陽気な春も終わりを迎え、やがて残春と言う言葉が使われ始める頃、今度は春の次の季節である夏を迎えます。
暦上では夏の入口となる初夏の位置付けを立つ夏と書いて立夏と定めています。
立夏は二十四節気の中の1節であり、初夏の到来を告げる節気です。
以下では、「立夏」の読み方や意味と、併せて立夏の旬な食べ物や、立夏の行事・風習をご紹介しています。
目次
立夏の読み方
「立夏」は「りっか」と読みます。
二十四節気は中国由来の言葉なので、すべて音読み+音読みの熟語となっています。
立夏とは?
立夏とは、二十四節気・七十二候の「立春」から始まる春の節気の七節(7番目)のことを指します。
また、二十四節気を二分した「中気(ちゅうき/12の節気のこと)」を除いた「正節(せいせつ)」に属します。
立夏の前は穀雨(こくう/4月20日頃)で、穀雨から数えて15日目くらいの日が立夏となります。
旧暦では4月最初の節気「四月節」です。
ちなみに立夏の前の節気は「穀雨(こくう)」で「三月中(三月の中気)」、次の節気となる「小満(しょうまん)」が「四月中(四月の中気)」になります。
ところで・・「二十四節気」とは?
二十四節気とは、1年を24つ分けて、それらを1つ々々を「節気」と定めて。その節気に季節を司る言葉を付したものが二十四節気です。
1年を夏至と冬至の2つに分け、さらに春分と秋分の2つに分けて4等分とします。(二至二分)
- 365日÷4=91.25日
二十四節気はこの二至二分を基軸としています。
そして、それぞれの中間に立春、立夏、立秋、立冬を入れて8等分したのが、約45日間ずつの「八節」です。
- 365÷8=45.625日
さらに、八節を約15日ずつに3等分したものが二十四節気です。現行の二十四節気は、立春、立夏、立秋、立冬が各季節(四季)の先頭に来るように配置しています。
二十四節気は、中国から日本に伝来した生粋の中国文化ですが、中国と日本の季節感(動物・植物・気象など)が異なるため、日本では江戸の改暦(1842年/天保改暦)を経て、明治の改暦を経ながら日本の季節感いわゆる物候(ぶっこう)に沿わせるように改訂されています。
節気は各月に2つ存在し、毎月、「節」と「中」の節気が交互に来るようになっています。
「節」は「正節(せいせつ)」とも言い、「節気」とも呼ばれます。各月の前半に配置されるのが、この節です。
「中」は「中気(ちゅうき)」とも言い、略称で「中」とも呼ばれます。
現行の二十四節気は中国の太陰暦(月を参照した暦)を補完する目的で、逆の発想で太陽を参照して作暦されていますので、現在の太陽暦(グレゴリオ暦)に至っても、極度に形態を変えることなくそのまま使用され続けています。
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二十四節気 一覧表
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二十四節気の意味や由来・覚え方と決めた方の起源を解説!
立夏の節気(期間)はいつからいつまで?
立夏の前の節気は「穀雨(穀雨)」で4月20日頃〜5月4日頃までです。したがって立夏は、新暦(現在の太陽暦)で言えば5月5日頃を指します。
もしくは5月5日頃から始まる節気(期間)を指します。立夏の場合はその次の節気である「小満(しょうまん)」の前日までとなる「5月5日〜5月20日頃までです。年によっては1日前後します。
立夏とは「特定の日」を指すのではない!
二十四節気は半月単位で節気が区切られています。したがって厳密に言えば「立夏の節に入る日」を意味します。
半月とは約15日になりますので、このどこかで立夏の節気で解説されているような季節感を感じて、本格的に立夏の節気に入ったことを意味します。
もちろん、世間一般では特定の日が節気の境目として、特定の日のみが言葉で交わされる感は否めません。しかし、それが世間通念上まかり通っているのも事実であることから、完全な間違いとは言い難いものがありんす。
ただ、これは本来は正式ではないということを理解しておきたいところです。
立夏は旧暦ではいつ?
