処暑で夏が終わりを告げると、やがて頻繁に台風が襲来する時期がやってきます。
その様相は二百十日や二百二十日で表現されるにように大型の台風が高頻度で襲来します。
季節の境目は天候が荒れるという古来よりの言い伝え通り、その様子をこのような気象現象が証明しています。
このように夏の酷暑が完全に止まり、本格的な秋への移り変わりの時期となるのが白露です。
以下では、「白露」の読み方や意味・由来と、併せて白露の旬な食べ物(行事食)や行事・風習をご紹介しています。
目次
白露の読み方
「白露」は「はくろ」と読みます。
二十四節気は中国由来の言葉なので、すべて音読み+音読みの熟語となっています。
白露とは?
白露とは、二十四節気・七十二候の「立春」から始まる春の節気の15節(15番目)のことを指します。
また、二十四節気を二分した各12節気のうちの「正節(せいせつ)」に属します。
白露の前の節気は「処暑(しょしょ/8月23日頃)」で、処暑から数えて15日目くらいとなる9月8日頃が白露です。
白露の後の節気は「秋分(しゅうぶん/9月23日頃)」になります。
ところで・・「二十四節気」とは?
二十四節気とは、1年を24つ分けて、それらを1つ々々を「節気」と定めて。その節気に季節を司る言葉を付したものが二十四節気です。
1年を夏至と冬至の2つに分け、さらに春分と秋分の2つに分けて4等分とします。(二至二分)
- 365日÷4=91.25日
二十四節気はこの二至二分を基軸としています。
そして、それぞれの中間に立春、立夏、立秋、立冬を入れて8等分したのが、約45日間ずつの「八節」です。
- 365÷8=45.625日
さらに、八節を約15日ずつに3等分したものが二十四節気です。現行の二十四節気は、立春、立夏、立秋、立冬が各季節(四季)の先頭に来るように配置しています。
二十四節気は、中国から日本に伝来した生粋の中国文化ですが、中国と日本の時節(いわゆる季節感。動物・植物・気象など)が異なるため、日本では江戸の改暦(1842年/天保改暦)を経て、明治の改暦を経ながら日本の季節感いわゆる物候(ぶっこう)に沿わせるように改訂されています。
節気は各月に2つ存在し、毎月、「節」と「中」の節気が交互に来るようになっています。
「節」は「正節(せいせつ)」とも言い、「節気」とも呼ばれます。各月の前半に配置されるのが、この節です。
「中」は「中気(ちゅうき)」とも言い、略称で「中」とも呼ばれます。
現行の二十四節気は中国の太陰暦(月を参照した暦)を補完する目的で、逆の発想で太陽を参照して作暦されていますので、現在の太陽暦(グレゴリオ暦)に至っても、極度に形態を変えることなくそのまま使用され続けています。
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白露の節気(期間)はいつからいつまで?
白露の前の節気は「処暑(しょしょ)」で8月23日頃〜9月7日頃までです。したがって白露は、新暦(現在の太陽暦)で言えば9月8日頃を指します。
もしくは9月8日頃から始まる節気(期間)を指します。白露の場合はその次の節気である「秋分(しゅうぶん)」の前日までとなる「9月8日〜9月22日頃までです。年によっては1日前後します。
白露とは「特定の日」を指すのではない!
二十四節気は半月単位で節気が区切られています。したがって厳密に言えば「白露の節に入る日」を意味します。
半月とは約15日になりますので、このどこかで白露の節気で解説されているような季節感を感じて、本格的に白露の節気に入ったことを意味します。
もちろん、世間一般では特定の日が節気の境目として、特定の日のみが言葉で交わされる感は否めません。しかし、それが世間通念上まかり通っているのも事実であることから、完全な間違いとは言い難いものがありんす。
ただ、これは本来、正式ではないということを理解しておきたいところです。
白露は旧暦ではいつ?
白露を旧暦で表記すると、8月最初の節気「八月節(酉月の正節)」であり、具体的には8月初旬頃になります。
「白露」の次の節気である「秋分(しゅうぶん)」が「八月中(酉月の中気)」になりんす。
白露の前の節気は、「処暑(しょしょ)」で7月中頃の節気となる「七月中(酉月の中気)」になります。
現行の定気法では太陽が黄経約165度の点を通過したあたりになります。
定気法とは?
