七十二候は日本文化の象徴の1つですが、慌ただしい日常生活を営む上であまり知らない方も多いと思います。
ただ、現在の日本の季節感・時節を知り得る上で七十二候はもっとも適した暦になります。
以下では二十四節気をさらに細分化した七十二候の意味や由来のほか、起源や歴史、日にちを併せてご紹介しています。
目次
七十二候の読み方
「七十二候」は、「しちじゅうにこう」と読みます。「ななじゅうにこう」と読んでしまいそうになりますが正式ではありません。
PCのキーボードでキー入力の際、「ななじゅうにこう」で変換をかけても「七十二」までしか出てきません。候は変換されずに平仮名のままです。
七十二候とは?
七十二候とは、5世紀から6世紀の間に古代中国で成立したとされる「二十四節気(にじゅうしせっき)」を、さらに約5日毎の期間に分けて、その期間中に起こる気象の変化や動植物の動きを記してまとめたものが七十二候です。
二十四節気では、各季節を約15日ごとの24つに分けた上で、24つそれぞれに季節を司る語句を付して、各語句の意味や解説を短文表記で述べています。
対して、七十二候は二十四節気の24つの区分をさらに約5日ごとの3つに分けて1年間の季節を72つとしています。
簡単に言えば二十四節気を72等分したものが七十二候なので、二十四節気よりもさらに具体性があることになります。
二十四節気が抽象的であるならば、それを具体的にしたものが七十二候といえます。
日本では江戸時代初期頃まで古代中国で成立した二十四節気の七十二候を使用していましたが、季節感をより日本に沿ったものにするために1684年(貞享元年)の改暦の折、暦学者・渋川春海により「本朝七十二候」が生み出されています。
現行の七十二候はこの本朝七十二候を基にして、明治7年の改暦を経たほぼ完成型の七十二候になります。
「七十二候」の言葉の意味
七十二候の「候」とは「こう」と読み、意味は「物事の状態」「それを知る手がかりや方法」などの意味合いがあります。
「気候」という言葉は「節気」と「候」を合体させて生み出された言葉だと知っていましたか?
意味合いは「節気を知る手がかりや方法」と解釈できます。
すなわちまとめると「72の節気の内容(気象や時節・動植物の動きなど)を知る手がかりや方法」と解釈できます。
二十四節気は現行の暦(太陽暦)とマッチしている
二十四節気が成立した背景として、成立した当時に使用されていた太陰暦(月の軌道に基づいて作成された暦)を補完する目的で作暦されたため、逆に太陽軌道に焦点をあてて作暦されたことから現行の太陽暦とはマッチしているということです。
したがって二十四節気をさらに細分化した七十二候は現在の日本の季節を知る上では最適な暦といえます。
七十二候の起源「日本へ伝来した時代とは?」
七十二候は、735年(天平7年)に遣唐使の一員であった吉備真備が唐から日本へ持ち帰った「大衍暦(たいえんれき)」の具注暦に記載されていたのが文献上の初出と云われています。
しかし実際に七十二候が活用され始めたのが、天平文化で華開いた時代である奈良時代後期となる764年(天平宝字8年)からです。以降、時代を下る過程において、大衍暦の具注暦などに度々、登場しています。
七十二候の成立年代はいつ?
