「楓蔦黄」「蟄虫咸俯」の意味・由来・読み方|【霜降(二十四節気)七十二候・末候】

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このページでは二十四節気「霜降」の七十二候・末候における「楓蔦黄」「蟄虫咸俯」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。




楓蔦黄の読み方

楓蔦黄は「きりぎりすとにあり」と読みます。

楓蔦黄とは?

楓蔦黄とは、二十四節気の「霜降(そうこう)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の第3節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第五十四侯(第54番目)」の節気、「末候(まっこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は220度を過ぎた地点です。

霜降期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:霜始降
次侯:霎時施
末侯:楓蔦黄




楓蔦黄の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「楓蔦黄」の意味は、「楓」「蔦」「黄」に分解すると分かりやすくなります。

「楓」の意味

「楓」とは、モミジの種類の1つです。紅葉(モミジ)の総称として「カエデ」と呼ばれることもありんすが、これは正式ではありんせん。

カエデとは、ムクロジ科(旧カエデ科)カエデ属 の落葉高木の総称とされます。

名前の由来は、葉の形がカエルの手「蝦手」に似ていることから「楓」と呼ばれるようになったという説がありんす。ゆえに別名で「蝦手(カエルデ)」と呼ばれることもありんすよ。

私:「これよ

日本でもっとも多く見られるイロハモミジは、カエデ属に属することから、「イロハカエデ(いろは楓)」とも呼ばれます。

「蔦」の意味

蔦とは、ブドウ科の落葉性の蔓 (つる) 植物の「蔦」のことです。壁によく這うように幾重にも絡み合うように葉っぱを付けている様子が窺えますが、この蔦もちょうどこの霜降の時期になると紅葉し、葉が赤く染まります。

その様子から「蔦紅葉(つたもみじ)」という言葉もあるぐらいです。

⬆️蔦紅葉(つたもみじ)

「黄」の意味

ここでの「黄」は「黄色くなる」の意味がありんす。

 

以上、「楓蔦黄」の意味をまとめると「楓(モミジ)や蔦(つた)が紅葉を迎え黄葉を付ける頃」となりんす。

紅葉の名前の由来

紅葉の名前の由来は、判然としていませんが、一説には、紅花の染料を作る工程の1つである「揉み出す」からきていると言われています。

この「揉み出す」から→「もみずる」→「揉み出(もみず)」→「紅葉つ(もみづ)」→を経て最終的に「紅葉(もみじ)」と呼ばれるようになったと考えられています。

紅花から染料を作る際、その界隈の言葉で「揉み」と言えば「紅」を意味したことも理由に1つに挙げられるでしょう。

紅葉とは?

紅葉とは、晩秋に落葉植物の葉が落葉するに先立って、秋、赤または黄に変わることです。もしくはその葉。またはカエデ(モミジ)のことを指します。

ただし、紅葉の字体の意味からも理解できるように、厳密には赤色く染まることを「紅葉(こうよう)」と言います。

これに付随し、黄色く染まることを「黄葉(こうよう/おうよう)」、褐色に染まることは「褐葉(かつよう)」と言います。

しかしながら、現今、紅葉と言えばこれらの総称として扱われている感は否めません。

紅葉のメカニズム

紅葉は山頂から→山裾へ、北から→南へと順番に色づいていきます。

すなわち、北海道や東北地方へ行く、もしくは山頂近くへ行っても紅葉を早く見られます。

山頂近くや北で紅葉が早く見られる理由は、気温、水湿、紫外線などの様々な要因が絡み合ってのことですが、1つだけハッキリと言えるのが気温が大きく関与しているということです。

北の方角や山頂付近は気温が低く、気温が低いと葉の付け根に離層(りそう)と呼ばれる層ができて、この影響で葉で作られた糖分が回らなくなりんす。

この糖分がやがて「アントシアニン」と呼ばれる「赤い色素」に変わり、葉が色づき、やがて黄色くなって褐色、そして、落葉に至ります。

落葉のメカニズム

秋に入ると日照時間が減少するので、葉を構成する主成分であるクロロフィルが分解されてしまい、植物の生命維持の原理として、葉の栄養分を茎へ回すために葉枯れが起こります。

葉枯れが起こると葉が黄色くなり(いわゆる黄葉と呼ばれる現象)、やがて黄色から→褐色(かっしょく)へ変色し、葉を落とします。




中国(宣明暦)での解釈

中国における霜降の末候・第五十四侯の七十二候は「蟄虫咸俯」です。読み方は「ちっちゅうことごとくふす」になります。

蟄虫咸俯の意味

「蟄虫(ちっちゅう)」の意味

「蟄」は、かくれる、閉じこもる、静かにする、なごやかに集まる、という意味を持ちます。

よって「蟄虫」とは、「地中にこもって越冬する虫のこと」を指します。

「咸」の意味

「咸」は、みな。ことごとく。あまねく。すべて。などの意味をもつ漢字です。

「俯」の意味

「俯」は、腹ばいになったり、顔が下に向いたりした状態。 ふせる。うつぶせ。 うつむき。

 

以上をまとめると、地中にこもって越冬する虫がすべて伏せる頃。もしくは「虫がみな穴に潜って動かなくなる頃」と解されます。

七十二候の「蟄虫」シリーズ

七十二候には「蟄虫」の冠が付された節気がいくつかありんす。

  • 立春の次候
    「蟄虫始振(宣明暦)」(2月8日〜12日頃)
    意味:冬籠りの虫が動き始める
  • 秋分の次候
    「蟄虫坏戸(略本歴と宣明暦)」(9月28日〜10月2日頃)
    意味:虫が冬ごもりをする頃
  • 霜降の末候
    「蟄虫咸俯(宣明暦)」(11月2日〜6日頃)
    意味:虫が土中に掘った穴をふさぐ

いずれも蟄虫が入っていることから、越冬(冬ごもり)が主対象になっていますが、1年の流れの中で霜降が蟄虫シリーズの最後の節気になっていることが分かります。

これは蟄虫咸俯より、蟄虫始振までの間、完全に冬眠に入ることを意味します。

「蟄虫咸俯」の日にち(期間)

  • 太陽暦:11月2日頃〜11月6日頃
  • 旧暦:九月中(九月の中気)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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