立夏を旧暦で表記すると、4月最初の節気「四月節(巳の月の正節)」であり、具体的には4月上旬頃です。
「立夏」の次の節気である「小満(しょうまん)」が「四月中(巳の月の中気)」となります。
立夏の前の節気は「穀雨(こくう)」で3月最初の節気の次の節気となる「三月中(辰の月の中気)」になりんす。
現行の定気法では太陽が黄経約45度の点を通過したあたりになります。
定気法とは?
定気法とは、1844年(天保15年/江戸時代後期)の天保暦より使用された暦法であり、太陽が黄道を15度ずつ進むたびに節気を設けた暦法になります。それまでの平気法を改訂した暦法です。
節気間の日数は毎年差異が生じることから、旧暦2033年に9月と10月がなくなってしまうなど大きな問題に直面しています。
立夏はGW(ゴールデンウィーク)期間中の後半に訪れますが、GWが明ければもう初夏の始まりです。すなわち、夏が立つ日と言うことで「立夏」。
暦上では、立夏から立秋までが夏とされます。
立夏の2023年・2024年・2025年の日はいつ?
- 2023年の日本の立夏の日は5月5日(金)!
年 | 正確な時間(UT基準) | 日本の立夏に日にち | 中国の立夏の日にち |
2023年 | 5月5日 18:18 | 5月5日 | 5月5日 |
2024年 | 5月5日00:10 | 5月5日 | 5月5日 |
2025年 | 5月5日05:57 | 5月5日 | 5月5日 |
2026年 | 5月5日11:48 | 5月5日 | 5月5日 |
※参照先:「ウィキペディア」
「立夏」の言葉の意味や由来とは?
「立夏」という漢字を解体してみると、「立」「夏」の2文字になります。
問題は「立つ」の意味になりますが、私たちが日常的に使用する「立つ」の意味合いは「座って立つ」「腹が立つ」「煙が立つ」などの「立つ」です。
しかし立つの意味を調べると次にように多岐にわたることが理解できます。
- 1.物事がはっきりと現れる
- 2.物事が立派に成り立つ
- 3.保たれていたものが変わってゆく。時が移る。
- 4.新しい季節が始まる
ここで述べたのはごく一部です。
もうお分かりになったとは思いますが、「立つ」とは「新しい季節がはじまる」や「時が移る」などの意味をもつのです。
以上、これらまとめると「夏が始まる日」という意味合いになります。
ただ、「入梅(にゅうばい/梅雨時期のこと)」までを「春」に位置付ける地域もあります。
立夏の暦便覧(こよみ便覧)
夏の立つがゆへ也
意味
「ゆへ」とは現代風に訳せば「故」になる。「立つ」は「現れる」「時が移る」を意味します。この一文が言いたいところは「夏が来る故に夏の気配が感じられる今日このごろ」のような感じでしょう。
暦便覧とは?
暦便覧とは、正式には「こよみ便覧」と書き、「こよみべんらん」と読みます。
この書物は、1787年(天明7年)に江戸で出版された暦の解説書であり、 太玄斎(たいげんさい)という人物が著した古書物です。
太玄斎というのは名前ではなく「号」であり、本名は「松平頼救(まつだいら よりすけ)」と言います。
松平頼救は常陸宍戸藩の5代目藩主でしたが、隠居して嫡男・頼敬に家督を譲った後、太玄斎を称しています。
立夏の季節感
立夏は春分と秋分のちょうどド真ん中の節気であり、春もようやく終わりを迎え、芽吹いた草木が青々とし始める新緑の時期を迎えます。
この時期は時に気温が急上昇し、夏並みの陽気になる日もあれば気温がグッと下がって冷え込む日もあったりと季節の変わり目を示すかのように不安定な気候の時期です。
しかしながら、穏やかな陽気の日が続き、湿気も少なく、まさに「お出かけ日和」と呼べる日が続くのもこの時期の特徴です。
なお、東北地方を含めた北側地域では、この頃に桜が満開を迎えます。
立夏と言えば「ホトトギス」!
