今年も残りわずか。
お世話になった方に1年の感謝を伝える「お歳暮」の時期が迫ってきました。
皆さんは「お歳暮」を贈っていますか?
自分では贈ったことがなくても、お勤め先で取引先の会社へ贈ったことのある方もいらっしゃるかもしれません。
「お歳暮」は、古くから日本に伝わる習わしです。
今まで贈った事がない「お歳暮」に挑戦してみるのはいかがでしょうか?
今回は、「お歳暮」の読み方やいつ贈るのか?意味や起源などといった「お歳暮」の基本的な情報を詳しくご紹介します。
「お歳暮」の人気ランキングや「お歳暮」を頂いた際のお礼状の書き方などもご紹介するので、是非お役立てください!
◉年末の行事関連記事
年の瀬(年末)の大掃除はいつ頃はじめられた??『年末の大掃除の起源や大掃除する理由・意味とは?』
歳の市とは?【いつ・意味・由来・歴史・浅草・羽子板市・有名な歳の市】俳句・浮世絵まで
アマビエ、実はアマビコだった?妖怪・悪魔?御朱印がいただける神社はここ!
除夜の鐘とは?歴史・意味・由来(起源)!なぜ108?英語で説明できる?
お賽銭を入れる理由や起源と金額はいくらがいい?お賽銭は投げ入れていいのか?
「年越しそば」を食べる時間はいつ?『食べることによって得られる意外な効果(ご利益)とは?』
「お歳暮」の読み方
「お歳暮」の読み方は、「おせいぼ」です。
「お歳暮」は英語だと何て言う?
「お歳暮」は、日本独自の文化です。
海外には同じ文化やイベントはありません。
そのため、「お歳暮」の話を外国人にする場合には「お歳暮」とは何なのかから説明する必要があります。
どのような文化なのか説明した後は「Oseibo」として説明を続けるのもよいでしょう。
「お歳暮」を説明するには、「End of the year gift」、「Year-end gift」、「Winter gift」などを使います。
「お歳暮」とは?
「お歳暮」とは、日頃からお世話になっている方へ感謝の気持ちを込めて贈り物をすることを指します。
「お歳暮」と「お中元」の由来
「お歳暮」の由来と、同じような風習である「お中元」の由来について探っていきます。
「お中元」の由来・「道教」の「天の神様の誕生日」
はじめに「お中元」の由来からご紹介しましょう。
「お中元」の由来は、中国の三大宗教(儒教・仏教・道教)の1つである「道教(どうきょう)」の行事が由来していると言われています。
この「道教」では、旧暦の1月15日は「上元(じょうげん)」、旧暦の7月15日は「中元(ちゅうげん)」、旧暦の10月15日は「下弦(かげん)」と呼ばれていて、それぞれ「天の神様の誕生日」とされています。
これらの日は、「上元」が「天官賜福大帝(てんかんしふくたいてい)」の誕生日、「中元」は「地官赦罪大帝(ちかんしゃざいたいてい)」の誕生日、そして「下元」は「水官解厄大帝(すいかんたいてい)」の誕生日を指しています。
この3神は「三官大帝」と呼ばれ、「龍王の孫」ともされています。
「天官賜福大帝」の誕生日である、旧暦の1月15日の「上元」の日は、「元宵節(げんしょうせつ)」や「元夕(げんせき)」などと言い、この日を中心として色とりどりの灯籠を灯した夜祭が行われます。
日本でいうところの小正月にあたる「上元」の日は、正月が元月とも称されることから「元月の最初の宵(夜)」を指す「元宵節」と名がついたと言われています。
また、この日に小豆粥を食べると、その年の疫が避けられそうです。
「地官赦罪大帝」の誕生日にあたる旧暦の7月15日に行われる「中元」の日は、「中元」・「盂蘭盆会(うらぼんえ)」などと呼ばれていて、「道教」では人間贖罪の日にあたり、1日中火を焚いて神を祝う風習がありました。
この風習は、のちに死者の罪を赦すことを願う日となって行き、その後祖先の霊を供養する「盂蘭盆会」になっていくのです。
