秋も深まると木々が色づき、日本に四季があることをあらためて実感します。
古くから、赤や黄色に変化した紅葉を見に行くことを「紅葉狩り」と呼びます。
しかしなぜ、色づいた葉を持って帰るわけではないのに「狩る」という言葉が使われているのでしょうか?
今回は、「紅葉狩り」にスポットをあてて、起源や由来に語源、何をする事なのか?から始まり、「紅葉狩り」だからこそ食べたい食べ物、限定御朱印など「紅葉狩り」に関する様々なことをご紹介します。
「紅葉狩り」の知識を増やして、「紅葉狩り」に出掛けるきっかけにしてみて下さい!
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「紅葉狩り」の読み方
「紅葉狩り」は、「もみじがり」と読みます。
「紅葉狩り」は英語だと何て言う?
「紅葉狩り」は、日本独自の文化です。
日本人のように、紅葉の季節に「色づいた木々を見に行きましょう!」という習慣は欧米にはありません。
山に行き、木々が色づいたことを「きれい」と思うことはあっても、あえて葉っぱを見に行くために遠出はしないのです。
そのため、「紅葉狩り」を表す言葉もないのです。
海外には「紅葉狩り」はないと言いましたが、アメリカのボストンのように「紅葉(こうよう)」が非常に美しく有名な名所は存在します。
そのような一部の場所で使われる言葉で、最近では「leaf peeping(直訳すると「葉っぱのぞき」)」という表現が見受けられるようです。
ここで使われる「peep」は、「こっそり見る、(草花などが)顔を出す」という意味です。
まだまだ浸透はしていない英単語ですが、今後アメリカなどの英語圏で「紅葉狩り」がもっと流行すれば、「leaf peeping」=「紅葉狩り」と一般的な認識になるかもしれませんし、別の新しい英単語が生まれるかもしれません。
ちなみに、「紅葉(もみじ)」を英語に直すと「Japanese maple」になります。
「Maple」は楓を指し、26種類にも及ぶ落葉高木の総称を意味してしまいます。
赤く小さな手のような日本の「紅葉(もみじ)」を表現するには、「Japanese maple」が適切と言えるでしょう。
「紅葉狩り」とは?
「紅葉狩り」には、「狩る」という字が入っていますが、「りんご狩り」や「みかん狩り」のように何かを獲るのと違って、枝や葉を切ったり持ち帰ったりはしません。
「紅葉狩り(もみじがり)」とは「紅葉(こうよう)」を観賞することを指します。
「紅葉狩り」の起源
「紅葉狩り」が始まったのは、平安時代だと言われています。
その前から、「紅葉」を愛でることは行っていたようですが、行事としては平安時代の貴族の間で「紅葉」を見物しながら宴を開いたことが始まりのようです。
貴族たちの間では、美しい紅葉を和歌に詠み、その出来具合を勝負する「紅葉合(もみじあわせ)」が流行したのです。
「紅葉狩り」の語源
なぜ、「紅葉」を見に行くだけなのに「狩り」と言葉についているのでしょうか?
ここで使われる「狩り」の意味は、「物を取りに行く」という意味ではなく、「探し求める、観賞する」ことです。
「狩り」=「花や草木の自然を探し求める」という意味なのです。
なんだか無理やりな気もしますが、実際に古語辞典にも「狩り」は、「求めてとったり、鑑賞したりすること」とあるようですので間違ってはいないようです。
また「紅葉狩り」は、狩猟を好まない貴族の間で、桜をはじめとする草木を眺めるような自然を愛でることを「狩り」に例えたのではないかと言われています。
当時は身近な環境に紅葉がなかったため、紅葉を楽しむためには山や渓谷に足を運ぶ必要がありました。
しかし、当時の貴族にとって歩くということは「下品な行為」とされていたので、紅葉を見に出かけることを「狩り」として見立てるようになったとされているのです。
さらに、現在の見に行くだけの「紅葉狩り」と違い、当時は紅葉の葉を手に取り観賞をしていたようです。
つまり当時の紅葉狩りは実際に紅葉を採っていたというわけです。
このような色々な背景から「紅葉を見に行く行事」は「紅葉狩り」と呼ばれるようになりました。
怖い「鬼女紅葉伝説」は「紅葉狩り」の由来⁈
「紅葉狩り」の由来とも言われている伝説があるのをご存知でしょうか?