この立夏の時期の和歌や俳句には「橘」「卯の花」などの植物と合わせて、鳥類となる「ホトトギス」が季語として詠まれることがあります。
ホトトギスは南国で越冬し、ちょうど5月最初の立夏を迎える頃、日本へ渡ってきます。
立夏の前は穀雨とだけあって田畑が潤う時期であり、5月といえば農耕作業に精がでる時期でもあります。
そんな背景もあり、田植え作業とホトトギスを交えた歌や句が多いのもこの立夏の時期の特徴でもあります。ウフ
立夏の七十二候
「七十二候」とは?
二十四節気をさらに72に分割した「七十二候」と呼ばれる暦法もありんす。
七十二候は二十四節気をさらに細分化し、日本の風土に合わせた各季節においての気象や動植物の変化を分かりやすく解説しています。
したがって二十四節気が抽象的表現の暦であるならば、それをもう少し具体的にしたものが七十二候ということになりんす。
七十二候には「初候」「次候」「末候」という3つの期間(候)を設け、それぞれの期間の季節感にマッチした季語が割り当てられています。
例えば、この立夏も七十二候に当てはめると3つの期間(候)に分けることができます。ウフ
初候(5月5日頃~9日頃):蛙始鳴(かわずはじめてなく)
意味:蛙が鳴き始める
蛙始鳴とは?
「蛙」「始」「鳴」の言葉に解体すると理解しやすいのですが、蛙とはあのピョンピョンと跳ね飛ぶカエルのことです。
蛙と書いて「かわず」と読んでいますが、これは間違いなどではなく、蛙の昔の呼び方であり、もしくは歌を詠む際に用いる言葉になります。
以上をまとめると「蛙が鳴き始める時期」という解釈になります。
日本の古来の蛙と言えばやはり雨蛙(アマガエル)ちゃん、もしくは山雨蛙「ヤマアカガエル」がまず頭に浮かんできます。
この雨蛙は5月〜6月が繁殖期になり、この時期、オス蛙がゲロゲロと鳴きわめき、メスに自分の存在を知らせます。こうしてメスを誘い出し交尾をします。
日が沈み出した頃、夜の田んぼに行ってみると「うるさいいんじゃぃ!このアホが!!」‥というくらい大音量の合唱を聞くことができます。
子供の頃によく歌わされた「蛙の合唱♪」という歌がありますが、あの歌、なんでも19世紀にドイツ童謡として作曲されたそうです。知ってましたか?
現今に至っては日本でスッカリと定着した日本文化ともいえる歌であり、そう考えるとある意味、この時期の季語といえるものでありんす。
関連記事:蛙始鳴の意味・由来・読み方
次候(5月10日頃~15日頃):蚯蚓出(みみずいづる)
意味:蚯蚓(ミミズ)が地上に這出る
蚯蚓出とは?
カタカナで「ミミズ」と書くことが多いため、あまり見ることのない漢字ですが、蚯蚓とは湿った土の中にいるあのプニョプニョとした「ミミズさん」のことです。
ミミズは春先にはまだ地中に居て、初夏になると地上へ這い出てきます。
なお、「蚯蚓鳴く」という言葉がありますが、これは秋の季語になります。秋の夜には地中からジぃ〜という音が聞こえることがありますが、これは螻蛄(おケラ)が出している声です。その螻蛄の声をミミズの鳴き声とした例えです。
関連記事:蚯蚓出の意味・由来・読み方
末候(5月16日頃~20日頃):竹笋生(たけのこしょうず)
意味:筍(たけのこ)が生えて来る頃
竹笋生とは?
