「天地始粛」の意味・由来・読み方|【処暑(二十四節気)七十二候・次候】

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このページでは二十四節気「処暑」の七十二候・次候における「天地始粛」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。




天地始粛の読み方

天地始粛は「てんちはじめてさむし」と読みます。

天地始粛とは?

天地始粛とは、二十四節気の「処暑(しょしょ)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の第2節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第四十一侯(第41番目)」の節気、「次候(じこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は155度を過ぎた地点です。

処暑期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:綿柎開
次侯:天地始粛
末侯:禾乃登

天地始粛の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「天地始粛」の意味は、「天」「地」「始」「粛」とに分解すると分かりやすくなります。

「天地始粛」の意味

「天」はそのまま天上、すなわち空の「天」です。「地」は地上・地上の「地」。「始」は「開始」「はじまり」を意味します。

「粛」は「つつしみかしこまるさま」を意味し、「厳粛」「粛清」「自粛」などに多用される漢字ですが、ここでの「粛」は「静まり返っているさま」もしくは「弱まる」「縮まる」を意味します。

以上、これらをまとめると「天地始粛」とは、「天(太陽)と地(地中・地上)の暑さが鎮まり始める頃」もしくは「天(太陽)の日照時間(=暑気)が縮まり、地(地中・地上)の暑さが鎮まり始める頃」という意味合いになりんす。




処暑は中国では暑さが止まる時期!日本ではまだまだ残暑がある頃!

中国は新暦で言えば7月がもっとも暑い時期ですが、日本において1年内でもっとも暑いとされる頃は8月になりますので、約1ヶ月のズレがありんす。

これすなわち、大暑の時期がズレていることを意味し、日本の季節感で例えると立秋の頃が本来の大暑と言えんす。…いえんす? ちょい無理がある

したがって中国においての処暑は「ようやく暑さが止まる」に対し、日本では「まだまだ残暑の頃」といえます。

夏が暑い理由

暑が夏い理由とは、本サイトの二十四節気「大暑」でも解説していますが、「夏」と呼ばれる頃になると地球(北半球)が太陽の方を向いてしまうため、まともに太陽光を受けるからです。

年内で最長の日照時間となる夏至を中心とした期間に地中が温められ、その地熱が地表に排出され始めます。

ただ、日本においての夏至時期は入梅期間(梅雨期間)であることから、連日のように黒雲が太陽を覆い隠し、荒天が続くことから、ジメッとした暑さだけを肌身に感じる程度になりんす。

やがてジメジメした梅雨が明けると長く黒雲に覆い隠されていた太陽が顔を覗かせ、次第に雲ひとつない青々とした空が現れるといよいよ盛夏といえる本格的な夏が到来します。

盛夏になると太陽はやがて訪れる衰退に怯える様子など1㎜も見せずに、ギンギンとした光を容赦なく地球へ送り続けます。

一方で地中は夏至の頃から温められた熱気が地表に溢れ出している頃合いなので、これが連日にも及ぶ容赦なき太陽の日照りと合わさり、この相乗効果によって暑さはいよいよ極点に達します。

このような暑さが極まった時期、いわゆる大暑や立秋の時期になると、決まって耳にするのが熱射病や日射病で入院したり、尊い命を散らしたという悲しいニュースです。

そして暑さが極点に達した後は、陰陽五行説の『陰きわまりて陽となり、陽きわまりて陰となる』でも説かれるように徐々に暑気が薄れていきます。

つまり、日照時間(太陽の照射時間)が減少するので、それと連動する形で地熱の温度も減少の一途をたどり、やがて昼と夜の時間が逆転していきます。冬の到来です。




中国(宣明暦)での解釈

中国における処暑の初候・第四十一侯の七十二候は日本と同様に「天地始粛」。読み方は「てんちはじめてしじむ」になります。

天地始粛の意味

天地始粛の意味は日本の略本暦と同様に「ようやく暑さが鎮まる頃」になりんす。

処暑時期の中国の気候

上述したように中国は日本と約1ヶ月の季節のズレがあることから、中国では本格的に暑さが収まり、いよいよ実りの秋に入ったといえます。

二十四節気は中国・中原地方の気候・気象に基づいて作暦されていますので、島国である日本とは当然、気候・気象条件が異なります。

日本に二十四節気が伝来したのが奈良時代後半。以来、できるだけ日本の気候・気象条件に合致するように幾度も改暦されていますが、この立秋や処暑の節気だけはさぞかし各時代の暦学者たちの頭を悩ませたのでしょう。

その光景が今にも目に浮かんでくるようですが、長考の末、この現状を見れば分かるとおり、現今に至るまで改善されずにそのまま残る結果となっています。

天地始粛の日にち(期間)

  • 太陽暦:8月28日〜9月2日頃
  • 旧暦:七月中(七月の中気)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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