大祓詞を唱えてみよう!【大祓詞の原文や現代語訳(意味)・唱え方と覚え方・効果(ご利益、威力)など】

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「大祓詞」をご存知ですか?

「大祓詞」は、いにしえから受け継がれる、ご利益満載のパワーワードです。

神様に捧げるこの文を知ることで、その効果や力を感じ、自身に取り入れましょう。

今回は、大祓詞の読み方から、大祓詞の唱え方や覚え方、その効果など、「大祓詞」の様々な疑問にお答えします!

これから「大祓詞」を知る方も、すでにご存知の方も、是非取り入れて見て下さい!

大祓詞の読み方

「大祓詞」は、おおはらえのこでとばと読みます。

「大祓祝詞(おおはらえのりと)」とも呼びます。

大祓詞って何?

「大祓詞(大祓祝詞)」とは、祈りの際に神様に捧げる祝詞(のりと)の1つです。

ここでの祈りとは、大祭を意味し、概ね夏(6月30日)の夏越祓(なごしのはらえ)と、12月31日の年越祓(としこしのはらえ)が挙げられます。もちろん、大祓神事以外の祭典などでも唱えられることがあります。

大祓詞の起源が、中臣氏(なかとみうじ:古代の日本で神事や祭祀を司った氏族)が平城京の朱雀門で、大祓詞を奏上したことだと言われていることから、「中臣祓詞(なかとみのはらえことば)」ともいわれる祝詞です。

その歴史は古く、1200年以上昔の、奈良時代以前から存在していたとも言われている、とても古い祝詞です。

原文となる文章は、927年(延長5年/平安時代)に編集された、『延喜式(えんぎしき:平安時代の法令集)』の巻八の二十七篇『六月晦大祓(みなづきつごもりのおおはらえ)』として登場されおり、これが現存する最古のものとされています。

この巻八の二十七篇は、別名で「式祝詞(しきのりと)」「祝詞式(のりとしき)」とも呼ばれるものであり、その中の「六月晦大祓」こそが、中臣氏が主として唱えたことから「中臣祓詞」とも呼ばれています。

祝詞の種類自体は、他にも沢山あり、古来から受け継がれる祝詞も数多く存在しますが、「大祓詞」は、現在奏上されている祝詞の中で、最も長い祝詞です。

長さだけではなく、完成度の高い文体でも有名で、文学的にも高く評価されていることから、祝詞の中の祝詞とも言われています。

また、「大祓式」と呼ばれる、年に2回開催される、祓いの儀式以外にも、お祓いの儀礼や、日常の神棚に唱えるといった様々な場面で用いられることから、「万能祈願祝詞」とも言われることがあるようです。

当初は、大祓の際に、参集者に対して聞かせるものでしたが、後に神に対して唱えられるようになりました。

時代の経過と共に、陰陽道や密教と結びついた「大祓詞」は、唱えるだけで功得が得られると考えられるようにまりました。

そのため、唱えれば唱えるほど功得が増すと考えらたことから、何千回、何万回も唱えるようになる者が増えたため、より唱えやすくするために、大祓詞の要点をまとめた「最要中臣祓(さいようのなかとみはらい)」や「最上中臣祓(さいじょうのなかとみはらい)」が作られます。

中でも、仏家神道や、儒家神道では重視されたことから、『中臣祓訓解(なかとみのはらえくんげ)』や『中臣祓風水草(なかとみのはらえふうすいそう)』と言った、大祓詞の注釈書にあたる書物も書かれました。

現在の「大祓詞」は、大祓の際に参拝者自らが唱えられ、神社では毎日神前にて唱えられています。




大祓詞の原文と現代語訳

ここでは、大祓詞の原文と現代語訳をご紹介します。

大祓詞の内容は大別して前段と後段の二部構成になっており、前段では日本の建国神話、後段では大祓神事を執り行うことによって、罪や穢れが祓われていく過程が述べらrています。

