いよいよ蒸し暑い夏の入口となるこの小満の頃、これといった大きな行事はないものの、二毛作を行う農家ではこれから夏本番に向けての田植えの準備や、麦の収穫作業に精を出す時期です。
「小満」はよく「麦秋」「麦の秋」という言葉にも置き換えられるほど、古来、麦の収穫時期として知られています。時候の挨拶では「麦秋の候」が有名です。
養蚕農家などでは養蚕が開始される頃であり、農家にとっての小満は1年のうちでもっとも忙しくなる季節と言っても過言ではありません。
小満は二十四節気の中の1節であり、立夏と併せて初夏の到来を告げる節気もありんす。
以下では、この「小満」の読み方や意味と、併せて小満の旬な食べ物や、小満の行事・風習をご紹介しています。
目次
小満の読み方
「小満」は「しょうまん」と読みます。
二十四節気は中国由来の言葉なので、すべて音読み+音読みの熟語となっています。
小満とは?
小満とは、二十四節気・七十二候の「立春」から始まる春の節気の8節(8番目)のことを指します。
また、二十四節気を二分した各12節気のうちの「正節(せいせつ)」を除いた「中気(ちゅうき)」に属します。
小満の前は立夏(りっか/5月6日頃)で、穀雨から数えて15日目くらいとなる5月21日頃が小満となります。
旧暦では4月の真ん中の節気「四月中」になります。
ちなみに小満の前の節気は「立夏(りっか)」で「四月節(四月の正節)」、次の節気となる「芒種(ぼうしゅ)」が「五月節(五月の正節)」になります。
ところで・・「二十四節気」とは?
二十四節気とは、1年を24つ分けて、それらを1つ々々を「節気」と定めて。その節気に季節を司る言葉を付したものが二十四節気です。
1年を夏至と冬至の2つに分け、さらに春分と秋分の2つに分けて4等分とします。(二至二分)
- 365日÷4=91.25日
二十四節気はこの二至二分を基軸としています。
そして、それぞれの中間に立春、立夏、立秋、立冬を入れて8等分したのが、約45日間ずつの「八節」です。
- 365÷8=45.625日
さらに、八節を約15日ずつに3等分したものが二十四節気です。現行の二十四節気は、立春、立夏、立秋、立冬が各季節(四季)の先頭に来るように配置しています。
二十四節気は、中国から日本に伝来した生粋の中国文化ですが、中国と日本の季節感(動物・植物・気象など)が異なるため、日本では江戸の改暦(1842年/天保改暦)を経て、明治の改暦を経ながら日本の季節感いわゆる物候(ぶっこう)に沿わせるように改訂されています。
節気は各月に2つ存在し、毎月、「節」と「中」の節気が交互に来るようになっています。
「節」は「正節(せいせつ)」とも言い、「節気」とも呼ばれます。各月の前半に配置されるのが、この節です。
「中」は「中気(ちゅうき)」とも言い、略称で「中」とも呼ばれます。
現行の二十四節気は中国の太陰暦(月を参照した暦)を補完する目的で、逆の発想で太陽を参照して作暦されていますので、現在の太陽暦(グレゴリオ暦)に至っても、極度に形態を変えることなくそのまま使用され続けています。
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二十四節気 一覧表
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二十四節気の意味や由来・覚え方と決めた方の起源を解説!
小満の節気(期間)はいつからいつまで?
小満の前の節気は「立夏(りっか)」で5月6日頃〜5月20日頃までです。したがって小満は、新暦(現在の太陽暦)で言えば5月6日頃を指します。
もしくは5月6日頃から始まる節気(期間)を指します。小満の場合はその次の節気である「芒種(ぼうしゅ)」の前日までとなる「5月21日〜6月5日頃までです。年によっては1日前後します。
小満とは「特定の日」を指すのではない!
二十四節気は半月単位で節気が区切られています。したがって厳密に言えば「小満の節に入る日」を意味します。
半月とは約15日になりますので、このどこかで小満の節気で解説されているような季節感を感じて、本格的に小満の節気に入ったことを意味します。
もちろん、世間一般では特定の日が節気の境目として、特定の日のみが言葉で交わされる感は否めません。しかし、それが世間通念上まかり通っているのも事実であることから、完全な間違いとは言い難いものがありんす。
ただ、これは本来は正式ではないということを理解しておきたいところです。
小満は旧暦ではいつ?