日本では、この行事が「お盆」の行事となり、お盆には「盆礼(ぼんれい)」と呼ばれる「お盆前に日頃お世話になっている家に見舞いの品を贈ること」があったことから「お中元」が派生していきます。
最後に「水官解厄大帝」の誕生日である旧暦の10月15日は、古代中国では「先祖の霊を祀る行事」でしたが、のちに物忌みを行い経典を読み、災厄を逃れるよう祈る日となりました。
この行事に関しては、日本では「下元」と呼ぶ行事やこの日に行われる同じような行事はありません。
ただし、この前後の日に収獲を感謝する「十日夜(とおかんや)」や、餅を作って食べることで万病除去や子孫繁栄を祈る「亥の子(いのこ)」などが行われていることから、日本に伝わった「下元」が各地の収獲祭と結び付いたものと考えられています。
このように「お中元」は、「道教」に基づいた中国の行事が、元々日本にあったお盆の風習である「盆礼(ぼんれい)」と呼ぶ「お盆前に日頃お世話になっている家に見舞いの品を贈ること」と結びついたことから、生まれた風習です。
しかし、ここまでの話だと「お中元」の由来は「道教」からきていることが明確ですが、「お歳暮」の由来は「下弦」とも繋がらずはっきりしません。
「お歳暮」の由来はどこにあるのでしょうか?
「お歳暮」の由来・「御霊祭り(みたままつり)」
「お歳暮」の由来は、「御霊祭り(みたままつり)」にあると考えられています。
「御魂祭(みたままつり)」とも書くこともある「御霊祭り」は、年末年始や盆に先祖の霊を祭る行事でした。
「お盆」と「お正月」は、いずれも神様やご先祖様へ感謝を捧げる祭りの機会であったのです。
「御霊祭り」では、神様や先祖の霊にお供えをし、家族や親しい人とそのお供え物を食べる風習がありました。
そもそも、神様や先祖へのお供え物を人々で共に食べることは「共食 (きょうしょく) 」と呼ばれ、神や先祖の霊と人とが同じ食物を味わうことにより、両者の親密を強め、神様からの生活安泰の保証を得ようとするなどの意味があります。
人々は「共食」を日頃お世話になっている本家や近所の人にも配ったり、贈ったりしていたのです。
しかし、「お正月」は新年を迎える「めでたい祭り」という点が目立ってしまい、仏教や死者に関する儀礼がだんだんと排除されるようになります。
そのため、「御魂祭り」の要素は薄くなり、わずかな地方の年中行事としておもかげが残る程度になってしまいました。
ちなみに、東北地方から中部地方にかけては、現代でも年末や年始に「御魂(見玉)の飯(みたまのめし)」を作ります。
「御魂飯」とは、山盛りの飯や握り飯に箸を突き立てて、箕(み)と呼ばれる穀物をふるう農具の上に並べたり、団子や餅を一升枡に入れた飯に箸を立てたりしたものを、仏壇や年神棚(としがみだな)にお供えします。
もう1つ、「お歳暮」の風習に繋がる習慣として「歳神様(としがみさま)」への信仰が挙げられます。
「歳神様」とは、稲の豊作を司る神様であり、家を災いから守ってくれる先祖の霊ともいわれています。
この「歳神様」は、大晦日の晩に家にやってきて、その後1年の間家にとどまると考えられていました。
「笠地蔵」が大晦日の夜にやってくるのも、「笠地蔵」が「歳神様」だからだと言われており、「なまはげ」も「歳神様」が変化したものであるため、お正月にやってきて厄災を祓うことが本来の役目だったとされています。
このように、「歳神様」が家においでになることから、失礼のないようにと「大掃除」をしたり「お供え物」を用意したりしていました。
そして、年末になると「歳神様」やご先祖様へお供えするために用意した品を、「共食」という考え方から本家や実家に贈ったことが「お歳暮」の由来に繋がるのです。
