1月7日は七草粥の日!【いつ食べる・意味・由来・歴史・覚え方・歌・レシピ・英語】春の七草・夏の七草・秋の七草・冬の七草まで

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年を越してお正月も数日経つと、スーパーには「七草粥」のセットが店頭に並びます。

1月7日は七草粥を食べる日です。

ご馳走ばかり食べていたお正月もひと段落ついた1月7日朝、優しい味の七草粥を食べると身も心もほっとしますよね。

そもそも、1月7日に七草粥を食べる理由は何なのでしょうか?

今回は七草粥について、いつ食べるのか?や意味、由来、歴史に七草の覚え方など七草粥についての様々な雑学をご紹介します。

春の七草以外にも、秋の七草や、知られざる冬の七草などもご紹介、粥は体にいいのか?からおススメのレシピも掲載しますので是非ご参照ください。

 




「七草粥」読み方

七草粥は「ななくさがゆ」と読みます。

七草粥を食べる1月7日は「七日正月(なのかしょうがつ)」と呼ばれ、1月6日の夜から1月7日の朝にかけては、1年の中で1番大切な夜とされています。

そのため、「六日年越し(むいかとしこし)」、「六日年取り(むいかとしとり)」などという名称もあります。

ちなみに、七草粥の「粥」という漢字は、「米」という漢字を挟むようにして左右に「弓」を書きます。

この左右の「弓」という字は、熱く白い湯気の形を表していて、「米」という漢字は稲穂の実、米粒を表した象形文字なので、「米」から湯気が出ている様子を表しているのです。

また、「粥」という漢字の旧字体「鬻」は、「粥」の字の下にかまどの形が描かれています。 米をかまどに乗せて、煮こんでいる様子を表しています。

「七草粥」は英語だと?

「七草粥」は英語だと「the seven herb rice porridge」と言います。

「the seven herb」はそのまま、七草=「7つのハーブ」と訳し、「rice porridge」はお粥の部分を指します。

「Porridge」は、燕麦(えんばく)と呼ばれるイネ科の穀物を脱穀して加工したものである「オートミール」に牛乳などを加えて柔らかくしたものを指します。

そのため、お米に水を加えて柔らかくした「お粥」を「rice porridge」と訳すのです。

「七草粥」はいつ食べる?

「七草粥」は1月7日に食べます。

2021年の「七草粥」はいつ?