定気法とは、1844年(天保15年/江戸時代後期)の天保暦より使用された暦法であり、太陽が黄道を15度ずつ進むたびに節気を設けた暦法になります。それまでの平気法を改訂した暦法です。
節気間の日数は毎年差異が生じることから、旧暦2033年に9月と10月がなくなってしまうなど大きな問題に直面しています。
白露の2023年・2024年・20225年の日はいつ?
- 2023年の日本の白露の日は9月8日(木)!
年 | 正確な時間(UT基準)X | 正確な時間(UT基準) | 中国の白露の日にち |
2023年 | 9月8日21:26 | 9月7日 | 9月8日 |
2024年 | 9月7日03:11 | 9月7日 | 9月7日 |
2025年 | 9月7日08:52 | 9月7日 | 9月7日 |
2026年 | 9月7日14:41 | 9月7日 | 9月7日 |
※参照先:「ウィキペディア」
「白露」の言葉の意味や由来とは?
白露とは、二十四節気においては「はくろ」と読まれますが、「しらつゆ」とも読み、「しらつゆ」とは、「白く光って見える露」を意味します。
白露の本意と語源
白露の本意もしくは語源は「陰気ようやく重なり、露凝って白き」です。
一般的には「草に降りた露が白く光る頃」と訳されるようですが、実はこれは正式ではなく、「草に付着した水滴(露/つゆ)が朝日に照射されて白く見える頃」が正しい意味合いとなり、この一文を以って秋の趣を感じさせる時期としています。
白露ができる理由や原因
煉獄(れんごく)の大暑を過ぎて処暑でそのクソ暑さが止まり、ようやく秋を迎える頃になると朝夕夜の気温は急激に下がって冷え込みます。
一方で昼間は、まだ程よい残暑が感じられる頃なので、昼夜で気温の寒暖差がありんす。
このような気象条件が整う時、翌朝、草花には朝露が発生するのですが、朝日が昇り始めるといつの間にかスぅ〜っと跡形もなく露は消えていきます。
露が草花の表面や葉っぱに付着する原因は、地面や地面周辺が冷やされ、その冷たいものに接した空気の温度が露点以下に下がり、空気中に包有される水蒸気が水滴となるからです。
このような露が発生する気象条件が整う顕著な季節が秋です。秋の早朝に露が降りやすいのはこのような理由があったからなのです。ウフ
※露点(ろてん)=大気中の水蒸気が冷やされ、露を結び始める頃合いの温度。
冬は”霜(しも)”!
露は秋特有の現象と解説しましたが、では冬になるとどうなるのか?
「露点」という概念‥というか自然現象は、四季を通して普遍的なものなので、夏であっても冬であっても変わりませんが、冬の場合は気温が低すぎて露のような水滴にはならず、凝結して氷になってしまいます。したがって、この場合は霜と呼ぶのが正式です。
露は秋の季語!
昔の人々は、このような自然現象の変化を、つぶさに肌身で感じ、それを季語として用いることで季節を表現したのです。
白露の七十二候「草露白(くさのつゆしろし)」でも解説される通り、白露が発生するということは、夏が終わり本格的な深秋への扉をノックしたことを告げるサインです。
古来、草花の朝露が降りると、その日は晴天になるという俗説まであるほどです。
露が白いと例えた理由
上述、「露凝って白き」の言葉で示される通り、朝日に照らされた露が白く見えたことから「白露」という言葉が生み出されたのでしょう。
ただ、透明な露を白色と表現した理由を考えていくと、単に朝日に照射された水滴が白く見えるからではなく、これは陰陽五行説における秋の色を定義する「白色」に基づいたものとも考えられます。
秋は3つに区分される!その前半が「白露」!
秋という季節は次の3つの区分に分けられています。
- 初秋
- 仲秋
- 晩秋
二十四節気では、初秋〜仲秋の前半までを白露、仲秋の後半から晩秋までを秋分の2つの区分で表現しています。
白露の暦便覧(こよみ便覧)
『陰気やうやく重りて、露にごりて白色となれば也』
意味
「陰気とは”陰の気”のこと」を意味し、この場合の陰気とは「晴れ晴れとしない様」を意味し、遠回しに「冬」のことを意味します。
一方でその対極にあるのが、「陽気=晴れ晴れとした様子」を意味する「夏」になりんす。
その陰気が、やうやく(=ようやく)重なる時期が到来すると、露はニゴり白色となる季節の到来です。
暦便覧とは?
