「紅花栄」「靡草死」の意味・由来・読み方|【小満(二十四節気)七十二候・次候】

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このページでは二十四節気「小満」の七十二候・次候における「紅花栄」「靡草死」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。

紅花栄の読み方

紅花栄は「べにばなさかう」と読みます。

紅花栄とは?

紅花栄とは、二十四節気の「小満(しょうまん)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第二十三侯(第23番目)」の節気、「次候(じこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は65度を過ぎた地点です。

小満期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:蚕起食桑
次侯:紅花栄
末侯:麦秋至




紅花栄の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「紅花栄」の意味は「紅花」「栄」の言葉に解体すると理解しやすいのですが、紅花とは、植物の「ベニバナ」のことです。

「栄」とは「栄える」「草木がさかんに茂る」などの意味合いがあります。

すなわちまとめると、「紅花栄」の意味とは「紅花(ベニバナ)が盛んに茂る頃」と相成ります。

紅花とは?

紅花はエジプトもしくは地中海沿岸が原産のキク科ベニバナ属の一年草または越年草です。

日本には3世紀(弥生時代あたり)に伝来したとされており、江戸時代には藍染めで有名な「藍(あい)」と二大染料として一斉を風靡しました。

平安中期に成立したとされる「源氏物語」の中に、鼻の紅い女性が登場するのですが、この女性の鼻の赤さをベニバナに見立てて、雅言葉で「末摘花(すえつむはな)」とも呼称されます。

平安時代に千葉県長南町で盛んに栽培されており、千葉県長生郡長南町にある長福寿寺では、現在も平安時代から代々伝えられるベニバナの子孫たちが息づいています。

室町時代末期に山形県の最上川流域(出羽最上)で栽培されはじめたのを機とし、以来、現在に至るまで山形県の紅花生産は日本一を誇っています。

江戸時代中期以降になると、山形県最上地方はもとより、埼玉県桶川市、上尾市周辺でも盛んに栽培されますが、明治時代に入ると安価な中国四川省産などの中国紅花が輸入されるようになったことや、化学染料アニリンが普及したことも重なり、山形県を中心とした紅花生産は衰退していくことになります。

現在も少数ですが山形県を中心に紅花産業が継続されており、紅花生産を未来永劫、継続していけるようにとの願いを込めて山形県の県花は「ベニバナ」になっています。

紅花の開花時期と摘み時

紅花は5月中旬頃から開花しはじめます。咲き始めた頃は黄色の花弁を付けますが、徐々に真っ赤かになります。実はこれが「紅」の由来になります。

⬆️赤色と黄色の紅花が混じっているのが視認できる

開花時期は6月〜7月いっぱいまで。紅色になって摘み時を迎えるのが7月中旬〜下旬です。

紅花生産日本一の都道府県はドコ?

紅花の生産は室町時代後期よりおよそ450年もの歴史がありますが、古今東西、変わらず紅花生産日本一は山形県です。山形県の最上川流域で作られるため「最上紅花」と呼ばれます。

紅花の2つの意味とは?

紅花は普通に読めば「ベニバナ」ですが、実は「こうか」とも読まれます。紅花(こうか)とは、紅花を陰干しにしたものです。

乾燥させた紅花は漢方の「婦人薬」とされたり、口紅や染料の材料にもなります。

紅花の別名は多い

紅花には次のような別名があります。

末摘花(すえつむはな)、紅藍(くれのあい)、紅の花(べにのはな)、久礼奈為(くれない)、紅藍花(こうらんか)、黄藍(こうらん)、サフラワー

紅花の加工方法

赤く染まった紅花の花弁をたくさん摘み取り、それを水に浸して、ある程度、花弁が水を含んだところで手で丸め込みます。

鼻くそを丸める容量で手で丸め込こむと綺麗なボール状になりますので、それを板で挟んで板の上に乗って体重をかけてペッタンこにします。これが紅餅(べにもち)と呼ばれるものです。

紅餅と呼ばれる理由は、作業工程を見ても分かる通り、お餅こねるように見えることから「紅餅」と呼ばれます。

この紅餅を日干しにしてやっと紅餅の完成です。

染料も口紅もこの紅餅をアルカリ水などに浸けて作られます。

中国(宣明暦)の小満の次候・第二十三侯の七十二候は「靡草死」!

中国における小満の次候・第二十三侯の七十二候は「紅花栄」ではなく、「靡草死」と書いて「びそうかる」と読みます。

靡草死の意味

「靡草死」の意味は「靡草」「死」に分けると理解しやすいのですが、1573~1620年(万暦年間)に馮應京が著した「月令広義」に拠れば、「靡草」とは、「薺(ナズナ)」などの1本の茎から細い枝をいくつも持つ植物のことだと記されています。

これに「死」を付すことによって、植物の死を意味する「枯れる」としています。

したがって、意味合いは「薺(なずな)など田に生える草が枯れる」です。

ナズナの名前の由来

上記の通り、ナズナは夏になると枯れることから「夏無き菜」と呼ばれ、時代を下りながら、いつしか「夏無(なつな)」に転じ、最終的に「薺(ナズナ)」に着地したと考えられています。

ナズナは春先に開花時期を迎え、夏になると枯れてしまう珍しい花です。

ただ、日本においてのナズナは春の七草の1つに数えられ、若葉が「七草がゆ」に用いられます。

また、天日干ししたナズナは「(せい)」もしくは「薺菜(せいさい)」と呼称される生薬となり、主に解熱、下痢、便秘、止血、生理不順、子宮出血、利尿、慢性腎炎、むくみ、目の充血や痛みに有効作用をもたらします。

【補足】「靡(び)」という漢字が持つ意味

「靡(び)」という漢字が持つ意味合いは、「なびく」「他の力に従う」「衰える」「萎靡(いび)」「はでで美しい」などの意味合いがありますが、中でも「衰える」や「費やす」「消滅する」などの、いわゆる「衰える」の意味合いが強い漢字です。

ひょっとすると、ナズナなど田に自生する花々が、花々が咲き誇る夏に枯れていく様を見てこのような漢字が誕生したのかも知れません。

紅花栄の日にち(期間)

  • 太陽暦:5月26日〜30日頃
  • 旧暦:四月中(四月の中気)

二十四節気と七十二候について

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