「腐草為蛍」「鵙始鳴」の意味・由来・読み方|【芒種(二十四節気)七十二候・次候】

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このページでは二十四節気「芒種の七十二候における「腐草為蛍」「鵙始鳴」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。

腐草為蛍の読み方

腐草為蛍は「くされたるくさほたるとなる」と読みます。

腐草為蛍とは?

腐草為蛍とは、二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第二十六侯(第26番目)」の節気、「次候(じこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は80度を過ぎた地点です。

芒種期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:螳螂生
次侯:腐草為蛍
末侯:梅子黄




腐草為蛍の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「腐草為蛍」の意味は、「腐草」「為」「蛍」の「腐草」とで分解すると分かりやすくなります。

腐草とは、「腐った草」という意味があり、「為」は為す。すなわち「〜の状態をつくりあげる。」などの意味合いがありんす。

蛍はおケツがチカチカと点滅発光するホタルのことです。

これらをまとめると「腐った草が蒸れて蛍に為る」という意味合いになります。

「腐った草が蒸れて蛍に為る」というのは、生物学上の原理原則として考えても辻褄の合わないものであり、これだけでは何のことか分かりゃしまへん。

「腐った草が蒸れて蛍に為る」の意味

この意味としては、水辺に群生する草の中の腐った草たちが地面に倒れ込み、その下から蛹(サナギ)から羽化した蛍が夜空に舞い上がる様子を表した言葉だと解釈できます。

ちなみに、これについては蛍は別名(異名)で「朽草・腐草(くちくさ)」と呼ばれることからも理解できます。

おそらく昔の人々は「腐った草が蛍になる」と自らの子たちに表現して伝えたのでしょう。ロマンチックですねぇ。ムフ

日本にいるホタルの種類

日本にいる代表的なホタルは次の2種類です。

  • ゲンジボタル
  • ヘイケボタル
ホタルの生態

ホタルは幼虫期間を水中で過ごします。そして4月下旬〜5月中旬頃になると水中から陸上へ這い出てきて、ド頭から地中へもぐります。そして1ヶ月半〜2ヶ月くらい(40日〜50日くらい)を地中で過ごし蛹化します。(サナギになる)

サナギになってから約2週間くらいで殻を脱ぎ捨てて星々がキラめく君の瞳のように吸い込まれそうなほど美しい夜空へはばたきます。

ホタルの発生時期

ゲンジボタルは、おおむね6月中旬~7月中旬(約1ヶ月)。ヘイケボタルは、おおむね7月~8月(約2ヶ月)です。

中国(宣明暦)の芒種の次候・第三十二侯の七十二候は「鵙始鳴」!

中国における芒種の次候・第二十六侯の七十二候は「鵙始鳴」になりんす。読み方は「もずはじめてなく」になります。

鵙始鳴の意味

意味は「鵙(もず)が鳴き始める頃」になります。

「鵙」とは、俗字では「百舌」と書かれることがほとんどです。百舌とは、モズの生態を表現した言葉でもありんす。

「百舌」の字体が示す通り、自然界に棲む様々な小動物などの鳴き声を真似ることから「100つの舌がある」と書いて「百舌」と命名されています。

また、「伯労(はくろう)」とも呼ばれます。

⬆️百舌(鵙)

芒種の時期にモズが鳴くのはオカシイ‥

日本においてのモズは、縄張り争いをする秋口に盛んに鳴くことで知られており、鵙始鳴の意味するところはおそらく秋口に盛んに鳴く、モズのことだと考えられます。実際に日本でも秋口のモズの鳴き声は季語にもなっています。

しかしながら、鵙始鳴が充てられているのは芒種の七十二候なので6月です。中国と日本の気候の差はあるにしても、そこまで極端なものは無いでしょう。

すなわち、季節と暦にズレが生じていることになります。

以下に日本におけるモズが鳴く時期を述べた後、中国における鵙始鳴の意味の推論を述べてみます。

モズは春から夏の繁殖期に鳴く

鵙が盛んに鳴く頃と言えば、繁殖期の頃と秋口です。繁殖期はおよそ3月~8月。この頃、オスがメスに鳴き声で自分の存在を知らせるために盛んにアピールし、メスを呼び寄せます。

そして、つがいになると樹の上の小枝などを利用して営巣を開始し、4個〜6個の卵を産みます。

モズは秋口の「鵙の初鳴き」「鵙の高鳴き」する

日本では秋(9月下旬頃)を告げる季語として「モズの初鳴き」や「モズの高鳴き」という言葉がありんす。

または、「モズの高鳴き七十五日」という言葉もあり、意味は「モズが高鳴きを初めた頃から、おおむね75日目あたりに霜が降りだす」になります。実際に農作業の目安にしている地域もあるようです。

秋〜冬(11月頃)になると「モズのハヤニエ(早贄)」という言葉もある通り、生け捕ってきた昆虫やカエルなどを小枝に突き刺して、ハヤニエを作る習性があります。

曹植の「令禽悪鳥論」から考察するモズの鳴く時期

中国・三国時代の魏の皇族「曹植」が著した「令禽悪鳥論」によると、こんな記述が見られます。

ある時、尹吉甫(いん きっぽ)という軍人は妻(継母)の讒言(ざんげん/罠に陥し入れるため人をけなすこと)により、息子の伯奇(はくき)を追い出します。家を追い出された伯奇は行き場を失い、自害してしまいます。(もしくは尹吉甫が殺したとも)

このことを悔いた尹吉甫は、ある日のこと、伯労(モズのこと)が鳴くのを聞いて伯奇が伯労に生まれかわったと察知し、妻(継母)を射殺する

‥という中国ではそれなり有名なお話になります。

注目すべきは『ある日、伯労(モズのこと)が鳴くのを聞いて』という部分です。

この部分の解釈は諸説語られていますが、有力なのものとして「これからいよいよ夏へのステップ段階にあるこの時期に、時折見せる秋・冬を告げるような陰気が感じられる」という解釈です。

モズは秋口〜冬になると、前述のように「高鳴き」をしたり「ハヤニエ」という特異な行動を行うなど動きが活発になります。このモズを季語として用いることで秋・冬を表現したというワケです。

腐草為蛍の日にち(期間)

  • 太陽暦:6月11日〜6月15日頃
  • 旧暦:五月節(五月の正節)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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