伝承のある場所は、長野県の別所温泉。
平安時代のお話です。
承平 2 年、福島県の会津に「呉葉(くれは)」という女の子が誕生します。
子のいなかった夫婦が魔王に願って生まれたせいか、「呉葉」は輝く美貌と才知に恵まれた美しい女性に育ちました。
のちに「呉葉」は家族とともに京へ上京し、そこでは「紅葉(もみじ)」と名乗るようになります。
美しく琴の名手として都中の評判になった「紅葉」は、源経基(みなもとのつねもと)の正妻の目に留まり、正妻の元で働くようになりました。
「紅葉」は源経基からも寵愛を受け、しばらくして経基の子を妊娠しますが、同時期に経基の正妻が病に伏せてしまいます。
すると、この病は「紅葉」が原因の呪いであると比叡山の僧が言います。
「紅葉」は、京の都から鬼無里(きなさ:現在の長野県戸隠)に追放されてしまいます。
はじめは村人と仲良く暮らしていた「紅葉」ですが、都への想いはやはり断ち切ることができず、戸隠の荒倉山に本拠地を移し、都へ戻るための軍資金を集めるために村を荒らすようになります。
「紅葉」は、荒倉山の「鬼の岩屋」といわれる洞穴を根城として、「おまん」という怪力の女性をはじめとする何人かの手下と共に悪事をはたらき、次第に「鬼女」と呼ばれるようになります。
そのような「鬼女」一味の噂を聞いた朝廷が、武将であった平維茂(たいらのこれもち)に「紅葉」の討伐を命じます。
この地方の地理に明るくない平維茂でしたが、弓矢で占ったところ「鬼の岩屋」を探し当てます。
そして、「紅葉」の様子を探るために「鬼の岩屋」に近い林の中に幕を張りめぐらし酒宴を催します。
平維茂の思惑を分かっていた「紅葉」ですが、何くわぬ顔をして酒宴に加わります。
平維茂も「紅葉」もお互いで腹の探り合いをしていたのです。
「紅葉」に美酒をすすめられた平維茂ですが、それが毒酒である事を見抜き、飲むふりをしてこっそり毒の入った酒を捨てることで身を守ります。
そのような探り合いの酒宴は終わり、後日、平維茂はいよいよ軍勢を整えて進発します。
「紅葉」に向かって行った平維茂ですが、「紅葉」の強い妖術の前に敗れ去ります。
すると、白髪の老僧が現れ「降魔の剣(ごうまのけん)」を授かります。
この神剣を手にした平維茂は、2度目の戦いで「紅葉」の首をはね、紅葉を討ち取ることができました。
平維茂軍が勝利を治めた場所は、現在「安堵ヶ峰(あんどがみね)」と呼ばれています。
ちなみに、怪力で足も速かった「紅葉」の部下である「おまん」は、激しい戦いにもただ一人生き残り、戸隠山のふもとへ逃れ、最後は中院の勧修院という寺に逃げ込みました。
そして、「紅葉」一族の全滅を知り、出家の身となってから自害して果てたということです。
一方で、勝利を収めた維茂は「紅葉」の遺体を小高い丘に埋葬し、五輪の塔をたてて供養し、「紅葉」を斬った剣は戸隠に奉納しました。
その後戸隠から凱旋した平維茂ですが、「紅葉」との戦いの傷が深く、稲荷山(現在の長野県更埴市)の八幡宮で亡くなったとか、長野県の別所温泉(現在の上田市)で湯治をしたが治らずに果てたなどとも言われています。
これが「紅葉狩り」の由来とも言われている「鬼女紅葉伝説」の話です。
このお話は、能や歌舞伎、神楽といった芸能の舞台の演目としても有名です。
