「麋角解」の意味・由来・読み方|【冬至(二十四節気)七十二候・次候】

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このページでは二十四節気「冬至」の七十二候・次候における「麋角解」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。




「麋角解」の意味・由来

二十四節気・冬至の七十二候・末候(日本の略本暦)は「麋角解」です。

「麋角解」の読み方

「麋角解」は「さわしかのつのおつる」と読みます。

もしくはきわしかのつのおつる」とも読まれるようです。

麋角解とは?

麋角解とは、二十四節気の「冬至(とうじ)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の第2節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第六十五侯(第65番目)」の節気、「次候(じこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は275度を過ぎた地点です。

冬至期間中のその他の七十二候の種類・一覧(日本略本歴)

初侯:乃東生
次侯:麋角解
末侯:雪下出麦

「麋角解」の意味

「麋角解」の意味は、「麋角解」とに分解すると分かりやすくなります。

「麋」の意味

「麋」を調べると「おおじか(大鹿)」「なれしか(馴鹿/じゅんろく)」と記されるほか、「麋鹿(びろく)」とも記されています。

ただ、概ねどの書物を参照してもここでの「麋」とは、大鹿と書いて「ヘラジカ」のことを意味すると解説されています。

⬆️カメラが回っていると知り、急遽ペコちゃんの真似コントを披露するヘラジカの雄




ヘラジカとは日本には生息しない鹿であり、この事実を以ってしても理解が進むとおり、「麋角解」とは中国由来の節気であることが分かります。

「馴鹿」とは「トナカイ」を意味し、「麋鹿」とは「大鹿と鹿」とも解説されています。

この事実を以ってして「麋(さわしか)」とは=「大きな鹿」と言う意味合いになります。

なお、「麋」とは中国由来の言葉であり、七十二候が成立した頃の中国の鹿と言えば「梅花鹿」や「シフゾウ」が挙げられまする。中国・北満州地方では「麋」と書いて「トナカイ」を指すそうです。

これについて中国の儒教の経書「礼記」の本草には、『麋、沢ヲ喜ビテ陰ニ属スル(麋は沢を喜びて‥)』と解説されており、それゆえ、日本版七十二候に編纂するときに「麋」と書いて「さわしか」と訓ませたのでしょう。

「角」

角は突起した形状の骨組織の物体です。知っていましたか?鹿の角は皮膚から生えてくるので皮膚の一部だと思っている方もいると思いますが、厳密には骨組織ででてきているのでボーン(骨っ!)です。

⬆️奈良鹿の角

牛は頭蓋骨とつながっているので骨だと分かりますが、鹿の場合、生えてくるので分かりにくいのです。双方の頭蓋骨を見れば一目瞭然で見分けがつきます。

「解」の意味

解は「解答する」「ヒモを解く」などが代表されるように「解く」「解き放つ」などの意味があります。

ただ、「解」と書いて「もとの状態に戻す」とも解釈されています。…ん?考えてみれば”解釈”にも「解」の字が‥はてさて。

以上をまとめると『大きな鹿が角を落とす頃』という意味になりまする。

麋が示す「大きな鹿」の正体とは?

実は、栃木県真岡市荘厳寺に伝わる「仮名暦(かなごよみ)」によれば「麋角解」と書いて、「かも志々のつのおつる」と記されており、「かも志々(かもしし)」とは「カモシカ(氈鹿、羚羊)」の古称になります。

したがって仮名暦の解説を「正」とするならば、「麋」とは「カモシカ」のことを指し、これは現今の「ニホンカモシカ」を指すものと考えられます。

ニホンカモシカと言えば、山形県・栃木県・山梨県・長野県・富山県・三重県の県の獣にも指定されるほど、古くから日本に根付いた日本固有の鹿です。

このニホンカモシカが、はたして「大きな鹿」と定義されるのかは謎ですが、参考までに以下にトナカイとの体長差を比較しておきましょう。(参照先:ウィキペディア)

ニホンカモシカ
  • 体 長:105 ~112cm
  • 尾長:6 7cm
  • 肩高:68 75cm
  • 体重:30 45kg
トナカイ
  • 体長:雄で180~220cm 程度、雌で160~200cm 程度
  • 尾長:10~20cm 程度
  • 体重:160~180kg 程度、雌で 80~120kg 程度




以上の事柄を推察してまとめると、日本版の七十二候を編纂する際、「麋」と書いて「さわしか」と訓ませ、その意味を「ニホンカモシカ」の事としたとも考えられるということです。

また、現行の七十二候の根本が作歴された江戸時代に果たしてヘラジカを知る人物がいたのか?という点にも着目したいところです。

ただ、ニホンカモシカを例にとった場合、落角する時期が春先なので、これだと「麋角解」との整合性がとれなくなりまする。…はてさて

鹿の角の移ろい

鹿の角は8月中頃〜10月初旬頃に完成し、3月頃にポロっと自然に落ち、再び4月頃に袋角というカサブタのような角がヒョッコリと生えてきて成長していきます。

ただし、これは日本に生息する「奈良鹿」に代表される「ニホンジカ」を例にしていることから、中国の鹿の生態とは異なります。

上述したように七十二候が成立した頃の中国の鹿と言えば「梅花鹿」や「シフゾウ」が挙げられます。




麋角解の意味・由来

中国における冬至の次候・第六十五侯の七十二候は日本略本歴と同じく「麋角解」です。

ただ、読み方は「びかくげす」になりまする。

冬至期間中のその他の七十二候の種類・一覧(中国宣明暦)

初侯:蚯蚓結
次侯:麋角解
末侯:水泉動

麋角解の意味

中国・宣明暦における麋角解の意味も日本・略本歴と同じで「大鹿(ヘラジカ)が角を落とす頃」となりまする。

中国・宣明暦には似たような「鹿角解」がある!

中国・宣明暦には「麋角解」と似たような字体の「鹿角解」という節気がありまする。

麋が鹿に変わっているだけですが、この理由は上述したように「大きな鹿」と「スモールな鹿?」との落角する時期の違いです。

中国では上述、トナカイやバッファロー‥、あ間違い!「ヘラジカ」!!が冬季。 ヘラジカとバッファロー似てない?

対して、通常サイズの鹿は、夏至(夏季)と、落角時期が概ね半年も違っています。

「麋角解」の日にち(期間)

  • 太陽暦:12月27日〜30日頃
  • 旧暦:十一月節(11月の正節)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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