土潤溽暑の意味・由来・読み方|【大暑(二十四節気)七十二候・次候】

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このページでは二十四節気「大暑」の七十二候・次候における「土潤溽暑」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。

土潤溽暑の読み方

土潤溽暑は「つちうるおいてむしあつし」と読みます。

土潤溽暑とは?

土潤溽暑とは、二十四節気の「大暑(たいしょ)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第三十五侯(第35番目)」の節気、「次候(じこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は125度を過ぎた地点です。

大暑期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:桐始結花
次侯:土潤溽暑
末侯:大雨時行




土潤溽暑の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「土潤溽暑」の意味は、「土」「潤」「溽」「暑」に分解すると理解が早いです。

土潤溽暑の意味

「土」はそのまま地面の「土」です。「潤」は潤うを意味し、「溽」は「じょく」や「ひょく」と読み、これは「蒸し暑い」を意味します。

「暑」は暑いを意味し、すなわちまとめると‥『土が湿って蒸暑くなる頃』となりんす。

「土が湿って蒸暑くなる頃」の具体的な意味とは??

夏至の頃は日照時間(昼の長さ)が1年でもっとも長く、日照時間が長いと言うことは、それだけ地中の温度が高くなります。

しかしながら、1年でもっとも暑いのが大暑とされる理由は、夏至の時期に熱せられた地中の温度がようやく大暑の頃になって地中から排出され始めるからです。

日本では6月中旬〜7月中旬にかけて梅雨時期に入ります。梅雨時期の間は太陽こそ見えませんが、地中には地熱が蓄えられています。

また、大暑の頃の気象の特徴として夕立(ゆうだち)がなどの大雨が突然、降ることがありますが、地熱を帯びた地面に大雨が降り注げば、やがて熱が蒸発して湯気が地表に沸き立ちます。

この湯気は地表で生息する草花を通して排出されることから、湯気に草花の葉や花弁の香りが混ざり合い、独特の香りを解き放ちます。

これこそがまさに『土が湿って蒸暑くなる頃』であり、大暑の頃の気象の様子をよく表現した言葉だと言えます。

夏至の頃に蓄えられた温度は、大暑の頃の太陽の日差しとの相乗効果により、最高気温がは俗に「夏日(なつび)」と呼ばれる25度を超え、さらに「真夏日」とも呼ばれる「30度」をも超えます。

そして時に35度以上の気温を記録することもあり、俗に「猛暑日」とも呼ばれます。猛暑日が続くと、抵抗力の弱い高齢者などは最悪、致死に至ることもあります。

「夏の夜」と言う季語もあるほど、夏の夜は気温が下がり1日のうちでもっとも快適に過ごせる時間帯ではあるのですが、さすがに30度くらいの気温が続くと「熱帯夜」と呼ばれる現象が起こり、夜になっても気温が思ったより下がらず、連日のように暑苦しい夜を迎えることになります。

このような連日のように気温が高い日が続いた後に、大暑の七十二候の末候(まっこう)の「大雨時行」で紹介されるように、突如として降る大雨は大地に潤いを与えると共に人々にも「生きる希望」と言う名の潤いを与えます。

しかし、大雨が連日ように続いてしまうと、逆効果で土砂災害や洪水などを引き起こす原因ともなります。

植物が葉から放つ水分はヒートアイランド現象を抑制する効果がある

植物の葉にビニールを被せればよく分かるのですが、しばらく葉っぱにビニール袋をかぶせて放置しておくと、水滴がいっぱい付いています。

これは葉に受ける夏の太陽の直射日光をコントロールして葉に受けた温度を下げるためにワザと葉に水分を行き渡らせて直射日光から受ける悪影響を和らげています。

現今、ビルの屋上や道路沿いに植木が植栽されていますが、これらはヒートアイランド現象を抑制する目的を兼ねて植栽されたものです。

すなわち、上述のような植物が持つ水分を葉に行き渡らせる作用を利用して、その周囲の気温を下げようとする施策なのです。

草いきれ

盛夏を代表する季語に「草いきれ」という言葉があります。

意味は夏の猛暑日、太陽が生い茂った草むらを照りつけ続けると、草は自らを保護するために水分を葉に発生させます。

このとき一瞬、湿気と熱気がたちこめ、草くさい匂いが充満します。子供の頃、虫取りに行ったときに感じたあの匂いです。

このような盛夏にみられる現象を「草いきれ」と言います。

打ち水

現在ではホースを引っ張って庭先やその向こうの道路にまで出て、家の周囲に散水しているオバちゃんの姿をよく見かけます。午前中or夕方に見られる夏の情景です。

打ち水は本来、寺社の参道を清めるための一種の儀式でしたが、江戸時代の頃から店先を涼しくして客を気持ちよくもてなすために行われるようになりました。

当時は現在のようにホースや水道もなかったので、井戸から水をタライや桶などに汲んできて、それを柄杓で水に撒いたのです。

桶に水を入れて水を撒く姿は、日本の夏の風情を表した風物詩ともいえます。




中国(宣明暦)での解釈

中国における大暑の初候・第三十五侯の七十二候は日本と同じく「土潤溽暑」になります。ただし、読み方は「つちうるおいてあつし」になります。

中国の大暑期間の気候

中国は新暦で言えば7月がもっとも暑い時期ですが、日本の1年内でもっとも暑いとされる頃は8月です。すなわち約1ヶ月のズレがあります。

これはすなわち、大暑の時期がズレていることを意味し、日本の季節感で例えると立秋の頃が本来の大暑になります。

土潤溽暑の日にち(期間)

  • 太陽暦:7月28日〜8月1日頃
  • 旧暦:六月中(六月の中気)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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