小満を旧暦で表記すると、4月最初の節気「四月節(巳の月の正節)」の次の節気となる「四月中(巳の月の中気)」であり、具体的には4月下旬頃になります。
「小満」の次の節気である「芒種(ぼうしゅ)」が「五月節(午の月の正節)」となります。
小満の前の節気は、「立夏(りっか)」で4月最初の節気となる「四月節(巳の月の正節)」になりんす。
現行の定気法では太陽が黄経約60度の点を通過したあたりになります。
定気法とは?
定気法とは、1844年(天保15年/江戸時代後期)の天保暦より使用された暦法であり、太陽が黄道を15度ずつ進むたびに節気を設けた暦法になります。それまでの平気法を改訂した暦法です。
節気間の日数は毎年差異が生じることから、旧暦2033年に9月と10月がなくなってしまうなど大きな問題に直面しています。
小満の2023年の日はいつ?
- 2023年の日本の小満の日は5月21日(日)!
年 | 正確な時間(UT基準) | 日本の小満に日にち | 中国の小満の日にち |
2023年 | 5月21日 07:09 | 5月21日 | 5月21日 |
2024年 | 5月20日12:59 | 5月20日 | 5月20日 |
2025年 | 5月20日18:54 | 5月21日 | 5月21日 |
2026年 | 5月21日00:36 | 5月21日 | 5月21日 |
2027年 | 5月21日06:18 | 5月21日 | 5月21日 |
※参照先:「ウィキペディア」
「小満」の言葉の意味や由来とは?
「小満」という漢字を解体してみると、「小」「満」の2文字になります。
小満の言葉の意味は実のところ、明確に明らかにされてはいませんが、二毛作においての収穫の喜びを表現した言葉だと考えられています。
詳しくは、小満の頃はちょうど植えた稲を一旦、収穫して、その後に植えた麦の収穫期になります。これが現今の二毛作と呼ばれるものになりんす。なりんす?
また、養蚕に関しても「春蚕(はるご)」と呼ばれる春の養蚕も終える時期であり、束の間のホっこりとした気分になれる頃合いでもあります。
しかしながら、一方で田植えの準備をし始める頃合いでもあり、これより繁忙期を迎えることが分かっていながらも、とりあえず麦の穂が成って収穫できたことや、養蚕を無事終えられたことの喜びを噛みしめる頃合いでもありんす。
まさに小さな満足を得て、つかの間の小さな喜びに満たされて笑顔がこぼれている瞬間です。この様子を言葉で表現したものが「小満」です。
以上まとめると小満の意味とは次のような3つの解釈が考えられます。
- 二毛作において「小さな満足を得られる頃」もしくは「小さな喜びに満たされて笑顔がこぼれる頃」
- 初夏の立夏を過ぎ、気温も上昇してきた頃合いであり、少し動いただけでも汗ばんでしまう頃
- 万物が徐々に天地に満ち始める頃。万物とは動植物や昆虫などすべてを意味する。野花・草木は天を貫くほど生長し、昆虫や動物はその植物の恩恵を受けてさらに活き々々とする頃
小満の暦便覧(こよみ便覧)
万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る
「盈満」とは、「盈」と「満」に分けると理解しやすいのですが、「盈」の意味合いは「みちる」「いっぱいになること」を意味します。
「満」は、満タンの「満」。すなわち「いっぱいになる」「みちる」となり、これらを合わせると‥「いっぱいいっぱい」「みちるみちる」??
‥と、まぁ、同義語を使用しているため意味が重複してしまって混乱してしまいますが、これは「充分に満たされた」という表現が相応しいでしょう。
ただ、「万物」という意味は「宇宙上のすべてをもの」を指すことから、この言葉だけでは抽象的で何を伝えたいのかが分かりにくいのですが、この場合の万物とは「自然界の草木枝葉が生い茂るための栄養となるもの」とする方が意味合い的には通じるものとなります。
まとめると「自然界のあらゆるものに生気が宿る時期であり、その恩恵を受けて草木枝葉が生い茂る頃」となります。
草木枝葉が生い茂ると果物や野菜も生長します。その果物や野菜の恩恵を受ける私たち人間や動物も盈満します。
暦便覧とは?