まず、七十二候の一部である二十四節気自体の成立年は、およそ紀元前6世紀の中国・中原地方と考えられています。
しかしながら、この七十二候は二十四節気の内容をさらに細分化した歴法であることから、成立するまでに時間がかかり、長い年月を経て都度、その時代の人物が書き加えるなどして徐々に完成されていった暦だと考えられています。
まさに悠久の時を経て成立した人智の結晶とも言える暦ではないでしょうか。
そして悠久の時を経て最終的に二十四節気の各節気に3つの候を組み込む形で成立したのが、523年に中国・北魏で編纂された「正光歴」だと云われています。
これを日本の時代に置き換えた場合、古墳時代になります。
現在の日本の七十二候のルーツ(起源)
現行(現在)の七十二候は1874年(明治7年)〜1891年(明治16年)までの「官暦」に掲載された七十二候に基づいたものとなります。
しかしながら、明治の改暦は江戸時代に渋川春海を中心とした暦学者たちよによって編纂された「貞享暦(じょうきょうれき)」を基本としており、現行の七十二候はその中の「本朝七十二候」を改変したものです。
貞享暦では二十四節気はもとより、それまでの七十二候も大幅に改訂されていますが、明治の改暦により、さらに改訂されています。ウフ
このように現行の七十二候は現今に至るまでに幾度も改訂されてきた歴史があります。ウフ
七十二候の意味や由来
実はこの七十二候は日本バージョンとと中国バージョンが存在し、時代を下る過程において日本バージョンは何回も改訂されています。
この理由は、二十四節気が中国の中原地域で成立した暦になりますので、二十四節気の一部である七十二候も中国中原の気候や季節感に沿ったものになることから、それぞれの季節を表した語句、意味や解説が異なるためです。
七十二候の文字の意味とその内訳
- 鳥に関する解説:22候
- 自然現象に関しての解説:20候(二十四節気と同じ言葉が2候ある)
- 草花樹木・農作物の解説:13候
- 虫類:9候
- 動物類:6候
- 魚類:1候
元来、このような暦が作暦される理由は、その季節における気象や気候を知見させるためです。しかしながら、七十二候には自然現象よりもなぜか鳥が多く登場しています。この理由は不明とされていますが、鳥は気候に応じて自らが住みやすい場所へ飛び立つことができます。こういった習性を見定めた以外にも中国では鳥という生き物に霊力のようなものが宿るとして特別視されていたとも考えられています。
七十二候の各節気には「初候・次候・末候」の3つの候がある
七十二候は二十四節気の節気に基づき、その節気の期間を3分割して作られていますので、以下のような3つの区分が存在します。
初候(しょこう)
初候とは節気の最初の期間(第1の期間)を司る語句(候)になります。5日間あります。
次候(じこう)
次候とは初候に次ぐ第2の期間を司る語句(候)になります。5日間あります。
末候(まっこう)
末候とは次候に次ぐ第3の期間を司る語句(候)になります。七十二候の3つの期間中の最後の区分(候)になります。5日間あります。
これら各候の中には季節を表した熟語のような短文の語句が設定されています。
例えば、二十四節気の「立春」を例にした場合、初候には「東風解凍」、次候には「黄鶯睍睆」、末候には「魚上氷」という熟語のような言葉が入ります。
それぞれの言葉の意味については下掲の七十二候一覧をご覧ください。
日本の七十二候と中国の七十二候の違い
前述のとおり、先にどれだけの差異があるのかをご紹介しておきます。
- 七十二候が同じ内容の候数:24候
- 季節感にズレがある候数:33候
- 日本独自の候数:15候
各季節の七十二候の意味・一覧表(カレンダー)・時候の挨拶
七十二候の見やすい一覧表(カレンダー)は下記ページをご覧ください。
春
立春
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:東風解凍
- 読み方:こちこおりをとく
- 意味:東風が厚い氷を解かし始める ※東風=春風
次候:黄鶯睍睆
- 読み方:うぐいすなく
- 意味:鶯が山里で鳴き始める頃
末候:魚上氷
- 読み方:うおこおりをいずる
- 意味:割れた氷の間から魚が飛びはねる
中国の七十二候(宣明暦)
初候:東風解凍
- 読み方:とうふうこおりをとく
- 意味:東風が厚い氷を解かし始める
次候:蟄虫始振
- 読み方:ちつちゅうはじめてふるう
- 意味:冬籠りの虫が動き始める
末候:魚上氷
- 読み方:うおこおりをのぼる
- 意味:割れた氷の間から魚が飛び出る
日にち(期間)
- 初候:2月4日〜7日頃
- 次候:2月8日〜12日頃