実際の文に触れて、その内容を理解しましょう。

大祓詞の原文

大祓詞言葉の原文は以下のようになります。

高天原に神留り坐す 皇親神漏岐 神漏美の命以ちて
(たかまのはらにかむづまります すめらがむつかむろぎかむろみのみこともちて)

八百萬神等を神集へに集え賜ひ 神議りに議り賜ひて
(やほろずのかみたちをかむつどへにつどへたまひ かむはかりにはかりたまひて)

我が皇御孫命は 豊葦原水穂國を 安國と平けく知ろし食せと
(あがすめみまのみことは とよあしはらのみづほのくにを やすくにとたひらけくしろしめせと)

事依さし奉りき 此く依さし奉りし國中に 荒振る神等をば
(ことよさしまつりき かくよさしまつりし くぬちに あらぶるかみたちをば)

神問はしに問はし賜ひ 神掃ひに掃ひ賜ひて
(かむとはしにとはしたまひ かむはらひにはらひたまひて)

語問ひし磐根 樹根立 草の片葉をも語止めて 天の磐座放ち
(こととひしいはね きねたち くさのかきはをもことやめて あめのいはくらはなち)

天の八重雲を伊頭の千別きに千別きて 天降し依さし奉りき
(あめのやへぐもをいづのちわきにちわきて あまくだしよさしまつりき)

此く依さし奉りし四方の國中と 大倭日高見國を安國と定め奉りて
(かくよさしまつりしよものくになかと おほやまとひだかみのくにをやすくにとさだめまつりて)

下つ磐根に宮柱太敷き立て 高天原に千木高知りて
(したついはねにみやばしらふとしきたて たかまのはらにちぎたかしりて)

皇御孫命の瑞の御殿仕へ奉りて 天の御蔭 日の御蔭と隠り坐して
(すめみまのみことのみづのみあらかつかへまつりて あめのみかげ ひのみかげとかくりまして)

安國と平けく知ろし食さむ國中に成り出でむ 天の益人等が 過ち犯しけむ
(やすくにとたいらけくしろしめさむくぬちになりいでむ あめのますひとらが あやまちおかしけむ)

種種の罪事は 天つ罪 國つ罪 許許太久の罪出でむ 此く出でば
(くさぐさのつみごとは あまつつみ くにつつみ ここだくのつみいでむ かくいでば)

天つ宮事以ちて 天つ金木を本打ち切り 末打ち断ちて
(あまつみやごともちて あまつかなぎをもとうちきり すえうちたちて)

千座の置座に置き足らはして 天つ菅麻を本刈り断ち 末刈り切りて
(ちくらのおきくらにおきたらはして あまつすがそをもとかりたち すえかりきりて)

八針に取り裂きて 天つ祝詞の太祝詞事を宣れ
(やはりにとりさきて あまつのりとのふとのりとごとをのれ)

此く宣らば 天つ神は天の磐門を押し披きて 
(かくのらば あまつかみはあめのいはとをおしひらきて)

天の八重雲を伊頭の千別きに千別きて 聞こし食さむ
(あまのやへぐもをいづのちわきにちわきて きこしめさむ)

國つ神は高山の末 短山の末に上り坐して 高山の伊褒理 
(くにつかみはたかやまのすえ ひきやまのすえにのぼりまして たかやまのいぼり)

短山の伊褒理を掻き別けて聞こし食さむ 此く聞こし食してば
(ひきやまのいぼりをかきわけてきこしめさむ かくきこしめしてば)

罪と云ふ罪は在らじと 科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く
(つみといふつみはあらじと しなどのかぜのあめのやへぐもをふきはなつことのごとく)

朝の御霧 夕の御霧を 朝風 夕風の吹き拂ふ事の如く
(あしたのみぎり ゆふべのみぎりを あさかぜゆふかぜのふきはらふことのごとく)

大津邊に居る大船を 舳解き放ち 艫解き放ちて 大海原に押し放つ事の如く
(おほつべにをるおほふねを へときはなち ともときはなちて おほうなばらにおしはなつことのごとく)