暦便覧とは、正式には「こよみ便覧」と書き、「こよみべんらん」と読みます。
この書物は、1787年(天明7年)に江戸で出版された暦の解説書であり、 太玄斎(たいげんさい)という人物が著した古書物です。
太玄斎というのは名前ではなく「号」であり、本名は「松平頼救(まつだいら よりすけ)」と言います。
松平頼救は常陸宍戸藩の5代目藩主でしたが、隠居して嫡男・頼敬に家督を譲った後、太玄斎を称しています。
小満の季節感
小満の時期は特にこれといった行事などはなく、陽気な日が続き万物の成長をさらに促進させます。
山や野原の植物は、花を落として果実を実らせ、蚕は冬眠から醒めて桑(くわ)を食べ始める頃でもありんす。
5月中旬〜下旬は沖縄地方が全国に先駆けて梅雨入りします。西日本でもこの時期、その煽りを受けて「走り梅雨」といって梅雨を錯覚させるようなぐずついた天気が続くことがあります。
現今ではあまり言葉にする人はいませんが、一昔前までは、この時期特有の梅雨のことを「卯の花腐し(うのはなくたし)」とも呼んでいました。意味は「
この梅雨の走りが明けると、再び陽気な日々に戻りますが、つかの間となる6月初旬あたりからいよいよ本格的な梅雨が始まります。
五月雨は6月!
「五月雨」と言う言葉がありますが、この言葉の意味を知らない人からすれば「五月に降る長雨」と解釈してしまいます。
五月雨は旧暦五月を指す言葉なので、現今の暦に置き換えた場合、「6月時期に降る長雨」となり、すなわち「梅雨」のことを指します。
松尾芭蕉の「おくのほそ道」に集録されている有名な句にこんな句がありんす。
『五月雨を 集めて早し 最上川』
意味は、「最上川は、まるで五月雨を集めてきたかのように流れが早い」になります。
沖縄地方に伝わる「小満芒種」の意味とは?
沖縄地方には古くから「小満芒種(すーまんぼーすー)」という言葉が伝えられています。
「小満芒種」の意味は、「小満芒種」を分解すれば理解できますが、「小満」とは、二十四節気の小満のことであり、同じく「芒種」も二十四節気の芒種のことです。
まとめると沖縄地方では、小満〜芒種までの間の期間、年内でもっとも雨が降ることから「小満芒種」と書いて梅雨と同義として位置付けています。
実際統計上でも小満から芒種の期間中における沖縄県那覇市の雨量(平均降水量)は約160㎜を記録しています。
「小満」に対して「大満」はない
二十四節気の言葉を見ていると「小」が付された言葉には、その対義語となる「大」が付された言葉があることが分かると思います。
例:
- 小暑(しょうしょ):大暑(たいしょ)
- 小寒(しょうかん):大寒(だいかん)
- 小雪(しょうせつ):大雪(たいせつ)
なぜ小満に対してのみ「大満」がないのかは謎ですが、‥取り入れるネタが、さして見当たらなかったのでしょうか。
小満と言えば「麦秋」
小満の頃を指す言葉として「麦秋」という言葉があります。麦秋とは「秋」の字が入っているから秋を指す季語などではなく、これは初夏を指す季語になります。
麦秋に「秋」が付された理由
麦秋に「秋」が付された理由は、麦が熟し、麦の収穫期であることから、米の収穫期である「秋」に例えて「麦秋」という言葉が用いられています。
下記の七十二候でさらに詳しくご紹介していますが、「小満」の七十二候の末候に「麦秋至」と紹介されています。これは麦秋が初夏を代表する季語であることを強く示唆するものです。ウフ
小満と二毛作
「二毛作」とは概ね鎌倉時代から始められた画期的な農法の1つであり、同じ田んぼで2回異なる作物を育成する方法です。秋には稲刈りが行われますが、稲刈りが終わると田んぼが空きます。そこで秋に稲の収穫が終わるとすぐ様、今度は麦を植えてしまうのです。その麦は初夏の小満を迎える頃になると穂が実り、収穫を迎えます。
小満の七十二候
「七十二候」とは?
二十四節気をさらに72に分割した「七十二候」と呼ばれる暦法もありんす。
七十二候は二十四節気をさらに細分化し、日本の風土に合わせた各季節においての気象や動植物の変化を分かりやすく解説しています。
したがって二十四節気が抽象的表現の暦であるならば、それをもう少し具体的にしたものが七十二候ということになりんす。
七十二候には「初候」「次候」「末候」という3つの期間(候)を設け、それぞれの期間の季節感にマッチした季語が割り当てられています。
例えば、この小満も七十二候に当てはめると3つの期間(候)に分けることができます。ウフ
初候(5月21日頃~25日頃):蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
意味:蛙が鳴き始める
蚕起食桑とは?
