繊細なひな人形(お雛様)の保管や収納を、皆さんはどのようにされていますか?
適当に片付けてしまって、翌年に出してみると、大切な人形の顔にシミが出来たり、お道具が破損していたりと、ギョッとすることもあるかもしれません。
とても手間をかけて丁寧に作られたひな人形は、高価で繊細なものです。
長年楽しむためには、きちんとした保管方法が必要です。
今回は、ひな人形(お雛様)の保管や収納方法と、やむを得ずひな人形を手放す際の処理方法をご紹介します。
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ひな人形(お雛様)の正しい保管(収納)方法
雛人形は、とても繊細なお人形です。
お顔は石膏で出来ていますし、髪の毛は絹、眼はガラス、もちろん衣装は絹織物で、調度品も漆が塗られているなど、取り扱いには注意が必要です。
収納の際には、顔や身体にひびや剥がれがおきないようにすること、ダニなどの虫の被害が出ないようにすること、カビや結露が発生しないようにすることなどに細心の注意を払いましょう。
過度の湿気や乾燥を抑えましょう
収納は、窓際や水回りなどの湿気の多い場所は避けて下さい。
適度に風通しの良い湿気の少ない場所がおすすめです。
逆に、乾燥しすぎも良くないと言われているので、エアコンの風が直接あたるような場所も避けましょう。
寒暖差によってできる結露にも注意が必要です。
寒暖差によって、お顔に割れや剥がれ、調度品の木材の部分にゆがみが出ます。
外壁に面した納戸や窓の近くなども避けましょう。
直射日光も雛人形の天敵です。髪の毛に使われている絹や衣装も直射日光に当たると劣化してしまうことがあります。
おすすめの収納場所
湿気の少なさや、乾燥し過ぎないことを考えると、押し入れの上段や天袋がおすすめです。
床置きだとホコリがたまり、湿気によってカビが生えてしまうこともあるので、高めの場所に置きましょう。
ひな人形の保管に便利な箱・袋
雛人形を保管するためのアイテムには、どのようなものがあるのでしょうか。
基本的には人形を買った時の箱に入れれば良いのですが、箱が壊れてしまったり、傷んでしまったら買い替えられるよう、現在は色々な便利グッズが販売されています。
ひな人形保管用の「箱」
最初の数年間は、購入した際の箱でも問題はありません。
ですが、年月が経つにつれ、段ボールで出来た既存の箱は破損してしまうこともあります。
また、かなり大きな箱を、ひな人形を飾らない11カ月もの間、クローゼットや押し入れに入れておくのは、場所を取ります。
その為、別の箱を用意する方もいます。
一般的に一番良いとされているのが、桐を使った収納箱です。
桐は、軽量というだけではなく、タンニンが含まれているため害虫を寄せ付けにくく、防虫性に優れています。
また、気密性が高いため、防湿性にも優れていて、さらに防火性もあることから、大切なひな人形を守る箱としてはおすすめです。
最近ではキャスターのついた桐箱も販売されているので、出し入れに便利です。
その他、紙製の箱やプラスチックの箱もありますが、そのような箱を使用する際は、通気性や防虫剤に注意を払う必要があります。
ひな人形保管用の「袋」
通気性のよい不織布を使ったひな人形専用の袋も販売されています。
中の人形がひと目で分かるような透明な窓もついています。
特に大切な人形の顔には、さらにカバーを掛けます。
髪型や着物の形も崩さず収納できるのでいつまでも綺麗なまま保管できそうです。
袋は数枚セットで販売されているものや、巾着型の袋で出し入れが簡単そうな袋もあります。
箱と組み合わせて保管すれば、よりひな人形が良い状態で保管できるでしょう。
片付けの方法・手順
ひな人形の片づけにおすすめの日
まずは、片付ける日が重要です。
天気が良く、空気の乾いた日に片付けます。
片づける前にほこりを払う
片付ける前に、ひな飾りの完成形を記録に残しておきましょう。
次に飾る際に迷わず置くことが出来ますし、片付け方に迷った時の助けにもなります。
片づける前に、羽根バタキなどで丁寧に優しくほこりを払います。
細かく届かない場所は細筆などを使うのもおすすめです。
髪や衣裳についたほこりも、毛ばたきのような柔らかい小型のブラシで払います。
人形の頭や手足などの石膏で出来ている部分は、直接手を触れるとシミや汚れがつくことがあるので、布手袋を使うとより安心です。
専用の箱・袋に収納
ほこりを払った後は、石膏で出来ている頭や手足の部分を柔らかい白紙で包みます。強く包むと型くずれをしてしまうので要注意です。
防虫剤は、ひな人形用のものを使用します。そうしないと、中には変色してしまう衣裳もあるようです。
ただし、防虫剤は必要最低限にします。
樹脂製のものは、中に入っているナフタリンが溶け出してしまうことがあるので、人形の箱には入れてはいけません。
そして、先程お話したように、極度に乾燥したり、湿気の多いところを避けて片づけます。