彼方の繁木が本を 焼鎌の敏鎌以ちて 打ち掃ふ事の如く
(をちかたのしげきがもとを やきがまのとがまもちて うちはらふことのごとく)

遺る罪は在らじと 祓へ給ひ清め給ふ事を 
(のこるつみはあらじと はらへたまひきよめたまふことを)

高山の末 短山の末より 佐久那太理に落ち多岐つ
(たかやまのすえ ひきやまのすえより さくなだりにおちたぎつ)

速川の瀬に坐す 瀬織津比売と云ふ神 大海原に持ち出でなむ
(はやかはのせにます せおりつひめといふかみ おほうなばらにもちいでなむ)

此く持ち出で往なば 荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百會に坐す
(かくもちいでいなば あらしほのしほのやほぢのやしほぢの しほのやほあひにます)

速開都比売と云ふ神 持ち加加呑みてむ 此く加加呑みてば
(はやあきつひめといふかみ もちかかのみてむ かくかかのみてば)

氣吹戸に坐す氣吹戸主と云ふ神 根國 底國に氣吹き放ちてむ
(いぶきどにますいぶきどぬしといふかみ ねのくに そこのくににいぶきはなちてむ)

此く氣吹き放ちてば 根國 底國に坐す速佐須良比売と云ふ神
(かくいぶきはなちてば ねのくにそこのくににますはやさすらひめといふかみ)

持ち佐須良ひ失ひてむ 此く佐須良ひ失ひてば 罪と云ふ罪は在らじと
(もちさすらひうしなひてむ かくさすらひうしなひてば つみといふつみはあらじと)

祓へ給ひ清め給ふ事を 天つ神 國つ神 八百萬神等共に 聞こし食せと白す
(はらへたまひきよめたまふことを あまつかみ くにつかみ やほろづのかみたちともに きこしめせとまをす)

大祓詞の現代語訳や意味

あまりにも長い文章で、気絶しそうになりますが、全体を構成に分けながら、細かく現代語訳してみましょう。

神様が日本に降臨された経緯

高天の原(天上にある神様がお住まいの国)に神様として鎮まっておられる、男神様(皇室の御祖先・高御産霊神たかみむすびのかみ)と女神様(同じく皇室の御祖先・神産霊神かみむすびのかみ)のご命令で、数多くの神々が1人も残らず集められ、真剣な話し合いがなされた結果、

男神様と女神様は、「我が皇御孫命(すめみまのみこと・貴い神のお孫様=天皇陛下の祖先)は、豊かに葦の生い茂っている原と、稲が多く取れることに恵まれた日本の国を、平和で安らかな国として平穏にお治めなさい」と皇御孫命に仰せられ、御神託されました。

しかし、御神託された日本の国土の中には、そのお言葉に従わず、乱暴に振る舞う神たち(国神/くにつかみ・地主神)も居りましたが、皇御孫命は、まず、服従するかどうかを次々に厳しく問い尋ねます。

すると、反抗する神々は次々に掃いのけられて、口やかましく言い立てていた、岩石や樹木の一片の葉までも、パタリとものを言うことを止め、静かになり、荒れていた国も平和に治められました。

そこで、今までいらした天上の御座所をご出発なされ、空の上に幾重にもたなびく雲を神々しい力で押しのけ、掻き分けて、地上に御降臨(ごこうりん)されたのです。

日本に造られた荘厳な宮殿

このように、統治を任せられた四方の国土の中心として、太陽が空く輝く美しい地、大倭日高見の国(おおやまと ひだか みのくに/大和国=日本)に都を定めます。

そこには、地下にある大きな岩盤の上に太い柱をしっかりと差し建て、高天の原に向かって届くかのように、屋根には千木(ちぎ:屋根のむねの両側に交差させた長い木材)を備え、皇御孫命の若々しい生命力に溢れた、清々しい荘厳で立派な御殿を造り上げました。