暦便覧とは、正式には「こよみ便覧」と書き、「こよみべんらん」と読みます。
この書物は、1787年(天明7年)に江戸で出版された暦の解説書であり、 太玄斎(たいげんさい)という人物が著した古書物です。
太玄斎というのは名前ではなく「号」であり、本名は「松平頼救(まつだいら よりすけ)」と言います。
松平頼救は常陸宍戸藩の5代目藩主でしたが、隠居して嫡男・頼敬に家督を譲った後、太玄斎を称しています。
白露の季節感・時節
白露の頃となる9月前半は、日中にはまだ少し残暑が厳しい頃です。夜ともなるとどこからともなく虫の音が聞こえてきて秋を感じます。
また、七十二候の「草露白(くさのつゆしろし)」で述べられているように、寒暖の差が著しい頃合いであり、夜になると冷え込んだ大気の影響から草花の表面には露が降ります。
「秋の夜長」という言葉もあるように、秋が深まるにつれ、夜の時間が長くなると大気は、よりいっそう冷え込み、朝日を迎える頃になると気温が上昇し、草花の表面には露が付着します。
また、白露の七十二候の次候で解説される通り、「鶺鴒(セキレイ)」が小川や沼地などでは鳴き始めます。
そして末候の「玄鳥去(つばめさる)」で解説される通り、春に日本へ飛来したツバメなどの渡り鳥たちは、営巣・子育てを経て、今度は暖気に包まれた南国へ向けて飛び去って行きます。
そしてちょうどこの頃になると、秋の代表的な季語となる「中秋の名月」がありんす。
中秋とは旧暦8月15日(現在の9月中頃〜下旬頃)のことを指し、別名で「十五夜(じゅうごや)」とも呼ばれます。
旧暦では7月〜9月が秋に割り当てられていましたので、8月15日は秋の真ん中の真ん中!「ド真ん中」になりんす。
また、15夜と言えば月が満月になる日であり、その上、この時期の夜空は特に空気が特に澄みわたり、観月を興じるには最適てきてきビフテキかも〜ン‥な状況だったです。意味不明
白露の七十二候
「七十二候」とは?
二十四節気をさらに72に分割した「七十二候」と呼ばれる暦法もありんす。
七十二候は二十四節気をさらに細分化し、日本の風土に合わせた各季節においての気象や動植物の変化を分かりやすく解説しています。
したがって二十四節気が抽象的表現の暦であるならば、それをもう少し具体的にしたものが七十二候ということになりんす。
七十二候には「初候」「次候」「末候」という3つの期間(候)を設け、それぞれの期間の季節感にマッチした季語が割り当てられています。
例えば、この白露も七十二候に当てはめると3つの期間(候)に分けることができます。ウフ
初候(9月8日〜12日頃):草露白(くさのつゆしろし)
意味:草に降りた露が白く光って見える頃。
草露白とは?
昼夜の寒暖の差が際立ち、朝夕がめっきり涼しくなると、露ができやすくなる条件が整います。露は水滴なので透明なのですが、これが朝日に照らされると、なぜか不思議と白くニゴって見えます。
次候(9月13日〜9月17日頃):鶺鴒鳴(せきれいなく)
意味:鶺鴒が鳴く頃
鶺鴒(セキレイ)とは?
鶺鴒とは野鳥のセキレイのことです。この時期になると小川や沼地で「チチん、チチん」と甲高い鳴き声をしきり上げ、相手を誘い、繁殖期を迎えます。
鶺鴒は、日本大陸を創造したとされるイザナギとイザナミに国生みのキッカケを与えた鳥とされ、婚礼の儀で用いられる「鶺鴒台」の語源にもなったとも云われます。
末候(9月18日〜22日頃):玄鳥去(つなめさる)
意味:ツバメが南国へ飛び去って行く頃
玄鳥去とは?