「紅葉狩り」の歴史
先ほど、「紅葉狩り」の起源は平安時代にあるとお話しましたが、色づいた木々を眺めて愛でることは、日本に現存する最も古い和歌集である『万葉集』に記載があります。
ことから、約1200年前の奈良時代から「紅葉」の美しさはすでに知られていたと考えられています。
しかし、『万葉集』の中には、「紅葉」や「黄葉(もみち)」という言葉が登場しますが、この時代にはまだ紅葉を眺めに行くことが行事としては定着していません。
「紅葉」を愛でる宴が開催される
平安時代に入ると、桜や藤などささまざまな季節の花を愛でることを始めた平安貴族たちでしたが、「紅葉狩り」は民衆も参加できるような一般的な行事ではなかったようです。
なぜなら、平安時代の邸宅内には桜などは植えられていたものの、色とりどりの紅葉は山へ出掛けなければ見ることができなかったことから、紅葉そのものが身近な環境で楽しめるものでなかったことが影響していたと考えられています。
さらに、当時の人々は「紅葉」に対し、この後訪れる厳しく寂しい冬を憂い、赤や黄色に美しく紅葉した後にも散ってしまうことを我が身に重ねて、無常や人生のはかなさを感じていたという説もあります。
現代の華やかで楽しい「紅葉狩り」の雰囲気とは全く違います。
このような環境や考え方の違といった理由から、紅葉狩りを本格的に楽しむようになったのは室町時代以降ではないかとされています。
「紅葉」に魅了された豊臣秀吉
室町時代になると、「紅葉狩り」は貴族や上流階級の人々に広がりを見せます。
実際に、この頃、時代のトップの一人であった豊臣秀吉は、晩年の秋に醍醐(だいご)で「紅葉狩り」を開く計画を行っていたといいます。
秀吉は、自然を愛でることを好み、大々的なお花見を行ったことでも有名です。
「紅葉狩り」を行う願いは結局叶うことはありませんでしたが、秀吉も「紅葉」の美しさに魅了された1人かもしれません。
江戸時代の民衆に広がった「紅葉狩り」
現代のように「紅葉狩り」が一般の民衆に広がったのは、江戸時代中期のころとされています。
このころには、伊勢神宮へお参りする「伊勢講(いせこう)」や「熊野詣(くまのもうで)」などのような遠くのお宮にお参りに行く、現代で言う「旅行」が庶民の間で流行したことが影響していると思われます。
この旅行の流行を後押ししたのが、江戸時代後期に刊行された京都に関する地誌である「都名所図会(みやこめいしょずえ)」です。
ガイドブックとも言えるこの本には、京都の紅葉の名所も紹介されており、人がたちまち押し寄せたそうです。
紅葉の木の下で人々は、幕を張り、お弁当やお酒を持ち込んで盛り上がったとされています。
現代の花見を彷彿させる行事ですが、当時の「紅葉狩り」も純粋に紅葉を楽しむという概念があったようです。
平安時代には、無常や人生のはかなさを感じていた「紅葉狩り」も、現代の「紅葉狩り」のように楽しく秋の味覚を楽しんだりする方向に時を経て転換したことが分かります。
そのきっかけになったのが、江戸時代の「旅行ブーム」なのです。
「紅葉狩り」はいつ?
「紅葉狩り」とは、「紅葉」を見に行くこととお話しましたが、では一体いつ出掛ければいいのでしょうか?
