このページでは二十四節気「立秋」の七十二候・初候における「涼風至」「腐草為蛍」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。
目次
涼風至の読み方
涼風至は「すずかせいたる」と読みます。
涼風至とは?
涼風至とは、二十四節気の「立秋(りっしゅう)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。
72の節気を持つ七十二候においては「第三十七侯(第37番目)」の節気、「初候(しょこう)」にあてられた語句になります。
太陽の黄経は135度を過ぎた地点です。
立秋期間中のその他の七十二候の種類・一覧
初侯:涼風至
次侯:寒蝉鳴
末侯:蒙霧升降
涼風至の意味・由来
日本(略本暦)での解釈
「涼風至」の意味は、「涼」「風」「至」とに分解すると分かりやすくなります。
「涼風至」の意味
「涼」は「りょう」と読み、これは「すずしい」「快適な冷たさを感じる」などの意味合いになりんす。
「風」は「かぜ」ですが、涼と合わせることで「涼風」という言葉ができあがります。涼風とは「すずしい風」もしくは涼風自体が晩夏を代表する季語であることから、晩夏〜立秋の頃に吹く風とも解釈できんす。
「至」とは、「至る」「あるところに行き着く」などの意味合いになりんす。
以上、これらをまとめると「涼風至」とは、『涼しい風が吹き始める頃』もしくは『涼しい風が立ち始める頃』という意味合いになりんす。
二十四節気や七十二候、雑節では「立ち始める」という言葉が散見されますが、これは「風が出てきた」「起こった」「吹き始めた」などの意味合いがありんす。
「立ち始める」とは情景をより鮮明に、より美しく心に響かせるために俳句などで用いられる表現技法です。
話は少し逸れますが、宮崎アニメに「風立ちぬ」という題目の映画がありんすが、これこそがまさにその典型例といえよう。
黄昏時と朝に吹く風は秋を告げる‥?
立秋は秋と言えど、晩夏です。したがってまだまだ連日のように厳暑が続きますが、朝夕そして夜になれば、そこは異世界を実感するかもしれません。
気温が急激に下がり、この朝夕夜に吹く風はやや冷風気味の涼風であり、半袖では少々、鼻をグズらせて風邪をひきそうなほど肌寒く感じる頃合いです。
立秋もしくは涼風至とは、まさにこういった日中の厳暑とは裏腹の気温の著しい変化を表した言葉なのでしょう。
中国(宣明暦)での解釈
中国における立秋の初候・第三十四侯の七十二候は「腐草為蛍」になります。ただし、読み方は「ふそうほたるとなる」になります。
腐草為蛍の意味
腐草為蛍の意味は「腐った草が蒸れ蛍となる」になりんす。
意味合いは「腐った草が地面に倒れて地熱で蒸れ、その腐草の下から羽化した蛍が夜空を飛び交う頃」となりんす。
腐草為蛍は、芒種(ぼうしゅ)の七十二候・次候でも集録されている言葉です。日本においての腐草為蛍の読み方は「くされたるくさほたるとなる」となり、中国とは少し異なります。
日にちすると新暦6月11日〜15日。旧暦では五月節(五月の正節)になります。
中国の立秋期間の気候
中国は新暦で言えば7月がもっとも暑い時期ですが、日本の1年内でもっとも暑いとされる頃は8月です。すなわち約1ヶ月のズレがあります。
これはすなわち、大暑の時期がズレていることを意味し、日本の季節感で例えると立秋の頃が本来の大暑になります。
涼風至の日にち(期間)
- 太陽暦:8月8日〜8月12日頃
- 旧暦:七月節(七月の正節)