「蒙霧升降」「寒蝉鳴」の意味・由来・読み方|【立秋(二十四節気)七十二候・末候】

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このページでは二十四節気「立秋」の七十二候・末候における「蒙霧升降」「寒蝉鳴」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。




蒙霧升降の読み方

蒙霧升降は「ふかききりまとう」と読みます。

蒙霧升降とは?

蒙霧升降とは、二十四節気の「立秋(りっしゅう)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第三十九侯(第39番目)」の節気、「末候(まっこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は145度を過ぎた地点です。

立秋期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:涼風至
次侯:寒蝉鳴
末侯:蒙霧升降




蒙霧升降の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「蒙霧升降」の意味は、「蒙霧升降」「蒙霧升降」とに分解すると分かりやすくなります。

「蒙霧升降」の意味

「蒙霧升降」とは「ふかききりまとう」と読み、「蒙霧」と「升降」とで分けると理解しやすくなりんす。

「蒙霧」とは、立ち込める濃い(恋)霧のことです。

「升降」とは「のぼること、おりること」。言い方を変えれば「上がること、下がること」を意味します。

よくエレベーターの解説で見かけることがある漢字です。

以上、これらをまとめると「蒙霧が上がること、下がること」になりんすが、「上がること、下がること」を「上がること=立ち込める」として用い、これに「蒙霧」を付して「蒙霧升降」としてまとめています。

すなわち、意味合い的には『秋霧が立ち込める頃』になりんす。

「霧」とはどんなもの?

「霧」とは、地面近くの空気が急激に冷やされて、水蒸気が凝結(ぎょうけつ)して、ベリースモールな水滴になって浮遊したものです。

この無数のベリースモールな水滴がたくさん発生すると、たちまちのうちに煙幕(えんまく)のようなものができあがり、これが俗に霧と呼ばれるものです。

春は霞(かすみ)/秋は霧と呼ぶ

霧は春と秋に多い自然現象であり、春は「霞(かすみ)」、秋は単に「霧」と呼ばれますが、学術的にはまったく同じ現象が作用して発生に至っています。

日本では古くから霧は森の神の降臨を促す神々しい現象として捉え、霧にまつわる幾多の言葉が生み出されています。

霧が発生する原因

霧は、日中でも発生することがありますが、これは山間地の例がほとんどです。霧の名所として知られる北海道・釧路では1日中、霧というのも珍しくありません。

霧が発生するためには気温差が必須条件となり、大気中の水蒸気が急激に冷やされることで発生します。

霧が発生する時期を頃合いで示すと、春は七十二候「霞始靆 (かすみはじめてたなびく)」で紹介されているように、2月24日頃〜2月28日頃に発生します。

夏はこの「蒙霧升降」で紹介されているように「8月18日〜8月22日頃」ですが、釧路では6月〜8月に大量の濃霧が発生します。この釧路の霧は通称で「釧路の海霧(うみぎり)」と呼ばれ、潮の香りが入り混じった特徴的な霧として認知され、「かおり風景百選」にも選出されています。

例年、夏になれば多くの観光客で賑わうスポットです。あなたも霧に包まれながらの記念写真を残してみたくありませんか?ぜひ!

東京でも霧が見られる??

知ってましたか?実は東京でも霧が見られることがありんす。

霧は空気中に埃(ほこり)や煙などの俗に「細塵(さじん)」と呼ばれるものが大量に大気に包有されていると霧が発生しやすくなり、つまりのところ、東京のような人口が多く、人々の活動が盛んな場所は濃霧が発生しやすくなりんす。

実際に、秋真っ只中となる10月頃になればニュースなどで朝霧が大量に都心のビル群を覆う様子が映し出されていることがありんす。

秋霧と霧の別名一覧

秋に出現する霧のことを特別に「秋霧(あきぎり)」と呼称しまんすが、厳密に言うと霧には「秋霧」という概念はなく、ただの「霧」です。

実は霧には幾つか特有の呼ばれかたがあり、これらは概ね四季において異なります。

霧の別名一覧

朝霧(あさぎり)、夕霧(ゆうぎり)、夜霧(よぎり)

薄霧(うすぎり)、濃霧(のうむ)、狭霧、迷霧(めいむ)

霧の海(きりのうみ)、霧の谷(きりのたに)、霧の籬(まがき)、霧の帳(とばり)

霧襖(きりぶすま)、霧の香(きりのか)、霧雨(きりさめ)、霧時雨(きりしぐれ)、霧雫(きりしずく)

「秋霧」が秋の季語として用いられはじめたのはいつ?

平安時代前期に成立した「古今和歌集(こきんわかしゅう)」の中に36仙の1人で有名な「凡河内 躬恒(おおしこうち の みつね)」が詠んだこんな詩がありんす。

秋霧の 晴るる時なき 心には 立ちゐの空も 思ほえなくに

この詩には「霧」とせず、秋に立ち込める霧として「秋霧」という言葉を用いていますが、文献上、「秋霧」という言葉が季語として用いられたのが、はじめてのように思われます。

しかしながら、一説には平安後期に成立したとされる「堀河百首(堀河院御時百首和歌)」の秋の題に「秋霧」の文字が見られることから、この頃から「秋霧」という言葉が正式に秋の季語として用いられはじめたとみられていまんす。




中国(宣明暦)での解釈

中国における立秋の初候・第三十四侯の七十二候は「寒蝉鳴」になります。ただし、読み方は「かんぜんなく」になります。

寒蝉鳴の意味

寒蝉鳴の意味は「ヒグラシ(蝉)が鳴き始める頃」になりんす。

寒蝉鳴は同じ二十四節気「立秋」の七十二候・次候に集録されている「寒蝉鳴」と同じ意味ですが、ただ、中国は日本よりも5日遅く寒蝉鳴が組み入れられています。

逆の言い方をすれば日本は中国よりも5日早く「寒蝉鳴」が暦に組み込まれているワケですが、よほど秋霧を入れたかったのでしょう。

実際、日本は世界と比較してみても霧が多いと呼べる国であり、霧の有名所として知られる北海道・釧路は、日本のロンドンとも称されるほど霧が多い場所です。

中国の立秋期間の気候

中国は新暦で言えば7月がもっとも暑い時期ですが、日本の1年内でもっとも暑いとされる頃は8月です。すなわち約1ヶ月のズレがあります。

これはすなわち、大暑の時期がズレていることを意味し、日本の季節感で例えると立秋の頃が本来の大暑になります。

蒙霧升降の日にち(期間)

  • 太陽暦:8月18日〜8月22日頃
  • 旧暦:七月節(七月の正節)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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