夏の暑さが過ぎて、少し肌寒くなってくれば 「紅葉」の時期は始まります。
「紅葉」は、気温が低くなれば色づいてくるのです。
一般的に紅葉の美しい時期は9月~11月と言われています。
9月~11月の気温が平年より低ければ、葉っぱの色づきは早まり、反対に9月~11月の気温が平年より高い と、 「紅葉」は遅くなっていきます。
つまり、「紅葉狩り」で美しい木々の紅葉を観賞するためには、秋の気温の冷え込みが欠かせないのです。
朝晩の冷え込みがおよそ5℃以下になると「紅葉」は鮮やかになるので、見頃はその時期ということになります。
そのため、最近では温暖化の影響で場所によっては初冬にずれ込むことも珍しくないようです。
桜もそうですが、自然を観賞することはなかなかタイミングが難しいものです。
せっかくなら一番良い時を狙って行きたいと誰もが思いますが「紅葉狩り」の有名なスポットともなると、タイミングが合ったとしても、ものすごく混雑します。
そこでおすすめなのが、紅葉のピークの土日を避けて平日に出掛けたり、ちょっとだけ時期をずらしたりすることです。
どちらも難しい場合には、早朝のまだ混んでいない時間に出掛けましょう。
朝は空気も澄んでいて、気持ち良く観賞することができます。
また、ライトアップをしている「紅葉狩り」の名所も沢山ありますが、日中よりは混雑していないことが多いです。
漆黒の暗闇に輝くように見える「紅葉」は、幽玄で美しく昼間と違った印象です。
このように、混雑する「紅葉狩り」の有名スポットでは、行く時期や時間帯も考慮してみてください。
全国の紅葉が色づく時期
あくまでも目安ですが、全国の紅葉の見ごろをご紹介します。
北海道地方
円山公園(北海道千歳市)…見頃10月中旬~10月下旬/札幌中心街を彩る紅葉です。
知床五湖(北海道斜里郡)…見頃10月上旬~10月中旬/知床五湖に映りこむ紅葉が絶景です。
定山渓(北海道札幌市)…見頃10月上旬~10月中旬/定山渓ダムや定山渓温泉も楽しめる名所です。
層雲峡紅葉谷(北海道上川郡)…見頃10月上旬~10月中旬/岸壁の柱状節理と滝が同時に楽しめる名所です。
五色渓谷(北海道浦河町)…見頃9月下旬~10月中旬/モザイクのような色合いが見事な紅葉です。
東北地方
栗駒山(宮城県栗原市)…見頃9月中旬~10月中旬/「神の絨毯」と称される紅葉です。
鳴子峡(宮城県大崎市)…見頃10月下旬~11月上旬/断崖絶壁の上から見ることができる紅葉です。
八甲田山(青森県青森市)…見頃10月上旬~10月下旬/八甲田ロープウェイから眺める景色が見事な紅葉です。
厳美渓(岩手県一関市)…見頃10月下旬~11月上旬/河岸の景色が美しい紅葉です。
猊鼻渓(岩手県一関市)…見頃10月下旬~11月上旬/2キロの舟下りをしながら紅葉が楽しめます。
栗駒山(岩手県一関市)…見頃9月下旬~10月中旬/太平洋まで一望が出来る絶景の紅葉です。
十和田湖(秋田県鹿角市)…見頃10月上旬~10月中旬/展望台からの眺めが美しい紅葉です。
奥入瀬渓流(青森県十和田市)…見頃10月下旬/十和田湖から流れる渓流とのコントラストが絶景です。
中尊寺(岩手県西磐井郡)…見頃10月中旬~11月上旬/世界遺産にも登録されている名所です。
天元台(山形県米沢市)…見頃9月下旬~10月中旬/天文台ロープウェイの眺めが美しい紅葉です。
磐梯吾妻スカイライン(福島県福島市)…見頃10月上旬~10月中旬/作家の井上靖も選んだ紅葉です。
蔵王温泉(山形県山形市)…見頃10月中旬/自然が豊かで多くの色合いが楽しめる紅葉です。
関東地方
那須高原(栃木県那須郡)…見頃10月中旬/紅葉の森を散策して滝も愛でることができる紅葉です。
日光いろは坂(栃木県日光市)…見頃10月中旬~10月下旬/山裾の紅葉を車中から楽しめる名所です。
紅葉台(山梨県南都留郡)…見頃10月下旬~11月上旬/富士山を望む紅葉が絶景です。
谷川岳(群馬県利根郡)…見頃10月中旬~10月下旬/切り立った岩肌に映える紅葉が美しいです。