2021年の「七草粥」は、1月7日は木曜日です。

「七草粥」とは

「七草粥」とは、1月7日に七種類の若草を入れた粥を食べる習慣のことを指します。

伊勢神宮では1月7日に、内宮・外宮ともに若草で作った粥を神様に供えるしきたりがあります。

「七草粥」に入れる若草は、時代や地域によって異なります。

「七草粥」を食べる意味

草粥」は、食べることでその1年に病気にならず健康に過ごせるようにとの願いが込められています。

春の七草には、厳しい冬の寒さを凌いだ植物の生命力が溢れていて、邪気を祓うと考えられていたためです。

また、お正月のご馳走で弱った胃腸を休め、若草の不足する冬場の栄養補給をするという意味もありました。




「七草粥」の起源

「七草粥」の起源は中国にあります。

七草粥に繋がる中国の行事の1つが、毎年1月7日に官吏(かんり)の昇進を決める行事です。

1月7日の朝には、薬草となる葉を食べて立身出世(社会的によい地位について、世間に有名になること)を願ったのです。

そして、もう1つ七草粥に繋がる行事が「人日」です。

古代中国では、1月1日から鶏、2日狗(いぬ)、3日猪、4日羊、5日牛、6日馬と正月の各日に動物が決められていて、それぞれの動物の占いをその日に行なっていました。

そして、動物たちの占いが終わった1月7日を「人日(じんじつ)」とし、人間を占う日にしていました。

その日は、晴れたら吉、雨なら凶とされていて邪気を祓うために7種の薬草を入れた汁物を食べる習慣があったのです。

このような中国の2つの行事は後に日本に伝わり、七草粥を食べる習慣に繋がっていきます。

「七草粥」の歴史

中国を起源に持つ2つの習慣が日本に伝わったのは平安時代です。

日本の文献では804年(延暦23年)に皇大神宮の行事や儀式を記した『皇大神宮儀式帳(こうたいじんぐうぎしきちょう)』に初めて登場します。

当時は、まだ粥ではなく羹(あつもの)と呼ばれる吸い物にして七種の若菜を食べていたようです。

七草粥としての記載は、平安時代の法令集である『延喜式(えんぎしき)』に書かれています。

927年(延長5年)に完成し、967年(康保4年)より施行された『延喜式』には、1月15日に米、稗(ひえ)、粟(あわ)、黍(きび)などの7種類の穀物が入った粥をお供え用に用意していたと書かれています。

現代でも1月15日の「小正月」と呼ばれる行事に「小豆粥」を食べる風習が残されていて、赤い小豆(あずき)は、邪気を払う力があるとされていることから、昔は1年の天候や五穀の出来を占う神事も行われていたていたそうです。

時代が変わり、一般的に七草粥が定着したのは江戸時代だと言われています。

江戸時代には、「端午の節句」や「桃の節句」に並ぶ「五節句」の1つとして「人日」が「七草(七種)の節句」として正式な行事になり、定められたことが七草粥を普及させた大きな理由です。

「七草粥」は「節句」の行事の1つ

中国から伝わった「人日」は、「七草(七種)の節句」、「人日(じんじつ)の節句」とも呼ばれています。

「人日の節句」をお話しする前に、先ほどもご紹介した「五節句」をもう少し詳しく見てみましょう。

「五節句」とは、その名の通り「5つの節句」を指します。

それぞれ中国から伝わった行事で、時代と共に日本の生活文化や風習に合わせてアレンジされていき、江戸時代になると幕府はこの5つの行事を「節句」として公的に定めました。

この5つの節句は、どれも1年の節目の時期であり、奇数の重なった日に設定されています。

五節句は以下の通りです。

1月1日(後に1月7日)の「人日の節句(七草の節句)」、3月3日の「上巳の節句(桃の節句)」、5月5日の「端午の節句」、7月7日の「七夕の節句」、9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句」。

分かりやすい行事がほとんどですが、1月7日の「人日(じんじつ)の節句」や、7月7日の「七夕が節句」だったとは意外かもしれません。

どの節句でも邪気を祓うことを目的とされていて、「供え物」をしたり「供え物」を口にしたりします。

行事食と言われる節句ならではの食事は、五節句を行うにあたって重要な意味をもっています。

行事食と言えば、「桃の節句」の雛あられや「端午の節句」の柏餅などしか思い浮かびませんが、「人日(じんじつ)の節句」は春の七草を使ってお粥を作りそれを食べることで邪気を祓いますし、「七夕の節句」でも、行事食として「そうめん」を食べます。

「七草粥」は「人日の節句」の行事食

では、「人日の節句」とはどのような節句なのでしょうか?

もう少し詳しく見てみましょう。

「人日」とは、「人の日」という意味です。

古代中国では、決まった日に動物を充てて占いで物事を決めていました。

元日には「鶏」、1月2日は「狗(犬)」、1月3日は「猪」、1月4日は「羊」、1月5日は「牛」、1月6日は「馬」、1月7日は「人」の日のように、日によって人間を始めとする動物が充てられていて、それぞれの吉凶を占い大切に扱っていました。

動物の占いが終わった1月7日は人に刑罰も与えず、7種類の若草を入れた粥を食べることで、無病息災や立身出世を願う風習があったのです。

七草粥はそんな中国から伝わった行事である「人日の節句」で食べる行事食の1つです。

  • 1月7日  人日(じんじつ) 七種(ななくさ)の節供
  • 3月3日  上巳(じょうし) 桃の節供
  • 5月5日  端午(たんご)  菖蒲の節供
  • 7月7日  七夕(たなばた) 竹の節句
  • 9月9日  重陽(ちょうよう)菊の節句 




「春の七草」を覚えよう!