現代でも「お歳暮」の品として人気の高い海産物は、年の瀬に「歳神様」や祖先の霊に塩鮭やするめ、数の子に塩ぶりなどの魚介類の干物などを供えることが通例だったので、嫁いだ娘や分家の者が本家に供物を届けたのが始まりだと言われています。
本来は直接本家や実家にお供え物を届けていましたが、年末に帰省できない子どもや遠方に住む親戚は「歳神様」や祖先の霊に供える供物を直接届けるのではなく本家に贈るようになったことから、郵送するようなやり方も広がり、やがて日頃お世話になっている方々にも贈るようになったのです。
「歳暮」の語源も、もともとは「年の暮れ」という意味でしたが、次第に年末の贈り物の呼び名として使われるようになったことで定着したようです。
このように、「御霊祭り」の風習であった「新年に神様やご先祖様の御霊に感謝の祈り」を捧げるためのお供え物や、年末に家に来ていただける「歳神様」へのお供え物を年の暮れに本家や近所の人に持っていく行事が結びつき、「お歳暮」となったと言われています。
また、日本には1年を1月と7月で2つに分けて祖霊を祀るという考え方もあったことから「お中元」や「お歳暮」が年中行事として定着していったとも考えられています。
「お歳暮」の歴史
日本で「お歳暮」の習慣が始まったのはいつ頃は、はっきりとしていません。
しかし、室町時代の頃にはすでに、他の家に嫁いだ娘や分家した親族などが、親や本家に「歳神様」へのお供えだった物を贈ったのが「お歳暮」の始まりだとされています。
江戸時代になると、武士や商人たちの習慣が庶民の文化や風習に影響を与えるようになってきます。
武士は、自分が所属する組合の組頭に縁の証として年末に贈り物をする習慣がありました。
また、商人の間では、掛け売り(代金をその場で受け取るのではなく、後日代金を回収するという決済形態)の商売が広く行われていたことから、お盆や年末に半年分の精算をする習慣があり、精算をする時にお得意先などへお礼や挨拶回りのための贈り物をしたのが「お歳暮」の習慣を定着させた要因になったようです。
そして、明治時代以降は、しだいに上司やお世話になった方にも贈りものをするようになります。
その頃は、官吏が権力を持つ時代になっていたため、官吏に高価な贈りものをすることで自分の生活を安定させたいという考えがあったようです。
次代を経て様々な意味合いを取り込みながら、現代の「お歳暮」の習慣はさらに広がりをみせたのです。
「お歳暮」の意味
歴史の中でお話したように「お歳暮」は、「神や御霊に感謝しお供え物を贈る習慣」から、江戸においては「上司と部下」のような「上下関係の間」で、そして明治時代の頃には「利害も含んだ贈り物」となっていきました。
現代では、江戸時代のような「上下関係の間」や明治時代のような「利害も含んだ贈り物」のみならず、親しい知人や友人、遠く離れた親族などに贈るという風習として広がっています。
つまり、「お歳暮」は「1年間お世話になったことへのお礼代わりの贈り物」という意味があります。
「お歳暮」はいつ?
「お歳暮」は、目安として12月上旬から12月25日頃までに先方に届くようにします。
昔は、12月13日から以降から贈り始めており、この12月13日からという風習は現代でも地方に残っています。
なぜ、12月13日なのかについては、「お歳暮」が正月のお供え物を本家や近所に贈っていたことの名残だと考えられています。
12月になると、正月事始め(12月8日または12月13日。地方によっては事納めとも呼ばれる)から正月準備は始まります。
正月準備の最終日や初日である12月13日に「すす払い」は行われるので、家や仏壇がきれいになってから届けるという考え方からこの日付に決められていたそうです。
現代では、特に12月13日にこだわる必要はありませんが、年末に近づくほど正月準備も進み、忙しくなるため12月25日までが目安となります。
2020年の「お歳暮」はいつ?