神殿は、強い天日の覆いのような天上界の神であり、天皇の祖先でもある天照大神の御神力をうけた大変立派な建物で、そこには、皇御孫がお住まいになり、神々のご加護を頂いて、我が国を安泰な国にすべく、平穏に統治をされていくことになりました。

多くの罪の存在とその罪の祓い方

しかし、平穏にご統治なされようとする国土の中には、年月が経つにつれ、自然に生まれ増えて行く国民たちが、知らぬ間や故意に犯した過ちなどの罪の数々が、天つ罪(あまつつみ)、国つ罪(くにつつみ)といったように、沢山現れてしまうことでしょう。

そのように、いくつもの罪が現われ出てきたならば、高天の原で行われていた神聖な儀式にのっとって、金属のように堅い木の根元を打ち切り、また先端を打ち断ち、沢山の祓えもの(祓の時に罪を祓うために出す品物)を置く台の上に、たくさん並べます。

また、菅麻(すがそ:菅(すげ)と呼ばれる植物を裂いたもの。祓のときに手に持って、身の穢れを祓い清める際に用いる)の繊維を、木と同じように根もとを刈り断ち、先端を刈り切って、中程の良い部分だけを取り出して、針状に細かく裂いて、祓の道具として用意しなさい。

それから、天津祝詞の太祝詞(あまつのりとのふとのりごと:天上界の神様から賜った祓いの祝詞)を奏上しなさい。

天津祝詞の太祝詞を奏上した結果

そうすることで、天津神(あまつかみ:天照大神などがいる高天原の天の神様)は、天上の宮殿の堅く閉ざされた門をお開きになり、空に幾重にもたなびく雲を押し分けて、皆の声をお聞きくださるでしょう。

また、国津神(くにつかみ:以前からこの国土を治めていたとされる地の神様)は高い山や低い山の頂上にお登りになられて、高い山に立ちこめる靄(もや)や低い山の霧をも払いのけて、皆の声をお聞きくだされることでしょう。

お聞きいただいた罪は、あたかも、風が幾重にも重なった雲を吹き散らすように、または、朝霧や夕霧を朝風と夕風がいっぺんに吹き払うように、または、港に停泊している大船の舳(へさき)や艪(ろ)の綱を解き放った途端に大海原に押し放たれるかのごとく、または、彼方に繁る木の元を、焼いて鍛えたよく切れる鎌で残すことなく薙(な)ぎ払うように、残る罪が一切なくなるまで祓い清められるでしょう。

罪の行方

このように祓い清められた全ての罪や穢れは、高い山の頂上や低い山の頂上から、谷間を下って水が盛んに落下するような急流の瀬におられる瀬織津比咩神(せおりつひめのかみ)のもとに飛ばされ、瀬織津比咩神が大海原にもち出されます。

持ち出された罪や穢れは、大海の遠い沖合で、潮の流れが幾重にも渦巻く中におられます、速佐須良比売(はやあきつひめ)という神様が、大きな口を開けてガブガブと全て呑み込み、海の底深くにまで沈めてくださいます。

そして、海底に沈められた罪や穢れは、地底の闇黒の世界(根の国・底の国)に通じていて、息を吹く所である、氣吹戸(いぶきど)におられる気吹戸主神(いぶきどぬしのかみ)という男神が、地底の闇黒の世界(根の国・底の国)に向かって、ふぅーっと息を吹いてくださいます。

すると、地下の国の根の国底の国におられる速佐須良比咩神(はやさすらひめのかみ)という神様が、何処ともなく放り散らして、罪や陰れを跡形もなく消滅してくださるのです。

このようにして、あらゆる罪や穢れが全て消滅して、一切の罪という罪がなくなるように祓い清めている様子を、天上界の神様も地上界の神様も、八百万の神々(ほか全ての神様たち)もご一緒にお聞き入れてくださいませ、と慎んで申し上げる次第でございます。




大祓詞って新旧あるの?

