【関東と関西でどう違う?半夏生の行事食(食べ物)】「鯖/タコ/うどん」を食べる意味や由来(起源)はいつから?

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半夏生とは変わった名前ですが、これは雑節と二十四節気の七十二候で集録される節気のことです。

このように雑節と七十二候との双方で集録されている事実を以ってしても、重要な節気であることが分かります。

以下では、この半夏生の期間(主に7月2日頃〜7月7日頃)に食べる行事食(食べ物)としてタコや”うどん”などを食べる意味や由来(起源)をご紹介しています




半夏生の代表的な食べ物(行事食)

オクラ

  • 旬な食べ頃時期:6月頃~8月頃

オクラと言えば五角形をしたサーベルタイガーの犬歯のような形状をしたネバっとした粘液を体内にもつ珍野菜です。

オクラは半夏生の頃に旬を迎え、もっとも美味しいとされる時期です。オクラには納豆のように人工的に発酵させたものではなく、天然の「ぬめり」があります。

この強いぬめりが最大の特徴であり、「ペクチンや「ムチン」といった成分が含まれています。これらの成分は整腸作用を促進させ、下痢や便秘の解消に効果を発揮するほか、粘膜で胃の粘膜を保護し、胃潰瘍や胃腸炎を予防してくれる効果もあります。

夏時期は冷たい物を身体に取り込む時期であり、暑さのため食欲が減り、体調に支障をきたす時期でもあります。これが俗に言われる「夏バテ」というものです。

夏バテを防止するためには3食キッチリと食べることを心がけ、オクラのような夏野菜をメニューに取り込むなどして、体力を維持しておく必要がありんす。

半夏生はうどんの日(香川県さぬき市)

四国の讃岐地方の農家では養蚕を終え、麦の収穫を行い、田植え終えるなどの、初夏時期の農作業が一段落する半夏生の日、その年に収穫した獲れたての麦(新麦)で、周辺農家が参集して労をねぎらうつもりで、うどんを振る舞う風習がありました。

そこで「さぬきうどん協同組合」は、1980年に半夏生の日になることが多い7月2日を「うどんの日」と定め、うどん産業をアピールする目的も兼ねて、うどんが無料になるキャンペーンを実施したりしています。




福井県大野では半夏生の日に焼き鯖(サバ)を食べる?!

江戸時代、奥越地方(現今の大野市)では、大野藩主が半夏生の日に農民たちに焼き鯖を振る舞ったという話が残されており、この故事にならい、現今に至っても半夏生の日に焼きサバを食べる風習が踏襲されているようです。この地域は半夏生に食べる焼きサバを「半夏生鯖」と呼んでいます。

福井県大野で半夏生にサバが食べられた理由

江戸時代、大野藩のサバの水揚げ量が多かったことから、サバが年貢の代わりに納められたそうです。当時の大野藩主も頑張ってくれた漁師たちに年貢の軽減と、田植え作業を終えて疲れ果てた農民たちを癒すべく、サバを食べること推奨するお触れを出したそうな。

そのお触れを見た魚屋が半夏生の日にサバを焼いて売り出したところ、あっという間に売り切れたことから、この話が広まります。

やがて藩の耳にも入り、藩が半夏生の日にサバを振る舞ったそうです。

この逸話が代々、踏襲され半夏生の日にはサバを食べる風習が根付いていることになりんす。

サバは疲労回復にも一役買う

サバの体内は、DHAやEPA、ビタミン類を豊富に包有しており、これらの成分は成人病や老化のほか、夏バテ防止や疲労回復の効果もあるようです。

これらの知識を大野の人々は知っていたことになります。先人の叡智とは本当にすごいものです。

ただ、福井県はサバの産地としては有名ではなく、はたまた大野市は福井県の内陸部に位置することから、わざわざサバが振る舞われた理由は謎です。

半夏生はタコの日?

巷間では、半夏生の日は「タコの日」でも言われるらしいが、タコの日と言えば8本の足に見立てた8月8日(タコ供養の日)が広く認知されています。

以下では、半夏生の日がタコの日と呼ばれる理由について書き述べてみます。

関西地方では半夏生の日にタコを食べて餅を神に供する!

関西で半夏生にタコを食べる理由とは?