2020年の「お歳暮」は、一般的に2020年の12月上旬から12月25日(水曜日)が期間です。
相手方の手元に届く日が、どんなに遅くても12月25日までとなります。
ただし、生鮮食品は日持ちがしないですし、お正月に使う食材のような品物であれば、大晦日に届くよう手配することもあります。
いずれにしても、事前に相手に配達日時を伝えるなどの配慮は必要でしょう。
遅くなってしまった「お歳暮」どうしたらいいの?
年末の忙しさで「お歳暮を贈り忘れた!」と焦ることもあるかもしれません。
年を越しての贈り物は「御年賀(おねんが)」として贈ります。
「御年賀」は、松の内と呼ばれる1月7日までに贈ります。
しかし、「御年賀」は地方によって期限が変わるので注意が必要です。
関西地方では、1月15日までとされています。
もし、「御年賀」にも間に合わなかったら…
それ以降は「寒中見舞い(かんちゅうみまい)」、「寒中御伺い(かんちゅうおうかがい)」として贈ります。
「寒中見舞い(かんちゅうみまい)」は、、寒の入りと呼ばれる(1月5日)ごろから、立春の前日(2月4日)ごろまでに出すものです。
また、特に目上の方へ出す「寒中御伺い(かんちゅうおうかがい)」は、1月15日~1月下旬まで、最長でも大寒が終わる2月3日頃までに贈りましょう。
過ぎてしまっても失礼に当たらない習慣が残されていて安心ですよね。
期間 | 12月上旬~12月15日 | 1月1日~1月7日 | 1月5日~1月下旬 | 1月5日~2月3日 |
習慣 | お歳暮 | 御年賀 | 寒中御伺い | 寒中見舞い |
自分や相手が「喪中」の場合でも「お歳暮」は贈っていいの?
「お歳暮」は、お祝いの品ではありません。
そのため、自分や相手が「喪中」の場合でも贈ることは可能です。
ただし、紅白の水引は控えて、白無地の奉書紙(ほうしょし、ほうしょがみ:白くてしっかりした和紙のこと)をかけましょう。
また、四十九日が過ぎていない時には時期をずらし「寒中見舞い」、「寒中御伺い」にしても良いでしょう。
「お歳暮」と「お中元」の違い
「お歳暮」と「お中元」の違いに関してしっかり確認しておきましょう。
「お歳暮」と「お中元」の日付の違い
「お歳暮」と「お中元」の日付の違いをお話する上で注意しなくてはいけないのが、「東日本」と「西日本」では日付の差があるということです。
「お歳暮」も「お中元」も季節の挨拶なので、贈る時期をきちんと守るのが大事なマナーです。
間違えてしまうと失礼な事にもなりかねませんので、お贈りになる方のお住まいには気をつけましょう。
「お中元」は、「東日本」では7月上旬から7月15日まで、「西日本」は7月中旬~8月15日までが一般的とされています。
これを過ぎてしまった場合には、「暑中見舞い」として立秋(8月8日か8月9日)の日までに贈るか、立秋以降は「残暑見舞い」に変えて贈ります。
もし、贈り先が目上の方の場合には、それぞれ「暑中御伺い」や「残暑御伺い」として贈りましょう。
「お歳暮」に関しては、「東日本」は11月下旬~12月20日前後、「西日本」は12月13日~20日前後となっています。
こちらも、手配が遅れてしまった場合には、「関東地方」では1月7日(松の内)までに贈り、「関西地方」では1月15日までに「御年賀」として贈りましょう。