実は、「大祓詞」は2種類あります。

現在の「大祓詞」である、新バージョンが出来たのは、大正3年(1914年)です。

つまり、大正3年より前の「大祓詞」が旧バージョンということになります。

内容の違いは、「天津罪・国津罪」を具体的に列挙してる部分を削除したのが新バージョンです。

そのため、旧バージョンは、現在の大祓詞よりもさらに長い祝詞です。

細かく見れば、前後の文も多少の違いはあるのですが、

大きく違う部分を見てみましょう。

「大祓詞」原文・旧バージョン(新バージョンにない部分)

罪の発生の仕方と、罪の種類

天つ罪と 畦放ち 溝埋 

(あまつつみと あぜはなち みぞうめ)

樋放ち 頻蒔 串刺 生剥 逆剥

 (ひはなち しきまき くしさし なまはぎ さかはぎ)

屎戸 許々太久の罪を 

(くそへ ここたくのつみを)

天つ罪と 法別て 

(あまつつみと のりわけて)

國つ罪とは 生膚断死膚断

(くにつつみとは はきはだはちしにはだたち)

白人胡久美 己が母 犯せる罪 

(しろひとこくみ おのがはは おかせるつみ)

己が子 犯せる罪 

(おのがこ おかせるつみ)

母と子と 犯せる罪 

(ははとこと おかせるつみ)

子と母と 犯せる罪 

(ことははと おかせるつみ)

畜 犯せる罪 

(けもの おかせるつみ)

昆虫の災ひ 高つ神の災ひ 

(はふむしのわざわひ たかつかみのわざわひ)

高つ鳥の災ひ 畜仆し

 (たかつとりのわざわひ けものたふし)

蠱物為る罪 許々太久の 罪出でむ 

(まじものせるつみ ここだくの つみいでむ)

「大祓詞」原文・旧バージョンの現代語訳 

内容をまとめて現代語訳をするとこんな感じになります。

罪の種類

天つ罪(あまつつみ)の種類

  • 畔放ち(田のあぜを壊す罪)
  • 溝埋め(田に水を流す溝を埋めてしまう罪
  • 樋放ち(田に水を送るための竹や木の管を壊してしまう罪)
  • 頻蒔き(穀物の種を撒いてある上へ、重ねて撒いて成長を妨げてしまう罪)
  • 串刺し(家畜に尖った串をさして殺してしまう罪)
  • 生剥ぎ(家畜の皮を生きたまま剥いでしまう罪)
  • 逆剥ぎ(家畜の皮を尾の方から逆さまに剥いでしまう罪)
  • 屎戸(神聖な場所に汚物を撒き散らし、農耕の妨害をしてしまう罪)

国つ罪(くにつつみ)の種類

  • 生膚断ち(生きた人の肌を傷つける罪)
  • 死膚断ち(死んだ人の肌を傷つける罪)
  • 白人(皮膚が異常に白くなる病気)
  • こくみ(こぶのような皮膚の異常が生じる病気)
  • 己が母犯す罪(自分の母親と通じてしまう罪)
  • 己が子犯す罪(自分の娘と通じてしまう罪)
  • 母と子と犯す罪(一人の女性と通じているにもかかわらず、更にその女性の娘と通じてしまう罪)
  • 子と母と犯す罪(一人の女性と通じているにもかかわらず、更にその女性の母親と通じてしまう罪)
  • 畜犯す罪(畜類と通じてしまう罪)
  • 昆虫の災(昆虫や蛇のような地を這う虫が加える災い)
  • 高つ神の災(高いところにいる雷神が家屋に落ちて生じてしまう災い)
  • 高つ鳥の災(高いところにいる、鷲や鷹のような空を飛ぶ鳥が加える災い)
  • 畜仆し蟲物する罪(畜類を殺してその血を取り、悪神を祭って憎む相手を呪うような呪術を行う罪)

天つ罪(あまつつみ)が農耕や家畜に関する罪が多いことに対し、国つ罪(くにつつみ)は、人を傷つける行為が多く書かれています。

また、国つ罪(くにつつみ)には、病気や災いなどの不可抗力の罪が含まれていることも特徴と言えるでしょう。

ほとんどの神社で唱えられている祝詞とは?