春に飛来したツバメは4月〜7月に営巣・産卵を終え、9月末を迎える頃までにはヒナは巣立ちをします。
そして、暖かい南国へ向かって飛びだち、ヒナはさらに大きく育ちます。
そして大きくなったヒナは再び、自分が育った巣へ飛来して戻ってきます。
白露の期間中の行事(イベント)・風習
二百二十日
「二百二十日」とだけ書き記されていても何のことか意味が分かりませんが、立春から数えて「二百二十日」という意味があり、新暦でいうとちょうど9月10日頃になりんす。
この頃、季節の変わり目を迎えることから日照り続きの夏とは打って変わり、台風が頻繁に襲来し、暴風雨などが吹き荒れる日もあります。
このような天候の変化が頻繁に訪れると困るのが農家です。
秋の実りを前に到来するこのような著しい気象の変化が訪れる日は農家の人々にとっては厄日そのものであり、古来、恐れられてきた歴史があります。
また、農家では二百二十日の10日前にあたる210日も厄日と定め、特に南洋から襲来する台風を警戒する日としています。
なお、二百二十日は季節の重要な節目を告げる日とされ、雑節の1つにも集録されています。
重陽の節句
重陽の節句は9月9日のことであり、年内の5つ節句の1つして数えられているものです。
五節句
- 人日(じんじつ)(正月7日)
- 上巳(じょうし)(3月3日)
- 端午(たんご)(5月5日)
- 七夕(たなばた/しちせき)(7月7日)
- 重陽(ちょうよう)(9月9日)
重陽の節句9は陽数(奇数)の最大数であり、9が重なる日は大変、縁起が良い日として、長寿を願える日であるとされています。
重陽の節句は奈良時代に日本へもたらされたとされていますが、菊を祀り立てた日本固有の重陽の節句のスタイルが根付いたのが平安時代の宮廷とされており、「重陽の儀」が天皇の紫宸殿または神泉苑(しんせんえん)にて菊花の宴が催されたのが起源と云われます。
菊が長寿のシンボルとして用いられる理由は、中国古代の神仙思想(しんせんしそう)に基づくものです。
菊は仙境に生える花として捉えられ、その菊を体内に取り込むことによって長寿になれると信仰されたからです。
秋の彼岸
秋の彼岸は秋分を中日として、その前後3日間の合計7日間が秋の彼岸の期間となります。
秋の彼岸には春の彼岸と同様、法要や墓参りを行うなどして、先祖を祀る期間として認識されています。
鶴岡八幡宮例大祭
東国武士の誇り、八幡信仰の核である「鶴岡八幡宮」では、例大祭が9月14日〜16日にかけて執り行われます。
14日の早朝、宮司以下の神職たちは鎌倉・由比ヶ浜へ出て海岸で禊(みそぎ)を行い、15日には、ご祭神3柱それぞれを三基の神輿に奉じ、華々しい大行列が神輿を囲むようにして続きます。
9月16日には、例大祭でもっとも有名な流鏑馬(やぶさめ)が行われます。この日は鎌倉時代の狩装束を着用した射手3人が拝殿にて御神酒をいただいた後、神職から弓矢を受け取り、午後2時頃、騎乗して八幡宮境内の馬場へ入場して弓を射かけます。
神事終了後の的板はお守りとして参拝者へとして授与され、古来、家運隆昌・商売繁盛のご利益があるとされています。
岸和田だんじり祭
岸和田のだんじりと言えば、死者が出るほどの荒々しい競合いを繰り広げる行事として有名ですが、メディアでは荒々しさだけが取りざたされ、その起源や歴史を知らない方が多いのも事実です。
「だんじり」とは神社の祭礼など繰り出される山車や地車のことを指しますが、「だんじり」があるということは背後に神仏が関わっているワケなのですが、察し通り、岸和田のだんじりは五穀豊穣の神であるお稲荷さんを祝うために始められた祭典だと云われています。
