意味する代表的な季語です。それと忘れていけないのが、「小満」そのものが季語だということです。ウフ
「梅夏」
意味:初夏に一時的に続く長雨のこと。梅雨の到来を勘違いさせる長雨。
麦の秋
意味:上述したように「麦秋(ばくしゅん)」とも呼ばれます。
江戸時代後期の著名な俳人・小林一茶が詠んだこんな句が残されています。
『麦秋や 子を負ひながら いはし(鰯/イワシ)売り』
意味は、赤子を背負った母ジャとなるイワシ売りの行商人が麦畑のあぜ道を歩く姿を見て、初夏の情景として詠んだものです。
麦生日
江戸時代〜明治時代の俳諧資料集である「改正月令博物筌(かいせげつれいはくぶつせん)」という資料の中に、次のような長崎県出身の俳人「森澄雄(もりすみお)」の俳句が集録されています。
『小満の日を麦生日ともいう。晴天なれば麦大いに熟す』
気になるのが「麦生日」という言葉ですが、意味合いとしては「麦の穂が実る」という言葉を「麦が生まれた日」と解した言葉です。
まとめると、「春の陽気に照らされた麦は初夏の頃には小麦色の穂が実り、やがて収穫時を迎える」‥などといった感じです。
以上のように小満を解説する時には「麦」が多く登場しますが、それだけ麦が小満の代名詞的な位置付けの重要な季語だということが理解できます。
麦嵐(麦の秋風・麦の風)
黄金色の麦畑を吹き抜けてゆく爽やかな風を「麦嵐」もしくは「麦の秋風」単に「麦の風」とも言います。陰暦4月頃に吹く風全般のことを指す言葉でもありんす。
この頃独特の風情が感じられる風ということから、特別にこのような名前が付されています。
また、このような風が吹く時に麦をなびかせることから、その様子を見て「麦の波」とも表現されます。
麦雨(ばくう)
麦雨とは、収穫時期を迎えた一面に広がる麦畑に降る五月雨(さみだれ)のことを意味します。五月雨とは陰暦5月頃に梅雨を思わせる長雨のことです。
麦畑にパラパラと降り注ぐ長雨の見て、このような言葉が誕生したのでしょう。
夏浅し
意味:浅いで「初め」や「前半」を意味します。まさに新緑の候の自然のすがすがしさを表した言葉です。
薄暑
意味:薄いで「少し暑さを肌身に覚える」などの意味合いがあります。晩秋から越冬し、汗をかかなかった季節から急に暑くなってきたことで汗がすぐに出てきてしまい、汗ばむほどの日が出てくるという意味です。
卯月(うづき)
意味:卯の花が咲く月(旧暦では4月、新暦では5月のこと)という意味合いの言葉です。
初夏(はつなつ)
「しょか」の方が一般的かもしれませんが、立夏の頃の関東を例にした気温は20度を基準として25度以上になることもしばしば‥。まさに初夏と呼ぶに相応しい季節です。
そのほかの小満時期(初夏)の季語一覧
- 夏の色
- 夏げしき
- 夏の匂
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