このページでは二十四節気「小暑」の七十二候・末候における「鷹乃学習」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。
鷹乃学習の読み方
鷹乃学習は「たか すなわち がくしゅうす」もしくは「たか すなわち わざを ならう」と読みます。一般的には「たか すなわち がくしゅうす」と読まれます。
鷹乃学習とは?
鷹乃学習とは、二十四節気の「小暑(しょうしょ)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。
72の節気を持つ七十二候においては「第三十三侯(第33番目)」の節気、「末候(まっこう)」にあてられた語句になります。
太陽の黄経は115度を過ぎた地点です。
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初侯:温風至
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次侯:蓮始開
末侯:鷹乃学習
鷹乃学習の意味・由来
日本(略本暦)での解釈
「鷹乃学習」の意味は、「鷹」「乃」「学」「習」に分解すると分かりやすくなりますが、「鷹」は「たか」と読み、これは「鳥類のタカ」のことです。
「乃」は接続の助字です。「すなわち」「そこで」「ようやく」「かえって」「乃至(ないし)」などの意味があります。
「学」は「まなぶ」「ならう」「教えをうける」「研究する」のほか、「勉強する内容」「知識体系」を意味します。
「習」は、「ならう」「ならわし」「勉強して新しいスキルを獲得する」「社会的なならわし」「しきたり」などの意味合いがありんす。
以上、まとめると「鷹が飛ぶことを学ぶ(頃)」という意味になります。
しかしながら、これだけだと表現が抽象的すぎて理解に苦しみますが、「飛ぶことを学ぶ」という部分にフォーカスして意味を考えていくと、これは「飛ぶことを知らないので飛ぶことを覚えなければならない」と解釈できます。
鷹でなくとも鳥が飛ぶことを覚える時期というのは雛(ヒナ)から幼鳥になって一段落した頃合いです。
すなわち、これは雛が巣立ちする頃を意味し、「鷹すなわち(乃ち)学(飛ぶことの技)を習う」とも解釈できます。
鷹の生態
実は鷹には、たくさんの種類があることから、単に「鷹」と言えばタカ科猛禽類のすべての種類を指します。
また、鷹と類似した鳥に「ワシ(鷲/Eagle/イーグル)」がいますが、実はワシも同じタカ科の鳥です。
ワシもタカも容姿が類似していることから、現在では一般的にサイズが大きいものを「ワシ(鷲/Eagle/イーグル)」、サイズが小さいものを「鷹(タカ/Hawk/ホーク)」と呼び分けています。
現在の日本には約30種類もの鷹(タカ)が生息していると言われていますが、日本におけるもっともポピュラーな鷹といえば「クマタカ」と「オオタカ」「ハイタカ」「(トビ)」ではないでしょうか。
鷹は1月〜3月に繁殖期を迎え、4月中旬頃〜5月中旬頃までに営巣を行い、卵を4〜5個産み落とします。6月中旬頃になると卵から雛が孵化し、ポンっと!飛び出てきます。ポンっ!….酢
7月初旬頃になると羽根にも色艶が出てきていよいよ幼鳥と呼ばれる頃になります。そしてちょうどこの夏至の七十二候「鷹乃学習」が示す、7月17日〜7月22日頃に飛び方を親鳥から教わります。
鷹の飛び方の学習の仕方
これは鷹だけではなく、多くの鳥に対して言えることですが、5月〜8月といえば鳥類にとって雛が巣立ちを迎える時期でありんす。
親鳥が幼鳥に飛び方を教えるときはまず、自分が手本を見せます。それを見て幼鳥も真似をします。
飛ぶことを覚えたら、食べる餌と餌の捕獲の仕方を教えていきます。
こうして幼鳥は成鳥になって行き、巣立ちしていくのです。
鷹の大きさ
- 「オオタカ」で雄の全長約50cm、雌の全長約60cm、翼開長約100-130cm。
- 「クマタカ」で全長オス約75cm、メス約80cm。翼開長は約160cmから170cm。
- 「トンビ」で雄雌関係なく全長60〜65cm、翼開長は150〜160cm。
- 「ハイタカ」で全長はオス約32cm、メス約39cm。翼開長は約62~76cm。
これらを比較すると「クマタカ」が圧倒的に大きいことが分かります。
鷹の食べ物
鷹は主に同じ鳥類を襲って捕食します。ほかにカエル、トカゲ、ネズミ、ヘビなどの小動物や魚も捕食しますが、死んだ肉はほぼ食べません。
鷹の寿命
鷹の寿命は50年〜70年と言われています。70年といえば人間とほぼ変わりません。
鷹の天敵
鷹は、大空を自由に滑空しながらイカツく鋭い爪と図太い脚で、上空から急降下して獲物を捕獲しますので、天敵となるものは皆無といえます。
これは自然界の食物連鎖の頂点に立つことを意味し、別名で「森の王者」と呼ばれるのはこのためです。西洋などでは、王様の権威を象徴する国旗やエンブレム(紋章)に鷹や鷲の絵柄が描かれていることがありますが、これは「王者」「支配者」であることを誇示したものです。
中国(宣明暦)の小暑の次候・第三十三侯の七十二候は「鷹乃学習」!
鷹乃学習の読み方
中国における小暑の次候・第三十三侯の七十二候は同じく「鷹乃学習」になります。読み方も同じく「たかすなわちがくしゅうす」になります。
鷹乃学習の意味
中国(宣明暦)においての「鷹乃学習」も同じく、「鷹の幼鳥が飛ぶことを覚えて巣立ちする頃」という意味合いになりますが、中国では、鷹が陰の気を察知して何かと攻撃的になり、他の鳥たちを襲う頃ともされています。
陰の気とは、陰気(いんき)のことです。陰陽五行説の教学で提唱される言葉であり、意味合いを言葉にすると少々、難しいものですが、「弱る」「衰退」などの消極的な意味合いがあります。
鷹乃学習の日にち(期間)
- 太陽暦:7月17日〜7月22日頃
- 旧暦:六月中(六月の中気)
二十四節気と七十二候について
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