このページでは二十四節気「冬至」の七十二候・末候における「雪下出麦」「水泉動」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。
雪下出麦の意味・由来
二十四節気・冬至の七十二候・末候(日本の略本暦)は「雪下出麦」です。
雪下出麦の読み方
雪下出麦は「ゆきわたりて むぎのびる」と読みます。
雪下出麦とは?
雪下出麦とは、二十四節気の「冬至(とうじ)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の第3節です。
72の節気を持つ七十二候においては「第六十六侯(第66番目)」の節気、「末候(まっこう)」にあてられた語句になります。
太陽の黄経は280度を過ぎた地点です。
冬至期間中のその他の七十二候の種類・一覧(日本略本歴)
初侯:乃東生
次侯:麋角解
末侯:雪下出麦
雪下出麦の意味
「雪下出麦」の意味は、「雪下」「出」「麦」とで分解すると分かりやすくなります。
「雪下」の意味
本項においては「雪下」と書いて、「雪の下」という意味です。
「出」の意味
「出」は「出づる」「出る」の意味がありまする。
「麦」の意味
「麦」は「麦畑」に代表されるようによう畑に生えている「麦」です。
以上、「雪下出麦」の意味をまとめると「雪の下で麦が芽を出す頃」となりまする。
麦は「年越草」とも呼ばれる!
麦は異名で「年越草(としごえぐさ)」とも呼ばれ、この理由はお分かりのように雪が降り積もる季節に芽吹き、そのまま年をまたいで越冬するからです。
麦は秋にタネを撒いてちょうどこの冬至の頃に発芽するという風変わりな植物です。おおむね越冬する植物は冬になると葉を枯らすのですが、麦は逆にニョキニョキっと生えてきて生長を続けるというから驚きです。
麦とは?麦には種類がある!
麦はイネ科草本の植物です。
主にユーラシア大陸を中心とした冷涼乾燥地域で生産されており、その生産量は米を凌いで世界一です。
それゆえ、米とトウモコロシと並んで「世界三大穀物」の一角とされていまする。と、トウモコロシ?…メイちゃん??
ただ、「麦」とは総称であり、厳密には以下のような種類に大別されまする。
- 小麦
- 大麦
- ライ麦
- 燕麦(えんばく)
日本における小麦の産地は北海道がほぼ独占状態です。シェア率を順位にすると下記のようになりまする。
小麦の産地と国内シェア
- 北海道:50.74%
- 福岡県:8.04%
- 佐賀県:7.66%
一方の大麦は全国で栽培されており、「二条大麦(大粒の大麦)」と「六条大麦(小粒の大麦)」とに分かれます。
六条大麦の産地と国内シェア
- 富山県:19%
- 福井県:18%
- 栃木県:13%
- 茨城県:12%
- 宮城県:8%
二条大麦の産地と国内シェア
- 佐賀県:28%
- 栃木県:26%
- 福岡県:16%
- 岡山県:5%
- 北海道:5%
参照先:全麦連
ハトムギと麦は異なる!
ハトムギ茶で有名なハトムギは麦と同じイネ科草本ですが、実態は似て非なるものがありまする。
麦とハトムギの大きな違いは、麦が冬に生長する植物なのに対してハトムギは夏に生長する植物ということです。
ハトムギは春先にタネを撒き、収穫するのが米とほど近い9月〜10月頃です。(前述のように麦は5月〜6月に収穫)
麦踏み
麦の生長を促進させる「麦踏み(むぎふみ)」作業は、全員で「カニ歩き」や「ドラム缶」を転がして行う滑稽さを交えたこの時期特有の風物詩ともなっており、霜が降りる前に浮き出てきた麦の芽を踏む作業のことです。
画像提供:熊本県葦北郡芦北町大野町の麦踏祭より
麦踏みを行うことによって土中に霜柱ができる隙間を無くし、その上、間伸びを減少させたり、根張りを促進させる効果もありまする。
他にも麦踏みを行うことによって「分けつ」が増えて最終的に実る麦粒の数が増えるといわれまする。
麦踏みは1回で終わらない!
麦踏みは1回で完結するのでなく、間隔を空けて再度行います。
11月下旬1回行うと、さらにその1ヶ月後に1回、さらにその1ヶ月後と‥繰り返し、合計おおむね4回くらいは踏みます。
4回踏む頃にはスッカリかりかりコノヤロー的に季節は春になっちまってます。
4回目以降踏まない理由は、麦が茎立してくるのでこの状態で踏んでしまうとこれから生長する細胞の働きを止めてしまい、場合によってはそのまま枯死に至るからです。
麦を踏みつけて大丈夫?
麦の茎は5日ほどすればまた立ち直ってきます。なんて頑強な植物なんざんしょ。その強さ‥もぅ火照っちゃぅ♡チュ♡
農家では麦踏み体験を募集している?
地方の農家では農業を知ってもらうために素人でも簡単に楽しめる麦踏み体験を募集しているところもあります。
特段、コツが必要であったり、なにかに気を使うとかなく、単純に踏むだけなので確かに誰でもできそうな気はします。
中には熊本県葦北郡芦北町大野町のように麦踏みを「麦踏祭」として、恒例行事としている地域もあるようです。
なお、俳句で用いられる「麦踏み」は春の季語です。
麦の種まき時期・収穫時期は地域によって異なる!