それ以降は、「寒中御見舞」として立春(2月4日頃)までの期間なら贈ることができます。
「お中元」や「お歳暮」を贈るのが遅れてしまい、失礼ではない期間に贈れたとしても、先方には「お歳暮」として贈れなかったことをお詫びして、年明けに届くことを手紙か電話で伝えるのが大切なマナーです。
昔は、12月13日の「すす払い」から20日までの間に贈るものとされていた「お歳暮」ですが「すす払い」の習慣が薄れてきてしまったことで贈る時期は前倒し傾向になっているようです。
なんと、現在では11月末に贈ることも珍しくはないそうです。
しかしながら、贈る日付に関しては、地方や贈るものの内容によっても若干の違いが見られます。
迷った場合には、送る方の住まいがどの地方にあたるのか、受け取る側の負担などを考えます。
年末で忙しくなる12月25日以降は避けたほうがよいと言われていますし、生鮮食品や鮭や昆布巻きなどのお正月用品を贈る場合には、逆にお正月に近い日付で贈ったほうがよいとされているのです。
お歳暮 | お中元 | |
東日本 | 11月下旬~12月20日前後 | 7月上旬~7月15日 |
西日本 | 12月13日~12月20日前後 | 7月中旬~8月15日 |
「お歳暮」と「お中元」目的の違い
「お中元」と「お歳暮」の目的の違いは、「お中元」が「恒例のご挨拶として贈る物」なのに対し、「お歳暮」は「1年間お世話になったことへのお礼代わりの贈り物」という意味があります。
もちろん両方を贈っても問題はありませんが、負担になってしまう場合には、お歳暮だけを贈ってお中元を贈る代わりに暑中見舞いの手紙やハガキで心遣いをお伝えしましょう。
【豆知識】「贈」の字に込められた意味
「贈答品」に使う「贈」という漢字は、本来「珍しい品物」を贈るという意味です。
普段自分では買わないような「珍しい品物」を贈るのもおすすめです。
「お歳暮」は誰に送るのか?
「お歳暮」は、一般的に両親や親戚、仲人、先生、先輩、上司、取引先、知人、友人などのお世話になった方々に贈ります。
「お歳暮」は、1度始めると続けることも大切になってきます。
そのため、今までと今後の関係の双方をよく考えた上で誰に贈るかを決めましょう。
ちなみに、一般的に仲人へのお歳暮は3年間でよいと言われています。
会社によっては、贈答品のやりとりを禁止している場合もあるので注意して、送る前に確認しましょう。
上手に「お歳暮」を贈るコツ
事前の下調べが大切
事前に相手の好みや家族構成を聞いて品物を選ぶことがとても大切です。
どんなに高価な品を贈っても、お酒が飲めない人にお酒を贈ったり、苦手な食べ物を贈ったりしては喜んではもらえません。
事前に相手の好みや家族構成を聞いて品物を選びましょう。
贈り方に配慮をする
贈り方にも配慮が必要です。
相手の状況をよく考えて選ぶことで心配りは相手にも伝わり、いっそう喜ばれるでしょう。
具体的には、
「相手の予定を確認して受け取れる日を決める」
「生鮮食品などの賞味期限が短い贈答品やお正月に相応しい食品を贈る場合には家族が集まる正月直前にする」
「日々忙しく活躍していて、荷物が受け取れそうにない方には、ビールやお菓子などの腐りにくく賞味期限が長い食品にする」
などです。
「お歳暮」を頂いたらどうすればいいのか?
