このページでは二十四節気「霜降」の七十二候・次候における「霎時施」「草木黄落」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。
「霎時施」の読み方
「霎時施」は「こさめときどきふる」と読みます。
霎時施とは?
霎時施とは、二十四節気の「霜降(そうこう)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の第2節です。
72の節気を持つ七十二候においては「第五十三侯(第53番目)」の節気、「次候(じこう)」にあてられた語句になります。
太陽の黄経は215度を過ぎた地点です。
霜降期間中のその他の七十二候の種類・一覧
初侯:霜始降
次侯:霎時施
末侯:楓蔦黄
霎時施の意味・由来
日本(略本暦)での解釈
「霎時施」の意味は、「霎」「時」「施」とに分解すると分かりやすくなります。
「霎」の意味
「霎」とは、あまり見慣れない漢字だけれども、音読みでは「ショウ」「ソウ」と読み、訓読みでは「こさめ(小雨)」「しぐれ」、と読まれることがある。ここでは小雨(こさめ)を意味する。
これは情景を心象として捉えた言葉であり、小雨がシャンシャンと降り注ぐ雨音やその周囲の様子を表現した風雅な言葉である。
「時」の意味
「時」とは、時の流れ、すなわち時間を示す言葉。ここでは「時々(ときどき)」という言葉を指し示す。
「施」の意味
「施」とは、「施す」や「めぐみ与える」を意味する言葉。ここでは「ふる(降る)」という表現に置き換えられていることに注目したい。
以上をまとめると『小雨がときどき降る頃』という意味になるんす。
「霎時施」の「施」の使い方が風雅!注目!
「霎時施」の言葉の最後に「施」の字を用いて「降らす」とした点に疑問をもった方も多いことだろう。
「降」ではなく、わざわざ「施」を用いて風雅に詩人ぽく、小雨の降る度合いを表現している。
この時期は日本列島の上空を高気圧が通り過ぎることが多く、(ゆえに「移動性高気圧」と呼ばれる)雨が降っても梅雨時期のように連日のように続くことはない。
高気圧に覆われると俗に「秋晴れ」と呼ばれる澄み切った晴天になる。しかし、この後すぐにユーラシア大陸から冷たい空気が流れ込んでくるため、気温がグッと下がることが多くなるんすよ。
ちょうどこの霜降の頃は、このような秋晴れ→冷気によって気温が下がる(場合によっては霜が降りる)→秋晴れ→冷気によって気温が下がる‥という自然現象を繰り返す。
俗に秋雨の様相を例えて「一雨一度(ひとあめいちど)」という言葉も生まれているのだが、この言葉が示す通り、秋雨が1回降るごとに気温が1度下がると言われている。
こうして1回、雨が降るたびに冬に近づいてく‥。そぅ、君に惹かれる度合いを示すかのように僕の唇もだんだん君のホッペに近づいてく‥チュっ💋
‥‥
‥‥
‥‥えっ? おでん買ってこ
雲行雨施
‥こホンっ!
実は四字熟語に「雲行雨施(うんこう うし)」という言葉がありんすのだが、この言葉の最後にも「施」を用いて「恵の雨を施す」としている。ありんすのだが?
「雲行雨施」の意味は、「雲がやってきて空を覆い万物をうるおす恵の雨を施す」こと。
この意味をもじって「天子の恩恵が広く行き渡る=天下が太平であること」の例えにも用いられる。
中国(宣明暦)での解釈
中国における霜降の次候・第五十三侯の七十二候は「草木黄落」です。読み方は「そうもく こうらくす」になりんす。
「草木」の意味
「草木」は、草や木のことを指します。
「黄落」の意味
「黄落」の意味は、「黄色くなって落ちる」を意味します。
以上をまとめると「草木の葉が黄ばんで落ち始める頃」となるんす。
秋風辞から見る中国の気候
漢武帝が秋の行楽の際に作ったとされる「秋風の辞(しゅうふうのじ)」にも以下のような一文が見えます。
『草木黄落兮雁南歸』
この意味は「草木黄落して 雁南に歸(帰)る」になるんすが、秋の中国の季節感をよく表現している一文です。
草木は紅葉を迎えて黄色く染まり、やがて落葉していく。雁(ガン)は南へ帰っていく。
こうして極寒の冬へと季節が流れていく様子を自身の身に置き換えて、いつまで自身は若く健やかにいられるのだろうか?
‥と言った人間味あふれる心情がよくあらわれています。
ちなみに漢武帝とは、前漢王朝の黄金期を築いた名君と称えられたほどの人物です。
「霎時施」の日にち(期間)
- 太陽暦:10月28日頃〜11月1日頃
- 旧暦:九月中(九月の中気)