日本列島は細長い形状をしていることから、北端と南端で気候・気象条件が異なります。
北海道では9月頃に種まきを行い、春から初夏にかけて大きく生長し、8月頃に収穫を迎えます。
対して九州地方では11月頃から種まきを行い、5月下旬頃〜6月初旬頃に収穫を迎えまする。
収穫された麦は何に生まれ変わる?
収穫された麦は我々の食卓で見かけるあの材料に生まれ変わります。
代表的なものを挙げると次のようなものがありまする。
- 麦茶
- 小麦粉
- 麦ごはん
- パン
- うどん
- パスタ(スパゲッティ)
- マカロニ
- 麩 …etc
知ってましたか?小麦粉には種類があることを!
小麦粉の種類
- 薄力粉、中力粉、強力粉、デュラム小麦粉
‥こうして収穫された麦がどうなるのかを調べ上げていくと、あらためて麦の重要性に気づきます。
現代社会においても米と比べて遜色がないほど、きわめて重要な穀物であることが身にしみるほど理解できます。最近、氷をブチ込んだ冷え冷えの水飲むと‥歯に沁みるぅ〜〜
麦の生産世界一はどこの国
日本でも麦が生産されていますが、なんとぉぅ!消費される麦の量のわずか1割にも満たない量です。
そこで現今の日本では9割の麦を海外から輸入していまする。
主な輸入国
- アメリカ
- カナダ
- オーストラリア
‥‥で、あなたはどこの国が世界一の麦の生産国だと思いますかぃ?
ちょぃと考えてみておくんなせぇ。
麦の栽培には、冷涼かつ乾燥した土地が適しまする。
‥‥
‥‥
‥‥はぃ〜!残念無念っ!ハズレです! ムカつく💢
正解は中国です!
次いでロシア、インドと続きますが‥日本は残念ながら順位にするとかなり下です。まぁ日本は海洋面積が広く国土と呼べる土地が狭いので仕方のないことですが。オホ
余談ですが、日本は小さな島国と言われ、資源が少ないように思われますが、海洋面積を含めると日本国の面積は実に世界8位を誇るという事実をご存知でしたか?
つまり世界で8番目に広い国土を有する国家だということです。
近年、中国が大国と言われますが実は日本の半分にも満たない面積なのです。(ちなみに1位アメリカ2位フランス3位オーストラリア)
日本には近年話題の尖閣諸島や竹島、それに沖縄諸島や小笠原諸島など、数多くの小島が点在しており、「海洋国家」といわれる所以はここにありまする。
日本がもし大量に眠る海洋資源をうまく活用することできれば、エネルギー産出国としてたちまちのうちに世界一の経済大国に返り咲いてもおかしくはないのですよ。うきゃきゃ
水泉動の意味・由来
二十四節気・冬至の中国(宣明歴)での七十二候・末侯は「水泉動」です。
水泉動の読み方
水泉動は「すいせんうごく」と読みます。
水泉動とは?
「水泉動」とは、「中国(宣明歴)における二十四節気の冬至」をさらに3つの節気に分けた七十二候の第1節です。
72の節気を持つ七十二候においては「第六十六侯(第66番目)」の節気、「末候(まっこう)」にあてられた語句になります。
太陽の黄経は280度を過ぎた地点です。
冬至期間中のその他の七十二候の種類・一覧(中国宣明暦)
初侯:「蚯蚓結」
次侯:「麋角解」
末侯:「水泉動」
水泉動の意味
「水泉動」の意味を考えていく上で「水泉」と「動」に分けると考えやすくなりんすよ。
「水泉」の意味
「水泉」とは、コンコンと湧き出る「泉」のことです。
庭園においては、池水や滝なども「水泉」と呼ばれまする。
「動」の意味
「動」は「動く」、「動作」の動くです。
以上をまとめると『地中で凍った泉が動き始める頃』となりまする。
なぜ極寒の時期に地中で凍った泉が動き始めるのか?
おそらく季節的にはまだ極寒であり、凍った泉が動き始めるには少々、時期尚早と言わざるを得ません。
この節気の意味合いとしては、太陽の南中高度が冬の至点ともなる冬至に到達し、あとは天高く登っていくようなイメージで集録したのでしょう。
冬の極点という山頂を過ぎると陰の気は陽の気へと変わっていく‥。そぅ、まるで下り坂を降りて行くイメージです。
そんな様子をコンコンと湧き出る泉の姿と重ねながら表現したのではないでしょうか?
そぅ考えちまぅと、な〜んてロマンチックなんでゴザんしょ。フぅぅ〜ん♡
実際に太陽の南中高度も徐々に高くなり、地熱が上昇しているのも事実です。
ただ、不思議しぎしぎ摩訶不思議なことに地熱(地面)とは、夏時期は冷たく、冬には暖かく感じるのも事実です。うきゃ うきゃ2発はやっぱりサブぃ
小寒の次候の「水泉動」と同じ!
二十四節気・小寒の七十二候の次候にも「水泉動」がありまするが、意味合いはまったく同じで『地中で凍った泉が動き始める頃』です。
ただし、読み方が異なり、略本暦では「しみずあたたかをふくむ」、宣明暦では「すいせんうごく」としています。
中国では冬至に「水泉動」を配置し、日本では冬至の1つ先の節気である小寒に配置しています。
日本と中国とは気象・気象条件が異なることを節気の配置によって証明しています。
関連記事:
「雪下出麦」「水泉動」の日にち(期間)
- 太陽暦:12月31日〜1月4日頃
- 旧暦:十一月中(11月の中気)