ひな人形(お雛様)の飾り方(並べ方)を1段目から3段・5段〜7段目まで徹底解説!関東と関西で違うって本当?

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今年もひな人形(お雛様)を飾りましょう!となった時、並べ方を忘れてしまって焦ることもあるでしょう。

ひな人形はいくつもの人形を組み合させて飾るお人形です。

並べ方や持ち物などには細かな決まりがあります。

せっかくですから、お人形ごとの説明を確認しながらきちんと飾りましょう。

今回は、確認せずには難しいひな人形の正しい並べ方とひな人形の種類などについて詳しくご紹介します。

すでにひな人形をお持ちの方はもちろんのこと、これから購入される方も是非お役立てください!


ひな人形(お雛様)の飾り方の種類

始めに、ひな人形(お雛様)の飾り方の種類を確認しましょう。

雛人形の飾り方にも、色々な種類があります。

ご自宅のひな人形はどの飾り方のお雛様でしょうか?

親王飾り 

お内裏様である「殿」と、お雛様の「姫」がセットになった飾りです。

2体を中心に飾り、屏風(びょうぶ)やぼんぼり、菱餅、桜と橘が囲むように置かれています。

出飾り・五人飾り(二段または三段飾り)

2段や3段の雛人形で、一番上にお内裏様とお雛様が並んだ雛人形です。

つまり、親王飾りに、三人官女を加えた段飾りです。

通常下段に位置する三人官女もお内裏様とお雛様に寄り添うように同じ段にいることが特徴です。

七段飾り

人形が15人揃った段飾りです。

1番上の段が男雛・女雛の親王飾り、その他に、お付きの者や嫁入り道具までそろった豪華な七段の雛人形飾りです。

御殿飾り

御殿飾りは、京都の御所である紫宸殿(ししんでん)を模して、「御殿」を作り、その中に男雛・女雛の親王を飾ったものです。

 関東では、たくさんの人形や道具を飾るために、段飾りが流行しましたが、関西では、京都の華やかな御所での生活を再現した「御殿飾り」が流行りました。

しかしながら、明治・大正までは関西で一般的だった御殿飾りも、 昭和30年代後半には姿を消してしまいます。

理由は、御殿が 複雑で組み立てにくく、収納が不便だったことが挙げられます。

今ではなかなか見られなくなりましたが、豪華で繊細な、見ごたえがあるひな人形です。

ひな人形の由来や歴史、保管方法などについては、当サイトの以下のページでご紹介しています!

 ひな人形(お雛様)の「意味・由来」を知っていますか?
 意外と知らない!?ひな人形(お雛様)の「正しい保管(収納)方法と処分方法」

1段目から7段目まで!ひな人形(お雛様)の飾り方(並べ方)解説!

いざ雛人形を飾ろうと箱をあけて、「あれ?これは右かな?左かな?」「何段目だっけ?」と困ることもあると思います。

飾り方は地方などによっても少々異なりますが、こちらでは、一般的な配置をご紹介します。

1段目「内裏雛」※関東と関西で左右が逆転!

最上階には、天皇・皇后の姿を表している男女一対の人形「内裏雛」が置かれます。

なお、男雛は天皇、女雛は皇后で、2体合わせて「内裏雛」と呼びます。

この置き方は、関東と関西で変わってきます。関西では「天子南面して東に座す」という古来の朝廷の儀式に習って、内裏の正殿である紫宸殿を背にして左が上位とする飾り方のため、向かって右が男雛になります。

反対に、関東では、向かって左が男雛です。

昭和天皇即位の際に右に男性が立つ西洋式スタイルを取り入れたことに習ってこの配置になったという説があるようです。

内裏雛の両端には、ぼんぼりが飾られます。

2段目「三人官女(さんにんかんじょ)」

官女(=女官)とは、昔、宮廷で何らかの仕事に就いていた女性のことを指します。

君主やその妃の日常のお世話係に就いたのが始まりとされ、男子禁制とされていた宮中の生活の管理には、女性の官女が使えることが多く、宮廷行事や節会では、給仕を任されていました。

三人官女のうち、よく見ると、1人の女官の顔は、眉を剃り、お歯黒をつける姿をしています。

これは、当時の既婚女性の習慣を表していて、3人の官女の中でも年上とわかります。

並べ方は、立っている姿の人形が2人で、座る姿の人形が1人なので、座る姿の人形を真ん中となります。

立ち姿の人形の左右は、女官の「脚」を見て、外側の脚が前に出るよう左右の女官を立たせます。

手に持っているのは、真ん中の官女が島台(しまだい)・三方(さんぽう)、向かって右の官女が、長い柄のついた酒器である長柄(ながえ)、左の官女は、持ち手のついた酒器の提子(ひさげ)です。