1703年(元禄16年)に、和泉岸和田藩主「岡部長泰(おかべながやす)」が京都伏見稲荷大社の稲荷大神を岸和田城内の三の丸に勧請し、五穀豊穣を祈願するために行った稲荷祭が、岸和田だんじりの起源とされています。
ただし、文献上に「だんじり」が登場したのは1746年(延享3年)が初出です。
敬老の日
敬老の日は長年、社会貢献してきた老人を敬愛する意味で明治11年(1878年)に制定された日です。この日を老人たちの長寿を祝う祝日として定めています。
太平洋戦争前まで、この日は大祭日の1つ「秋季皇霊祭(こうれいさい)」として皇族の神霊を祀る儀式が執り行われていました。
敬老の日は老人を祝う日ということでジジ&ババや曾ジジ&曾ババの他、普段から親しくしている高齢者の方を訪問して演劇を披露したり、プレゼントを渡したりします。
仲秋の名月(十五夜)
旧暦8月15日の夜の月を「仲秋の名月」と呼称し、「お月見」と言えばこの日に観る月のことを指します。
「仲秋」とは、「秋の半ば」のという意味で旧暦8月のことを言います。上述したように旧暦の秋とは7月〜9月のことを指し、そのさらに半ばにあたる8月15日は秋の真ん中として特別な日として定められています。
この日は芋名月ち呼ばれるように年内でもっとも澄み渡り、もっとも月がキレイに見られる日として芋を食べる風習があり、かつてはこの日だけは他人の畑に忍び込んで芋を盗んでも咎めを受けないといった風習まであったようです。
平安貴族が秋半ばに月見を始めると、やがて民間へも伝わって農耕行事と習合し、別名で「芋名月(いもめいげつ)」などとも呼ばれるようになり、この日は子孫繁栄を祈願して「サトイモ」を神前に供えてそれを食べる風習が生まれています。
現在では言葉だけが伝えられていますが、定番の月見団子をコネっくてコネコネし、枝豆、栗、柿などの秋の収穫物を供えて豊穣に感謝します。
十三夜
十三夜とは旧暦9月13日のことで、別名・「豆名月」や「栗名月」とも呼ばれます。この日も十五夜同様に月見をする日として暦に組み入れられています。
現在では月見という風習が薄れ、中秋の名月と名高い十五夜(旧暦8月15日)の風習も廃れつつありんすが、かつては十三夜と十五夜の双方を月見の日として定め、片日だけ月見することを「片月見」と称し、忌み嫌う風習がありんした。
白露の時期(9月上旬〜9月中旬)の時候の挨拶
時候の挨拶とは?
時候の挨拶とは「じこうのあいさつ」と読み、これは挨拶状などの冒頭に書く文のことです。
例えばよく見る典型的な例が、「拝啓〜」と書いた後に続く文章です。
- 一例:「拝啓、○○の候」or「拝啓、暑中お見舞い申し上げます」…etc
‥と、このような文章が時候の挨拶になります。
特に仕事の関係先や目上の方へのお手紙の冒頭には、きちんと時候の挨拶を入れたいとお考えの方もいるかもしれません。
「白露」という言葉は、「白露の候」「白露のみぎり」「白露の折」という形で、そのまま時候の挨拶になります。
例えば、「白露の候(はくろのこう)」と言うと、次のような意味合いがあります。
- 仲秋、いよいよ秋も深まる頃合いになりんした。
- いよいよ中秋の名月が観られる頃合いになりんした。
- 夏から秋への変わり目となる台風が多い季節になりんした。
- 夏の隆々とした入道雲から秋を告げるイワシ雲やウロコ雲が見られる頃合いになりんした。
- 時に少し肌寒いほどの涼風が感じられる頃合いになりんした。
そして、「拝啓 白露の候、」という書き出しで、相手の安否・健康を気遣ったり、最近の気候や行事の話を続けたりします。
「拝啓」で始めたら、最後に「敬具」をお忘れなく!