1月7日の七草粥に用いられるのは「春の七草」です。

七草粥に用いる春の七草は、どの草も栄養価が高く、食が貧しかった時代には滋養をつける意味においても合理的な習慣だったと言えます。

また、どれも縁起の良い意味合いを持つ野草です。

では、春の七草にはどのような種類があるのか確認してみましょう。

芹(せり)

セリはセリ科の多年草です。食用としての歴史は古く、『古事記』や『日本書紀』にも記録が残されています。競り合うように群生することから「勝負に競り勝つ」という縁起の良い意味で用いられています。

薺(なずな)

ナズナはアブラナ科です。「ぺんぺん草」という名前のほうがピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。ぺんぺん草とは、実の形が三味線に似ていることからその名がついたようです。種の形はハート型をしている可愛らしい野草です。「撫でて穢れをのぞく」という縁起の良い意味合いを持ちます。

御形(ごぎょう)

キク科のゴギョウは、別名母子草(ハハコグサ)と呼ばれています。最近は、喉の痛みを和らげたり、デトックス効果が期待できたりするためハーブティーとして人気があるようです。ゴギョウは、仏様のからだを表すとされることから縁起が良いとされています。

蘩蔞(はこべ)

ナデシコ科のハコベは、可愛らしい小さな花がある野草です。中国においては古くから薬草として知られていて、熱を加えて粉状にし、塩と混ぜることで歯磨き粉としても使われていたそうです。繁栄し広がる、はびこる、という意味で縁起が良い草です。

仏の座(ほとけのざ)

一般的にホトケノザとされているのは、紫紅色の花をつけ、葉の形が仏様の台座(蓮座)に見えることから名前がついた野草ですが、春の七草で登場するホトケノザはこの野草ではなく、コオニタビラコと呼ばれるキク科の多年草のことです。誤解されている場合が多いようですが、ホトケノザは食用ではないため、注意が必要です。コオニタビラコは湿地を好み、小さな黄色い花を咲かせます。ホトケノザは、仏が座る台座として良い縁起の意味を持っています。

菘(すずな)

スズナと聞くと何の野草かと思いますが、アブラナ科の蕪(カブ)のことです。弥生時代頃に中国から伝わり、「スズナ」とは神さまを呼ぶ鈴の意味です。そのため、縁起が良いとされています。

蘿蔔(すずしろ)

スズナと同じように、スズシロもその名を聞けば分かる大根のことです。実の白さから「清白(すずしろ)」と書いたことに由来します。大根は、風邪予防や美肌効果が期待できる野菜です。白く汚れのない様子を意味し、縁起が良いとされています。

「春の七草」の」覚え方!

いざ覚えようとしてもなかなか覚えにくい「春の七草」ですが、短歌のように「五・七・五・七・七」の音に合わせてリズムよく覚えましょう。

『  五       七       五       七       七   』
『せり/なずな・ごぎょう/はこべら・ほとけのざ  すずな/すずしろ・はるのななくさ』

何度も呪文のように口ずさむと覚えられますよ。

「秋の七草」ってなに?

七草粥で使うのは「春の七草」。

しかし、「秋の七草」もあるのをご存知でしょうか?

