半夏生の意味・由来・読み方|【夏至(二十四節気)七十二候・末候】

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このページでは二十四節気「夏至」の七十二候における「半夏生」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。




半夏生の読み方

半夏生は「はんげしょうず」と読みます。半夏生は、雑節にも集録されていることから、雑節の方の半夏生は「はんげしょう」と読まれます。

半夏生とは?

半夏生とは、二十四節気の「夏至(げし)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第三十侯(第30番目)」の節気、「末候(まっこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は100度を過ぎた地点です。

雑節にも「半夏生」がある?

前述したように、実は半夏生は七十二候のほかにも、雑節にも半夏生がありんすが、つまりのところ、半夏生は唯一、七十二候と雑節とで2つ集録されていることになります。

夏至期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:乃東枯
次侯:菖蒲華
末侯:半夏生




半夏生の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「半夏生」の意味は、「半夏」「生」とで分解すると分かりやすくなりますが、「半夏」は「はんげ」と読み、これは「烏柄杓(カラスビシャク)」という花の乾燥させた根茎のことです。

しかしながら、現在に至っても烏柄杓のことを半夏(はんげ)と読み書きすることから、一般的に半夏と言えば烏柄杓のこととして同義とされることもあります。

「生」とは、「生きる」を意味しますが、この場合は「開花する」を意味し、これらをまとめると「半夏(烏柄杓)が開花する頃」という意味合いになりんす。

半夏(はんげ)とは?

鼻毛とは、カラス‥、おっと、半夏!!とは、カラスビシャクの根茎のことです。

カラスビシャクの乾燥させた根茎は、半夏という漢方薬として一般的に漢方薬として広く知られています。

⬆️カラスビシャクの根茎(乾燥前) (画像引用先:https://w.atwiki.jp/kuteikai/

 

⬆️粉末から固形状の漢方薬に加工されたカラスビシャクの根茎

烏柄杓(カラスビシャク)とは?

カラスビシャクとは、サトイモ科の植物であり、名前の由来は「烏(カラス)」と「柄杓(ヒシャク)」に分ければ意味が理解できます。

カラスは鳥類の烏(カラス)です。柄杓は寺社の手水舎に置かれている柄杓(ひしゃく)のことです。

まとめると、烏(カラス)が使ってちょうどぐらいの大きさの柄杓に見えることから、「烏柄杓」と命名されています。

しかし本っ当、昔の人というのはユニークな発想を用いて名前を付けるものだ。ウッハ

⬆️カラスビシャク




⬆️カラスビシャクの花弁

カラスビシャクの別名‥その名も「ヘソクリ」?!

カラスビシャクは珍しい形の植物が故、いくつか別名があるようですが、そのうちの1つに「ヘソクリ」という名前があります。

名前の由来は、カラスビシャクの根茎が漢方薬として活用できたため、それを薬屋に売って小銭を貯めたことからきているそうな。

カラスビシャクには「仏炎苞」と呼ばれる花弁がある!

カラスビシャクには「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる珍しい花弁があります。

仏炎苞はサトイモ科の植物に多く見られる特徴の1つであり、名前の由来は仏像の背中にある光背(こうはい)と焔(ほむら)の彫り込みに見立てて「仏炎」と付されています。

https://xn----kx8ayh846avkd5qpey4akha.jinja-tera-gosyuin-meguri.com/wp-content/uploads/2019/12/1f8b7630c4206161c5d1db918b60ef76.jpg⬆️愛染明王坐像(宮島・大聖院)

⬆️同じサトイモ科の「ミズバショウ」の仏炎苞

苞(ほう)」とは、蕾(つぼみ)を覆うようにして葉っぱが変形したものです。(↓写真参照)

⬆️カラスビシャクの仏炎苞 (画像引用先:https://twitter.com/Ayano_Tsubaki

漢方の半夏(カラスビシャク)の効能・効果
  • 吐き気、嘔吐、不眠症改善、咳嗽(せき)
  • 茎部分は「ほそぐみ」と呼称し、妊婦の「つわり」に効く




「半夏」のもう1つの意味とは?

一般的に半夏と言えば、カラスビシャクをイメージする方が多いようですが、半夏には他にも意味があり、仏教における90日にも及ぶ、夏安居(げあんご)の中間日となる45日目を示す言葉でもありんす。

すなわち「夏半ば」として鼻毛‥おっとと、「半夏」!!となります。

「半夏生」が示唆する本当の意味

「半夏生」という言葉を用いて、単に「半夏生が開花する頃」を意味するのではなく、この頃、農作業において重要な作業があります。その作業を行う目安とするため、わざわざ「半夏生の開花する頃」として半夏生を引き合いに出しています。

その重要な農作業とは、どのような農作業が検討がつきますか?