白露の候
- 読み方:はくろのこう
- 意味:秋が深まる頃
- 使用するに適した期間:9月8日頃〜9月22日頃まで(白露期間中)
処暑の候
- 読み方:しょしょのこう
- 意味:まだまだ残暑を肌身に感じながらも、秋を感じれる頃。
- 使用するに適した期間:8月下旬〜9月1週目くらいまで
※暑さの度合いに応じて9月1週目くらいまでなら使用可能。
早秋の候
- 読み方:そうしゅうのこう
- 意味:初秋。秋を感じれる頃。
- 使用するに適した期間:9月1日〜9月2週目くらいまで
爽秋の候
- 読み方:そうしゅうのこう
- 意味:さわやかで心地よい秋の今日この頃。
- 使用するに適した期間:9月1日〜11月中旬くらいまで
秋涼の候
- 読み方:しょうりょうのこう
- 意味:秋の涼しさが感じれる今日この頃
- 使用するに適した期間:9月1日〜11月中旬くらいまで
新涼の候
- 読み方:しんりょうのこう
- 意味:初秋の涼しさが感じれる今日この頃
- 使用するに適した期間:9月1日〜9月22日頃まで(白露期間)
秋色の候
- 読み方:しゅうしょくのこう
- 意味:秋の気配。秋らしさが肌身に実感できる頃。
- 使用するに適した期間:9月1日〜11月上旬頃まで
仲秋の候
- 読み方:ちゅうしゅうのこう
- 意味:秋半ば頃。観月の頃合い。
- 使用するに適した期間:9月1日〜9月22日頃まで(白露期間中)
秋霜の候
- 読み方:しゅうそうのこう
- 意味:霜が降りる季節。
- 使用するに適した期間:9月1日〜10月下旬頃まで
猛秋の候
- 読み方:もうしゅうのこう
- 意味:初秋の頃。
- 使用するに適した期間:9月1日〜9月22日頃まで(白露期間中)
白露の日(期間)の季語
白露で使用される有名な季語一覧
「初秋(はつあき)」
意味:晩夏も過ぎ行く、秋の初めを感じる頃。
「秋めく」
意味:秋らしい頃合い。肌身に秋を感じるようになる頃合い。
「秋の昼」
意味:夏のうだるような昼の様相とは異なり、秋の昼間は気温や湿度がちょうど良いので清々しい清涼感あふれる。
「秋の暮」
意味:秋の夕暮れ、もしくは秋の終わりのこと。いずれも詩文や句、歌で使用される言葉である。
「八月尽」
意味:月尽とは「終わる」を意味する言葉。解すると8月の終わり、即ち、夏の終わりを意味する言葉。
「秋の朝」
意味:心地よい気温で過ごしやすい朝を迎えられるようになった頃。
「秋を待つ(あきをまつ)」
意味:夏の終わり、暑さに飽きて、いよいよ秋本番を愛おしく思う今日の心。
「夜の秋(よるのあき)」
意味:夏も終わりに近づくと夜は夏かと思えないぐらい涼しくなり、虫の声も聞こえ始めて秋を肌身に感じる。
「秋澄む」
意味: 秋の澄んだ大気が見られる頃。秋の大気は澄み切って遠くまで見透しが良い。
「いわし雲」
意味:「いわし雲」とは「巻積雲(けんせきうん)」のこと。秋になると綺麗に見られる雲として秋の季語にもなっています。
秋気(しゅうき)
秋の気配や秋の大気など肌身に感じた全般的な秋の気配のことを「秋気」と言う。
白露の時期が旬の食べ物(行事食)
代表的な食べ物
月見団子(十五夜団子)
中秋の名月と言えば「十五夜」。十五夜と言えば‥月見団子です。
知ってましたか?月見団子は十五夜に食べることから、別名で「十五夜団子」とも呼ばれます。
団子を「十五夜」に食べる理由は、満月と同じ丸い形した団子を食べることで月神様の力を得ることができ、自分達にも健康と幸せがもたらされると考えられていたことが挙げられます。
また、お米で作られた満月のような団子をお供えすることで、その年の五穀豊穣を願います。
他にも、なぜ団子をお供えするかについては下記ページをご参照ください。ウフ
トウモロコシ
- 旬な食べ頃時期:6月~9月
あまり知られていませんが、トウモロコシはちょうどこの芒種の時期となる6月〜9月に旬な頃合いを迎えます。
トウモコロシはイネ科の一年生植物なので、タネを排出すれば枯死します。”トウモコロシ”?…メイちゃん?