「蚕起食桑」は「蚕」「起」「食」「桑」の言葉に解体すると理解しやすいのですが、蚕とは毛虫の一種である口から糸を出す「カイコ」のことです。
桑は樹木のクワのこと。
この言葉はカイコが主体となって完結している言葉です。
すなわちまとめると、「カイコが桑(クワ)の木になった葉を盛んに食べ始める頃」という意味合いになります。
カイコは孵化してから20日前後で8㎝くらいの大きさになり、自身の生涯でもっとも盛んに桑を食べます。しかもなぜかクワしか食べないという変わった生物でもありんす。
カイコは生涯で4回脱皮を重ね5令幼虫が最後の形態になります。(中にはごく稀に「2眠蚕」といってもう一回脱皮するカイコもいる)
30日前後すれば突如、食べるのを止めて頭をヒョコッと起こして静止して動かなくなります。これを「眠の状態」と呼称します。
カイコが眠の状態になるときは脱皮する時か、もしくはいよいよ繭を作って蛹化(サナギになる)する時です。
自身を覆う繭はわずか2日から3日で完成させます。蛹化してからおよそ2週間で完成した繭からカイコが出てきます。
その後カイコは子孫を残すために後尾して卵を産みますが‥なんと!カイコは繭から出たのちわずか5日〜10日で餓死して死んでしまいます。その理由は分かりますか?
ちょっと考えてみてください。
・・
・・
はい!残念無念!正解は‥
「口があっても口が使えないんです」
すなわち、摂食行動(餌を食べること)ができないので5日〜10日で餓死してしまうんです。
だから羽化してからわずか10日の間に後尾をして子孫を残して儚くもその命を散らせて逝きます。
一方、カイコくんたちが残した繭は私たちの身近な存在である高級品として知られる「シルク(絹糸)」として利用されます。
カイコは古来、「おカイコ様」と呼ばれていますが、絹糸が衣服を作るための材料であるならば、私たち人間の生活は欠かすことのできない昆虫であることから「様」が付されているのです。
関連記事:蚕起食桑の意味・由来・読み方
次候(5月26日頃~30日頃):紅花栄(べにばなさかう)
意味:紅花(ベニバナ)が咲き誇る頃。
紅花栄とは?
紅花栄をそのまま読むと「ベニバナ(紅花)が栄える」と解釈されます。「栄える」が意味するのは上記のように「咲き誇る」ことです。この時期になるとベニバナが畑一面に咲き誇る姿を目にすることができます。
ベニバナも私たちの生活には欠かせない植物です。ベニバナを使用した私たちのもっとも身近な商品に女性が付ける化粧品があります。
お分かりになりますか?ちょっと考えてみてください。
・・
・・
はい!残‥正解です!よかったですね大正解です!
その通り「口紅」です。一般的に口紅の主材料にはベニバナが使用されています。他にも繊維や皮、紙などを染め上げる染料としても使用されます。「紅花染め」という言葉が有名ですね。
それともう1つ!私たちが生活を営む上で紅花さんによくお世話になっている身近なものがあります。
お分かりになりますか?
そうです!「サフラワー油」です。サフラワーとは「紅花(ベニバナ)」の別称です。
すなわち紅花を使用した植物油になります。スーパーでよく見かけるのが「日清べに花油」です。
近年ではベニバナの亜種が発見されており、悪玉コレステロールをヤっつけるという「リノール酸」や「オレイン酸」を多く含むことから、さらに品種改良が進められています。
ベニバナ油の主な成分(在来種)
- リノール酸:73〜82%
- オレイン酸:9〜17%
関連記事:紅花栄の意味・由来・読み方
末候(5月31日頃~6月4日頃):麦秋至(むぎのときいたる)
意味:筍(たけのこ)が生えて来る頃
麦秋至とは?