春の七種と違いって秋の七草は特に何かをする行事はありません。

それどころか、秋の七草は食べたりするものではなく観賞するためのものであるため「秋の七草がゆ」も存在しないのです。

しかしながら、秋の七草にも薬効成分が含まれています。

秋の七草

  • 萩(ハギ):マメ科の植物。咳止め、去痰、胃痛、下痢などの効用あり。
  • 尾花(オバナ):イネ科のススキのこと。利尿作用あり。
  • 葛(クズ):マメ科。風邪薬として用いられる葛根湯として有名。肩こりや神経痛にも効用あり。
  • 撫子(ナデシコ):現在はカワラナデシコと呼ばれるナデシコ科の植物。むくみや高血圧に効用あり。
  • 女郎花(オミナエシ):オミナエシ科の植物。消炎や排膿に効用あり。
  • 藤袴(フジバカマ):キク科の植物。糖尿病や体のかゆみの効用あり。
  • 桔梗(キキョウ):キキョウ科の植物。咳止めや去痰、のどの痛みの効用あり。

ちなみに、覚え方は「秋の七草」の頭文字をつなげて「おすきなふくは(お好きな服は?)」と覚えます。

みなえし」・「すき」・「きょう」・「でしこ」・「じばかま」・「ず」・「ぎ」

また、「おきなはすくふ(沖縄救う)」という覚え方もあるようです。

みなえし」・「きょう」・「でしこ」・「ぎ」・「すき」・「ず」・「じばかま」

他にもある〇〇七草

他にも七草と呼ばれる草花があるのでご紹介します。

「夏の七草」

実は「夏の七草」は、作られた時代によって3種類存在します。

①「夏の七草」:昭和初期に勧修寺経雄(かじゅうじ つねお)が詠んだ和歌により生み出された七草

  • 葦(よし)
  • 藺(い)
  • 沢潟(おもだか)
  • 未草(ひつじぐさ)
  • 蓮(はちす):現在はハス
  • 河骨(かわほね):現在はコウホネ
  • 鷺草(さぎそう)

②「夏の七草」:戦時中に食糧難の時にも食べられる植物として選定された七草

  • 藜(あかざ)
  • 猪子槌(いのこづち)
  • 莧(ひゆ):現在のハゲイトウ
  • 滑莧(すべりひゆ)
  • 白詰草(しろつめくさ:現在のクローバー
  • 姫女菀(ひめじょおん)
  • 露草(つゆくさ)

③「夏の七草」:.自然写真家の亀田龍吉(かめだ りゅうきち)の著書から生まれた七草

  • 白茅(ちがや)
  • 昼顔(ひるがお)
  • 藪萱草(やぶかんぞう)
  • 蕺(どくだみ)
  • 三葉(みつば)
  • 野薊(のあざみ)

「冬の七草」

冬の七草は諸説あり、明確ではありません。

一例としてご紹介する七草は、「冬至の七種」と呼ばれ、運が倍になることを願い、「ん」がつく食べ物が選ばれています。

  • カボチャ(なんきん)
  • レンコン(れんこん)
  • 人参(にんじん)
  • 銀杏(ぎんなん)
  • 金柑(きんかん)
  • 寒天(かんてん)
  • うどん(うんどん)

その他の七草

他にも、昔の七草と呼ばれる【稲(いね)、粟(あわ)、黍・稷(きび)、稗(ひえ)、胡麻(ごま)、小豆・荅(あずき)、蓑米・葟(みの)】といった穀物を挙げたものや、七種類の海藻を挙げた「海の七草」などもあります。

海の七草は、春の七草と同じように汁物や粥にして食べることが多く、三重県鳥羽市の「ナナクサタタキ」という新年の行事では、6種類の海藻と1種類の青菜を刻んで神棚や漁船にお供えします。