ちょっと考えてみてください。

はい〜!残念無念!

正解は‥「田植え」です。

農作業においての核となり得る作業と言えば、やはり米(稲)を作ることです。その米を作るための田植えは非常に重要な位置付けのものです。

米を作る過程において、ちょうど半夏生が開花する頃までに、田植え終えておかなければならないという指標にしたのです。

七十二候の第三十候・半夏生は7月2日〜7月6日頃とされていますので、この期間までに田植えを終えておく必要があると定めたものです。

田植え時期は地域によって異なる!

ここでの注意点としては、この七十二候「半夏生」は、本州(関東地方・江戸)を基準にして作暦されていることから、本州の田植えの時期である6月上旬〜6月下旬頃までを目安にしています。

ところが、東北地方や九州・沖縄地方は本州よりも気候・気象が若干、異なり、特に気温に関しては低い傾向があることから、後述するのような期間内に田植えを終えておく必要があります。

理由は察しの通り、稲の生長度合いにが大きく影響を及ぼすからです。稲は基本的に気温15度を超さないと生長しません。逆に気温が10度以下になると稲の生長は停滞し、徐々に枯れていきます。

したがって田植え時というのは非常に重要なものであり、まして暦というものが確立されていなかった頃の時代ともなれば何か暦の代わりとなり得るような指標が必要だったワケです。

その指標というのが、この半夏生のような動植物の動きを基準とした、いわゆる「自然暦」といえるものです。

そう考えると、まさにこの七十二候の第三十候・半夏生とは、先人の知恵の結晶とも言えるものではないでしょうか。

全国の各地方における田植えを行う時期・一覧

  • 北海道:5月下旬〜6月下旬まで
  • 東北地方:5月上旬〜5月いっぱいまで
  • 関東地方:6月上旬〜6月いっぱいまで
  • 関西地方:5月下旬〜6月上旬まで
  • 九州地方:6月中旬〜6月いっぱいまで
  • 沖縄地方:3月下旬〜4月下旬頃まで

現今、一般的に田植え時期と言えば「4月〜6月いっぱい」と答えるのが通例ですが、これはあくまでも抽象的な回答です。縦長状の日本列島においては北端と南端で気候・気象が異なるのは当然であり、比例して田植え時期が異なってくるのも必然といえます。

「半夏半作」

農業を営む方々の間で古来、踏襲されている専門用語のようなものがありんすが、その言葉が「半夏半作」です。

半夏半作の「半作」とは、『田んぼに植えた稲の半分が、秋になった時に米として収穫できる』という意味です。

昔は半夏生が生える頃までに田植えを終えることができれば、秋の実りの季節になったとき、なんとか半分の米は収穫できるという目安にされていたのです。

万が一、半夏生の期間を過ぎて田植えをした場合、期間外に植え付けた稲は発育が悪く、収穫量も減るという意味合いから、何がなんでも半夏生の期間内で田植えを終わらそう!‥いう指標的な意味合いの言葉として用いられたのです。

半夏生のもう1つの意味

実は上記、半夏(カラスビシャク)以外にも、その名も「半夏生(ハンゲショウ)」という植物があると言えば驚かれますでしょうか?

一説では、この半夏生の葉が白く染まる時期が田植えを終わらせる時期の目安にされたとも云われています。

ハンゲショウ(半夏生)とは?

半夏生は別名「カタシログサ(片白草)」とも呼称し、由来は葉の片面が白く変色することからきています。

また、白い葉が3枚あることから「三白草(ミツシログサ)」とも呼ばれます。

この草が半夏(はんげ)と呼ばれ始めたのは江戸時代の頃だと言われています。

ハンゲショウはドクダミ科の多年性落葉植物であり、日本の本州はじめ朝鮮半島、中国、フィリピンなど東アジア地域に分布しています。

ハンゲショウ(半夏生)の名前の由来は、鼻毛状の花弁を付けることからハナゲジョウとされ、これが訛りを経て「ハンゲショウ」‥というのは冗談であり、半夏生の頃(7月2日頃)に開花するとされる説や、葉の一部が白く変化する様子を「半化粧」として「半夏生」に充てたという説もあります。もぅ「鼻毛生」でエエやろ




中国(宣明暦)での解釈

中国における夏至の初候・第三十侯の七十二候は日本の七十二候と同じく「半夏生」になります。読み方も同様に「はんげしょうず」です。

半夏生の意味

中国・宣明暦の半夏生も、日本(略本暦)の半夏生と同義です。

半夏生の日にち(期間)

  • 太陽暦:7月2日〜7月6日頃
  • 旧暦:五月中(五月の中気)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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