神社のみならず、お寺でも見かけることのある狛犬。
特に神社に置かれている姿が散見されますが、‥‥‥どの神社も同じ狛犬がほぼ無いというのが、まず、驚き!
そんな狛犬をジ〜っと見ているとこんな疑問が湧いてきませんかぃ?
狛犬にはモチーフとなったデルモ!、おっと、モデル!!のようなものはあるのか?
狛犬は何をもとに誰が考え出したのか?
そんな疑問にこのページではお答えしましましょう!
目次
狛犬のモデルはライオン?
ところで狛犬の形状は何をモチーフとしているのでしょうか?
字面だけ見れば、狛犬は「犬」なので犬かと思いますが、その姿形を見て「あれは犬だ!」と思う方はあまりいません。
見た目から何を想像しますか?
実は狛犬のモデルになった動物は「犬」ではなくて「ライオン」であると言われています。
ライオンと言えば「獅子」と表記されることがありますが、狛犬の元になったものも、その獅子です。
今でも祭りなどで見られる「獅子舞」は、狛犬ソックリな獅子の面をかぶって踊っている姿が散見されます。
ただし、現在では左右2体の狛犬が「狛犬」ではなく、片方だけが「狛犬」で、もう片方が「獅子」だという説が色濃く定着している感はあります。
獅子舞の起源や狛犬の関連性については下記ページにて詳しく述べています。
獅子はライオン!では狛犬のモチーフとは?
中国の空想上の霊獣「ジ(兕)」説
以下画像引用先:https://ja.wikipedia.org/
これまでの文面を読み進めてきて分かるように獅子はライオンがモチーフなのですが、では、狛犬の方はいったい何がモチーフとされたのか?
実は狛犬のモデルとなった獣が何種類かいたようですが、現在までの調査において有力視されているのが、「ジ」という一本角をド頭から生やした蹄(ひづめ)を持つ、サイ(犀)もしくは水牛だと考えられています。
この「ジ」は中国で生み出された空想上の霊獣であり、「山海経」という旧記の中に描かれています。
「ジ」が珍しさのあまり日本で話題を呼び、やがて「狛犬」と呼ばれるようになった‥‥という説がコレです。
朝鮮半島の空想上の霊獣「ヘテ」説
もう1つ、朝鮮半島の霊獣「ヘテ(ヘチ)」という説もあります。
ヘテは鱗をもち、巻き毛があり、身体は胴長で足が太く、さらに鼻も大きく、口から牙を左右に2本生やしています。
朝鮮では真贋を見極める霊力を持ち、魔除け、守護獣として信仰されており、ソウル特別市のシンボルにもなっています。
このヘテのルーツが中国の牛やヒツジに似た「カイチ(獬豸)」という霊獣と見られていますが、やはり前述の「ジ」にしろ、中国が起源となっています。
なぜライオンが狛犬のモチーフになったのか?
ライオンはかつてバルカン半島やアラビア半島からインド中部地方にまで多数、生息しており、必然的にライオンを用いた意匠(工芸品や像・文化)が生まれたとされています。
BC5000年〜6000年頃になると盛んにそのライオンをモチーフとした像などが造立されたとあります。(参考文献:藤倉郁子著「狛犬」)
やがてライオンを用いる文化が生まれ、それが前述のシルクロードなどを通じて全世界へ伝播していったというわけです。
なお、かつてイラクの首都バグダット郊外にあったテルハルマール寺院跡からは、およそBC1800年頃のものと思われる一対の獅子像が発掘され、現在、イラク考古学博物館に所蔵されていますが、これが世界最古の獅子像と言われます。
その像容は現在の狛犬を彷彿とさせるほど類似しています。
ライオンは力の象徴!
古代オリエントでは、国王などの支配者が権力を誇示するため、もしくはさらなる力を得るために前述したように地上最強とされる猛獣「ライオン」を自らの中に取り込んで番犬のように扱う思想が芽生えます。
そこでライオンを、自らを示す紋章(エンブレム)として掲げ、玉座や旗などにあしらいます。
他にもライオンの上に立つ神像や、ライオンの上に座るポージングの像は紀元前から見られるものであり、これらは「獅子座」と呼ばれたりするものです。
紀元前100年代に入ると、今度はインドのガンダーラ地方にて世界で最初の仏像が作られるようになるのですが、この時、仏像の台座にあしらわれたのが驚くことに「ライオン像」であり、すなわちこの瞬間、古代オリエント文明のライオンが仏教文化へ採り入れられたことになりまする。
同時にライオンをあしらう文化が東へ広まったことをも意味します。
仏教へ転用されたライオン、つまり獅子像の意味としては、台座に座る者を鑽仰(さんぎょう/聖人の徳を仰ぐこと)する、もしくは釈尊(釈迦)を警護する守護獣としての意味合いも含むものとされ、やはり古代オリエント同様の意義が踏襲されたことになり申す。
発祥地の風土や気候・生態が文化に影響を及ぼす
現在の狛犬の姿形からはとてもライオンを想像できませんが、これは日本風にアレンジが加えられた姿とみるべきです。
中国の狛犬像が日本にあれば違和感を感じるように、逆に中国に日本の狛犬像があれば違和感を感じることでしょう。
このようにそれぞれの国の文化や風土に合わせて狛犬像もそれとマッチしたように仕上げられています。
ただ、姿形こそ違えど、狛犬の意味や意義は国境を越えて同じです。
古代の人々はライオンの強靱さに「守り手」「守護者」としての側面を見出したのでしょう。
なお、話は少し逸れますが、ローマをはじめとしたヨーロッパ圏ではライオンではなく、「鷲(イーグル)」が盛んに用いられています。鷲は空の王者と呼ばれるように強靭な足と爪で、自分より身体の大きな動物にも戦いを挑み、それを仕留めて糧とします。
このことからライオン同様に王者の証として国旗や装飾などに多用されていますが、やはり、ヨーロッパ圏には鷲が数多に生息していた背景が浮かび上がります。
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