地方によっても違う「七草粥」

春の七草をいれた七草粥は一般的ですが、七草以外の具材を入れている地方もあるようです。

全国の七草粥をご紹介します。

沖縄

沖縄の一部地域で食べられているのは、具材が豊富であったり、味噌味だったりする七草粥です。

1月7日は「ナンカンシークイ(七日節句)」と呼ばれています。

この日には、お正月に仏前に供えていたお米に一緒に入れて炊くのは、レタスやニラなどの野菜。

他にも、豚バラ肉やニンニクの葉などを入れた味噌味の七草粥もあるそうです。

福岡

福岡県の一部の地域では、鯨を主とした味噌仕立ての汁に七草を入れた「七草汁」が伝わっています。

鳥取

鳥取県では、一般的な七草に加えてお正月の飾りに使かっていたスルメや昆布、干し柿などを入れる場合もあるそうです。

石川・富山・新潟

日本海側の一部の地域では、2月7日にひと月遅れのお正月行事として小豆雑煮やおぜんざいなどを食べます。

1月15日に小正月として小豆粥を食べる風習があるので、その風習と七草粥の風習が習合したものと考えられます。

茨城栃木

茨城県や栃木県の一部地域では、七草粥としてではなく七草を混ぜたご飯を頂きます。

青森秋田岩手

東北の一部の地方では、「けの汁」、「けえの汁」、「きゃの汁」、「きゃのこ」などと呼ばれる汁物が飲まれていて、根菜に油揚げや凍み豆腐などの大豆製品を加えた食べ応えのある汁物です。

また、大豆粉で作った「じんだ」という団子を加えることもあるそうです。




今も昔も「粥」はスーパーフード⁈

粥が身体に良さそうなのはなんとなくわかりますが、本当に体にいいのでしょうか?

昔に粥の効能に気が付いた「道元禅師」と現代考えられている粥の効能について見てみましょう。

「かゆ」の効能を説いた「道元禅師(どうげんぜんじ)」

米が大変貴重だった昔には、少しの米を色々な雑穀と煮込んで粥として食べていました。

そんな粥の効能に注目していたのが、今から800年ほど前の鎌倉時代に曹洞宗(そうとうしゅう)を開いた「道元禅師(どうげんぜんじ)」です。

道元禅師は『典座教訓・赴粥飯法(てんぞきょうくん・ふしゅくはんぽう)』という食事の際の心構えを記した本を書きます。

この本は、禅を修行している人たち向けに食事の考え方や作法、心構えについて書いたものです。

この本の中には、粥の記載もあり、粥の効能が10項目も挙げられています。

道元禅師が説いた粥の効能は以下の項目です。

粥有十利(しゅうゆうじり):粥を食べると10の利益がある

  1. 色 (肌(体)の色つやをよくする)
  2. 力 (気力が増す)
  3. 寿 (寿命が延びる、長寿となる)
  4. 楽 (食べ過ぎにならず、体が楽になる)
  5. 詞清辯 (血流がよくなり頭が冴えて、言葉も清くなめらかになる)
  6. 宿食除 (前に食べた物が残らず、胸やけをしない)
  7. 風除 (風邪を引かない)
  8. 飢消 (飢えを満たす)
  9. 渇消 (消化がよいためすぐに栄養となって飢えを消し、喉の渇きを潤す)
  10. 大小便調適 (便通がよくなる)

現代でも、 道元が開いた曹洞宗の総本山の1つ永平寺において、修行する僧侶たちの朝は粥から始まります。

現代の医師が伝える「粥」の効能

先ほど、鎌倉時代の僧侶であった道元禅師が粥の効能を説いたとお話ししましたが、粥の効能は医療の発達した現代でも良い食べ物として、医師が推奨し、病気の人などに提供されています。

現代でもこのような効能が期待されています。

栄養の吸収が良い

粥にすることで消化が早まり、内臓に負担をかけずに栄養を摂取することができる。

体を温める・精神的な安定

粥を食して体温を上げることで免疫力が上がります。また、熱い湯気は詰まった鼻に効果的でもあります。温かい粥は精神的な安心感も得られます。

しかしながら、粥が必ずしもスーパーフードのような優れた食べ物とは言い切れません。粥のデメリットも見てみましょう。

カロリーがとても少ない

粥は、水の量に応じてカロリーの量も少なくなり、栄養満点の食事とは言えません。

炭水化物しか取れない

粥の栄養素はほとんどが炭水化物です。そのため栄養バランスも偏ってしまいます。

噛むことがおろそかになる

食べやすい粥はついつい飲んでしまうこともあるでしょう。しかし噛まずに飲んでしまうと噛むことで分泌される唾液が減り、酵素反応が活性化しません。そのため、消化器官に負担が大きくなってしまうので、粥は柔らかくてもなるべくかみ砕くようにしましょう。