基本的に「お歳暮」に対するお返しは不要です。
しかし、最低限きちんとお礼の意を表すのがマナーです。
配送されてきた場合には、すぐにお礼状を出しましょう。
親しい間柄なら電話やメールでも大丈夫です。
「お歳暮」のお礼状を出すタイミング
お礼状はすぐに出す
お礼状のタイミングは、「お歳暮」が届いたらすぐです。
「お歳暮」が届いてから3日以内に送るようにしましょう。
もし、遅れてしまっても年賀状に一言付け加えるのは失礼にあたります。
遅れてしまった場合には、お詫びの文章を付け加えたお礼状を送りましょう。
「お歳暮」のお礼状の書き方
お礼状の基本的な書き方・構成を見ていきましょう。
丁寧なお礼状は封書・縦書き
お礼状を書くにあたって、最も丁寧な形式は「縦書きの封書」です。
ビジネスシーンではこの形式が一般的ですが、親しい間からの個人から贈られた場合には「横書きの手紙」や「はがき」、「メール」でお礼状を出す場合もあります。
①頭語
「頭語」とは、手紙の最初に書く言葉です。
相手に対する敬意を表すもので、「拝啓(はいけい)」や「拝呈(はいてい)」などがあります。
どちらを使ってもかまいいずれも手紙の締めくくりに使う結語とセットになっているので、組み合わせに注意しましょう。
【豆知識】「拝啓(はいけい)」や「拝呈(はいてい)」の「結語(けつご)」
手紙文の冒頭に用いる「頭語(とうご)」に対し、文章の結びの言葉を「結語(けつご)」と呼びます。
「拝啓」に対する結語は「敬具(けいぐ)」です。
「拝呈」に対する結語は「拝具(はいぐ)」です。
②時候の挨拶
「頭語」の後には、「時候の挨拶(じこうのあいさつ)」を書きます。
日常会話の中の「暑いですね」、「寒くなってきましたね」などと同じ意味があり、季節を表す挨拶の言葉です。
季節によって微妙に使い方が違うので注意しましょう。
③お礼の言葉
ここでやっと頂いたお歳暮のお礼の言葉を書きます。
必ず頂いた品を開けて見てから「家族ともども大変喜んでおります。」のような具体的な嬉しさを盛り込みます。
④結びの言葉
最後は、①の「頭語」に対する結びの言葉「結語」で終わります。
女性の場合には、どの頭語にも使える万能な「かしこ」が使えますが、ビジネスシーンでは避けましょう。
「お歳暮」を用意しましょう!
昔の「お歳暮」は、塩鮭や数の子、塩ぶりなどの魚介類が多く贈られました。
特に鮭やぶりなどは出世魚とされていて「年取り肴(としとりざかな)」といって、大晦日や年越しの食事に出す魚でした。
そのため、「お歳暮」としても好まれ、また塩引きされたものは長期保存も効くことから、人気の「お歳暮」だったようです。
ちなみに、人気とお話した「新巻鮭」ですが、「鮭(さけ)」という言葉が「裂け(さけ)」に通じてしまい縁起が悪いとされてことから、塩鮭をわらで巻いて贈るようになったそうです。
現在では、必ずしも魚介類でなくとも大丈夫ですが、「お歳暮」には年越しやお正月に使える食料品を贈るのが主流です。
しかし、大切なのは「相手に喜んでもらうこと」です。
先方の家族構成やの好みのものを選びましょう。
「お歳暮」の予算
「お歳暮」の予算は、目安として3,000円~5,000円程度が一般的です。
友人など気軽な相手に対しては3,000円程度、両親や上司など目上の方に対しては5,000円程度、特にお世話になった方には1万円以上のものを贈る場合もあります。
しかし、高価すぎるものは逆に相手に気を使わせてしまうことも。
お互いの負担にならない程度のものが適切と言えるでしょう。
「お中元」と「お歳暮」の両方を贈る場合には、「お歳暮」のほうが高額になる傾向があります。
人気の「お歳暮」ランキング
実際に「お歳暮」はどのような贈答品が人気なのでしょうか?