- 末候:2月13日〜17日頃
雨水
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:土脉潤起
- 読み方:つちのしょううるおいおこる
- 意味:雪から雨に変わり大地が湿り気を含む頃
次候:霞始靆
- 読み方:かすみはじめてたなびく
- 意味:春霞がたなびき始める
末候:草木萌動
- 読み方:そうもくめばえいずる
- 意味:草木が芽吹き始める
中国の七十二候(宣明暦)
初候:獺祭魚
- 読み方:たつうおをまつる
- 意味:獺(カワウソ)が捕らえた魚を並べて食べる
次候:鴻雁来
- 読み方:こうがんきたる
- 意味:雁(ガン)飛来し始める
末候:草木萌動
- 読み方:そうもくめばえいずる
- 意味:草木が芽吹き始める
日にち(期間)
- 初候:2月18日〜22日頃
- 次候:2月23日〜27日頃
- 末候:2月28日〜3月4日頃
啓蟄
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:蟄虫啓戸
- 読み方:すごもりむしとをひらく
- 意味:冬籠りしていた虫が這い出て来る
次候:桃始笑
- 読み方:ももはじめてさく
- 意味:桃の花が咲き始める
末候:菜虫化蝶
- 読み方:なむしちょうとなる
- 意味:青虫が羽化して蝶になる ※菜虫=青虫
中国の七十二候(宣明暦)
初候:桃始華
- 読み方:ももはじめてはなさく
- 意味:桃の花が咲き始める
次候:倉庚鳴
- 読み方:そうこうなく
- 意味:倉庚(ウグイス)が鳴き始める
末候:鷹化為鳩
- 読み方:たかけしてはととなる
- 意味:鷹が鳩に姿を変える
日にち(期間)
- 初候:3月5日〜9日頃
- 次候:3月10日〜14日頃
- 末候:3月15日〜19日頃
春分
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:雀始巣
- 読み方:すずめはじめてすくう
- 意味:雀が巣ごしらえを始める頃
次候:桜始開
- 読み方:さくらはじめてひらく
- 意味:桜の花が咲き始める頃
末候:雷乃発声
- 読み方:かみなりすなわちこえをはっす
- 意味:春雷の音が聞こえる頃
中国の七十二候(宣明暦)
初候:玄鳥至
- 読み方:げんちょういたる
- 意味:燕が南からやって来る
次候:雷乃発声
- 読み方:かみなりすなわちこえをはっす
- 意味:遠くで雷の音がし始める
末候:始雷
- 読み方:はじめていなびかりす
- 意味:稲光が始めて光る頃
日にち(期間)
- 初候:3月20日〜24日頃
- 次候:3月25日〜29日頃
- 末候:3月30日〜4月4日頃
清明
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:玄鳥至
- 読み方:つばめきたる
- 意味:燕が南国からやって来る頃
次候:鴻雁北
- 読み方:こうがんきたへかえる
- 意味:雁が北へ渡って行く
末候:虹始見
- 読み方:にじはじめてあらわる
- 意味:雨上がりに虹が見え始める頃
中国の七十二候(宣明暦)
初候:桐始華
- 読み方:きりはじめてはなさく
- 意味:桐の花が咲き始める
次候:田鼠化為鴽
- 読み方:でんそけしてうずらとなる
- 意味:田鼠(クマネズミ)が鴽(ウズラ)になる
末候:虹始見
- 読み方:にじはじめてあらわる
- 意味:雨の後に虹が出始める
日にち(期間)
- 初候:4月5日〜9日頃
- 次候:4月10日〜14日頃
- 末候:4月15日〜19日頃
穀雨
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:葭始生
- 読み方:あしはじめてしょうず
- 意味:葦(あし)が芽吹き始める頃
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次候:霜止出苗
- 読み方:しもやんでなえいづる
- 意味:霜が止み苗が生長する
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末候:牡丹華
- 読み方:ぼたんはなさく
- 意味:牡丹が大輪の花を咲かせる頃
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中国の七十二候(宣明暦)
初候:萍始生
- 読み方:うきくさはじめてしょうず
- 意味:浮き草が芽を出し始める
次候:鳴鳩払其羽
- 読み方:めいきゅうそのはねをはらう
- 意味:鳴鳩(イカル)が羽を払う
末候:戴勝降于桑
- 読み方:たいしょうくわにくだる