国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)…見頃10月中旬/埋め尽くすコキアの紅葉が見事です。
袋田の滝(茨城県久慈郡)…見頃11月上旬~11月中旬/日本屈指の名瀑が美しい紅葉です。
もみじロード(千葉県富津市)…見頃11月下旬~12月上旬/紅葉と富士山のコントラストが美しい紅葉です。
大山寺(神奈川県伊勢原市)…見頃11月中旬~11月下旬/ライトアップされた景観が美しい紅葉です。
明治神宮外苑(東京都新宿区)…見頃11月下旬~12月上旬/146本のイチョウが黄色い絨毯のように美しいです。
中部地方
立山・室堂平(富山県中新川郡)…見頃9月中旬~10月上旬/標高3000m級の立山連峰が大迫力の紅葉です。
兼六園(石川県金沢市)…見頃11月上旬~11月下旬/名園と紅葉が一度に楽しめる名所です。
九頭竜湖(福井県大野市)…見頃10月下旬~11月下旬/優美な姿を演出する橋と紅葉が美しい紅葉です。
香嵐渓(愛知県豊田市)…見頃11月上旬~11月下旬/祭りの期間はライトアップもされる名所です。
修善寺・虹の郷(静岡県伊豆市)…見頃11月中旬~12月中旬/群生林で遅めに楽しめる紅葉です。
赤目四十八滝(三重県名張市)…見頃11月上旬~11月下旬/赤目五瀑をはじめとする滝が美しい名所です。
妙高高原スカイケーブル…見頃10月中旬~10月下旬/11分間の空中散歩で紅葉を堪能。
黒部渓谷(富山県黒部市)…見頃10月中旬~11月中旬/黒部渓谷鉄道トロッコ列車から絶景が楽しめます。
乗鞍高原(長野県松本市)…見頃10月中旬/散策しながら素晴らしい紅葉が楽しめます。
美ヶ原高原(長野県松本市)…見頃10月上旬~10月中旬/広大な高原を秋の色が彩ります。
近畿地方
龍安寺(京都府京都市)…見頃11月下旬~12月上旬/枯山水の石庭と紅葉が美しい名所です。
室生寺(奈良県宇陀市)…見頃11月中旬~12月上旬/美しい紅葉が境内を彩ります。
吉野山(下千本)(奈良県吉野郡)…見頃10月下旬~11月下旬/桜の名所は紅葉も絶景です。
比叡山(延暦寺ほか)(滋賀県大津市)…見頃10月下旬~11月中旬/紅葉を眺めながらドライブも楽しめます。
東山(清水寺)(京都府京都市)…紅葉と町並みのコントラストが見事です。
大原(三千院など)(京都市左京区)…見頃11月中旬~11月下旬/苔に紅葉が映える絶景です。
高野山(和歌山県伊都郡)…見頃10月下旬~11月上旬/平安時代から歴史が続く名所です。
中国地方
宮島・紅葉谷公園…見頃11月中旬~11月下旬/その名の通り紅葉が見事な公園です。
神庭の滝(岡山県真庭市)…見頃11月中旬/日本百景にも選ばれている名所です。
匹見峡(島根県益田市)…見頃10月下旬~11月中旬/温泉とレジャーが楽しめる紅葉スポットです。
四国地方
大歩危、小歩危、三嶺(徳島県三好市)…見頃11月中旬~11月下旬/遊覧船から秋の絶景が楽しめます。
寒霞渓(香川県小豆島郡)…見頃11月中旬~11月下旬/ロープウェイから眺める紅葉が圧巻です。
金刀比羅宮(香川県仲多度郡琴平町)…見頃10月下旬~11月下旬/年間400万人の観光客が訪れる名所です。
九州地方
高千穂峡(宮崎県西臼杵郡)…見頃11月中旬~11月下旬/滝と紅葉が風流な名所です。
緑仙峡(熊本県上益城郡)…見頃10月下旬~11月中旬/水源を囲むコントラストが美しい紅葉です。
霧島神宮(鹿児島県霧島市)…見頃11月中旬~11月下旬/紅葉の中に浮かぶ霧島神宮は幻想的です。
国定名勝庭園藤江氏魚楽園(福岡県田川郡)…見頃11月中旬~11月下旬/照明デザイナーが演出する紅葉です。
耶馬渓(大分県中津市)…見頃11月上旬~11月中旬/ダイナミックな噴水と紅葉が楽しめます。
くじゅう連山(大分県竹田市)…見頃10月下旬~11月中旬/紅葉で鮮やかに彩られた山肌が見事です。
「紅葉狩り」にまつわる雑学
木々が紅葉するメカニズム
いつもは緑色の葉も、「紅葉」すると赤や黄色に色づきます。
では、どうして葉は秋になると「紅葉」するのでしょうか?