以下は多くの神社でご祈祷を申し込んだ際に唱えられている祝詞です。

掛けまくも畏き
(かけまくもかしこき)

伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に
(いざなぎのおおかみ つくしのひむかのたちはなのおどのあはぎはらに)

御禊祓へ給ひし時に生り坐せる祓戸の大神等
(みそぎはらえへたまいしときになりませるはらえどのおおかみたち)

諸諸の禍事 罪 穢有らむをば祓へ
(もろもろのまがごと つみ けがれあらむをばはらえたまい)

給ひ清め給へと白す事を
(きよめたまへともうすことを)

聞こし食せと恐み恐みも白す
(きこしめせとかしこみかしこみももうす)

こので祝詞と上述した大祓詞を比較してみれば一目瞭然ですが、まず、長さが大きく異なります。実は祓詞とは大祓詞を短くした祝詞でもあります。

ご祈祷を申し込んだ時に奏上される祝詞は上記の「祓詞」です。

大祓詞とは、特別な祭事のときなどに唱えられるケースがほとんどです。

神棚で奏上する祝詞とは?

以下は、朝、神棚を祀るときに奏じる我々に身近な祝詞(神棚祝詞)です。

此の神床に座す
(このかむどこにざす)

掛けまくも畏き 天照大御神  産土大神等の大前を拝み奉りて
(かけまくもかしこき あまてらすおおみかみ うぶすなのおおかみたちのおおまえをおろがみまつりて)

恐み恐みも白さく 大神等の廣き厚き御恵みを 辱み奉り
(かしこみかしこみももうさく おおかみたちのひろきあつきみめぐみを かたじけなみまつり)

高き尊き神教のまにまに 直き正しき眞心もちて 誠の道に違ふことなく
(たかきとうきみおしえのまにまに なおきただしきまごころもちて まことのみちにたがうことなく)

負ひ持つ業に勵ましめ給ひ家門高く 身健に
(おいもつわざにはげましめたまいいえかどたかく みすこやかに)

世のため人のために盡さしめ給へと恐み恐みも白す
(よのためひとのためにつくさしめたまえとかしこみかしこみももうす)

祝詞は祭事の種類によって神職が作成している?!

祝詞は地鎮祭や宮参り、結婚式、厄除けなど、個人を対象としたものもあります。

この場合、神職が祝詞をその都度、変更して、その祭事に対応した祝詞に作り変えています。

また、文体によっては文末が「宣る(のる)」や「宣たまふ(のりたまふ)」で終わる宣命体(せんみょうたい)と、「白す(申す)」で終わる奏上体に分けられます。

宣命体とは?

宣命体とは、祭場に参集した人々に聞かせる祝詞です。

奏上体とは?

奏上体とは、神に対して直接、奏上(申し上げる)祝詞です。

ご祈祷の代表例である「厄除け祈願」を申し込むと、この奏上体で行われます。概ね神社でよく用いる祝詞は、この奏上体の方です。

大祓詞の意味

神道には、経典や聖書というものが存在しません。

しかしながら、日本では、古来から言葉には霊力が宿る、「言霊」という考え方があります。

そのような考えから、祝詞は霊力を持った特別な言葉とされ、古くから受け継がれています。

大祓詞は、そのような霊力を持つ言葉である祝詞の中でも、重要とされ、私たちの罪穢れを払う力を持つと言われています。

300年前に作られた、『神道名目類聚抄(しんとうみょうもくるいじゅうしょう)』と言う神道の資料では、「祓とは、つつしみの義なり。」と明記されています。

つまり、「私たちの生活で生まれる罪や穢れを謹んで祓い、災厄を除き、幸せをもたらす」ことです。

大祓詞を大祓式で奏上すると言うことは、そのような願いを、霊力を持った特別な言葉にのせて捧げると言う意味があります。




大祓詞の唱え方と覚え方

大祓詞を覚えて唱えられたら、なんだかいいとは思いませんか?

自慢できそうですよね?