- 意味:戴勝(ヤツガシラ)が桑(クワ)の木に止って蚕を生む
日にち(期間)
- 初候:4月20日〜24日頃
- 次候:4月25日〜29日頃
- 末候:4月30日〜5月4日頃
夏
立夏(りっか)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:蛙始鳴
- 読み方:かわずはじめてなく
- 意味:蛙が鳴き始める
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次候:蚯蚓出
- 読み方:みみずいづる
- 意味:蚯蚓(ミミズ)が地上に這出る
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末候:竹笋生
- 読み方:たけのこしょうず
- 意味:筍(たけのこ)が生えて来る
関連記事:竹笋生の意味・由来・読み方
中国の七十二候(宣明暦)
初候:螻蟈鳴
- 読み方:ろうこくなく
- 意味:螻蟈(蛙のこと。もしくはケラとも)が鳴き始める
次候:蚯蚓出
- 読み方:きゅういんいず
- 意味:蚯蚓(ミミズ)が地上に這出る
末候:王瓜生
- 読み方:おうかしょうず
- 意味:王瓜(からすうり)の実が生り始める
日にち(期間)
- 初候:5月5日〜9日頃
- 次候:5月10日〜15日頃
- 末候:5月16日〜20日頃
小満(しょうまん)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:蚕起食桑
- 読み方:かいこおきてくわをはむ
- 意味:蚕が桑を食べ始める
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次候:紅花栄
- 読み方:べにばなさかう
- 意味:紅花が盛んに咲く
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末候:麦秋至
- 読み方:むぎのときいたる
- 意味:麦の穂が実り始めて麦秋を迎える
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中国の七十二候(宣明暦)
初候:苦菜秀
- 読み方:くさひいず
- 意味:苦菜(にがな)がよく茂る
次候:靡草死
- 読み方:びそうかる
- 意味:薺(なずな)など田に生える草が枯れる
末候:小暑至
- 読み方:しょうしょいたる
- 意味:ようやく暑さが加わり始める
日にち(期間)
- 初候:5月21日〜25日頃
- 次候:5月26日〜30日頃
- 末候:5月26日〜30日頃
芒種(ぼうしゅ)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:螳螂生
- 読み方:かまきりしょうず
- 意味:螳螂が生まれ出る
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次候:腐草為蛍
- 読み方:くされたるくさほたるとなる
- 意味:倒れた腐った草(枯れ草)の下から羽化した蛍が夜空に舞い飛ぶ
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末候:梅子黄
- 読み方:うめのみきばむ
- 意味:梅が熟して黄ばむ頃
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中国の七十二候(宣明暦)
初候:螳螂生
- 読み方:とうろうしょうず
- 意味:螳螂が生まれ出る
次候:鵙始鳴
- 読み方:もずはじめてなく
- 意味:鵙(モズ)が鳴き始める
末候:反舌無声
- 読み方:はんぜつこえなし
- 意味:反舌鳥(モズのこと。もしくはウグイスやクロウタドリとも)が鳴かなくなる
日にち(期間)
- 初候:5月31日〜6月4日頃
- 次候:6月5日〜10日頃
- 末候:6月16日〜20日頃
夏至(げし)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:乃東枯
- 読み方:なつかれくさかるる
- 意味:夏枯草が枯れたように見える頃
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次候:菖蒲華
- 読み方:あやめはなさく
- 意味:あやめの花が咲く頃
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末候:半夏生
- 読み方:はんげしょうず
- 意味:烏柄杓(カラスビシャク)が生え始める頃 ※半夏=烏柄杓