関西地方では、半夏生の日に蛸(タコ)を食べる風習があります。

実は関西で半夏生の日にタコを食べる理由は判然としていないようですが、主に以下のような説があります。

疲労回復のため

半夏生を迎える頃には、養蚕も終え、麦の刈り入れも終え、そしてメインとなる田植えを終えて、やっと腰を下ろせる時期です。

そこで疲労回復効果、ひいては夏バテ防止効果のあるタコを食べるようになったという説です。

タコには実際に体内には「タウリン」「タンパク質」「亜鉛」という疲労回復効果がある成分が多く包有されています。

これらは漁師たちを通して、広く知られていたのでしょう。先人の知恵というやつです。

なお、タコには種類が何種類かありますが、一般的に食用にされるタコは「マダコ」と「ミズダコ」がほとんどです。

豊作祈願

上述したように半夏生を迎える頃には田植えを終えて、やっとこさ心から腰を落として余裕をもって休憩できる時です。後の心配は無事に植えた稲が育ってくれて秋の収穫を迎える頃には豊作であってくれるかどうかです。

そこで関西の農家では、半夏生の時期は梅雨入りシーズンでもあることから、タコの足を稲の根っこに例えて、恵みの雨をたくさん吸収して、大地にシッカリと根張りし、秋の収穫を迎える頃にはたくさんの穂を実らせるほど生長してくれることを祈念して、タコを食べるようです。

いかにも粋の良い関西人らしい発想ではないでしょうか。

ただ、稲に限定せずとも、古来、シッカリと「根張り(ねばり)」した根っこは「粘り(ねばり)」があって、たくましく生長するとも言われるぐらいです。

ちなみに関西のタコの産地といえば明石です。

特にこの半夏生を挟んだ6~7月に水揚げされるタコは美味に定評があり、麦が刈られ麦ワラが出来る頃、水揚げされるタコということで「麦わらダコ」と呼ばれ、尊ばれています。

明石沖で獲れるタコは古来、「明石のタコは立って歩く」と言われるほど身が引き締まっていることで有名です。

ちなみにタコを獲るのは網(あみ)ではありません。「タコつぼ」という両手の手の平サイズのツボの中に貝やカニなど入れて海底に沈めてしばらく放置してから引き上げます。

タコは狭い空間を好むため、エサとなる貝やカニを求めて沈めたタコつぼに入ってきます。

古来、「西の明石、東の志津川(現在の南三陸町)」という言葉もあるとおり、明石を中心として天下の台所とまで言われた大阪や京都は半夏生になるとタコを売り出す商人や店が出没し、さぞかし賑わいをみせたのでしょう。




半夏生は「餅」を神仏に供えて食べる日?

関西で半夏生に餅を神仏に供えて食べる理由とは?

関西地方では、上述のタコのほかに、もう1つ!「半夏生餅(はんげしょうもち)」と呼ばれる小麦餅を神仏に供えて、神棚から下ろした餅を家族で分け合って食べる風習もありんす。

半夏生餅は、奈良、南河内、北和歌山界隈では「半夏至餅」と書いて「はげっしょ」とも呼ばれています。あのオッさん〇〇っしょ!

「半夏生餅」とは、小麦を水に浸して上から押しつぶした押小麦」もしくは「つぶし小麦」と呼ばれる小麦に、「もち米」を混ぜ合わせて搗(つ)いた小麦餅のことです。

この小麦餅に、きな粉や砂糖を付けたり、上にパラパラと散らせて胃袋へシコ流しします。
※注釈:シコ流しとは、クソ死ぬほど胃袋へブチ込むこと。..クソ死ぬ?

奈良の「さなぶり行事」と「さなぶり餅」の話

関西の中でも特に奈良では、「さなぶり行事」というものが古来、踏襲されています。

「さなぶり行事」とは、上記、半夏至餅を田の神に供進する行事のことです。供進(供える)する理由は無事に田植えが終えられたことの感謝の意と、豊作祈願のためです。供えた後は、みんなでその餅を神前から下ろして分け合って食べます。

「さなぶり」の意味とは、田の神が天へ帰っていく様子を表した言葉です。

「さなぶり」の「さ」は「田の神」を意味し、奈良界隈では田の神が天から地上に降りてきて田植えを見届けたのち、天へ帰っていくという言い伝えがあり、田の神が昇天することを「さ昇り」と称します。これが時代を下りながら訛りを経て「さ昇り」が→「さなぶり」になって着地したとされています。

関東地方でも半夏生には餅を神仏に供して食べる風習がある!

