鏡餅の飾り方の順番や2段3段に重ねる想定外な理由とは?

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現今に至っては、鏡餅をわざわざ作らなくてもすでに作られたものが商品として、スーパーマーケットなどの店頭で売られているので、あとはそれを決めた場所に置くだけで済みます。

しかし、正月飾りをするのは年にたった1回、新鮮かつ爽快な気持ちで活力に満ちた、魅力あふれる1年にするために、騙されたと思って1度、鏡餅を自作してみたり飾り付けてみたりしませんか?

実は鏡餅には飾り付け方1つにしても、その1つ1つにこぅぉ〜〜〜〜〜〜んな・・重大な意味が隠されていたんです。ふぅ

以下では鏡餅の飾り方の順番や鏡餅をどうして2段、3段にして飾るのか?などの重大な謎についてせまってみたいと思います。ウフ

鏡餅の飾り方・飾る順番

鏡餅を飾る時は三宝(さんぽう)という木製の台を用意して、その上に紅白の紙垂(しで)もしくは御幣(ごへい)を敷き、さらにその上に裏白を敷きます。

この裏白の上に奉書紙(ほうしょし)もしくは四方紅(しほうべに)、そしてその上に鏡餅を置きます。

鏡餅の上には串ざしにした干し柿と、一番上には橙(だいだい)や飾り扇を付けて一応の完成です。

この順番をまとめると以下のようになります。

鏡餅を祀る順番(下から)

1(一番下):三方(さんぽう/三宝)
2:四方紅(しほうべに)、奉書紙(ほうしょがみ)
3:裏白(うらじろ)
4:御幣(ごへい)、紙垂(しで/四手)
5:お餅(2段or3段)
6:昆布、半紙 ※地域や家庭内の事情による
7:譲葉(ゆずり葉) ※地域や家庭内の事情による
8:串柿、スルメ
9(一番上):橙(だいだい)、もしくは蜜柑(ミカン)
10(一番上):扇・末広(すえひろ) ※地域や家庭内の事情による

三方の飾り方や三方を飾ることに意味はあるのか?

「三方」とは神道で用いる神饌(しんせん)を供する時に使用する神具です。「三宝(さんぽう)」とも書きます。ウフ

三方と呼ばれる理由は、台の3方向に「眼像(くりかた)」と呼ばれる穴ボコが開いていることから三方と呼ばれています。

三方は古来、高貴な人の配膳に使用された歴史があることから、その流れで高貴という意味合いで神へ神饌を供する際にも使用されることになります。

四方紅、奉書紙

四方紅とは、その言葉の通り、正方形の白紙(おもに奉書紙)の四方の縁(ふち)を赤く(紅色に)塗った紙です。天地四方に拝して災いを祓い、1年の繁栄を祈念するものです。

なお、本来は四方紅の方がご利益の面で良いとされるのですが、なければ白紙の奉書紙(ほうしょがみ)でも構いません。

裏白の飾り方や裏白を敷く理由

 

ところで・・「裏白」とは?

「裏白」とは、シダ科に属するウラジロ科の植物です。古くは「穂長(ほなが)」とも呼ばれる植物であり、葉がしだれる様子や外観がシダにソックリなことから、単に「シダ」とも呼ばれる植物でもあります。

裏白を飾ることで得られるご利益

葉の形状が左右対称であることから「夫婦円満」を意味し、また、新しい葉が生えてくる時は古い葉をそのまま残したまま生えたくることから一家繁栄のご利益があるとされます。

また、枝垂れる(しだれる)様子を「歯垂る」にあて、これが時代を経る過程において「齢垂る」に転化したことで、いつしか「長寿」の意味合いがあるとして、ハレの日の代表格とも言える正月用の「注連飾り」や「鏡餅の下敷き」に用いられてきた歴史があります。

この他、葉っぱの裏側が白色をしていることから「心の潔白さ」や「白髪になるまで長生きする」という意味にも通じるとされています。

御幣、紙垂(四手)