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中国の七十二候(宣明暦)
初候:鹿角解
- 読み方:しかつのおつ
- 意味:鹿が角を落とす頃
次候:蜩始鳴
- 読み方:せみはじめてなく
- 意味:蝉が鳴き始める頃
末候:半夏生
- 読み方:はんげしょうず
- 意味:烏柄杓が生える頃
日にち(期間)
- 初候:6月21日〜25日頃
- 次候:6月26日〜7月1日頃
- 末候:7月2日〜6日頃
小暑(しょうしょ)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:温風至
- 読み方:あつかぜいたる
- 意味:梅雨明けの南風が吹いて来る頃
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次候:蓮始開
- 読み方:はすはじめてひらく
- 意味:蓮の花が咲き始める頃
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末候:鷹乃学習
- 読み方:たかすなわちわざをなす
- 意味:鷹の幼鳥が飛ぶことを覚えて巣立ちする頃
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中国の七十二候(宣明暦)
初候:温風至
- 読み方:おんぷういたる
- 意味:暖い風が吹いて来る頃
次候:蟋蟀居壁
- 読み方:しっしゅつかべにおる
- 意味:蟋蟀(コオロギ)が壁で鳴く頃
末候:鷹乃学習
- 読み方:たかすなわちがくしゅうす
- 意味:鷹の幼鳥が飛ぶことを覚える頃
日にち(期間)
- 初候:7月7日〜11日頃
- 次候:7月12日〜16日頃
- 末候:7月17日〜22日頃
大暑(たいしょ)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:桐始結花
- 読み方:きりはじめてはなをむすぶ
- 意味:桐の実が生り始める頃
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次候:土潤溽暑
- 読み方:つちうるおうてむしあつし
- 意味:土が湿って蒸暑くなる頃
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末候:大雨時行
- 読み方:たいうときどきにふる
- 意味:時々、大雨が降る頃
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中国の七十二候(宣明暦)
初候:腐草為蛍
- 読み方:ふそうほたるとなる
- 意味:腐った草が蒸れ蛍となる
次候:土潤溽暑
- 読み方:つちうるおいてあつし
- 意味:土が湿って蒸暑くなる
末候:大雨時行
- 読み方:たいうときにゆく
- 意味:時として大雨が降る
日にち(期間)
- 初候:7月23日〜27日頃
- 次候:7月28日〜8月1日頃
- 末候:8月2日〜6日頃
秋
立秋(りっしゅう)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:涼風至
- 読み方:すづかぜいたる
- 意味:涼しい風が立ち始める
次候:寒蝉鳴
- 読み方:ひぐらしなく
- 意味:ヒグラシ(蝉)が鳴き始める
末候:蒙霧升降
- 読み方:ふかききりまとう
- 意味:秋霧が立ち込める頃
中国の七十二候(宣明暦)
初候:涼風至
- 読み方:りょうふういたる
- 意味:涼しい風が立ち始める
次候:白露降
- 読み方:はくろくだる
- 意味:白露(しらつゆ/露)が降り始める
末候:寒蝉鳴
- 読み方:かんぜんなく
- 意味:ヒグラシ(蝉)が鳴き始める頃
日にち(期間)
- 初候:8月7日〜11日頃
- 次候:8月12日〜17日頃
- 末候:8月18日〜21日頃
処暑(しょしょ)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:綿柎開
- 読み方:わたのはなしべひらく
- 意味:綿を包む萼(がく)が開く
次候:天地始粛
- 読み方:てんちはじめてさむし
- 意味:ようやく暑さが鎮まる
末候:禾乃登
- 読み方:こくものすなわちみのる
- 意味:稲が実り穂を垂らす頃
中国の七十二候(宣明暦)
初候:鷹乃祭鳥
- 読み方:たかすなわちとりをまつる
- 意味:鷹が捕らえた鳥を並べて食べる
次候:天地始粛
- 読み方:てんちはじめてしじむ
- 意味:ようやく暑さが鎮まる
末候:禾乃登
- 読み方:かすなわちみのる
- 意味:稲が実る
日にち(期間)
- 初候:8月22日〜27日頃