これで完璧スーパー「粥」

では、メリットを高め、デメリットを補う粥にするためにはどのようにすればいいのでしょうか?

体をさらに温める

発汗効果の期待できるキムチ、梅干を入れる

体温を上げるとされているカボチャやカブ、イモや大根などの根菜類、ニラを入れる

カロリーを補う

「お粥」だけではなく副菜を取り入れましょう。

タンパク質を補う

タンパク質を補う効果があるものとしておススメなのが卵です。卵には、免疫力を高めて風邪などの治す力が期待できるアミノ酸が豊富です。昔は1日に1個と言われてきましたが、現在ではそのような制限は不要とされています。

梅干しを一緒に食べる

梅干しには、唾液を多く分泌させることからら、唾液に含まれている消化酵素が消化を助けてくれます。また、喉の痛みや咳にも効果的なクエン酸も含んでいます。

「粥」の種類

「おかゆ」とご飯は何が違うのでしょうか?どちらも米と水を使うことには変わりがありませんが、水の量が多いことが一番の違いと言えるでしょう。基本的には「粥」も米から炊きますが、ご飯から作った「粥」を「入れ粥」、お米から炊いたものを「炊き粥」と区別します。ちなみに、「粥」の上澄みを重湯(おもゆ)と呼び、関西地方では「おかいさん」と呼ぶようです。

「七草粥」を作る正しい作法

いよいよ七草粥の作り方をご紹介するのですが、その前に七草粥には正式に作る作法があるのをご存知でしょうか?

忙しい現代ではなかなか難しいかもしれませんが、ご紹介しておきます。

七草粥に使う七草は、正式には1月6日の昼に摘んできます。

このことを古くは「若菜迎え(わかなむかえ)」と呼んでいました。

摘んできた若菜は、1月6日の夜に刻みます。

若菜は、まな板の上でトントンと音を立てて刻むことから「菜を叩く(なをたたく)」とも言います。

この菜を叩くときには口にすると良いとされる唱え言葉があります。

「唐土(とうど)の鳥が日本の土地に渡らぬさきに七草なずな」

このように唱えながら、できるだけ大きな音を立てると良いと言われていることから、まな板の上に金属でできた箸、金火箸(かなひばし)をわざと置くことで、金火箸が跳ねる大きな音を鳴らしていました。

この音をたてる風習は、年の初めに農作物に害を及ぼす鳥類を追い払う鳥追いの行事と習合したものだと考えられています。

また板の上に箸

まな板の上に金火箸を置いて大きな音を出す風習をご紹介しましたが、この風習、本来は俎箸(真魚箸・まなばし)をのせた風習でした。

その昔、まな板と俎箸、包丁は三点セットとして認知されていました。

魚を調理するときは決まって、まな板の上で魚を俎箸で抑え、包丁で切っていたのです。

このやり方は、現在でも神社において神様に捧げるお食事である神饌(しんせん)の調理や四条流包丁道とよばれる、平安時代から伝えられる日本料理の流派において見ることができます。




七草粥の作り方

では、七草粥を作ってみましょう!

