「蟋蟀在戸」「菊有黄華」の意味・由来・読み方|【寒露(二十四節気)七十二候・末候】

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このページでは二十四節気「寒露」の七十二候・末候における「蟋蟀在戸」「菊有黄華」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。




蟋蟀在戸の読み方

蟋蟀在戸は「きりぎりす とにあり」と読みます。

蟋蟀在戸とは?

蟋蟀在戸とは、二十四節気の「寒露(かんろ)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の第3節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第五十一侯(第51番目)」の節気、「末候(まっこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は205度を過ぎた地点です。

寒露期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:鴻雁来
次侯:菊花開
末侯:蟋蟀在戸




蟋蟀在戸の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「蟋蟀在戸」の意味は、「蟋蟀」「在」「戸」に分解すると分かりやすくなります。

「蟋蟀」の意味

「蟋蟀」と書いて「コオロギ」もしくは「キリギリス」とも読みます。

現今のキリギリスと言えば、あの緑色をしたヤツがパッ!‥と思い浮かびますが、‥⬇️

⬆️コレが朝起きて顔に乗ってたら‥ギぃぃぃぃゃぉわワワわ….

‥昔は「蟋蟀」と書いて「きりぎりす」と読み、コオロギのことを指したのです。

「在」の意味

在るは、在籍などを意味する「在る」です。

「戸」の意味

戸とは、ドアなどの戸を意味します。

以上、まとめると「蟋蟀在戸」の意味とは、「コオロギが戸の近くに在る」、つまりは「コオロギが戸の辺りで鳴き始める頃」と解されます。

「コオロギ 」と呼ばれ始めたのはいつ頃から?

では、一体、いつ頃から「コオロギ 」と呼ばれ始めたのでしょう?

著名な和歌集の1つで在る「古今和歌集」にこんな歌が集録されています。

『秋風に綻びぬらし藤袴(ふじばかま)つづりさせてふきりぎりす鳴く』

「つづりさせ」とは、コオロギ の鳴き声を表した言葉です。

古今和歌集が成立したのが平安時代前期とされていることから、平安時代には「きりぎりす」と呼ばれていたことが分かります。

特に平安時代の貴族の間では、キリギリス(コオロギ )を籠(カゴ)に入れて鳴き声を楽しむのも風流とされていたのです。

そして、‥

実はその後、鎌倉時代、室町時代とコオロギ (きりぎりす)に関しての資料がなく、江戸時代になってようやく「コホロギ」と記載された書物が見つかっていることから、およそ鎌倉時代から→室町時代にかけて、『キリギリスから→コオロギ』と名称が変わったと考えられています。

”キリギリス”の語源・由来とは?

結論から先に伝えると「キリギリス」という語源は、その鳴き声を言葉で表現したものが由来になっています。

虫の鳴き声は人の耳に入ると、その人それぞれの声真似で表現されます。

中には音痴な人がいたり、聞く場所や聞き方が異なると声真似をする時に差異がでます。

これを証明するかの如く、実のところ、日本各地においてキリギリスの呼び方が異なっています。

東日本では、「ギッチョ」や「ギリッチョ」、東北・関西にかけては「コーロギ」などと呼ばれています。

これらは方言として処理されることになりますが、現在では情報の伝達速度が向上したこともあり、およそ「コオロギ 」の名称で統一されています。

キリギリスの別名は「機織(ハタオリ)」??

実はコオロギ の別名が「キリギリス」であるように、そのキリギリスは別名で「機織(ハタオリ)」と呼ばれていたようです。

「ハタオリ」と呼ばれた理由は、「きりはたりちょー」や「ちょんぎーす」などの鳴き声が由来になったようです。

だとすれば、ひょっとするとコオロギ の名称も、鳴き声が由来になったとも考えられます。

現今の日本に数多く生息している閻魔蟋蟀(えんまこおろぎ)の鳴き声をモチーフとするならば、確かに「コロコロコロ‥」と聞こえます。

ところで、七十二候には、このようなコオロギの行動を引き合いに出して定められた節気がもう1つありんすが、その節気は覚えていますかぃ?

小暑の中国(宣明暦)七十二候の次候「蟋蟀居壁(しっしゅつかべにおる)」です。




蟋蟀居壁と蟋蟀在戸の違い

ちょっと注目!

ここでこの疑問に辿り着いた君は明日から激モテLIFEが待ってい‥るかどうか分からんけども、激モテになれるほど男前・女前になることは疑いなし! 女前?

‥おかしいと思いやせんかぃ?

蟋蟀居壁には、蟋蟀在戸という類似した節気が夏にもありんすが、なぜ、2つも同じような意味合いを持つ節気が夏と秋にあるのか?‥です。

日本に生息しているコオロギの生態として、夏は石の下や敷きわらなどに入ってジッとしていて、秋は気温が低いためか昼間でもよく鳴きます。

すなわち、秋は行動が少し活発になるということです。

コオロギが秋に活発になる理由を一言で言うと、「気温が下がる」からです。ですから夏は夜間にしか鳴かないのです。

日本の民家や田んぼでよく見かけるコオロギ 一覧
  • エンマコオロギ
  • ツヅレサセコオロギ

⤴️エンマコオロギ

⤴️ツヅレサセコオロギ

現行の日本の略本歴・七十二候が、起源となる中国・宣明暦を参照して作歴されたのであれば、なぜ、秋に蟋蟀在戸を配置したのか?

