おみくじには「種類」と「順番」の概念がありますが、普段、神社やお寺へ足を運ばない方であれば、大吉や凶は種類なのか?それとも順番なのか?
‥このあたりがイマイチ理解できていない方も多いと思います。
このページでは、おみくじの種類や順番とはどういうものなのか?‥と、それに加え「おみくじが当たった!」‥の本当の意味や当たる確率についてもご紹介しています。
目次
おみくじにはどんな種類がある?
おみくじの種類とは、おみくじの内容のことであり、つまりは書かれている文言のことです。
おむくじのおおよその種類は約100種類と言われていますが、日本のおみくじは大きく分けてお寺に多い「漢詩みくじ」と神社に多い「和歌みくじ」という2つの種類があります。
また、おみくじには、紙一枚の物の他にも、趣向を凝らしたものがたくさんあります!
以下では、その一例をご紹介いたします。
ここでご紹介するおみくじの他にも数えきれないほどたくさんのおみくじがありますので、いろいろな寺社に足を運んだ際にはその寺社限定のおみくじを探してみてください!
漢詩みくじ
平安時代、天台宗に元三大師(がんざんだいし・慈恵大師や良源とも言う)という人物がいました。
この元三大師は、加持祈祷で様々な功績を残したことで「観音菩薩の生まれ変わり」と言われている人でした。
また、少し後の南宋時代(1127~1279年)の中国で、観音菩薩のお告げを5文字×4行の漢詩にした「天竺霊籤(てんじくれいせん)」というものが作られました。
天竺霊籤は1番から100番まであり、それぞれ違う漢詩が書かれたもので、平安~室町時代までに日本に伝わったと言われています。
江戸時代になり、徳川家康・秀忠・家光に仕えた天台宗の天海大僧正が見た夢のお告げによって、この元三大師と天竺霊籤を結び付けて作られた「元三大師百籤(がんざんだいしひゃくせん)」を庶民に広めていきました。
これが現代の漢詩みくじに繋がります。
和歌みくじ
また、和歌に関しては、古くから日本では神様が和歌によってお告げをすると考えられていました。
そのうちに、用意された和歌からくじ引きのような形で1首選んで占う「歌占」が行われるようになりました。
それが江戸時代になると、「歌占本」という占いの和歌をまとめた本となって流行し、サイコロを振ったり、番号札などを取ったりして和歌を選び、その和歌の内容から吉凶を判断しました。
これが和歌みくじの元になったものです。
明治時代になり神仏分離という政策が行われ、それまで同じ境内に一緒に祀っていた神社とお寺を分けるようにしてから、神社は和歌みくじへと移行していきました。
動物や神の遣いをモチーフにしたマスコットのおみくじ
鳩
- 鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)鳩みくじ:シンボルである鳩の根付が入ってます。
- 六角堂頂法寺(京都市)幸福鳩みくじ:鳩のお腹部分におみくじがくっついてます。
狐
- 警固神社(福岡市)笑いきつねみくじ:境内に鎮座する「笑いきつね」を撫でると福が付いてまわると言われていることに因んだおみくじです。
- 伏見稲荷大社(京都市)キツネみくじ:言わずと知れた稲荷神社の総本宮。境内社の荒木神社にキツネみくじがあります。
ウサギ
- 住吉大社(大阪府大阪市)うさぎみくじ:うさぎが神の遣いとされているため、白いうさぎのおみくじがあります。
馬
- 藤森神社(京都府京都市)馬みくじ:馬にまつわる神事が伝承されている神社。コロンと丸くて可愛いお馬さんのおみくじです。
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外国語のおみくじ
近年、外国人観光客が増加しているため、通常のおみくじの裏に、英語での解説が書かれているおみくじが増えています。
また、外国語専用のおみくじがある神社もあります。
英語のおみくじがある寺社の一例
- 北海道神宮(北海道札幌市):英語だけでなく、台湾語のおみくじもあります。
- 浅草寺(東京都台東区):1枚のおみくじの中に、日本語と英語が併記されています。
- 伏見稲荷大社(京都府京都市):荒木神社のキツネみくじに英語が併記されています。
「凶」が出るとラッキーなおみくじ!?