半夏生餅は関西独自の風習のように見られていますが、関東でも半夏生に餅を食べる風習が残されています。

関東の一部の地域では、半夏生の日を迎えると、小麦ともち米を混ぜ合わせてついた餅を「焼き餅」にして食べる風習があります。

関東と関西で異なるのは食べ方です。

関東では焼いて食べるのに対して、関西ではきな粉や砂糖に付けて食べます。

長野県佐久では半夏人参と苗代ゴボウを食べる?!

長野県佐久では、人参やゴボウの種を蒔くとき、「はんげにんじん、なわしろごぼう」と声に出しながらタネを蒔くそうです。

長野県小川村では芋汁を食べる?!

長野県小川村では、半夏生の日に芋汁を食べる風習があるようです。

芋汁とは現代風に言うところの「とろろ汁」のことです。

話は少し逸れますが、長野県には正月三が日にも「とろろ汁」を飲む風習が残されています。

例えば、長野県の「上田、伊那、飯田、遠山」では、正月2日の日になると家族揃って「すり初め(すりぞめ)」と呼称する「長イモ」を食べたりします。

同じ県内でも例えば「上田、阿南、天龍」などの地域では、「三日とろろ」と言う「とろろ汁(芋汁)」を正月3日の日に食べたり、松本などでは「四日とろろ」を正月4日に食べる風習があります。

このような風習が根底にあって、月初めとなる半夏生の日にも農作業の疲れを癒す目的で「芋汁」が飲まれるようになったのかも知れません。

長野県で月初めに「とろろ汁」を食べる理由

長野県で月初めに「とろろ汁」を食べる理由は、「長芋(長イモ)」「とろろ汁」のドロっとして長く伸びる性質から、「長生き」を祈念するためです。

また、南信州では「すり初め」と言って正月三が日となる1月2日の早朝に「とろろ汁」を食べる風習もあります。

半夏生に旬を迎える食べ物

代表的な食べ物

梅酒

  • 青梅の旬な時期:5月~6月頃

梅酒に使用される梅は、まだ成熟していない青梅です。梅の果肉は「クエン酸」を多く包有しています。クエン酸はグレープフルーツやレモンなどの柑橘系果物が果肉に有する栄養素であり、これらを摂取した場合、エネルギーの生成や疲労回復を促進させる働きがあります。




梅干し

  • 熟した梅の収穫時期:6月中旬~6月下旬

梅干に使用する梅は、まさにこの芒種の時期に収穫した黄色く熟した梅を使用します。赤シソに塩を加えてそれを梅の実を一緒に容器にブチ込んで重石をします。

4〜5日して重石を取れば、あとはその梅を梅雨明けと共に干すだけです。干す時はザルの上に乗せるなどして天日干しして梅干の完成です。

トウモロコシ

  • 旬な食べ頃時期:6月~9月

あまり知られていませんが、トウモロコシはちょうどこの芒種の時期となる6月〜9月に旬な頃合いを迎えます。

トウモコロシはイネ科の一年生植物なので、タネを排出すれば枯死します。トウモコロシ”?…メイちゃん?

トウモロコシの種類はいくつかあり、私たちが普段、日常的に食しているトウモロコシとなるのが、「スイートコーン」という種類のトウモロコシです。

主要な栄養成分はでんぷん質。ほかに、ビタミンB1・B2、カリウム、たんぱく質、食物繊維などが含まれており、食物繊維は特に外皮に多く含まれています。

このためトウモロコシの外皮には、腸内コレステロールと結びついて体外への排出作用を促すため、血管をキレイにして、動脈硬化の予防に一役買います。

また、トウモロコシの黄色い色素はキサントフィルと呼ばれるものであり、血管を柔らかくする作用があります。

スイカ(西瓜)

「スイカ」は熱帯アフリカ原産のウリ科のつる性一年草です。漢字では「西瓜」と書かれます。スイカの由来は「西瓜」を中国語で読んだときに、北京語では「シーグァ xīguā→ スイカ」もしくは、広東語では「サイクワァ→スイカ」が訛りを経て「スイカ」に着地したと考えられています。

