温風至の意味・由来・読み方|【小暑(二十四節気)七十二候・初候】

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このページでは二十四節気の七十二候・初候における「温風至」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。




温風至の読み方

温風至は「あつかぜいたる」と読みます。

温風至とは?

温風至とは、二十四節気の「小暑(しょうしょ)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第三十一侯(第31番目)」の節気、「初候(しょこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は105度を過ぎた地点です。

小暑期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:温風至
次侯:蓮始開
末侯:鷹乃学習

温風至の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「温風至」の意味は、「温風」と「至」に分解すると分かりやすくなりますが、「温風」は「あつかぜ」と読み、これは「暖かい風」のことです。

すなわち「温風至」とは、「暖かい温風(南風)が吹いて来る頃」という意味合いになります。

「温風」の意味や読み方

温風は現代では一般的に「おんぷう」と呼ばれ、単に「暖かい風」のほか、「造成された暖かい風」や「あたたかい春の風」、「陰暦(旧暦)の晩夏に吹く暖かい風」とも解されます。

この中で注目すべきは、「晩夏に吹く暖かい風」です。旧暦の晩夏(ばんか)と言えば6月のことを指し、月名は「水無月(みなづき)」。

「晩夏」とは、夏の終わりを示す言葉ですが、旧暦では4月〜6月が夏に該当しますので、夏終わりの月ということで「晩夏」と表されています。

すなわち、ここでの温風の意味合いとは、「晩夏に吹く暖かい風」とするのが正式です。




夏の季節風は「南風」!

あまり知られていませんが、日本の夏時期に吹く風は「南風」です。したがってここでの温風とは、「暖かい南風」のことを意味しています。

西日本ではこの夏の南風のことを南風と書いて「はえ」もしくは「はい」と呼びます。南風には次のような種類があります。

  • 黒南風(くろはえ):梅雨入りした頃に吹く南風。黒い雨雲の下を吹くことから「黒南風」。
  • 荒南風(あらばえ):「新南風(あらばえ)」とも。意味は梅雨期間中に吹く南風。
  • 白南風(しろはえ):梅雨明けに吹く南風。ようやく梅雨の黒い雨雲が無くなり、青空と白い巻雲(けんうん)が見える頃。
  • 正南風(まはえ):真南から吹く風。
  • 沖南風(おきはえ):九州西部沿岸地方で使用される南風を表した言葉。5月頃から吹く南西よりの風のこと。この風が吹けば不漁とされるので漁に出ない。
  • 南西風(はえにし):南西風から吹く風。
  • 南東風(はえごち):東南東から吹く風。
夏時期に南風が吹く理由

夏時期に南風が吹く理由は、「太平洋の生暖かい空気がユーラシア大陸の方向へ流れていくため」です。

夏時期のユーラシア大陸は太平洋上よりも暖かくなります。暖められた空気というものは、冷やされた空気よりも軽いので上へ上へと昇っていきます。

もうお分かりいただけたかと思いますが、夏時期のユーラシア大陸の大地は太陽に照らされて太平洋上よりも気温が高くなります。するとユーラシア大陸の空気が、太平洋上の空気よりも軽くなりますので、必然的に太平洋の生暖かい空気がユーラシア大陸に流れこんでくることになります。

これが太平洋とユーラシア大陸の間に位置する日本に南風が吹く理由であり、原因です。

ちなみに日本では夏の南風のほかに「冬の北西風」という季節風があるのですが、これは上記、南風と真逆の発想です。

今度はユーラシア大陸の方が冷たくなることから、太平洋に向かって空気が流れていきます。これが北西に風が吹く理由です。

【補足】空気の密度
空気でなくとも一般的に「物」を温めると膨張します。「膨張する=体積が増加する」です。しかし、膨らんで体積が増えても重さは変わりません。これを密度に置き換えた場合、密度は小さくなります。密度とは単位体積あたりの分布する割合(量)のことです。

逆の例をとった場合、物を冷やして温度を低くすればするほど体積は小さくなりますので、密度は大きくなります。

「至」の意味や読み方

「至」とは一般的に「至る」の意味合いで知られていますが、他に言い方を変えると「行き着く」「到着する」などの意味合いがあります。

温風至の別の解釈

すなわちまとめると、「温風至」とは「暖かい南風が吹いて来る頃」とも解釈できんす。




中国(宣明暦)での解釈

中国における小暑の初候・第二十八侯の七十二候も同じく「温風至」になります。ただし、読み方は「おんぷういたる」になります。

中国の小暑期間の気候

二十四節気が作暦されたとされる中国の平原(現在の河南省の省都・鄭州/チェンチョウ)の小暑期間(7月初旬〜7月下旬)の平均気温は27.5度。で降水量は135.3㎜です。

これらの値は中国の年内でもっとも高い数値を示し、すなわち年内でもっとも暑く、もっとも降水量が多い時期になります。日本で例えると蒸し暑い梅雨時期に例えることができます。

6月に日本を覆った梅雨前線は中国へと流れて行き、6月下旬頃〜7月上旬頃にかけて雨を降らせている様がうかがえます。

温風至の日にち(期間)

  • 太陽暦:7月7日〜7月11日頃
  • 旧暦:六月節(六月の正節)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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