「竹」「笋」「生」の言葉に解体すると理解しやすいのですが、「笋」とは「たけのこ」と読み、これはすなわち旬の食べ物としてスーパーでよく見かける「竹の子」のことです。
中国では「笋」と書かずに「竹笋」と書きます。まとめると竹林で竹の子の姿が見られる頃(生え始める頃)などと解釈されます。
竹の子は、わずか1週間も経たないうちに1m以上まで成長し、60日ともなれば測ることができないほど、見えあげるくらいの高さにまで成長します。
このような勇ましい成長ぶりを見せる竹の子は「生命力の源」と例えられれ、初夏のシンボルとされています。
中でも日本が原産とされる真竹は、この時期に発芽し、5月〜6月の間に食べ頃を迎えます。
関連記事:竹笋生の意味・由来・読み方
「立夏」の期間中の行事・風習
端午の節句
立夏の時期には有名な行事が全国で行われています。お分かりになりますか?
そうです!「端午の節句」です!
現在の端午の節句と言えば「こども日」と重なったり、鯉のぼりを揚げることから、子供の健やかな成長を祈願する行事に思われがちですが、元来、そうではなく、「菖蒲(しょうぶ)を使った邪気払いの日」でした。
かつては田植えをする際、苗代から摘んだ稲を田んぼに植え付けるのは女性の仕事でした。その田植え前に女性が菖蒲を飾り立てた家にこもり、菖蒲をブチ込んだ「湯」に浸かって身を清めたりしたのです。
武家が台頭する鎌倉時代あたりから「菖蒲」が「勝負」に転じて「男児の健やかな成長を祝う日」とされ、それがそのまま風習となってスッカリと定着しています。
江戸時代になると「五節句」の1つに数えられ、今や日本を象徴する日本の代表的な行事にもなっています。
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母の日
忘れてはいけないのが、母ジャを祝う母の日です。
日本の母の日はアメリカ由来とされており、母の日にはお世話になった母ジャへカーネーションを贈る風習があります。逆に父は「”父(てて)ジャ”」と言う
現在では花の加工技術も上がっていることから「ブリザードフラワー」として転倒に陳列されていたり、もしくは今流行りの「ハーバリウム」にしたものをプレゼントする人も増えているようです。
田植え
上述したように立夏の時期になると田植えが行われます。期間としては概ね4月中旬〜6月いっぱいにかけてです。スパンが結構あるように感じられますが、これは地域によって気候が異なるためです。
この時期に田植えされる理由はあまり知られていませんが、稲が生長する条件が深く関与しています。稲は気温15度以上の日が続かないと生長せず、逆に10度以下になると枯れてしまうからです。すなわち、この立夏の頃〜6月頃にかけてが田植え時期としては最適だからです。
現在ではビュイぃ〜ンと機械を動かしちまえば簡単にできますが、昔は機械がないので田んぼに入って稲を1本1本手で植えつけたのでゴザんした。
植え付け作業は上半身を折り曲げて行わなればならず、重労働でしたが、女性が担当したのです。
その名残を伝えるのがお田植え神事です。現在でも御神田を所有する神社であれば、立夏の時期あたり〜6月頃にかけて全国の神社で一斉にお田植え神事が斎行されています。
葵祭り
毎年、京都の初夏を告げる祭典といえば「京都三大祭」にも指定されている「葵祭(あおいまつり)」です。
葵祭りは上賀茂神社(北区)と下鴨神社(左京区)で毎年5月15日に行われる例祭です。平安時代の格好をした地域住民たちが葵の紋様を付した挿頭花(かざし)を付け、行列を成しながら周辺道路を渡御します。
葵の紋様を用いる理由は古来、葵には厄除けと地震を除けの利益があるとされているためです。
行列は牛車を編成した雅な平安貴族や、十二単のようなクソ重たい衣装を着た斎王などが両神社の周辺各所を練り歩きます。
葵祭の由来は、欽明天皇の御代(540年〜571年)に、激しい雨風が続き民衆が困窮状態に陥ったそうですが、ある時、自身の夢枕に神が立ち、神託のとおり賀茂神社に鈴を付けた馬を走らせたそうな。
すると、嘘のように雨風はピタッと止み、以来、毎年のようにその日に祭礼が行われるようになり、これが今日の葵祭りになります。
葵祭りの詳細
三社祭