- 次候:8月28日〜9月1日頃
- 末候:9月2日〜6日頃
白露(はくろ)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:草露白
- 読み方:くさのつゆしろし
- 意味:草に降りた露が白く光る
次候:鶺鴒鳴
- 読み方:せきれいなく
- 意味:鶺鴒(せきれい)が鳴き始める ※鶺鴒=冬鳥
末候:玄鳥去
- 読み方:つばめさる
- 意味:燕が元来た南国へ帰って行く 玄鳥=燕の別名
中国の七十二候(宣明暦)
初候:鴻雁来
- 読み方:こうがんきたる
- 意味:雁(ガン)が飛来し始める
次候:玄鳥帰
- 読み方:げんちょうかえる
- 意味:燕(ツバメ)が南へ帰って行く
末候:羣鳥養羞
- 読み方:ぐんちょうしゅうをやしなう
- 意味:多くの鳥が食べ物を蓄える
日にち(期間)
- 初候:9月7日〜11日頃
- 次候:9月12日〜17日頃
- 末候:9月18日〜22日頃
秋分(しゅうぶん)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:雷乃収声
- 読み方:かみなりすなわちこえをおさむ
- 意味:雷の鳴音がなくなる
次候:蟄虫坏戸
- 読み方:むしかくれてとをふさぐ
- 意味:虫が冬ごもりをする頃
末候:水始涸
- 読み方:みずはじめてかる
- 意味:田畑の水を干して稲刈りに備える頃
中国の七十二候(宣明暦)
初候:雷乃収声
- 読み方:かみなりすなわちこえをおさむ
- 意味:雷が鳴り響かなくなる
次候:蟄虫坏戸
- 読み方:ちっちゅうとをとざす
- 意味:虫が土中に掘った穴をふさぐ
末候:水始涸
- 読み方:みずはじめてかる
- 意味:田畑の水を干し始める
日にち(期間)
- 初候:9月23日〜9月27日頃
- 次候:9月28日〜10月2日頃
- 末候:10月3日〜7日頃
寒露(かんろ)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:鴻雁来
- 読み方:こうがんきたる
- 意味:雁(がん)が飛来し始める ※雁=渡り鳥
次候:菊花開
- 読み方:きくのはなひらく
- 意味:菊の花が咲く
末候:蟋蟀在戸
- 読み方:きりぎりすとにあり
- 意味:コオロギが戸の辺りで鳴き始める ※蟋蟀は昔のコオロギの呼び方
中国の七十二候(宣明暦)
初候:鴻雁来賓
- 読み方:こうがんらいひんす
- 意味:雁が多数飛来して客人となる
次候:雀入大水為蛤
- 読み方:すずめたいすいにいりこはまぐりとなる
- 意味:雀が海に入って蛤になる
末候:菊有黄華
- 読み方:きくにこうかあり
- 意味:菊の花が咲き出す
日にち(期間)
- 初候:10月8日〜12日頃
- 次候:10月13日〜17日頃
- 末候:10月18日〜22日頃
霜降(そうこう)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:霜始降
- 読み方:しもはじめてふる
- 意味:山里に霜が降り始める
次候:霎時施
- 読み方:こさめときどきふる
- 意味:小雨がときどき降る
末候:楓蔦黄
- 読み方:もみじつたきばむ
- 意味:楓(モミジ)や蔦(つた)が紅葉を迎え黄葉を付ける頃
中国の七十二候(宣明暦)
初候:豺乃祭獣
- 読み方:さいすなわちけものをまつる
- 意味:山犬が捕らえた獣を並べて食べる
次候:草木黄落
- 読み方:そうもくこうらくす
- 意味:草木の葉が黄ばんで落ち始める
末候:蟄虫咸俯
- 読み方:ちっちゅうことごとくふす
- 意味:虫がみな穴に潜って動かなくなる
日にち(期間)
- 初候:10月23日〜27日頃
- 次候:10月28日〜11月1日頃
- 末候:11月2日〜6日頃
冬
立冬(りっとう)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:山茶始開
- 読み方:つばきはじめてひらく
- 意味:山茶花(さざんか)が咲き始める
次候:地始凍
- 読み方:ちはじめてこおる
- 意味:大地が凍り始める
末候:金盞香
- 読み方:きんせんかさく
- 意味:金盞(きんせん)の花が咲く ※金盞=水仙
中国の七十二候(宣明暦)
初候:水始氷
- 読み方:みずはじめてこおる
- 意味:水が凍り始める
次候:地始凍
- 読み方:ちはじめてこおる
- 意味:大地が凍り始める
末候:雉入大水為蜃
- 読み方:やいけみずにいりおおはまぐりとなる
- 意味:雉(キジ)が海に入って大蛤になる
日にち(期間)
- 初候:11月7日〜11日頃
- 次候:11月12日〜16日頃