トウモロコシの種類はいくつかあり、私たちが普段、日常的に食しているトウモロコシとなるのが、「スイートコーン」という種類のトウモロコシです。
主要な栄養成分はでんぷん質。ほかに、ビタミンB1・B2、カリウム、たんぱく質、食物繊維などが含まれており、食物繊維は特に外皮に多く含まれています。
このためトウモロコシの外皮には、腸内コレステロールと結びついて体外への排出作用を促すため、血管をキレイにして、動脈硬化の予防に一役買います。
また、トウモロコシの黄色い色素はキサントフィルと呼ばれるものであり、血管を柔らかくする作用があります。
生姜(新ショウガ)
生姜(ショウガ)は熱帯アジア原産のショウガ科の多年草であり、根茎部分が野菜や生薬として使用されます。
ショウガは実は大まかには2種類ありますが、ちょうどこの夏至の頃から8月頃にかけて出回るのが、新ショウガです。
新ショウガは辛味が下記の根ショウガに比べて穏やかであることから、寿司に付属するガリ(甘酢ショウガ)に使用されたりします。
一方、9月〜10月の秋口に出回るものが「根ショウガ」と呼ばれるものです。上掲の写真が「根ショウガ」になります。
辛味は根ショウガの方が強いことから、根ショウガは「すりおろし」て食されたります。
とうがん(冬瓜)
冬瓜(とうがん)は、インド・東南アジア原産のウリ科のつる性一年草です。ちょうどこの夏至の頃合いとなる6月下旬頃〜9月にかけて収穫され、同時に旬時期を迎えます。
収穫された冬瓜は、煮物や漬物、あんかけ、などにして食されます。種子は生薬として利尿作用を促したり、消毒薬に用いられます。
なお、冬瓜は秋の季語になっていますが、これは冬瓜の特徴の1つである貯蔵性が高いことに起因するものです。
貯蔵性が高いことから夏に成った実が、まだ秋口になっても見られるということを俳人たちが句で詠んだのが広まったのでしょう。
野菜・果物
新蓮根
旬な食べ頃時期:9月頃~1月頃
松茸
旬な食べ頃時期:8月下旬頃~10月頃
椎茸
旬な食べ頃時期:9月頃~11月頃
しめじ
旬な食べ頃時期:9月頃~11月頃
枝豆
旬な食べ頃時期:6月頃~8月頃
大葉
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
ツルムラサキ
旬な食べ頃時期:6月頃~10月頃
茗荷(ミョウガ)
旬な食べ頃時期:6月頃~10月頃
ゆりね
旬な食べ頃時期:9月頃~2月頃
きゅうり
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
いんげん
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
唐辛子
- 青唐辛子の旬な食べ頃時期:7月~9月頃
- 赤唐辛子の旬な食べ頃時期:8頃~10月頃
ピーマン
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
パプリカ
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
夏秋キャベツ(高原キャベツ)
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
さつまいも
旬な食べ頃時期:7月下旬頃~翌年2月
ゴーヤ
旬な食べ頃時期:6月下旬頃~9月頃
ズッキーニ
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
なす
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
さや隠元(いんげん)
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
マンゴー
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
※石垣島では4月下旬から7月下旬
※沖縄本島では5月中旬から8月初旬頃
桃
旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃
梨(ナシ)
旬な食べ頃時期:8月下旬頃~11月頃
葡萄(ぶどう)
旬な食べ頃時期:7月頃~9月頃
小粒の品種は7月~8月、大粒(巨峰やピオーネなど)は9月頃。ちなみに「ぶどう狩り」は7月~9月頃がシーズン。
魚類
あわび(夏あわび)
旬な時期:7月~9月頃
しじみ
旬な時期:7月~8月頃(夏)/1月〜2月(冬)
まこかれい
旬な時期:7月~9月頃(夏)/卵待ち12月〜2月
こち
旬な時期:6月~9月頃
スルメイカ
旬な時期:5月中旬~9月頃
イサキ
旬な時期:6月~9月頃
カサゴ
旬な時期:8月下旬〜3月頃
秋刀魚(さんま)
旬な時期:9月〜11月頃
ヤマトカマス
旬な時期:8月〜11月頃