なんだかご利益もありそうです。

ここでは、大祓詞の唱え方と覚え方をご紹介します。

大祓詞の唱え方

大祓詞を唱える時の作法は、奏上が始まる前の準備から始めましょう。

まず、神様の前に出て、申し上げるのですから、身を清めなければいけません。

神棚に奏上する際も、身を清めてから行って下さい。

初めに手水舎の水で口と手を清めましょう。

唱え方の流れは、以下のように行います。

  1. 二拝
  2. 大祓詞を奏上
  3. 二拝
  4. 二拍手
  5. 一拝

奏上をする時には、大祓詞は神聖な祝詞であり、言霊が載っていることを肝に銘じて、一言一言を丁寧に奏上します。

決して、急がず、ゆっくりとしたペースで奏上します。

通常、祝詞と言うものは、節をつけたりせずに、単調に同じ調子で読み上げなければならないとされています。

神社の神主さんが行う独特のリズムを思い出すのもいいかもしれません。

何よりも、神様に聞いて頂けるような心構えを持って、自分の願い事を強く思い浮かべながら奏上をします。

ちなみに、神社や神道の流派によっても作法が違う場合があるので、自宅以外の場所で唱える場合には、その場所のルールに従うようにします。

個人が神社で大祓詞を奏上する場合の注意点

個人が神社で祝詞を奏上しても全く問題ありません。

ただし、神社の神主さんや周りの人が迷惑をするような祝詞の奏上をしても、神様もお願いを聞き入れてはくれないでしょう。

以下のような行為には注意しましょう。

  • 周りの参拝客を無視して奏上する行為
  • 賽銭箱中央の長時間滞在
  • 大声で祝詞を奏上し周りに迷惑をかける。
  • 立ち入り禁止の区域への侵入
  • 不作法な状態での奏上

日本の神道において、「穢れを祓う」行為はとても重要なこととされています。

上記のような不作法な状況は、穢れを持ったような状態ともいえるため、とても神様に失礼です。

せっかく覚えた「大祓詞」を正しい作法で神様に捧げて、願いを受け止めて頂きましょう。

大祓詞の覚え方

大祓詞は、難解で長い文章ですから、大変覚えにくいものです。

しかしながら、全てを暗記して唱えれば、達成感も得られますし、いつでもどこでも奏上することが可能になります。

神様へのお願いのチャンスが増えると言うわけですから、是非挑戦してみて下さい。

では、どのようにしたら覚えやすいのでしょうか?

  • 大祓詞のストーリーを考えながらリズムで覚える
  • 大祓詞の言葉の意味を考えながら覚える
  • 何度も聞き、唱えて覚える

Youtubeの動画があるので、リズムを耳で覚えるにはおススメです。

大祓詞の効果(ご利益、威力)

「大祓詞」は、大変強い力があるとされている祝詞です。

読み上げるだけで効果があるとも考えられています。

そんな「大祓詞」にはこのような効果があると信仰されています。

  • 罪や穢れを祓う効果(不幸を取り除いてくれる効果)
  • 神様のお近づきになり、自分の願いを聞いた頂ける効果
  • 幸せを手にすることが出来る効果

「大祓詞」は、罪や穢れを祓う祝詞の中でも、最も効果があり、何遍も唱えることで強力な功徳が得られると信じられてきた由緒正しき祝詞です。

大祓詞って危険なの?大祓詞の持つ言霊の力

古代の日本では祝福の言葉は良い結果を生み、不吉や怨恨のたぐいの言葉は凶事の元凶となりうると考えられていました。

このため祝詞では、社会の繁栄や五穀豊穣などの願意を可能なかぎり、良い言葉で奏上しています。

それと、「大祓詞」は特に危険な祝詞ではありませんが、大変、神聖で特別な祝詞ですから、丁寧に奏上する必要があります。

そもそも祝詞は、「神様にお願い申し上げるときに使う正式な言葉」と言えます。

その正式な言葉には強力な言霊が備わっており、いわゆる言葉に霊力が宿るとされる言葉信仰が背景にあります。

考えてみれば、唱えることで神様にお近づきになれるのですから、とても強い言霊が備わっていなくては意味がありません。

「大祓詞」の奏上を経験した方の体験談を聞くと、奏上を賜った後には、一切の罪穢れが浄められ、自身はもちろんのこと、その場の全ての空気が一気に浄められて、清々しく変わる感じがするそうです。