1位 高級食材
日頃自分ではあまり手にしないような高級食材はやはり喜ばれるようです。
しかも、年末年始は家族みんなで食卓を囲むことも多く、高級食材があればいっそう食卓が華やぎます。
ステーキ、すき焼きなどに使える高級肉や、カニやふぐ、イクラなどの高級海産物も喜ばれますが、美味しいパンの詰め合わせや高級ハムやベーコンなどの加工肉も日持ちするので人気のようです。
2位 ソフトドリンクセット
意外なことに、お酒よりもランクが上になるのがソフトドリンクのギフトセットです。
ソフトドリンクセットの良さは、なんと言っても子供から大人まで誰でも楽しめるギフトであることです。
ソフトドリンクとはいってもジュースだけにとどまらず、お茶や体に良い野菜ジュースのセットもあります。
贈る方の家族構成や好みに合わせて、組み合わせを選んでみるのもいいかもしれません。
3位 お菓子・フルーツ
お菓子と言ってもすぐに手に入る物ではなく、普段なかなか食べる機会のない高級チョコレートや高級フルーツなどはとても喜ばれます。
「これ、1度食べてみたかった。」と先方に言われたら嬉しいですよね。
お菓子には色々な種類がありますし、季節感を出したものや贈る方の好みに合った物も選びやすいでしょう。
4位 ビール
お酒好きな方へ贈るならビールはお勧めです。
お酒好きな人でビールが苦手は人は少ないですし「とりあえずビール」と乾杯の席では欠かせないお酒です。
最近では、ビールだけではなく「おつまみ」がセットになったものもあるようです。
また、普段はなかなか飲むことのない地ビールや外国のビールも喜んでもらえるギフトの1つです。
5位 コーヒー
コーヒーの魅力は保存が効くことです。
コーヒーは、豆のまま販売されているもの、ペーパーフィルターを敷いて淹れる飲み方など様々な飲み方があります。
コーヒーを飲む家庭なら喜ばれるアイテムですが、相手のことをよく知らない場合には、インスタントに飲めるタイプをおススメします。
コーヒーゼリーやカフェラテ、ココアがセットになっているものもあるのでお子さんがいてコーヒーが飲めなくても喜んでもらえそうなラインナップが揃っています。
「お歳暮」で注意すべき贈答品・あげてはいけない贈答品
「お歳暮」で注意すべき贈り物と「お歳暮」であげてはいけないものをご紹介します。
せっかく相手が喜びそうだからと「お歳暮」の品を選んでも、「お歳暮」には送ってはいけないとされている品物があることをご存知でしょうか?
知らずに送ってしまうとせっかく選んだ品も台無しになってしまいますし、何より相手を不愉快にさせてしまったり、相手との関係が壊れてしまったりしては元も子もありません。
これらの品物は送るのがいけないとされている、または控える方が無難とされている贈答品なので気を付けましょう。
注意すべき「お歳暮」
「お歳暮」の中には、贈ることを注意したほうが良い物もあります。
要冷蔵・要冷凍品
先方の都合によっては迷惑と捉えられてしまいかねないものが冷蔵や冷凍を必要とする品物です。
年末年始はお正月に向けて沢山の食材が冷蔵庫に入っている可能性があるからです。
また、「お歳暮」は他の方からも頂く可能性があるものなので、冷蔵庫や冷凍庫に入れることができないこともあります。
さらに、少家族なのに食べきれないような量を贈ることも相手を困らせてしまうかもしれません。
冷蔵や冷凍の贈答品を贈る場合には、相手に送る前に連絡を入れるようにしましょう。
生花
花を嫌う人はあまりいないでしょうし、何より美しい花は贈り物には最適です。
しかし、花には「花言葉」があります。
花言葉の中には、良い意味だけではなく悪い意味を持つ花もあるのです。
花言葉は、1つだけではなく良い悪いと両方の意味を持つ花もあることから、あまり気にする必要はありませんが、送る前にはどのような花言葉がついているか調べてみると良いでしょう。
あげてはいけない「お歳暮」
靴や靴下
下着や肌着
「下着」などの肌着を贈る行為は「みすぼらしい恰好をしている」や「施しをしてあげる」という意味を持っています。
刃物などの鋭利な物
「刃物類」を贈ることは「相手との縁を切るという」意味を持ちます。