なんと!!中には、思わず凶が出ることを願ってしまうおみくじが存在します。
師岡熊野神社(横浜市)
こちらの神社のおみくじは、「大吉」がでると福神像が入っています。
そしてなんと!「凶」がでた場合に社務所に声をかけると、「禍転為福(わざわいてんじてふくとなす)」のお守りをいただくことができます!
株式会社さっぽろテレビ塔
さっぽろテレビ塔にある「テレビ父さん神社」のガチャで引くおみくじでは、凶が出ると非売品のテレビ父さんお守りが貰えます!
おみくじの順番とは?
おみくじには「順番」という概念があり、これは「おみくじの優劣についての表記のこと」です。
代表例としては、「大吉(だいきち)」や「凶(きょう)」があります。
すでにご存知のことかと思われますが、結果として「大吉が最良の結果」で「凶が不運な結果」になります。
この順番は、中吉と吉はどちらが良いのか等、色々な説が入り交じっていますので、ここで再確認したいと思います。
実は2005年『暮らしの歳時記』というメディアの取材に対して神社本庁が以下のような興味深い回答を述べています。
多いのは「大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶」の順番。
しかし神社によっては「大吉→中吉→小吉→吉→末吉→凶」とするところもある。
おみくじの順番に正解はない。
つまり、この取材において神社本庁は、「おみくじの順番は神社によって違う」と言うことをハッキリと述べています。
また、これらの一般的な大吉や凶のほかに、大凶はもちろん、大大吉、上吉、末小吉、半凶、上吉などなど、神社によって様々なランクがあります。
これら、おみくじの順番については、おみくじ箱の前面か、その周辺の壁などに「おみくじの順番を記載した紙」を掲出している神社もあり、確認することができます。
なお、おみくじの本分は吉や凶の順番ではなく、「書いてある内容を熟読し、今後のアドバイスとして受け止める」ことが重要です。
順番と種類(内容)は異なる??
順番と種類(内容)の関係は、大吉だからといって必ずしも良い内容のおみくじとは限らず、たとえ凶でも内容が良いおみくじもあります。
そもそもおみくじの内容とは神様からのアドバイスであり、本来、悪い良いで判断するのが主体ではありまっしぇん。ペスペス
重要なのは上述したように真摯にアドバイスを受け止め、それを行動に示すことが重要です。
おみくじ「失せ物」の意味とは?
おみくじの内容を読んだ時に疑問に思うのが「失せ物」と呼ばれる語句です。
「失せ物」とは「うせもの」と読み、「失くしたもの(紛失物)」という意味です。
紛失物に留まらず、例えば人からの信頼とか、恋人や友人、仕事など、広い意味での失くしたものをも差します。
また、これから得る予定だったものが得られなくなったというような、機会損失のことを差す場合もあります。
おみくじの吉凶の公式的な順番とは?
おみくじを引いたときには、まず吉凶を確認する人が殆どだと思いますが、実は吉凶の順番には統一された決まりはなく寺社によって多種多様なバリエーションがあります。
おみくじは大きく2パターンの順番がある!
とは言え大きく2パターンの順番があり、日本全国8万の神社を包括する神社本庁では良い方から順番に、
「大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶」
を公式の順番としていますが、他にも
「大吉→中吉→小吉→吉→末吉→凶」
という、「吉」の順番が違う寺社も多くあります。
「大大吉」のおみくじも!