一方の東京にも東京三大祭と呼ばれるものがあり、それが「三社祭」になります。
浅草寺の脇に建つ浅草神社の祭典であり、毎年5月第三日曜日を最終日とする3日間を要して執り行われます。
三社祭のシンボルとなるのがお神輿です。浅草神社には現在、三社と名のつくように3柱の神を乗せる神輿がそれぞれ1基ずつと、他に神社周辺の40か町以上の各々が繰り出す町神輿があります。
これらの神輿が町内を勇ましい掛け声と共に移動する姿は圧巻です。
三社祭の詳細
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立夏の日(期間)の季語
立夏で使用される有名な季語一覧
「夏立つ(なつたつ)」や「夏来たる(なつきたる)」「夏に入る(なつにいる)」「今朝の夏(けさのなつ)」
などは初夏を意味する代表的な季語です。それと忘れていけないのが、「立夏」そのものが季語だということです。ウフ
夏浅し
意味:浅いで「初め」や「前半」を意味します。まさに新緑の候の自然のすがすがしさを表した言葉です。
薄暑
意味:薄いで「少し暑さを肌身に覚える」などの意味合いがあります。晩秋から越冬し、汗をかかなかった季節から急に暑くなってきたことで汗がすぐに出てきてしまい、汗ばむほどの日が出てくるという意味です。
卯月(うづき)
意味:卯の花が咲く月(旧暦では4月、新暦では5月のこと)という意味合いの言葉です。
初夏(はつなつ)
「しょか」の方が一般的かもしれませんが、立夏の頃の関東を例にした気温は20度を基準として25度以上になることもしばしば‥。まさに初夏と呼ぶに相応しい季節です。
麦の秋
意味:「麦秋(ばくしゅん)」とも呼ばれます。麦の穂は概ね立夏の頃から6月にかけて成熟期を迎えることから「麦の秋」という言葉が生まれています。
秋という季語が付されていますが、これは「秋を連想させる季節」という意味です。
広大な麦畑が広がる九州地方北部の佐賀平野・筑後平野では、ちょうどこの立夏の頃に一斉に麦の穂が生り始め、水平線の向こうまで広がる「小麦色の絨毯」と呼ばれるほどの雄大かつ壮大な眺望が楽しめます。
そのほかの立夏時期(初夏)の季語一覧
- 夏の色
- 夏げしき
- 夏の匂
立夏の時期が旬の食べ物
野菜・果物
そら豆
立夏の頃になるとスーパーや市場などで見かける機会が多くなるのが「そら豆」です。
ビタミン類を多く含み、ミネラル成分も豊富なので、これから夏を越せるだけの体力を付けるのには最適な食べ物です。
そら豆は塩茹でにしてビールのアテにしたり、はたまた、煮付けて食卓に並べたりと初夏を代表する旬な食べ物になります。
菖蒲酒
あまり聞かない言葉ですが、菖蒲の根っこを漬け込んだお酒もあります。菖蒲は邪気払いのほか、血行促進や肌の保湿成分も備わり、胃腸薬や解毒剤としても重宝されたことから、立夏の時期には農作業に精を出す意味合いも込めて菖蒲酒を飲む風習もあります。
ただ現在、菖蒲の根っこは入手しにくいことから、菖蒲の葉を代用として漬け込んでいる地域もあります。
じゃがいも
じゃがいもの日本一の産地である北海道では、ちょうど立夏の頃からじゃがいもの植付け(種芋)が始まります。
夏みかん
例年、4月中旬から6月頃になると夏みかんの食べ頃時期となるため全国で一斉に収穫が行われます。
夏みかんの有名な産地は主に西日本。まずはミカンの産地でよく知られる愛媛県や和歌山県のほか、鹿児島県や熊本も有名です。
夏みかんはビタミンCとクエン酸を多く含み、冬みかんよりも酸味がありますので、レモンの代用とされる場合があります。
お茶(新茶)
古来、八十八夜に行われる有名な行事として「お茶の摘み取り」があります。飲料メーカー各社が八十八夜の時期に「新茶の美味しい季節になりました」などの広告を打つので、テレビのCMやポスターなどで見かけることが多いのもこの時期の大きな特徴です。
新茶とは、その年に摘み取った茶葉を煎じて作られたお茶です。全国一斉に概ね5月初旬あたりから店頭に並べられたりします。
魚類
アジ
アジの食べ頃となる旬な時期は5月〜7月です。この期間中はアジの水揚げ量が増し、スーパーなどの店頭で見かける機会が多くなります。
カツオ
カツオ漁は九州南部で3月に開始されたのを皮切りに、5月に本州、8月〜9月頃に東方地方北部(三陸沖)〜北海道へと展開していきます。