包丁やペーパーナイフなどの実用的な物であったとしても贈ることはやめましょう。
「4」や「9」に関係する物
日本では、数字の「4」は「死」、数字の9は「苦」を連想させます。
ホテルの部屋番号や病院などでも「4」や「9」を除いて明記しているところも多くあります。
中身が「4つ」や「9つ」の数になるような場合は避けます。
また、「櫛(くし)」も「くし」が「94」になり「苦死」を連想させてしまうので避けましょう。
ハンカチ
一見問題がなさそうな「ハンカチ」ですが、ハンカチを漢字で書くと「手巾(しゅきん)」と書きます。
「手巾」は「手(て)巾(きれ)」と読めることから「手切れ」に通じるとされ縁起が悪いと思われています。
筆記具・時計
こちらも良さそうな贈答品ですが、「筆記具」や「時計」は「もっと勉学に励め」という意味を持ちます。
その為、目上の方や取引先のお相手などへの贈答品には相応しくありませんので避けましょう。
カバン
「鞄」は「通勤」を連想させてしまうことから、目上の方に贈ると「失礼だと」捉えられてしまう可能性があるのでやめておきましょう。
海苔やお茶
現金・ギフト券
「現金」や「ギフト券」は、「お金に困ってから渡す」という意味になり、大変失礼にあたります。
しかし、貰ってうれしい贈答品の上位にも入ります。
贈る方に注意すれば喜ばれますが、目上の方へは避けるようにするのが良いかもしれません。
「調味料」なども同じような意味を持ちますが、こちらも贈る方に注意すれば良い品でしょう。
「お歳暮」を贈ってはいけない職業
「お歳暮」を贈ってはいけない職業があるので、確認しておきましょう。
誤って「お歳暮」を贈ってしまうと、相手が迷惑したり不利益を被ったりするので気をつける必要があります。
「お歳暮」を贈ってはいけない職業
国会議員、国家公務員、地方公務員、裁判官、警察官
上記のような公務員の方は「倫理規定」によって「お歳暮」を含む贈答品を受け取る事が明確に禁止されています。
贈り物は「賄賂」になってしまうので決して贈ってはいけません。
公私立の教師、医師
上記の方々は禁止されている訳ではありません。
しかし、特定の人物との繋がりはトラブルの元になってしまう可能性があるので、できる限り「お歳暮」を贈る事は避けましょう。
[/colored_bg]
【豆知識】知っていますか?「お歳暮」早割
「お歳暮」には早割があります。
早く申し込むと割引になったり、送料が無料になったりするなどの特典です。
贈る方や贈る物が早々に分かっているようであれば早いに越したことはありません。
「お歳暮」には「熨斗(のし)」をつけましょう。
古くから贈答品には「熨斗」をつける習慣があります。
水引は、紅白の蝶結びで表書きは「お歳暮」と書きます。
最近では、「熨斗」と表書きが印刷されている包装紙や短冊などもあります。
生ものに「熨斗」をつけない理由
「お歳暮」には「熨斗」をつけなくてはいけませんが、肉や魚などの生鮮食品に「熨斗」は不要です。
古来、吉事には海産物を供える習わしがありました。
その海産物の中でも高級食材であった「あわび」を干した「熨斗あわび(干したあわび)」を供えることは定番となり、このことが「熨斗」に繋がって行くのです。
「熨斗」の由来は、「熨斗あわび」からきているのです。
つまり、生ものの象徴として「熨斗あわび」はつけられていたので、生鮮食品には「熨斗」をつけないのです。
1年に1度感謝を伝える「真心ギフト」
「お歳暮」は、1年に1度お世話になっている大切な方に感謝の気持ちを伝える贈り物です。
時代によって目的は違うものの、いつの時代もお歳暮を贈るという土台には「真心」という人々の温かな気持ちがありました。
「お世話になっているあの方へ何か贈り物をしたいけど、お誕生日は分からないし、突然贈り物をしても戸惑ってしまうかもしれない…」
そんな時こそ「お歳暮」は役に立つ風習です。
相手を思いながら「真心」を込めた贈り物をする。
その温かい思いが相手にも伝わって、これからも「良い縁」が繋がれていきます。
今まで「お歳暮」を贈ったことのない方も挑戦してみるのはいかがでしょうか。
贈るだけではなく、今よりも強い「繋がり」ができるはずです。
Writing:YUKIKO-加藤