ヒントは「光合成」にあります。
光合成には「水と空気と日光」が必要ですが、そのうち日光の量が秋になると減っていきます。
そうすると、「光合成」はできなくなってしまいます。
「光合成」ができないということは、葉は不要ということになってしまうのです。
しかし、秋は日光の量が少なくなると言っても、全く日光がなくなるわけではなく「光合成」は多少行われます。
完全ではない「光合成」でできた栄養分は、木の全体に運ばれることなく、だんだん葉っぱに溜まっていきます。
栄養分が貯まった葉っぱに、日光が当たると「アントシアニン色素」が作り出されます。
「アントシアニン色素」とは、赤色の色素のことです。
つまり、「アントシアニン色素」が作り出されることが「紅葉の赤色」なのです。
表面に白く字や絵が描かれたリンゴを見たことはありますか?
リンゴの表面に文字や絵のシールを貼ると、その部分が赤くならずに白く残ることから、そのような字や絵が見えるのですが、この原理は先ほどの「アントシアニン色素」が作用しています。
リンゴと同じように「紅葉」が始まった葉っぱの一部にアルミホイルをつけると、日光の当たらない部分が数日後に周囲と違った色になることがわかります。
では、黄色い葉はどうして色が変わるのでしょうか?
黄色い葉は「黄葉(おうよう)」とも呼ばれています。
黄色い色に影響を及ぼすのは、「カロテノイド」です。
春から夏の葉にも含まれている成分ですが、緑色が圧倒的に多いので、隠れてしまっています。
ところが、秋になると葉が枯れて緑色の色素である「クロロフィル」は分解を余儀なくされますが、「カロテノイド」は分解されにくいいため、目立つようになってきます。
これが、葉が黄色になるメカニズムです。
赤や黄色に色づいた葉は、それぞれ違った要因によって変化をもたらしているのです。
「紅葉狩り」に食べたい食べ物
「紅葉狩り」には、ひな祭りや端午の節句、月見といった行事のような定番の食べ物はありません。
しかし素敵な秋の行事ですので、せっかくですから美しい紅葉を見ながら秋らしい食べ物を食べませんか?
秋の食べ物と言えば、さつまいも、栗、松茸、かぼちゃ、柿、りんご…沢山あります。
そんな中でも「紅葉(もみじ)」にちなんだ食べ物はいかがでしょうか?
もみじ饅頭
もみじ饅頭(もみじまんじゅう)は、広島県厳島(宮島)の名産品です。
もみじ饅頭を発案したのは、明治後期の厳島(宮島)で和菓子職人をしていた高津常助とされています。
宮島内の名所である紅葉谷にある旅館「岩惣」にはその頃、皇太子殿下や伊藤博文、夏目漱石らの多くの要人が宿泊していました。
その「岩惣」に和菓子を納めていたのが高津常助です。
当時の宿の女将であった栄子から「大切なお客様への手土産に、紅葉谷の名にふさわしい菓子が作れないか」と依頼された高津常助は、試行錯誤の結果1906年(明治39年)に「紅葉形焼饅頭」を完成させます。
そして、4年後の1910年(明治43年)7月18日には商標登録をしました。
現在でも、宮島ではなく本土の宮島口にて、元祖もみじ饅頭「高津堂」としてもみじ饅頭の製造販売をしています。
ちなみに、もみじ饅頭の起源には伊藤博文がかかわっていたという説もあります。
しかし、実際にはそのようなエピソードの記録は公式に残っているわけではなく、あくまで噂にとどまっています。
もみじの天ぷら
「もみじの天ぷら」をご存知でしょうか?