御幣とは、紅白のやや長方形の紙を連ねて鏡餅に挟み込んで使用する神具の1つです。邪気をしりぞけ、場を清める意味合いで使用します。

紙垂(しで)もしくは四手(しで)、単に「垂」ともいいます。

紅白でなくとも白紙のものを使用しても構いません。

昆布、スルメ

画像引用先:https://ja.wikipedia.org/

昆布とスルメも鏡餅の1段目と2段目の間に挟み込んで使用します。

鏡餅に昆布を用いる理由は、以下のようなご利益があるとされるからです。

昆布=恵比寿=福運UP

昆布が我が国ではじめて有史上に登場したのが、蝦夷で採れた昆布を蝦夷の族長であった須賀君古麻比留が朝廷に献上したことが初出です。

これにちなみ古来、蝦夷、すなわち北海道は昆布の名産地とされ、蝦夷で採れる昆布であることから訛りを経て「夷子布(えびすめ)」と呼ばれるようになり、これが最終的に七福神の恵比寿神を習合し、幸福招来のご利益があるとされています。

すなわち正月のという縁起の良いハレの日にあやかり、さらに縁起良くしようと試みたのがこういった昆布を間に挟み込むということでしょう。

子生

ほかにも時代を経る過程で昆布が「子生(こぶ)」と訛って転化し、子宝に恵まれるご利益を授かることができるとされています。

広布=喜びが広がる

かつて昆布は「広布」(ひろめ)とも呼ばれ、すなわち、「喜びが広がる布」と尊ばれてきた歴史もあります。

また、昆布という字に「よろ」を当てることで「よろこぶ(よろ昆布)」とも書けます。

なお、昆布や半紙を用いるのは地域により異なります。半紙の地域もあれば昆布の地域もあり、双方を用いない地域もあります。

関西地方の一部では、横幅の広い「山出し昆布」をタテ方向に折り曲げ、グルグル巻きにして、紅白の紐で縛り付けます。これを三宝に乗せて床の間に飾る風習がみられる地域もあります。

このあたりはあなたの地域の特性やご家庭の事情を参考になさってください。

スルメを飾る?その理由とは?

武家では、「三献の儀」とって祝い事があると「打ち鮑」や「勝栗」「昆布」が飾り付けられました。これらは戦勝祝いや良縁を呼び込むために用いられたものであり、「敵を打ち、敵に勝ち、→よろこぶ」の意味合いがあります。

やがて、めでたい正月の日でも三献を三宝に乗せて神仏へお供えされるようになり、このあたりから鮑の代用としてスルメが用いられるようになっています。

スルメを用いる地域や家庭はごく少数ですが、地域によっては現在でもスルメを用いる家庭もあります。

譲葉(ゆずり葉)

ゆずり葉の名前の由来は新しい芽が出てきたら、前の古い葉はポトっと落っこちるので、この様子を人間社会に例えて親から→子へと引き継がれることを意味します。

これすなわち「家系が存続する」=「一家永続」=「一家繁栄」などのご利益があるとされ、古来、縁起が良いものとして正月などのハレの日に飾りつけられます。




串柿

柿を別の漢字で書けば「嘉来(かき)」とも書くことができます。意味合いとしては「嘉(福・めでたいこと)」が「来」る・・などの意味合いがあります。

串柿に干し柿を用いる理由とは?

正月用の串柿には主に3個の干し柿をブッ刺している形式のものが多く散見されますが、このような干し柿を供えたのは武家の風習です。

干し柿の姿形は、水分が抜けてヤセ細り、味を知らない者であれば見向きもしないものですが、味を知る者からすれば、「長い期間を経て熟成し、やがて正月飾りとして神仏に供えられるものにまで成り得る」・・などの意味があります。

すなわち武家(武士)の精神に例えると「長きに渡る修行の末、はじめて武士を名乗ることができる」などの意味を示唆しているものと位置づけることができます。

串柿を飾る意外な理由

串に干し柿をブッ刺す理由は、一説には熱田神宮(名古屋)に奉斎される「三種の神器・草薙神剣(くさなぎのしんけん)」を示しているとも云われます。

この理由は鏡餅をちょっと離れた位置で見れば理解できるのですが、上から「橙」「串柿」「鏡餅本体」と3つに分けることでき、これら3つでなんと!三種の神器ひいては天皇を示していると考えられているからです。

