「蟄虫坏戸」の意味・由来・読み方|【秋分(二十四節気)七十二候・次候】

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このページでは二十四節気「秋分」の七十二候・次候における「蟄虫坏戸」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。




「蟄虫坏戸」の読み方

「蟄虫坏戸」は「むしかくれてとをふさぐ」と読みます。

蟄虫坏戸とは?

蟄虫坏戸とは、二十四節気の「秋分(しゅうぶん)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の第2節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第四十七侯(第47番目)」の節気、「次候(じこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は185度を過ぎた地点です。

秋分期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:雷乃収声
次侯:蟄虫坏戸
末侯:水始涸

蟄虫坏戸の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「蟄虫坏戸」の意味は、「蟄」「虫」「坏」「戸」とに分解すると分かりやすくなります。

「蟄」の意味

「蟄」は「ちつ」と読みます。見慣れない難しい字体の漢字です。「執」の下に「虫」が付けられてドッキングした漢字です。

「蟄」の意味は「穴にこもる」になりんすが、「虫」という字体が入った起源から考察して、「虫が地中にとじこもる=冬眠のこと』を意味します。

「虫」の意味

「虫」は正式には「蟲」と書きます。虫という字が3つ寄り合わさっていることから、これは小さい虫の群れを意味しています。起源ともなる象形文字にもっとも近い原子的な文字と解釈できます。ウフ

「坏」の意味

「つき」と読みます。物を盛り付ける器を意味する漢字です。底の浅い皿を意味し、別の読み方で「かわらけ」とも読みます。

「かわらけ」は「土器」と書いて「かわらけ」と読みますが、「坏」は土を使用して作成した底の浅い皿になりんす。

このことから、「盛り土」を意味します。

よく、奈良正倉院展の宝物の名前に「杯」と「坏」と書かれた宝物がありんすが、「杯」はお酒などを注いで飲むようなわりと底の深い器です。主に木製の器を意味します。

一方で「坏」は上述のように食物を盛り付けるための底の浅い皿を指します。

「戸」の意味

「戸」は片開きの扉を意味します。1つだけの扉です。

以上をまとめると「蟄虫坏戸」とは、『虫が冬ごもりをする頃』となり、虫たちが越冬する間、自ら身を安全に隠せる場所を作る、もしくは探すための準備をする意味合いがありんす。

安全に身を隠せる場所とは地中(土の中)です。土の中に穴を掘り、自らの身を隠すことができたら、天敵や冬の寒気をしのぐために穴の入口を塞ぎ込んで密閉してしまいます。

こうして穴の中で春を待つのです。

その様子を描いた言葉が「蟄虫坏戸」になりんす。

すべての虫が冬眠するワケではない!

虫の中には越冬せずに冬が到来する前に「卵」と言う子孫だけを残して、天寿を全うする虫もたくさんいます。また、蛹化して越冬する虫もいたりと様々です。

あまり知られていませんが、なんと!アゲハ蝶の中にはサナギの形態で越冬する蝶もいます。

アゲハ蝶はサナギの期間を自在に操ることができ、サナギになると殻に覆われることから、シェルターのようなものができあがります。このシェルターには越冬できるだけの栄養素がたくさん詰まっています。

てんとう虫

あまり知られていませんが、案外私たちの身近な昆虫も越冬します。なんだかお分かりになりんすか?

と、言ってもそんなもん上の目次にもぅ書いとるやんけぃ!‥となりんすが、なんとぉぅ!テントウムシも越冬すると言えば驚きますか?

テントウムシと言えば春先から夏に向けて発生する昆虫のように見えますが、実は越冬もします。

越冬する際は仲間たちと寄り添って群れになって越冬します。

田舎のバァちゃん家へ里帰りした時に暖炉にくべる薪割りをした時、薪の中にテントウムシがたくさんいたという話を聞いたことはありんせんか?…暖炉のついた家そんなないやろ

テントウムシたちは木の割れ目や家屋の隙間、石の下などに、たくさんの仲間たちを身を寄せ合うようにして、越冬します。ウホっ

「蟄虫坏戸」は「蟄虫啓戸」とセット!

「蟄虫坏戸」は「虫たちが冬ごもり仕度をはじめる」の意味合いがありんすが、晩秋を迎えると、いよいよ虫たちは冬に備えて巣穴を掘り、巣穴の入口を閉ざし、冬眠に入ります。

しかし、いつまでも冬眠するのでなく、春になれば閉ざした巣穴をこじ開けて、巣穴から地表へ這い出てきます。

この様子も2月節の二十四節気「啓蟄(けいちつ)」の七十二候・第7候「蟄虫啓戸」で集録されています。

「蟄虫啓戸」の意味は、「冬籠りしていた虫が這い出て来る頃」で、読み方は「すごもりむしとをひらく」になりんす。

このように二十四節気および七十二候は、動植物の行動をも参照して作暦されていることがよく分かります。




中国(宣明暦)での解釈

中国における秋分の次候・第四十七侯の七十二候も日本の略本暦と同様に「蟄虫坏戸」です。読み方は「ちっちゅうとをとざす」になります。

意味合いは日本の略本暦と同じです。ウフ

「蟄虫坏戸」の日にち(期間)

  • 太陽暦:9月28日〜10月2日頃
  • 旧暦:八月中(八月の中気)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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