七草粥の下ごしらえ

まず、七草の下ごしらえから始めましょう。

お粥を炊いている間にやっても大丈夫です。

  • すずしろ(大根)とすずな(かぶ)の実は、小さければ皮ごとでいいですが大きい場合は食べやすい大きさに切ってから薄切りにします。
  • 湯を沸かして小さじ1の塩を入れ、少し柔らかめにゆでます。(2〜3分目安)※ゆで湯は葉っぱに使うので捨てないでください!
  • 他の七草の葉は、溜めた水の中でさっと洗って、先ほど残しておいた鍋の湯を再度沸騰させ、太い茎から順に入れます。
  • さっとお湯に通したら、すぐにざるに上げて冷水にとります。
  • 冷めたら軽くしぼり、粗く刻みましょう。
  • 刻んだものは再度水を軽くしぼります。

「粥」の作り方

粥は水の量によって食感が違うので、お好みの水加減で炊いてもよいでしょう。

水加減によって違った食感の「粥」が炊き上がります。

  • 10倍粥(五分粥):150㏄の水と大さじ1のお米で炊く
  • 7倍粥(7分粥):105㏄の水と大さじ1のお米で炊く
  • 5倍粥(全粥):75㏄の水と大さじ1のお米で炊く
  • 軟飯:45㏄の水と大さじ1のお米で炊く

水加減が決まったら、粥を炊いていきます。

  1. 洗った米と分量の水を鍋に入れて、20分~30分吸水させる
  2. 蓋をして40分ほど炊く

煮立つまでは中火、煮立ってきたら弱火にします。

煮立ったタイミングで、しゃもじなどを使って底からかき混ぜます。

蓋を少しずらしてじっくり30~40分ほど炊きます。

弱い火にしたとしても、吹きこぼることがあるので注意してください!

下処理をした七草を粥に入れる

この粥に、上記で下ごしらえをした七草を入れます。

塩を2つまみほど加えて、茹でておいた七草を入れて軽く混ぜてあたためます。

おかゆを美味しくいただくポイントは出来立てを頂くことです。

出来上がったらすぐに頂きましょう。

アレンジレシピ:石田三成が愛した「にら雑炊」

関ケ原の合戦の後、捕らえられたに石田三成が最後に食べたと言われるのが「ニラ雑炊」です。

石田三成は、胃腸が弱かったとして最後まで食に気を配っていたようです。

七草にニラは選ばれていませんが、免疫力を高めてスタミナを付ける野菜の1つであるニラを加えてみるのはいかがでしょうか?

また、薬膳で「元気を付ける」、「気持ちを落ち着ける」という効果が期待される「卵」も一緒に使っています。

年初めから元気になりましょう!

〈材料〉1人分
・ごはん 茶碗に軽く1杯

・ニラ 5本程度

・七草

・卵半個~1個(お好みで)

・出汁 1カップ

・味噌 適量(入れても入れなくてもお好みで)

〈作り方〉

  1. 七草は茹で、ニラは長さ2~3㎝に刻んで、卵は割りほぐしておく。
  2. 鍋に出汁を入れて火にかける。
  3. 沸騰したら弱火。ごはんを入れて加熱する。
  4. 卵液を少しずつ入れて、最後に刻んだニラと七草を加える。
  5. 一煮立ちすれば、できあがり。
  6. 器に盛りつけたら、味噌を溶かしながらいただく。

「七草粥」は体も心もほっこりさせる

1月7日に食べる七草粥は、縁起のよい言われをもつ野草や体に良い効用があるとされている野草を使っています。

厳しい冬を耐え抜いて芽吹いた若菜には、今この時期に必要な栄養素もたっぷり含まれています。

年末のバタバタから、やっとお正月。

でも、お正月はお正月で美味しいものを食べ過ぎでなんだか体が重い。

そんな時に、優しい味の粥を食べるとほっとしますよね。

七草粥は、古くから無病息災や新しい年の豊作を祈りながら土地にあった食材で粥や汁などの温かいものを作って食べられてきました。

そして、その食事を囲むのは決まって家族なのです。

家族で、お粥を食べるひと時を今年は実践してみませんか?

きっと良い年の幕開けができると思いますよ。

Writing:YUKIKO-加藤

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