冒頭でも少しお話ししましたが、麦秋は小満を意味する同義言葉として用いられることがあります。小満の頃には麦が穂をなびかせるほど成熟し、いよいよ収穫時期を迎えます。
麦の穂は概ね立夏の頃から6月にかけて成熟期を迎えることから「麦の秋」という言葉が生まれています。
「秋」という季語が付されていますが、これは「秋を連想させる季節」という意味です。
広大な麦畑が広がる九州地方北部の佐賀平野・筑後平野では、ちょうど立夏の頃に一斉に麦の穂が生り始め、水平線の向こうまで広がる「小麦色の絨毯」と呼ばれるほどの雄大かつ壮大な眺望が楽しめます。
そして小満の頃に収穫時期を迎えます。
基本的に麦は二毛作で栽培される作物であり、農家にとっては秋の稲刈りが終わった後の空いた田畑で栽培されます。稲が植えられるのは翌年のこの小満の頃なので、二毛作農法を取り入れることによって1年中田畑が有効活用できます。
このような二毛作は鎌倉時代の頃より始められたと伝えられています。
関連記事:麦秋至の意味・由来・読み方
小満の期間中の行事・風習
三社祭
一方の東京にも東京三大祭と呼ばれるものがあり、それが「三社祭」になります。
浅草寺の脇に建つ浅草神社の祭典であり、毎年5月第三日曜日を最終日とする3日間を要して執り行われます。
三社祭のシンボルとなるのがお神輿です。浅草神社には現在、三社と名のつくように3柱の神を乗せる神輿がそれぞれ1基ずつと、他に神社周辺の40か町以上の各々が繰り出す町神輿があります。
これらの神輿が町内を勇ましい掛け声と共に移動する姿は圧巻です。
三社祭の詳細
関連記事:東京 浅草神社・三社祭(2020年)の日程(開催期間・開催場所)【何日に行くのがオススメ?】
関連記事:浅草神社・三社祭の「屋台の種類と場所(営業時間)」
ローマ字の日
例年、5月20日はローマ字の日です。
日本のローマ字は16世紀末(安土桃山時代あたり)にポルトガル宣教師によってもたらされています。
現在のローマ字は訓令式ローマ字表がローマ字表記法の基準になっていますが、これは安政5年に来日したアメリカの宣教師JCヘップバーンが普及したヘボン式を元にして改訂したものです。
大正11年5月20日、日本ローマ字会が発足し、昭和30年に「ローマ字の日」が制定されています。つまりのところ、このローマ字の日とは「日本ローマ字会」の創立記念を祝う日になります。
- 日本ローマ字会公式HP:
http://www.roomazi.org/
田植え
上述したように初夏(立夏〜(小満)〜芒種)の時期になると田植えが行われます。期間としては概ね4月中旬〜6月いっぱいにかけてです。スパンが結構あるように感じられますが、これは地域によって気候が異なるためです。
この時期に田植えされる理由はあまり知られていませんが、稲が生長する条件が深く関与しています。稲は気温15度以上の日が続かないと生長せず、逆に10度以下になると枯れてしまうからです。すなわち、この立夏の頃〜6月頃にかけてが田植え時期としては最適だからです。
現在ではビュイぃ〜ンと機械を動かしちまえば簡単にできますが、昔は機械がないので田んぼに入って稲を1本1本手で植えつけたのでゴザんした。
植え付け作業は上半身を折り曲げて行わなればならず、重労働でしたが、女性が担当したのです。
その名残を伝えるのがお田植え神事です。現在でも御神田を所有する神社であれば、立夏の時期あたり〜6月頃にかけて全国の神社で一斉にお田植え神事が斎行されています。
小満の日(期間)の季語
小満で使用される有名な季語一覧
「夏立つ(なつたつ)」「夏来たる(なつきたる)」「夏に入る(なつにいる)」「今朝の夏(けさのなつ)」
などは初夏を意味する代表的な季語です。それと忘れていけないのが、「小満」そのものが季語だということです。ウフ
「梅夏」
意味:初夏に一時的に続く長雨のこと。梅雨の到来を勘違いさせる長雨。
麦の秋
意味:上述したように「麦秋(ばくしゅん)」とも呼ばれます。
江戸時代後期の著名な俳人・小林一茶が詠んだこんな句が残されています。
『麦秋や 子を負ひながら いはし(鰯/イワシ)売り』
意味は、赤子を背負った母ジャとなるイワシ売りの行商人が麦畑のあぜ道を歩く姿を見て、初夏の情景として詠んだものです。
麦生日
江戸時代〜明治時代の俳諧資料集である「改正月令博物筌(かいせげつれいはくぶつせん)」という資料の中に、次のような長崎県出身の俳人「森澄雄(もりすみお)」の俳句が集録されています。