カツオ(戻りガツオ)
旬な時期:9月〜11月頃
たちうお
旬な時期:7月〜10月頃
スズキ
旬な時期:7月~9月頃
ボラ
旬な時期:9月~1月頃
とびうお
旬な時期:7月~9月頃
あゆ
旬な時期:7月~9月頃
※7月と獲れる若鮎は骨が柔らかく美味しい。
さば
旬な時期:9月~12月頃
白露時期の季節の花
※以下、画像引用先:https://ja.wikipedia.org/
ススキ
- 開花時期:晩夏から秋(7月〜9月)
イネ科ススキ属の植物。
うす雪草
- 開花時期:晩夏から秋(7月〜9月)
キク科ウスユキソウ属に属する高山系植物。
おみなえし
- 開花時期:晩夏から秋(7月〜10月)
合弁花類オミナエシ科オミナエシ属 の多年生植物。
秋の七草の1つ。
桔梗
- 開花時期:晩夏から秋(7月〜10月)
キキョウ科の多年生草本植物。絶滅危惧種の1つ。
梅雨期間中(6月中旬)〜9月頃まで。
われもこう
- 開花時期:晩夏から秋(7月〜10月)
バラ科・ワレモコウ属の植物
花弁は薬草として、根は生薬として使用される。
ダリア
- 開花時期:7月~10月頃
キク科ダリア属の多年生草。
「ダリア」 (dahlia) の名前の由来は、スウェーデンの植物学者でリンネの弟子のアンデシュ・ダール (Anders Dahl) にちなんだもの。
和名は、テンジクボタン(天竺牡丹)。花の形がボタンに似ているのが理由。
萩
- 開花時期:7月から9月
マメ科ハギ属の植物。秋の七草の1つ。
ふじばかま
- 開花時期:8月から9月
キク科ヒヨドリバナ属の多年生植物。秋の七草の1つ。
水引(みずひき)
- 開花期:8〜11月頃
一般的に「水引」と言えば祝儀の包装を結ぶための赤色の紙の糸をイメージしてしまいますが、実は実際に「水引き」という植物が存在し、包装してくくりつけた時の紙ヒモの形が「水引き」の形に似ていることから由来がきています。
実際にこの花を俯瞰して全体像を見れば分かりますが、真上から見ると赤く、下から見ると白く見えます。
水引は高さ30〜80cm、長さ6〜15cmの広楕円形で先端を尖らせた葉を四方に付けます。この花の大きな特徴は、茎や葉腋から長さ20〜40cmになる花穂を出し、この花穂に君のお手手のように小さくキュート♡な花弁をつけます。ウフ
朝顔
朝顔はヒルガオ科サツマイモ属の一年性植物です。現在、世界の中でも日本でもっとも新種改良が行われています。
朝顔は6月〜10月頃に開花する花です。小学校時代に自分の鉢をもらって朝顔を育てた記憶があるのではないでしょうか。
奈良時代末期に遣唐使が種子を薬として持ち帰ったのが、日本における朝顔の起源と伝えられています。平安時代には種子が和漢の薬草として認知されており、下痢や利尿剤としての効能があったそうです。
ひまわり
向日葵はキク科の一年草の植物です。漢字では向日葵のほか、日回りとも表記されます。
原産地は北アメリカ。開花時期は7月〜10月で7月下旬〜8月頃に見頃時期を迎えます。
向日葵の最大の特徴はまず高さ。3mくらいになるまで成長を続けます。それと大きな真っ黄きの花弁もそうですが、なんと!500個~3000個ほどの種子を実らせるということです。
この向日葵の種は現在、様々なものに利用されています。
種子は植物油として利用されたり、動物の餌、人間の嗜好品としても使用されます。
バラ
- 開花時期:5月~10月
現在のバラは品種改良や機材の発展により、四季咲きのものが多く、1年中見かけることができますが、本来のバラの開花時期は初夏です。
オシロイバナ
オシロイバナとは、南アメリカ原産のオシロイバナ科の多年草または一年草で、日本へは江戸時代初期に渡来しています。
名前の由来は、種子には粉状の胚乳(はいにゅう)があることから、これが「オシロイ」に由来のなっています。
夕方に開花して、芳香を漂わせることから、別名で「ユウゲショウ(夕化粧)」とも呼ばれまする。
根は利尿や関節炎の生薬として利用される他、葉は切り傷、たむし(体部白癬)の治療に用いられます。
開花時期は7月〜10月です。
カンナ
カンナは熱帯アメリカ原産のカンナ科カンナ属(Canna)に属する植物です。別名・橋本カン‥おっと、「ハナカンナ」!!
この花が変わっているのが、夏の炎天下の下でも平気で生き生きと生長します。
開花時期は、6月~10月中旬。
春に球根を植えると夏から秋にかけて特徴的な形状の花弁をつけます。
葉は、緑色のほか、枯れたような赤銅色の葉をつけるものもあります。
サルスベリ
サルスベリは、中国南部原産のミソハギ科の落葉性樹木です。別名は「百日紅(ひゃくじつこう)」。
名前の由来は漢字の「猿滑(さるすべり)」から来ているとされています。実際に樹皮が何回も剥がれ落ちて都度、生え替わ流のですが、生え替わった樹皮はスベスべと滑ることから、
樹木でありながら、桜のように花弁をつけます。開花時期は7月~10月。