官女の間には高坏(たかつき)を置いて、お餅などの和菓子をお供えします。

3段目「五人囃子(ごにんばやし)」

ものによっては、3段目は五人囃子と呼ばれる雅楽(ががく)の楽人のときもあります。

向かって右から扇を持つ「謡(うたい)」、「笛」、「小堤(こつづみ)」、「大鼓(おおつづみ)」、「太鼓(たいこ)」と順に並びます。

向かって右から左にいくにつれて、手にした楽器が段々大きくなっていくように並べます。

五人囃子は能楽を上演する場合の謡手1人と囃子方4名で構成されています。

ひな人形作りが盛んだった江戸時代には、能や狂言も盛んになり、このような背景もあって、江戸を中心とした関東では雛段に五人囃子が登場します。

五人囃子は、元服前の若者が多いため、髪は結ばず少年の髪型になっています。三角に尖った侍烏帽子(さむらいえぼし)を被っています。

4段目「随身(ずいしん)」

黒い衣を纏っているのが、白い髭がある「近衛中将(このえのちゅうじょう)」、通称「左大臣」です。

赤い衣の若い人形が、「近衛少将(このえのしょうしょう)」、通称「右大臣」です。本来、「随身」とは、内裏雛や貴族の外出時に警護のために配備された官人です。

つまり、ボディーガードにあたる下級官人です。

そのため、雛人形に置かれている随身のように、偉い方が着る赤の緋袍(ひばかま)や黒の黒袍(くろばかま)を着用した中将、少将、大臣が「随身」であることはないはずなのですが、そこは人形の世界ということでよしとしましょう。

年配で黒い武官束帯姿の近衛中将(左大臣)の方が偉いため、男雛を守るという意味もあり、関西風の並べ方の場合は男雛の下となる、向かって右に置きます。

若者である赤い武官束帯の近衛少将(右大臣)は向かって左側に並べましょう。

左大臣が向かって右、右大臣が向かって左になるのは、貴族の並び方としての左右は、天皇が座す方から見た位置関係だからです。

さて、左右が決まったら、それぞれ冠をかぶせ、左手には弓、右手には矢の羽根を下にして持たせます。背負い矢は、向かって右の肩側に羽根の先が見えるようにします。

中央には、菱餅と掛盤膳(かけばんぜん)という高級なお膳セットを置きます。

5段目「仕丁(しちょう)」

ひな飾りの中で、この人形たちだけが庶民出身の白衣を着た三人組です。

喜怒哀楽があるのもユニークで、向かって右から「怒り顔」の人形、「泣き顔」の人形、「笑顔」の人形の順に並べます。

袖の色のついた袖が左右それぞれの外側になるように並べます。

この仕丁は、関西の雛飾りと関東の雛飾りで、持っているものが違います

関西では掃除用具を持っていて、ちり取りを持っている仕丁が中央、熊手が向かって左、ほうきが向かって右となります。

関東では、旅支度の物を持っていて、沓台(くつだい)を持った仕丁を中央に、左右に台笠と立傘を持った人形を並べます。

この仕丁を挟むようにして、橘の木を向かって左に、桜の木を向かって右に置きます。

これは、平安時代、都の内裏(だいり)にある紫宸殿(ししんでん)前に植えられていたと伝えられる、橘と桜の配置にちなんでいます。

なお、この橘と桜のことを、「右近の橘・左近の桜」と呼びます。

右近とは右近衛府、左近とは左近衛府のことで、どちらも宮中の警護にあたる部署でした。右近衛府が橘の南側、左近衛府が桜の南側に控えたことから、こう呼ばれています。

左大臣と右大臣のように、こちらも「右近」が向かって左、「左近」が向かって右となるため、現代人にとっては、ちょっと混乱してしまう呼称です。

6段目「道具」

6段目には、大名の姫君の嫁入り道具を置きます。

箪笥(たんす)、長持(ながもち)、火鉢、鏡台、茶道具、表刺袋(うわざしぶくろ)など並べ方には決まりはないので、バランスよく並べましょう。

7段目「乗り物」

最下段には御所車(ごしょぐるま)、御駕籠(おかご)、牛車(ぎっしゃ)、御輿入れ道具(おこしいれどうぐ)などの乗り物を置きます。

こちらも並べ方に決まりはありません。重箱は乗り物ではありませんが、下段の中央に置くことが多いです。

重箱はその名の通り、箱を何段にも重ねた事から名がついています。

宮中の行事で、狩りやお花見など外に出かけるときにも重宝さていたことから、雛道具に含まれていると考えられます。

ちなみに、重箱などの雛道具に多い文様に「牡丹唐草文様(ぼたんからくさもん)」があります。

これは、植物の茎や蔓(つる)などを紋様としたもので、どんどん伸びて成長する茎や蔓を長寿・延命と重ね合わせています。

 また、唐草文様の連続した様子から、永遠の繁栄をあらわしています。




ひな人形の種類

ひな人形は、天皇皇后両陛下を模した、男女一対を基本とする人形です。

そのひな人形には大きく分けて2つあります。

木目込人形(きめこみにんぎょう)

