「寒蝉鳴」「白露降」の意味・由来・読み方|【立秋(二十四節気)七十二候・次候】

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このページでは二十四節気「立秋」の七十二候・次候における「寒蝉鳴」「白露降」の意味・由来・読み方についてご紹介しています。




寒蝉鳴の読み方

寒蝉鳴は「ひぐらしなく」と読みます。

寒蝉鳴とは?

寒蝉鳴とは、二十四節気の「立秋(りっしゅう)」をさらに3つの節気に分けた「七十二候」の1節です。

72の節気を持つ七十二候においては「第三十七侯(第37番目)」の節気、「次候(じこう)」にあてられた語句になります。

太陽の黄経は140度を過ぎた地点です。

立秋期間中のその他の七十二候の種類・一覧

初侯:涼風至
次侯:寒蝉鳴
末侯:蒙霧升降




涼風至の意味・由来

日本(略本暦)での解釈

「寒蝉鳴」の意味は、「寒蝉」「至」とに分解すると分かりやすくなります。

「寒蝉鳴」の意味

「寒蝉」とは「かんぜみ」と読み、これは秋に鳴く蝉のことを指します。二十四節気は中国華北地方の中原で作暦された暦であることから、立秋の頃に鳴く蝉と言えばヒグラシ(蜩)のことを指します。

日本においてはクマゼミやアブラゼミもいることから、一概にヒグラシとは解釈されにくいのですが、二十四節気は中国の気象に合わせて成立していることから、若干の誤差は否めません。

ただ、日本に生息するヒグラシは気温の低い朝夕に鳴くのが通例ですが、晩夏の頃になると気温が低いのか日中からヒグラシが鳴くことがありんす。

これは気温の低下を意味し、それだけで秋の入口に差しかかったことを意味し、季節感としては立秋にまったくそぐわないワケではないことになります。

すなわちまとめると、『ヒグラシ(寒蟬)が鳴き始める頃』という意味合いになります。

ヒグラシ(蜩)の生態

ヒグラシは漢字表記にすると「蜩」と書くほか、「日暮」もしくは「茅蜩」、「秋蜩」、「晩蟬」とも書かれます。日本では一般的に「日暮」と書かれることが多いのですが、日暮の漢字が付された由来としては、「日が暮れゆく頃に鳴く蝉」ということで「日暮」と命名されているんす。

上述したように、ヒグラシは朝夕にしか鳴かない蝉ですが、気温が低くなってくれば日中でも鳴くことがありんす。

生息地は、日本では本州を中心としてほぼ全国に分布しています。中国大陸に広く分布しますが、朝鮮半島には生息しない蝉です。

生息場所は広葉樹林やスギやヒノキの林や、割と標高のある山林などに生息しています。

ヒグラシは秋の季語にもなっていることから晩夏に羽化して秋に鳴き始める蝉だと思われがちですが、実際は6月中頃から7月にかけて羽化し7月にはすでに鳴き始めています。以後、9月中頃まで連日のように鳴き声を聞くことができるんす。

蝉が鳴く理由

蝉がなぜ鳴くのかご存知ですか?

実は鳴いている蝉はすべてオスなんです。これでピーン!とキタ方もいると思いますが、これはメスへの求愛行動の一種です。

では、なぜメスは鳴かないのか?という素朴な疑問が生まれますが、実はメスには発音器がな無いために鳴きたくても鳴くことができないのです。

ヒグラシの鳴き声が季語になる理由

ヒグラシの鳴き声が季語になる理由は、他の蝉とは一線を画し、鳴き声が美しく、その上、清涼感あふれることが挙げられます。

一般的なヒグラシの鳴き声の例えとして「カナカナカナ‥」と表現されることから、別名で「カナカナ蝉」とも呼ばれます。

晩夏に澄み切った山内のバンガローへ泊まればよく分かりますが、夕方にもなれば本当に涼しく、その上、清涼感あふれるヒグラシの鳴き声が相乗して、さらに秋の到来を予見させます。

日本に生息する蝉の種類一覧

日本には30種類もの蝉が生息していると言われています。これを世界規模に広げた場合、約3000種類はいると言われています。

以下の表に書き記した蝉は代表的な蝉です。

蝉の名前発生時期鳴く時間帯分布
ハルゼミ4月下旬~6月日中本州・四国・九州
エゾハルゼミ5月下旬〜7月日中北海道・本州・四国・九州
ヒメハルゼミ6月下旬~8月下旬夕方本州・四国・九州・奄美
ニイニイゼミ6月下旬~8月朝〜夜まで北海道・本州・四国・九州・沖縄
ヒグラシ6月下旬~9月朝夕(稀に午前2時頃、気温が低ければ日中も)北海道・本州・四国・九州・奄美
ミンミンゼミ7月中旬~8月午前中北海道・本州・四国・九州
ツクツクボウシ7月下旬~9月午後~日没後北海道・本州・四国・九州
エゾゼミ7月中旬~9月中旬午前中北海道・本州・四国・九州
コエゾゼミ7月中旬~8月午前中北海道・本州・四国
チッチゼミ7月中旬~10月早朝〜お昼まで北海道・本州・四国・九州
クマゼミ7月下旬~8月早朝〜お昼まで本州・四国・九州・沖縄
アブラゼミ7月下旬~9月昼過ぎ~日没まで北海道・本州・四国・九州




中国(宣明暦)での解釈

中国における立秋の初候・第三十四侯の七十二候は「白露降」になります。ただし、読み方は「はくろくだる」になります。

白露降の意味

白露降の意味は「露(白露)が降り始める」になりんす。

「白露」とは、「しらつゆ」もしくは「はくろ」と読み、意味は「白く光って見える露」になりんす。

大気(たいき/地球を取り巻く空気)が冷やされると、露が発生します。

もう少し分かりやすく言うと、空気中の水蒸気が冷やされると水滴ができるのですが、この状態が露です。

その露が発生する頃合いを言葉にしたものが白露です。

「白」は五行説では「秋」を意味する言葉であり、これに露を付すことによって秋を見事に表現しています。

陰陽五行説の四季の考え方
  • 春=木(色で示すと「青」もしくは「緑」)
  • 夏=火(色で示すと「赤」)
  • 秋=金(色で示すと「白」)
  • 冬=水(色で示すと「黒」もしくは「青」)

「秋」を意味する「金」には、色の「白」が対応しています。

以上はあくまでも一例であり、他にも二十四節気にはこのような陰陽五行説の思想が採用されている節気がいくつかありんす。

ちなみに白露は二十四節気の第15節で集録されている言葉です。

日にちすると新暦9月8日〜22日頃まで。旧暦では八月節(八月の正節)になります。

中国の立秋期間の気候

中国は新暦で言えば7月がもっとも暑い時期ですが、日本の1年内でもっとも暑いとされる頃は8月です。すなわち約1ヶ月のズレがあります。

これはすなわち、大暑の時期がズレていることを意味し、日本の季節感で例えると立秋の頃が本来の大暑になります。

寒蝉鳴の日にち(期間)

  • 太陽暦:8月13日〜8月17日頃
  • 旧暦:七月節(七月の正節)

二十四節気と七十二候について

雑節について

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