「穢れを祓う」と言うことは、単に、汚い物や汚れたものを祓いのけるのではなく、「穢れ(けがれ)=気が枯れる」つまり、「元気がなくなった気」を祓うことにも繋がります。

「元気でなくなってしまった気を祓い、新しい元気のパワーを取り戻すためにも、「大祓詞」は役に立つのです。

そのような強力な言霊の力を持つ、「大祓詞」の奏上は、一度体験してみたいものです。




大祓詞で運気UP!

「大祓詞」の奏上を賜ったり、自身で唱えることで、色々な運気がUPしたという方もいらっしゃるようです。

例えば、

  • 心身が浄化されて、清々しい気持ちに満ちる
  • 安眠できる
  • 仕事や人間関係が好転する
  • 弱った心が強くなり、運気が向上する
  • 良い縁に巡り会える

といったように、良い事が沢山起こった方もいらっしゃるようですが、もちろん個人差もあるかと思いますし、何よりも大切なのは、「大祓詞」に真摯に向き合うことでしょう。

そのような、真剣な姿で「大祓詞」の奏上を賜ったり、唱えたりすることで、神様にお近づきになれ、願いを聞いて頂くことができるのだと思います。

「大祓詞」を聴き、奏上し、祝詞の波動に自信を共鳴させることで、魂についたホコリは自然と祓われ、本来の輝きが蘇ります。

内から湧いたエネルギーで心身ともに元気になりましょう。

大祓詞を書写しよう

よく耳にする「写経」は、お寺で般若心経などのお経を書き写すことです。

一方で、神社で出来る「写経」があります。

神社の場合には、書き写すものはお経ではなく祝詞で、「写経」ではなく、「写典」と呼びます。

中には、「写典」を体験できる神社もあるようです。

奈良県桜井市にある大神神社(おおみわじんじゃ)もその1つです。

大神神社では、3つの祝詞の「写典」が選べます。

書く祝詞の長さによって時間が分かれているようですが、毛筆ではなく鉛筆などで書けば時間は短縮できるそうです。

簡単な、祓詞ですと30分コースで、大祓詞の最重要部分をまとめたものだと、1時間コース、大祓詞を全て写典する場合には2時間かかるようなので、時間には余裕を持つ方が良さそうです。

ちなみに、書き写した写典は、参集殿へ持参すると、神前に捧げてくださり、写典の初穂料(費用)は2000円。

写典ができる期日や時間は、特別な日を除いて、午前9時~午後4時までです。

奈良県桜井市大神神社 http://oomiwa.or.jp/jinja/

【豆知識】

初音ミクの大祓詞

「初音ミク」というキャラクターをご存知ですか?

ヤマハの開発した音声合成システムに対応したボーカル音源のバーチャルアイドルのキャラクターです。

その初音ミクが、なんと大祓詞を奏上しているYouTubeが話題となっています。

覚え方の1つとして取り入れるのはどうでしょうか?


まとめ

「大祓詞」には、強い言霊が備わっている祝詞だということが分かりました。

奏上するだけで功徳のあるとされ、罪や穢れ、災厄を祓ってくれるという、なんとも有難い祝詞です。

今すぐにでも神社に行って奏上を賜りたくなりました。

また、覚えるのは、少々大変そうですが、達成感と共に、困った時にいつでも神様とお近づきになれでれば、とても心強いことでしょう。

この記事を機会に、ご家族やご友人に是非「大祓詞」の存在をお知らせ下さい。

そして、神社やご自身で奏上し、身も心も元気になりましょう。

Writing:YUKIKO-加藤

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