  • 「橙」=三種の神器の八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
  • 「鏡餅」=三種の神器の八咫鏡(やたのかがみ)
  • 「串柿」=三種の神器の草薙神剣(くさなぎのしんけん)

三種の神器は元来、代々の天皇が引き継がれる形で持つ神器であり、鏡餅にこれらの飾り付けをすることによって天皇への感謝の意と崇敬の念を示しているとも云われます。

鏡餅の上に橙を置く理由

橙が代々に通じ一家繁栄を意味する

橙は「だいだい」と読みますが、「代々」とも書けます。実際、橙は1本の木で何世代にも渡り、毎年同じように実を付けます。

さらにその上、冬に熟しても落ちにくいことから、一家の繁栄を表現しているとも言われます。

長生き(健康長寿)を祈念する

その昔、「田道間守命(たじまもりのみこと)」という人物が、垂仁天皇の命令にて不老長寿の薬を求めて常世の国へ渡ります。

なんとか不老長寿の薬に成り代わる果物「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)※現在でいう橙のこと」を見つけ持ち帰るのですが、垂仁天皇はすでに他界した後でした。その後、泣きながら垂仁天皇の陵墓に非時香菓を植えたところ、生えてきたのが橙だった・・というお話です。

この故事にならい、橙は不老長寿、すなわち健康長寿のご利益があるとされ、このように縁起の良い鏡餅の上に置かれているのです。

なお、現在は橙の代わりに蜜柑(ミカン)が置かれるケースが多く散見されます。

鏡餅の上に扇・末広を置く理由

扇は末広とも言いますが、その言葉の通り、代々、一家が末広がりにように子孫に恵まれ繁栄できるようにとの切なる願いを込めて鏡餅に据え付けます。

もしくは「末広」を崩せば「末長く広く繁栄していける」などの意味合いにも例えることできます。

ところで・・鏡餅はどうして2段や3段なの?

鏡餅は別名で「重ね餅(かさねもち)」とも呼称し、重ね餅とは年神の神座でもあります。

鏡餅が2段や3段である理由は地域特性や、先祖代々からの様式を踏襲する家庭もありますので、正直のところ2段か3段の理由は様々であり、理由が判然としていません。

ただ、関西地方は3段の家庭が多いようです。

鏡餅が2段の理由

鏡餅は通常は2段が基本スタイルです。スーパーなどで店頭販売されている鏡餅も基本2段です。

ただし、鏡餅に乗せる橙(だいだい/もしくは蜜柑(みかん))は乗せる地域or家庭、載せない地域or家庭とで分かれるようです。

2段にすることで「太陽」と「月」=「陽」と「陰」を表したとも

一説では、鏡餅を大サイズと小さいサイズの2段重ねにすることによって、「月」と「太陽」「陰」と「陽」を表現したとも云われています。

鏡餅が3段の理由

鏡餅を3段にする理由は、関西地方で多く見られる様式です。関西地方では、この3段のお餅のことを「三宝(さんぽう)」とも言います。

関西で3段の餅が三宝と呼ばれる理由は、関西では古来、荒神信仰が色濃く残り、この荒神へ捧げるための鏡餅として台所近くに神棚を設け、3段にする様式が踏襲されています。

荒神さんへ捧げるお餅が3段の理由

荒神さんは正式には「三宝荒神」と呼称します。すでにご察しの通り、鏡餅を3段にする理由はこの荒神さんの「三宝=3つ=縁起が良い」に通じるものがあるからです。

ちなみに「三宝」とは仏教における「仏・法・僧(ぶっぽうそう)」と呼ばれる3つの宝物を指します。

三宝荒神は、台所の神とされるほか、台所では火を扱うことから火の神、もしくは竈(かまど)の神とも云われ、およそ台所付近の天井近くに神棚を設けてお飾りする例が多く散見されます。

荒神さんへ供する鏡餅は基本、橙を鏡餅の上には置かず、餅のみを3段に置いてお供えします。

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