『小満の日を麦生日ともいう。晴天なれば麦大いに熟す』
気になるのが「麦生日」という言葉ですが、意味合いとしては「麦の穂が実る」という言葉を「麦が生まれた日」と解した言葉です。
まとめると、「春の陽気に照らされた麦は初夏の頃には小麦色の穂が実り、やがて収穫時を迎える」‥などといった感じです。
以上のように小満を解説する時には「麦」が多く登場しますが、それだけ麦が小満の代名詞的な位置付けの重要な季語だということが理解できます。
麦嵐(麦の秋風・麦の風)
黄金色の麦畑を吹き抜けてゆく爽やかな風を「麦嵐」もしくは「麦の秋風」単に「麦の風」とも言います。陰暦4月頃に吹く風全般のことを指す言葉でもありんす。
この頃独特の風情が感じられる風ということから、特別にこのような名前が付されています。
また、このような風が吹く時に麦をなびかせることから、その様子を見て「麦の波」とも表現されます。
麦雨(ばくう)
麦雨とは、収穫時期を迎えた一面に広がる麦畑に降る五月雨(さみだれ)のことを意味します。五月雨とは陰暦5月頃に梅雨を思わせる長雨のことです。
麦畑にパラパラと降り注ぐ長雨の見て、このような言葉が誕生したのでしょう。
夏浅し
意味:浅いで「初め」や「前半」を意味します。まさに新緑の候の自然のすがすがしさを表した言葉です。
薄暑
意味:薄いで「少し暑さを肌身に覚える」などの意味合いがあります。晩秋から越冬し、汗をかかなかった季節から急に暑くなってきたことで汗がすぐに出てきてしまい、汗ばむほどの日が出てくるという意味です。
卯月(うづき)
意味:卯の花が咲く月(旧暦では4月、新暦では5月のこと)という意味合いの言葉です。
初夏(はつなつ)
「しょか」の方が一般的かもしれませんが、立夏の頃の関東を例にした気温は20度を基準として25度以上になることもしばしば‥。まさに初夏と呼ぶに相応しい季節です。
そのほかの小満時期(初夏)の季語一覧
- 夏の色
- 夏げしき
- 夏の匂
小満の時期が旬の食べ物
野菜・果物
タケノコ
タケノコは二十四節気で例えると穀雨〜小満までが旬です。暦で言うと4月〜5月いっぱいです。
よくスーパーや八百屋で見かけるタケノコの種類は「孟宗竹(モウソウダケ)」という種類のタケノコです。
タケノコは煮物にしたり、軽く茹でて刺身で食べたりします。カリコリとした歯ごたえが特徴です。
タケノコにはカリウムが多く含まれていますので、塩分(ナトリウム)を摂取しすぎた場合、排出作用を促進させ、血圧を下げてくれる働きがあります。
そら豆
立夏や小満、すなわち初夏になるとスーパーや市場などで見かける機会が多くなるのが「そら豆」です。
ビタミン類を多く含み、ミネラル成分も豊富なので、これから夏を越せるだけの体力を付けるのには最適な食べ物です。
そら豆は塩茹でにしてビールのアテにしたり、はたまた、煮付けて食卓に並べたりと初夏を代表する旬な食べ物になります。
フキ
旬な食べ頃時期:4月~6月
フキは日本原産の野菜であり、約180
フキは煮物にして食べることがほとんどです。
ワラビ
旬な食べ頃時期:4月~7月
ワラビは煮物や天ぷらにして食べることが多い食物ですが、灰汁(あく)を多く包有していますので、食中毒を起こさないように注意する必要があります。
ワラビを使用したもっともポピュラーな食べ物の1つに「わらび餅」があります。
わらび餅は、ワラビの地下茎を天日干ししてそれを粉にして、コネくり回して餅にしたものです。粉砂糖をまぶした「きな粉」に付けて食べます。見た目的に清涼感が得られることから夏の風物詩とも言える食べ物です。
明日葉(あしたば)
旬な食べ頃時期:2月中旬~5月頃
セリ科の野草。青汁に使用される葉っぱとして有名。天ぷら、バター炒め、おひたしにして食されます。
「明日葉」の名前の由来は、生命力がズバ抜けており、「今日、葉を摘んでも明日になればまた芽が出ている」故事からきている。
菖蒲酒
あまり聞かない言葉ですが、菖蒲の根っこを漬け込んだお酒もあります。菖蒲は邪気払いのほか、血行促進や肌の保湿成分も備わり、胃腸薬や解毒剤としても重宝されたことから、立夏の時期には農作業に精を出す意味合いも込めて菖蒲酒を飲む風習もあります。
ただ現在、菖蒲の根っこは入手しにくいことから、菖蒲の葉を代用として漬け込んでいる地域もあります。
じゃがいも
旬な食べ頃時期:3月中旬~6月頃/10月中旬~11月頃