3月〜5月に水揚げされたカツオは「初鰹(はつがつお)」と呼ばれます。店頭や市場などで「初鰹」と書かれたPOPが目立つのこの時期の風流といえます。
カツオは群れで移動していますので、9月頃になると三陸沖でカツオ漁が始まります。この時期に三陸沖で獲れたカツオは「戻り鰹」などと呼ばれ、再び店頭で見かける機会が増えます。
キビナゴ
キビナゴは5月〜6月と12月〜2月の年に2回だけ食べ頃となる旬な時期を迎えます。
特に5月〜6月のキビナゴは産卵期を迎えるため猟獲量も増加し、中には子持ちのキビナゴも口にすることができるでしょう。
5月〜6月になるとスーパーの惣菜売り場でキビナゴのから揚げやてんぷらを目にする機会も増えます。
しかしながら、身が引き締まって美味しい食べ頃は12月〜2月の寒い冬です。
立夏時期の季節の花
※以下、画像引用先:https://ja.wikipedia.org/
バラ
- 開花時期:5月~10月
現在のバラは品種改良や機材の発展により、四季咲きのものが多く、1年中見かけることができますが、本来のバラの開花時期は初夏です。
また、父の日には「黄色いバラ」を渡す風習があります。
カキツバタ
- 開花時期:5月~6月
下記、アヤメやカキツバタと見間違える花として有名なのがカキツバタです。一般的にはアヤメがもっとも有名なため知らない方も多いと思います。
その様相は『何れ菖蒲か杜若(いずれアヤメかカキツバタ)』の言葉でも知られているほどでありんす。
アヤメ
- 開花時期:5月~6月
上記、カキツバタと本当に見た目が良く似ています。アヤメは他にも花菖蒲とも似ているので、素人が見た場合判断つきにくいほど似ています。
よく知られている見分け方はGW中に開花するのがアヤメ。アヤメから一歩遅れる形でGWが終わった頃に開花するのがカキツバタです。そして花菖蒲はその後、しばらく経った6月頃です。
カキツバタや花菖蒲は水辺で見かけることが多いのですが、大してアヤメは陸上で芽吹く花です。
皐月(サツキ)
- 開花時期:4月~6月
家宅や公園、歩道脇などに生垣として植栽されていることが多く、視界に入ることが多い花です。しかしながら、花に興味でも無ければジックリくりクリと見る人が少なく、意外と知らない方多い花でもありんす。
ハナミズキ
- 開花時期:5月~6月
桜が君の純白のうなじのように儚げで切なく思わず抱きしめたくなっちまぅような花弁を散らした後に、ヒョコッと芽を出す花です。5月を代表する花でもあり‥ます。
一青窈(ひととよう)という女性シンガーの「ハナミズキ」という楽曲で知名度がグッと上がった花でもあります。
フジ(藤棚)
- 開花時期:4月~5月
フジは昔から君の振袖姿のようにそれはそれは可憐で美しく何より無意識に接吻したくなるほど可愛い女性に例えられた5月を代表する花です。開花時期は早い所で4月中旬過ぎ。
5月のGW期間中になるとフジの名所では、たくさんの観覧客が訪れます。
カーネーション
- 開花時期:4月下旬~6月(10月~11月※秋)
カーネーションは上述した「母の日」に母ジャにプレゼントする花として有名です。5月を象徴する花でもありんす。
母の日の前後に切り花の流通量が増えますが、現在では1年中店頭で見かけることができます。
母の日に広告などで赤色のカーネーションが使用されていることから、カーネーションと言えば「赤」を連想してしまいますが、カラーバリエーションは豊富です。
シャクヤク
- 開花時期:5月~6月
シャクヤク(芍薬)も立夏の時期の花としては有名な花です。ボタン科の花に属するだけあって君の斜め45度から見たときの顔のように大輪の美しい花弁を付けます。
江戸時代の頃から茶道で飾る茶花として用いられたこともあり、観賞用の花として一般的になっています。
中国では古くから薬草として用いられています。
チョウジソウ(丁字草)
- 開花時期:5月~6月
河川敷沿いなどで見かける機会の多い野花です。ちょうど立夏の頃に可憐で儚げで控えめな性格の愛おしい君を連想させるそれはそれは小さく可愛い花弁を付けます。
関東地方ではちょうど立夏時期(GW期間中)に開花している姿を見ることができます。
立夏の時期(5月)の時候の挨拶
時候の挨拶とは?