木目込み雛人形の起源は、今から約270年前(江戸時代中期)に、京都の上賀茂神社(かみがもじんじゃ)に仕えていた神官が、柳の木で人形を作ったことから始まります。

当初は、「加茂(かも)人形」として売り出された木目込み人形も、次第に評判を呼んで江戸に伝わり、木目込み雛人形として人気が出ました。

木製の胴体に溝を彫って、そこに布地の端を埋め込みながら衣裳を着せて作るひな人形で、溝に布地の端を埋め込むことを「木目込む(きめこむ)」と呼ぶことからこの名がつきました。

木目込人形の雛人形は、比較的小さなものが多く、飾る場所や収納スペースが少なくて済むため、マンションやアパート暮らしの人も多い現代の家庭にはぴったりです。

胴体が木製のため、衣裳の型崩れもなく、長持ちします。

また、飾れる状態でケースに入っているなど、わざわざ1つ1つだして飾ったり片づけたりする必要がないことも、人気の理由の1つです。

しかしながら、比較的小さい雛人形が多く、衣裳もボリュームがないため、やや豪華さに欠けます。

衣裳着人形(いしょうぎにんぎょう)

一般的なひな人形の7割近くがこの衣裳着雛人形です。

皆さんが雛人形と聞いて、通常イメージするのはこの「衣裳着雛人形」でしょう。

衣裳着雛人形は、江戸時代の初めに京都で始まり、その後、徳川綱吉の頃に江戸に招かれた京都の人形師達の手によって、盛んに作られるようになりました。

現代の衣裳着雛人形は、江戸中期の人形師「原舟月」が創作した、前述の「古今雛」の様式が原型になっているとされています。

端正で細面な顔立ちや、華麗な衣装を着せ付けてあり、比較的大きく、豪華で見栄えがするひな人形です。

しかし、雛人形が大きいため、広い飾り場所や収納にもスペースが必要ですし、持ち道具も一つずつ雛人形に取り付けなければならないため、飾り付けにも片付けにも時間がかかります。

さらに、仕立てた衣裳を着せ付けていることから、型崩れしやすく保管には十分な注意が必要です。

このような手間がかかることから、敬遠されがちな衣裳人形ですが、その名の通り、衣裳の繊細さがこのひな人形の魅力です。

雛人形の衣裳の意味

そもそも、ひな人形の衣裳は平安の宮廷装束を模したもので、例えば女雛(お雛様)の衣裳は、十二単(じゅうにひとえ)になっています。

十二単は、何枚も衣を重ねて、表から見える袖口の色や裾の色の重なりで美しさを表現します。

その表現は、好きな色の重ねにとどまらず、表地と裏地の配色である合色目(あわせのいろめ)の組み合わせで、季節の草花や自然のイメージで季節感を表わします。

たとえば、梅という名前のついた春の合色目なら、表が白、裏が蘇芳(すおう)といった暗い紅色にするなど、その季節ならではの自然の移ろいを微妙な色合いで表します。

また、それらの色を何枚か重ねて、襲色目(かさねのいろめ)という配色で季節を表現したり、同系の色を上から下へだんだん濃くなる、薄くなるのを匂いにおい)と呼んだり、次第に薄くなって白で終わる配色を薄様(うすよう)と言うなど表現の仕方も多様です。

色の合わせ方1つを取っても奥深く、見るからに繊細な衣裳も、衣裳人形が人気の理由の1つでもあります。

色々なひな人形の仲間

実は、こんなひな人形もあるのです。

市松人形 

「やまと人形」を、関西では「市松人形」、北陸では「三吉人形」と呼びます。

他にも、「じんじょこ」や「ねんね」など、」地方によって呼び名は様々なようです。

一般的には、男女が一対になった人形で、男の子は羽織袴、女の子はおかっぱ頭に振袖を着ています。

雛人形ではありませんが、桃の節句に合わせて、雛段の左右に男女一対で飾られます。 

また、雛人形と同様に身代わり人形として伝わる地方もあり、雛人形のお迎え人形として贈る風習もあるようです。

つるし雛

江戸時代後期に始まったとされる「つるし雛」は、子供や孫のために手作りの雛飾りで祝ってあげたいという親心から生まれたものです。

吊るすものは、女の子の生活に必要なもので、人形や野菜、果物、花や手毬など種類も沢山あります。

子孫繁栄や家族の幸せの願いが込められています。

立雛

立ち姿のお雛様です。

こちらは、雛人形の起源である祓いの為の形を人形化したもので、神雛とも呼ばれています。

まとめ

ひとえにひな人形と言っても、その種類は様々です。

絢爛豪華な宮中の様子を模していることから、高価な物も多いひな人形ですが、その願いは健やかな子供の成長です。

ご自宅のスペースやライフスタイルに合ったひな人形を選んで、ひな祭りを行いましょう。

ひな祭りやひな人形に込められた素直な願いはきっと叶うはずです。

ひな人形を用意したり、色々な意味や由来を話したりする楽しいひと時は、きっと思い出深いものになると思います。

Writing:YUKIKO-加藤

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