じゃがいもの日本一の産地である北海道では、ちょうど立夏の頃からじゃがいもの植付け(種芋)が始まります。また、この時期、九州産(長崎・鹿児島)の「新じゃが」が流通する頃でもあります。
北海道産の秋口〜冬時期に出回る「じゃがいも」に対して、春先から夏に出回るのが「新じゃが」です。
グリーンピース
旬な食べ頃時期:4月~6月頃
グリーンピースは塩茹でにしてそのまま食べたり、サラダにブチ込んで、胃袋へシコ流ししたりして食べます。上記、「じゃがいも」で作る「肉じゃが」などの煮物に付け合わせ食材としてブチ込んだりします。
絹さやえんどう
旬な食べ頃時期:3月~6月頃
マメ科エンドウ属の属する野菜です。
ビタミン、ミネラルを豊富に含む野菜です。下処理として筋を取ってから煮物にしたり、塩茹でにして酒のアテにして食べたりします。
夏みかん
例年、4月中旬から6月頃になると夏みかんの食べ頃時期となるため全国で一斉に収穫が行われます。
夏みかんの有名な産地は主に西日本。まずはミカンの産地でよく知られる愛媛県や和歌山県のほか、鹿児島県や熊本も有名です。
夏みかんはビタミンCとクエン酸を多く含み、冬みかんよりも酸味がありますので、レモンの代用とされる場合があります。
お茶(新茶)
古来、八十八夜に行われる有名な行事として「お茶の摘み取り」があります。飲料メーカー各社が八十八夜の時期に「新茶の美味しい季節になりました」などの広告を打つので、テレビのCMやポスターなどで見かけることが多いのもこの時期の大きな特徴です。
新茶とは、その年に摘み取った茶葉を煎じて作られたお茶です。全国一斉に概ね5月初旬あたりから店頭に並べられたりします。
魚類
アジ
アジの食べ頃となる旬な時期は5月〜7月です。この期間中はアジの水揚げ量が増し、スーパーなどの店頭で見かける機会が多くなります。
カツオ
カツオ漁は九州南部で3月に開始されたのを皮切りに、5月に本州、8月〜9月頃に東方地方北部(三陸沖)〜北海道へと展開していきます。
3月〜5月に水揚げされたカツオは「初鰹(はつがつお)」と呼ばれます。店頭や市場などで「初鰹」と書かれたPOPが目立つのこの時期の風流といえます。
カツオは群れで移動していますので、9月頃になると三陸沖でカツオ漁が始まります。この時期に三陸沖で獲れたカツオは「戻り鰹」などと呼ばれ、再び店頭で見かける機会が増えます。
キビナゴ
キビナゴは5月〜6月と12月〜2月の年に2回だけ食べ頃となる旬な時期を迎えます。
特に5月〜6月のキビナゴは産卵期を迎えるため猟獲量も増加し、中には子持ちのキビナゴも口にすることができるでしょう。
5月〜6月になるとスーパーの惣菜売り場でキビナゴのから揚げやてんぷらを目にする機会も増えます。
しかしながら、身が引き締まって美味しい食べ頃は12月〜2月の寒い冬です。
イシモチ
旬な時期:夏/4月~7月頃・冬/11月~12月頃
サクラマス
マイカ
時鮭
ワタリガニ
真鯛
小満時期の季節の花
※以下、画像引用先:https://ja.wikipedia.org/
バラ
- 開花時期:5月~10月
現在のバラは品種改良や機材の発展により、四季咲きのものが多く、1年中見かけることができますが、本来のバラの開花時期は初夏です。
カキツバタ
- 開花時期:5月~6月
下記、アヤメやカキツバタと見間違える花として有名なのがカキツバタです。一般的にはアヤメがもっとも有名なため知らない方も多いと思います。
その様相は『何れ菖蒲か杜若(いずれアヤメかカキツバタ)』の言葉でも知られているほどでありんす。
アヤメ
- 開花時期:5月~6月
上記、カキツバタと本当に見た目が良く似ています。アヤメは他にも花菖蒲とも似ているので、素人が見た場合判断つきにくいほど似ています。
よく知られている見分け方はGW中に開花するのがアヤメ。アヤメから一歩遅れる形でGWが終わった頃に開花するのがカキツバタです。そして花菖蒲はその後、しばらく経った6月頃です。
カキツバタや花菖蒲は水辺で見かけることが多いのですが、大してアヤメは陸上で芽吹く花です。
皐月(サツキ)
- 開花時期:4月~6月
家宅や公園、歩道脇などに生垣として植栽されていることが多く、視界に入ることが多い花です。しかしながら、花に興味でも無ければジックリくりクリと見る人が少なく、意外と知らない方多い花でもありんす。
ハナミズキ
- 開花時期:5月~6月