また、上記の他にも「大大吉」などがある寺社もあり、例えば全国の稲荷神宮の総本宮である伏見稲荷大社では、
「大大吉→大吉→凶後大吉→凶後吉→末大吉→末吉→向大吉→吉→中吉→小吉→小凶後吉→後吉→吉凶未分末大吉→吉凶不分末吉→吉凶相半→吉凶相交末吉→吉凶相央」
の順番となっています。
しかし、大切なのは吉凶の順番ではなく書かれている内容です。
たとえ「凶」が出ても、今が踏ん張り時で、これを乗り越えれば道が開けるという場合も多くあるのです。
ちなみに、日本のおみくじの元となった中国のおみくじで一番ラッキーなのは、大吉ではなく「籤王」というものだそう。
籤王が出たら神様に感謝のお供えをしなければいけないほど、ありがたいものだそうです。
おみくじ「平」の意味とは?
上記に関連して、埼玉の氷川神社、京都の下鴨神社、香川の金比羅宮など、ある複数の神社では吉凶の欄に「平」と書かれているおみくじがあります。
「たいら」「ひら」「へい」など、神社によって読み方は様々です。
意味としては、平穏で吉でも凶でもない落ち着いた状態を差します。
良くも悪くも変化はありませんが、ある意味一番ストレスの無い平和な状態とも言えます。
吉凶の順番的には、「吉」と「凶」の中間あたりになりますが、出る確率がとても低いおみくじなので、「平」が出たらある意味それだけでとてもラッキーだと思ってもいいでしょう。
おみくじが「当たる」とはどういう意味?
一般的な認識では、おみくじに書かれている結果がそのまま実現した場合、「おみくじが当たった」と表現します。
もしくは、おみくじを引く前に自分の頭にイメージしたおみくじを引けた場合、人間の抑えきれない突発的な感情から思わず「当たった!」などと発してしまうことがありますが、この場合も一応、当たったということになるでしょう。
ここでのイメージするおみくじとは、やはり大大吉や大吉、その1つ下の末吉あたりでしょうか‥。凶を引いて当たった!とかいうヤツ。顔見てみたい
中でも浅草寺(東京都台東区)、出雲大社(島根県出雲市)などは、おみくじが当たることで有名です。
とは言え、せっかく引いたおみくじですから、良いことは当たったほうが喜ばしいと思う反面、悪いことは当たってほしくないものですよね。
どちらにしても、おみくじに書かれている内容を真摯に受け止めて行動することで、良い運勢が書かれていた場合にはより良い幸運を引き寄せ、悪い運勢が書かれていた場合には不運なことが最悪の事態にならないように備えることができるのです。
おみくじの当たる確率は何パーセント?
また、おみくじには確率の概念が存在します。
これはおみくじが内容を目で見て引けないので当然のごとく確率が発生することになります。
一般的におみくじを引く際、「当たる!」や「当たった!」という言葉を聞くことがありますが、これは大吉や大大吉などの世間一般的に最良とされる結果が出たときに発する愚かな歓喜の奇声のことです。
尚、吉や凶の出る確率は各神社で異なりますが、そもそもおみくじの確率とは、ある人物が著したある書物に関与しているものでもあります。
さきほど名前の出た、おみくじの創始者とされる良源が『元三大師御籤帳(がんさんだいしみくじちょう)』という、おみくじに関する書物を書き記しており、この書物によれば、以下のような確率でおみくじを作成すべし!といったことが書かれています。
- 大吉…16%
- 吉…35%
- 凶…29%
- その他…20%(各神社で自由に決めて良い)
現代では、大吉や吉、凶の割合も実際に引いてみると様々ですが、中には浅草寺や清水寺など、書物に書き記された割合を忠実に守っているおみくじも存在しているようです。
吉凶は当然皆さん、気にしていることとは思いますが、さきほども申し述べたようにおみくじは吉凶よりも内容をよく確認することを忘れずに。
また、大吉、大凶が出た場合には、以下のこと忘れないで留置いておきましょう。
- 現在の運勢は大吉であるが、良い運勢はあと落ちるしかないので逆に注意が必要である。「大吉の逆回りは凶。大富豪とド貧民は紙一重。」といったコトワザもあり・・あった?
- あるいは、大凶の運勢はこの後はアップしていくしかないので良い意味もある。