- 末候:11月17日〜21日頃
小雪(しょうせつ)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:虹蔵不見
- 読み方:にじかくれてみえず
- 意味:虹を見かけなくなる頃
次候:朔風払葉
- 読み方:きたかぜこのはをはらう
- 意味:北風が木の葉を払う(吹き飛ばす)
末候:橘始黄
- 読み方:たちばなはじめてきばむ
- 意味:橘の実が黄色くなり始める
中国の七十二候(宣明暦)
初候:虹蔵不見
- 読み方:にじかくれてみえず
- 意味:虹を見かけなくなる
次候:天気上騰地気下降
- 読み方:てんきじょうとうしちきかこうす
- 意味:天地の寒暖が逆になる
末候:閉塞而成冬
- 読み方:へいそくしてふゆとなる
- 意味:空が塞がって冬となる
日にち(期間)
- 初候:11月22日〜26日頃
- 次候:11月27日〜12月1日頃
- 末候:12月2日〜6日頃
大雪(たいせつ)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:閉塞成冬
- 読み方:そらさむくふゆとなる
- 意味:空が閉塞され真冬になる頃
次候:熊蟄穴
- 読み方:くまあなにこもる
- 意味:熊が冬眠のために穴に隠れる
末候:鱖魚群
- 読み方:さけのうおむらがる
- 意味:鮭が群がり川を上る
中国の七十二候(宣明暦)
初候:鶡鴠不鳴
- 読み方:かっちょうなかず
- 意味:鶡鴠(かつたん/ミミキジ)が鳴かなくなる
次候:虎始交
- 読み方:とらはじめてつるむ
- 意味:虎が交尾を始める
末候:茘挺出
- 読み方:れいていいずる
- 意味:茘(ネジアヤメ)が芽を出し始める
日にち(期間)
- 初候:12月7日〜11日頃
- 次候:12月12日〜16日頃
- 末候:12月17日〜21日頃
冬至(とうじ)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:乃東生
- 読み方:なつかれくさしょうず
- 意味:夏枯草(かごそう)が芽を出す頃
次候:麋角解
- 読み方:おおしかのつのおつる
- 意味:大鹿が角を落とす頃
末候:雪下出麦
- 読み方:ゆきわたりてむぎいづる
- 意味:雪の下で麦が芽を出す
中国の七十二候(宣明暦)
初候:蚯蚓結
- 読み方:きゅういんむすぶ
- 意味:蚯蚓(ミミズ)地中で塊となる
次候:麋角解
- 読み方:びかくげす
- 意味:大鹿が角を落とす
末候:水泉動
- 読み方:すいせんうごく
- 意味:地中で凍った泉が動き始める
日にち(期間)
- 初候:12月22日〜26日頃
- 次候:12月27日〜30日頃
- 末候:12月31日〜1月4日頃
小寒(しょうかん)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:芹乃栄
- 読み方:せりすなわちさかう
- 意味:芹(せり)がよく生育する ※多年草
次候:水泉動
- 読み方:しみずあたたかをふくむ
- 意味:地中で凍った泉が動き始める
末候:雉始雊
- 読み方:きじはじめてなく
- 意味:雉が鳴き始める頃
中国の七十二候(宣明暦)
初候:雁北郷
- 読み方:かりきたにむかう
- 意味:雁が北に渡り始める
次候:鵲始巣
- 読み方:かささぎはじめてすくう
- 意味:地中で凍った泉が動き始める
末候:雉始雊
- 読み方:やけいはじめてなく
- 意味:雄の雉が鳴き始める
日にち(期間)
- 初候:1月5日〜9日頃
- 次候:1月10日〜14日頃
- 末候:1月15日〜19日頃
大寒(だいかん)
日本の七十二候(本朝七十二候)
初候:款冬華
- 読み方:ふきのはなさく
- 意味:蕗の薹(ふきのとう)が蕾を芽吹かせる
次候:水沢腹堅
- 読み方:さわみずこおりつめる
- 意味:沢の水が氷り、厚く張りつめる
末候:鶏始乳
- 読み方:にわとりはじめてとやにつく
- 意味:鶏が小屋に入って卵を産み始める頃
中国の七十二候(宣明暦)
初候:鶏始乳
- 読み方:にわとりはじめてにゅうす
- 意味:鶏が卵を産み始める
次候:鷙鳥厲疾
- 読み方:しちょうれいしつす
- 意味:鷲・鷹などが空高く速く飛び始める
末候:水沢腹堅
- 読み方:すいたくあつくしかたし
- 意味:沢の水が氷り、厚く張りつめる
日にち(期間)
- 初候:1月20日〜24日頃
- 次候:1月25日〜29日頃
- 末候:1月30日〜2月3日頃
七十二候の元となる二十四節気について
二十四節気と関係の深い雑節について
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