このままの状態で捉えたのでは、脳漿攪拌 意味アラレですが、これを比喩として捉えると答えが見えてきませんかぃ?

チョッチ、これら2つの蟋蟀を除いた「居壁」と「在戸」のみにフォーカスしてみましょう。

  • 「居壁」=民家の「壁に居る」
  • 「在戸」=民家の「戸の近くに在る」

ここでまず注目すべきは、同じ民家が題材にされていることながら、壁と戸という距離感に違いあるという事実です。

  • 民家の壁(※垣根?)(距離が遠い):夏
  • 民家の戸(※玄関や縁側の引き戸?)(距離が近い):秋

「居る」と「在る」の違い

ちょっと以下の言葉の違いをご〜覧くだセェなぁ。

  • 居住:住むこと。すまい。(例:「居住地」「居住者」)
  • 在住:その土地に住んでいること。(例:「日本在住」「東京在住」)

もう少し言い方を変えて見ると‥

    • 「居る(いる)」:動きを捉えた表現
    • 「在る(ある)」:動きを認識しない表現

しかし、これだけでは「居る」の方が至近距離、在るの方が遠距離にも思えます。

蟋蟀居壁と蟋蟀在戸はセット!

これらのことから推察できることとして、次のようなことが挙げられます。

  • 「コオロギの活動(鳴き声が聞こえる頻度)」を引き合いに出して夏と秋を表現している。
  • 距離感を用いて「冬の到来が目前まで迫っている」ことを意味している
「コオロギの鳴き声が聞こえる頻度で夏と秋を表現している」

居ると在るの概念を除外して、壁と戸にフォーカスした場合、壁と戸の距離感だけが浮き彫りになりんす。

しかし、コオロギが秋になって民家の戸の近くへ移動したのではなく、ここで注目したいのが、秋に鳴き声がよく聞こえるのをコオロギがあたかも家の玄関先で鳴いていると例えていることです。

コオロギは夏と秋で極端に場所を変えませんが、夏は気温が高いからか昼間は鳴かず夜になって鳴き出し、秋は昼夜問わず、鳴いています。

しかし、秋も終わりを迎えて初冬を迎える頃になると気温が下がり過ぎて、また鳴かなくなりんす。

「冬の到来が目前まで迫っている」

もう1つは、「夏頃、壁に居たコオロギ が、深秋の今、戸の近くに在る」として、夏から冬にかけての季節の移ろいに例えているということがイメージできるということです。

蟋蟀在戸」の本意とは?

以上、「蟋蟀在戸」の本意とは、すべからく判然とするものではありんせんが、1つ言えることは「コオロギの鳴き声の頻度」を「鳴き声の大きさ」にすり替えて、夏と秋を表現しているということでおます。

春は陽の始点、そこから→夏に陽極まり→秋を経て→やがて陰の極点となる冬の到来をコオロギを用いて表現しているあたりが、いかにも風流と呼べるのではないでしょうか。




中国(宣明暦)での解釈

中国における寒露の末候・第五十一侯の七十二候は「菊有黄華」です。読み方は「きくにこうかあり」になります。

菊有黄華の意味

意味合いは「黄色い菊の花が咲き乱れる時期」になりんす。

これは日本の七十二候・寒露の次候「菊花開」に対しての節気とも位置付けることができます。

「黄華」で、菊の花びらが一斉に開花し、華やかに咲き乱れ、黄色い絨毯が広がる様子を表現しています。

菊の起源

菊はサクラと並び評され、いかにも日本の国花とされるようなイメージがありんすが、その起源は中国にあると云われます。

ヨーロッパからシルクロードを経て、中国へ伝来したとされる説もあるようですが、これは正式ではありんせん。

菊(栽培菊)は紀元前約1066年~紀元前771年の間に中国の周で栽培され始めたのが起源とされており、日本へは奈良時代末期に薬草として伝来したと伝えられています。

つまり、菊の伝来ルートをまとめると次のようになりんす。

  • 中国→日本→ヨーロッパ

ヨーロッパでは、日本や中国で品種改良された菊が幕末頃に大流行し、以後、ヨーロッパでも盛んに菊の品種改良が行われるようになり、やがて、イぇウぉロぅぉ‥ピゃっ(訳:エウロパ=ヨーロッパの意で品種改良された菊は日本の和菊に対して、洋モノ‥ああイヤイヤ「洋菊」!!と呼ばれるようになります。‥これ書き終わったらホンマにTSUTAYA走る

「菊有黄華」の日にち(期間)

  • 太陽暦:10月18日〜22日頃
  • 旧暦:九月節(九月の正節)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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