時候の挨拶とは「じこうのあいさつ」と読み、これは挨拶状などの冒頭に書く文のことです。
例えばよく見る典型的な例が、「拝啓〜」と書いた後に続く文章です。
- 一例:「拝啓、○○の候」or「拝啓、暑中お見舞い申し上げます」…etc
‥と、このような文章が時候の挨拶になります。
特に仕事の関係先や目上の方へのお手紙の冒頭には、きちんと時候の挨拶を入れたいとお考えの方もいるかもしれません。
「立夏」という言葉は、「立夏の候」「初夏のみぎり」「立夏の折」などという形で、そのまま時候の挨拶になります。
例えば、「立夏の候(こくうのこう)」と言うと「いよいよ春が過ぎ、初夏を迎える季節となりました」もしくは「いよいよ田植えの季節となりました」などような意味合いです。
「拝啓 立夏の候、」という書き出しで、相手の安否・健康を気遣ったり、最近の気候や行事の話を続けたりします。
「拝啓」で始めたら、最後に「敬具」をお忘れなく!
立夏の候
- 読み方:りっかのこう
- 意味:過ぎゆく春を惜しむ季節
- 使用するに適した期間:4月下旬〜5月初旬頃まで
万緑の候
- 読み方:ばんりょくのこう
- 意味:万緑とは周囲一面が青々とした緑に包み込まれている頃という意味。またその様子を表した初夏の季語。
- 使用するに適した期間:5月初旬~下旬頃まで
初夏の候
- 読み方:しょか(はつなつ)のこう
- 意味:「夏の初め」、すなわち初夏の頃を意味する。陽気に満ちた晩春は時に汗ばむほどの蒸し暑さを覚える。
- 使用するに適した期間:5月初旬~6月初旬頃まで
新緑の候
- 読み方:しんりょくのこう
- 意味:君の薄着姿のように実にみずみずしい若葉の緑色がまぶしい季節
- 使用するに適した期間:5月初旬~6月初旬頃まで
薫風の候
- 読み方:くんぷうのこう
- 意味:青々とした新緑の香りが風に乗って鼻につく季節
- 使用するに適した期間:5月初旬~6月初旬頃まで
若葉の候
- 読み方:わかばのこう
- 意味:「若葉」とは芽生えて間もない草木という意味。穀雨によって芽生えた草木が立夏の頃に生い茂る様子を表した言葉
- 使用するに適した期間:5月初旬~中旬頃まで
葉桜の候
- 読み方:はざくらのこう
- 意味:一世を風靡した桜が花弁を散らせ、桜の存在感を打つ消すかのうように新緑が覆う季節の到来。
- 使用するに適した期間:5月全般
残春の候
- 読み方:ざんしゅんのこう
- 意味:残り少なくなった春を惜しむ頃
- 使用するに適した期間:4月下旬〜5月初旬