桜が君の純白のうなじのように儚げで切なく思わず抱きしめたくなっちまぅような花弁を散らした後に、ヒョコッと芽を出す花です。5月を代表する花でもあり‥ます。
一青窈(ひととよう)という女性シンガーの「ハナミズキ」という楽曲で知名度がグッと上がった花でもあります。
フジ(藤棚)
- 開花時期:4月~5月
フジは昔から君の振袖姿のようにそれはそれは可憐で美しく何より無意識に接吻したくなるほど可愛い女性に例えられた5月を代表する花です。開花時期は早い所で4月中旬過ぎ。
5月のGW期間中になるとフジの名所では、たくさんの観覧客が訪れます。
カーネーション
- 開花時期:4月下旬~6月(10月~11月※秋)
カーネーションは上述した「母の日」に母ジャにプレゼントする花として有名です。5月を象徴する花でもありんす。
母の日の前後に切り花の流通量が増えますが、現在では1年中店頭で見かけることができます。
母の日に広告などで赤色のカーネーションが使用されていることから、カーネーションと言えば「赤」を連想してしまいますが、カラーバリエーションは豊富です。
シャクヤク
- 開花時期:5月~6月
シャクヤク(芍薬)も立夏の時期の花としては有名な花です。ボタン科の花に属するだけあって君の斜め45度から見たときの顔のように大輪の美しい花弁を付けます。
江戸時代の頃から茶道で飾る茶花として用いられたこともあり、観賞用の花として一般的になっています。
中国では古くから薬草として用いられています。
チョウジソウ(丁字草)
- 開花時期:5月~6月
河川敷沿いなどで見かける機会の多い野花です。ちょうど立夏の頃に可憐で儚げで控えめな性格の愛おしい君を連想させるそれはそれは小さく可愛い花弁を付けます。
関東地方ではちょうど立夏時期(GW期間中)に開花している姿を見ることができます。
小満の時期(5月)の時候の挨拶
時候の挨拶とは?
時候の挨拶とは「じこうのあいさつ」と読み、これは挨拶状などの冒頭に書く文のことです。
例えばよく見る典型的な例が、「拝啓〜」と書いた後に続く文章です。
- 一例:「拝啓、○○の候」or「拝啓、暑中お見舞い申し上げます」…etc
‥と、このような文章が時候の挨拶になります。
特に仕事の関係先や目上の方へのお手紙の冒頭には、きちんと時候の挨拶を入れたいとお考えの方もいるかもしれません。
「小満」という言葉は、「小満の候」「小満のみぎり」「小満の折」という形で、そのまま時候の挨拶になります。
例えば、「小満の候(しょうまんのこう)」と言うと、「麦の穂が実り、収穫の時期を迎え、田植えの準備で忙しい季節となりました。」もしくは「いよいよ梅雨入りを迎える季節となりました」などような意味合いです。
「拝啓 小満の候、」という書き出しで、相手の安否・健康を気遣ったり、最近の気候や行事の話を続けたりします。
「拝啓」で始めたら、最後に「敬具」をお忘れなく!
小満の候
- 読み方:しょうまんのこう
- 意味:陽気な日が続き、万物が成長する季節。万物とは宇宙上のものすべて。すなわち、動植物すべてを意味する。
- 使用するに適した期間:5月下旬〜6月初旬頃まで
初夏の候
- 読み方:しょか(はつなつ)のこう
- 意味:「夏の初め」という意味で初夏。陽気に満ちた晩春は時に汗ばむほどの蒸し暑さを覚える。
- 使用するに適した期間:5月初旬~6月初旬頃まで
新緑の候
- 読み方:しんりょくのこう
- 意味:君の薄着姿のように実にみずみずしい若葉の緑色がまぶしい季節
- 使用するに適した期間:5月初旬~6月初旬頃まで
薫風の候
- 読み方:くんぷうのこう
- 意味:青々とした新緑の香りが風に乗って鼻につく季節
- 使用するに適した期間:5月初旬~6月初旬頃まで
若葉の候
- 読み方:わかばのこう
- 意味:「若葉」とは芽生えて間もない草木の意味。穀雨によって芽生えた草木が生い茂る立夏の季節を表した言葉
- 使用するに適した期間:5月初旬~中旬頃まで
万緑の候
- 読み方:ばんりょくのこう
- 意味:万緑とは周囲一面が青々とした緑に包み込まれているという意味。またその様子を表した初夏の季語。
- 使用するに適した期間:5月初旬~下旬頃まで
葉桜の候
- 読み方:はざくらのこう
- 意味:一世を風靡した桜が花弁を散らせ桜の存在感を打つ消すかのうように新緑が覆う季節の到来。
- 使用するに適した期間:5月全般
微暑の候
- 読み方:びしょのこう
- 意味:わずかに暑さを感じ始めた頃
- 使用するに適した期間:5月全般