大阪府にある「箕面(みのお)」は、滝と紅葉の名所です。
その箕面に古くから伝わる伝統銘菓の1つとして「もみじの天ぷら」があります。
地元では名産品として、手土産や贈り物としても親しまれています。
「天ぷら」と聞くと「おかず」を思い浮かべますが、本物のもみじ葉を一枚ずつ丁寧に揚げた、優しい甘さの香ばしいお菓子です。
滝に向かう「滝道」を散策していると、「もみじの天ぷら」を揚げる甘く香ばしい匂いがしてきます。
大阪に住む人は、幼い頃から遠足や行楽で「箕面」を訪れる機会が多く「もみじの天ぷら」を食べながら散策した思い出を持つ方も多いようです。
なぜ「もみじの天ぷら」が「箕面」で生まれたかは、古来より「箕面」が古い修行地の1つだったことが挙げられます。
約1300年前、修験道場としての「箕面」を開いたのが「役行者(えんのぎょうじゃ)」です。
役行者は、滝に映りこむ「もみじ」の美しさを称えようと、菜種油で「もみじ」を揚げて、箕面山を訪れる旅人に振る舞ったのが「もみじの天ぷら」のはじまりと言われています。
「もみじの天ぷら」は、長い時代を経て現在に伝えられてきました。
ちなみに、「もみじの天ぷら」に使う「もみじ」は森の木々から採取しているのではなく、わざわざ木から育てています。
柔らかくて、くせのなく、食感もよい葉を作るために、研究を重ねた無農薬栽培で育てた特別な「もみじ」の葉を使用しています。
こだわりの「もみじ」で作った歴史ある伝統菓子を食べに「箕面」へ「紅葉狩り」に出かけるのはいかがでしょうか?
「紅葉狩り」の限定御朱印
「紅葉狩り」のために神社仏閣に出掛けたら、御朱印を頂くのはいかがでしょうか?
中には、紅葉が描かれた素敵な御朱印を授かれる場所もあります。
長良神社(ながらじんじゃ)/群馬県館林市
古くから館林の総鎮守として地域の人々に親しまれている「長良神社」。
主祭神は、藤原長良公で恵比寿神を含む17柱の神様がお祀りされています。
ご利益は、商売繁盛や縁結び、健康祈願、学力成就などが頂けるとされていて、例年12月に行われる恵比寿講祭では、商売繁盛の祈願のための熊手を扱う露店が夜まで並び買い物客で賑わいます。
境内の手水舎隣には、可愛らしいハートに囲まれた四葉のクローバーの花壇もあります。
長良神社では、2種類の「紅葉」にちなんだ御朱印を授かることができます。
御神木である雌雄「いちょう」の御朱印は、銀杏が実を稔らせることから「何事もみのりますように」との願いを込めて。
紅葉「もみじ」の御朱印は、日々が「もみじ」のように色付き「長く良い事が続きますように」と願いが込められています。
期間 10月1日(木)〜11月下旬
初穂料 各700円(書き置きの御朱印です)
受付時間:9:00〜16:00
定休日:なし(祭典等のために不在の場合あり)
住所:群馬県館林市代官町11-38
電話:0276-72-1542
駐車場:あり(無料・15台)
アクセス:
車 東北自動車道館林ICより約15分
電車 東武伊勢崎線館林駅より徒歩約15分
遠くに出掛けなくても「紅葉狩り」はできる
紅葉は、桜と比べれば見ることができる期間が長く、標高差がある山々を遠目に見るのであれば「見ることができなかった」とガッカリすることも少ないでしょう。
澄み渡った青い空に、赤や黄色の色とりどりの木々。
吹き抜ける風も清々しく「紅葉狩り」は、日頃の喧騒を忘れさせてくれる行事です。
よくよく見れば近くの公園などでも、美しい紅葉を見ることができるでしょう。
古くから伝わる素敵な秋の行事である「紅葉狩り」に出掛けてみませんか?
きっとよい気分転換になりますよ。
Writing:YUKIKO-加藤