「西瓜」の由来は、中国の西側地方から伝来した瓜からきています。

スイカの収穫時期のピークは6月中旬頃〜7月いっぱいです。

たまに勘違いされる方がいますが、スイカには花があります。緑色を基調として黒の縦ストライプが入ったボーリングの球のような形のものは「果実」です。すなわちタネ。

スイカは苗を5月に定植させた場合、収穫時期である6月中旬頃〜7月にかけて黄色い可愛らしぅ〜ぃ花を開花させます。その実がスイカになるというワケです。

スイカの果肉は、なんとも言えない程よい甘味があり、そのまま食されます。タネは日本では捨てますが、中国では炒ったりして酒のツマミなどにして食べます。

生姜(新ショウガ)

生姜(ショウガ)は熱帯アジア原産のショウガ科の多年草であり、根茎部分が野菜や生薬として使用されます。

ショウガは実は大まかには2種類ありますが、ちょうどこの夏至の頃から8月頃にかけて出回るのが、新ショウガです。

新ショウガは辛味が下記の根ショウガに比べて穏やかであることから、寿司に付属するガリ(甘酢ショウガ)に使用されたりします。

一方、9月〜10月の秋口に出回るものが「根ショウガ」と呼ばれるものです。上掲の写真が「根ショウガ」になります。

辛味は根ショウガの方が強いことから、根ショウガは「すりおろし」て食されたります。




とうがん(冬瓜)

冬瓜(とうがん)は、インド・東南アジア原産のウリ科のつる性一年草です。ちょうどこの夏至の頃合いとなる6月下旬頃〜9月にかけて収穫され、同時に旬時期を迎えます。

収穫された冬瓜は、煮物や漬物、あんかけ、などにして食されます。種子は生薬として利尿作用を促したり、消毒薬に用いられます。

なお、冬瓜は秋の季語になっていますが、これは冬瓜の特徴の1つである貯蔵性が高いことに起因するものです。

貯蔵性が高いことから夏に成った実が、まだ秋口になっても見られるということを俳人たちが句で詠んだのが広まったのでしょう。

野菜・果物

枝豆

旬な食べ頃時期:6月頃~8月頃

大葉

旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃

茗荷(ミョウガ)

旬な食べ頃時期:6月頃~10月頃

辣韭(らっきょう

旬な食べ頃時期:5月頃~6月頃

アスパラガス

旬な食べ頃時期:4月頃~6月頃

トマト

旬な食べ頃時期:6月頃~8月頃

きゅうり

旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃

いんげん

旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃

にんにく

旬な食べ頃時期:5月頃~8月頃

ししとう

旬な食べ頃時期:6月頃~8月頃

ピーマン

旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃

びわ

旬な食べ頃時期:5月頃~6月頃

メロン

旬な食べ頃時期:5月頃~7月頃

さくらんぼ

旬な食べ頃時期:6月上旬~7月中旬

あんず

旬な食べ頃時期:6月上旬~7月上旬

夏みかん

旬な食べ頃時期:4月中旬~6月頃

かぼちゃ

旬な食べ頃時期:6月下旬頃~8月頃

ゴーヤ

旬な食べ頃時期:6月下旬頃~9月頃

オクラ

旬な食べ頃時期:6月頃~8月頃

夏秋キャベツ(高原キャベツ)

旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃

ズッキーニ

旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃

なす

旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃

さや隠元(いんげん)

旬な食べ頃時期:6月頃~9月頃




魚類

アジ

旬な時期:6~8月頃

※7月時期の鮎は「若鮎」と言われ絶品だと言われる。

鮎(アユ)

旬な時期:6月中旬~8月頃

スズキ

旬な時期:6月中旬~8月頃

キビナゴ

旬な時期:3月中旬~6月頃

※キビナゴの旬は真冬(12月〜2月)。3月中旬~6月頃は子持ち(卵持ち)が旬。

スルメイカ

旬な時期:5月中旬~9月頃

アオリイカ

旬な時期:5~8月頃

※子イカは10~11月頃

ウニ

旬な時期:6月中旬~8月頃

キス💋

旬な時期:6~8月頃

産卵前の初夏から夏にかけてが脂がのって美味しい。 スーパーや市場に並んでるものは「シロギス」と呼ばれる。九州産の少しサイズの大きい「アオギス」という種類もある。

イサキ

旬な時期:6~9月頃

あなご

旬な時期:夏/6月中旬~8月頃・冬/11~12月頃

はも

旬な時期:夏/6月下旬~7月頃・冬/11~12月頃

イシモチ

旬な時期:夏/4~7月頃・冬/11~12月頃

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