納戸や押し入れの上の段など、高い場所に置いて、カビ・シミ・変色を防ぎましょう。
時々風通しをする
ひな人形の箱の中は、いくら通気性のある素材だとしても、湿気がこもりやすいものです。
ですので、人形や小物を隙間なくぎゅうぎゅうに詰めるのは避けてください。
また、一度片付けてしまうと、1年間そのままの場合が多いと思いますが、人形を守るには、たまには箱やケースを開けて風通しすると安心です。
梅雨明けの時期や秋晴れの日にでも、一度箱を開けてあげれば、ひな人形も喜ぶかもしれません。
もしひな人形が傷んでしまったら
もし、カビが生えてしまったり、調度品が壊れてしまったりしたら、まずは購入した店舗か、人形の修理専門店に持って行きましょう。
無理に自身で修理や補修を行うと、逆に人形を傷めてしまう可能性も考えられます。
ひな人形(お雛様)の正しい処分方法
雛人形は、女の子が生まれた時に、その女の子の健やかな成長や幸せを願って飾るものです。
そのため、女の子が無事に成人を迎えるとその役目は終えるという考え方もあります。
もちろん、役目を終えた雛人形を代々引き継いで飾ることはいけないことではありません。
しかし、持ち主の災厄を引き受ける役目もある雛人形は、御守りと同じように1人1つ用意する方が良いと言えるでしょう。
災厄の身代わりになってくださる人形は大きくなくても、豪華ではなくてもその役目は変わらないので、ご自宅のスペースに合った人形選びをしましょう。
そうしないと、結果的に出し入れが面倒になり、しまいっぱなしや出しっぱなしになることが予想されます。
大切なひな祭りの行事を毎年行うことで、子供を守ってもらい、この先1年間の厄を祓ってもらえるというものです。
おすすめできないひな人形の処分方法
先程申し上げたように、雛人形は、その子の為の願いがこもったお守りのようなもの。
親戚や知人に譲るのは、お守りの使いまわしのような行為になるので控えましょう。
また、ネットオークションや中古販売店への出品もおすすめはできません。
願いがこもったお守りを出品するなんて罰当たりな気がしませんか?
もちろん、一般のゴミと一緒に処理することは断じておすすめできません。
最後まで丁寧に扱いましょう。
ひな人形の処分方法
神社やお寺で、人形を供養してくださるところもあります。
それは、日本では昔から人形には魂がこもると考えられているためです。
中には、大々的に人形供養をしているお寺や神社もあるので、そのような神仏に持参するのが良いでしょう。
供養料は、大きさや種類によって様々です。
金額は、3000円から1万円くらいが相場のようです。
雛人形の専門店が協力して開催する感謝祭や供養祭などのイベントも、全国各地で行われています。
このようなイベントは、沢山の雛人形を合同供養してもらえます。
どうしても処分したくない場合は
ご自身がご結婚されて、女のお子さんが生まれたら、お子さんの雛人形と一緒に飾ってあげましょう。
また、嫁入り道具として新居に持って行って、お子さんの有無、性別に関わらず、ご自身の宝物として、季節の調度品として、飾っても良いかと思います。
新居に持っていけない場合は、雛人形を実家に置いて、ご両親に飾っていただきましょう。
我が子の成長の思い出としても良いですし、引き続き幸せを願う意味で飾っても問題はありません。
【補足】お雛様をしまう場所がない!そんな時は「保管サービス」!
あまり知られていませんが、ひな人形をしまっておいてもらえる「保管サービス」があるのです。
トランクルーム会社が行っている場合もありますが、中には、人形業者が、ひな人形や五月人形などの節句人形を対象として、オフシーズンの間、預かっておいてくれる場合もあります。
繊細がゆえに、取り扱いや保管にも注意が必要なひな人形ですが、プロが、年中を通じて人形保管に最も適した環境を用意してくれるなら安心です。
もちろん費用はかかりますが、大切な人形を守れることと、ご自宅のスペースが空くことを考えると、利用価値のあるサービスです。
「おばあちゃんが大きなひな人形をくれたけど、しまう場所がない・・」と、ひな人形の収納場所にお困りの方は、一度、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ひな人形は、親が子の成長を願って購入する高価な物です。
自分の子供のひな人形を大切にしたい気持ちはもちろんですが、贈られた子どもとしても、両親に買ってもらったひな人形を、末永く楽しみたいものです。
少々手間はかかりますが、丁寧に保管することで、長年ひな人形を楽しむことが出来ます。
色々な思いが込められたひな人形を大切に扱って、これから先も、心穏やかに、ひな祭りを迎えられるようにしましょう。
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Writing:YUKIKO-加藤